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建築基準法で30万円以下の過料になるのはどんな違反か|第106条の命令違反と届出と書類の備え置きを解説

役所の窓口に書類が置かれた写真

建築基準法には拘禁刑や罰金のほかに過料という書き方の罰則もあるのか、気になる人は多いのではないでしょうか。
第98条や第99条とは別に、第106条には30万円以下の過料を定める規定があります。
今回は建築基準法第106条を中心に、30万円以下の過料の対象になる返納命令の違反、届出、書類の備え置きと閲覧の違いをあわせて解説します。

建築基準法の罰則には、どんな種類がありますか。

第98条や第99条は拘禁刑や罰金、第106条は過料と書かれています。
この記事では、第106条を確認します。

過料になるのは、建物を建てる人だけですか。

号ごとに、対象になる違反と対象者の書き方が違います。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 第106条第1項は、各号のいずれかに該当する者を30万円以下の過料に処すると定めています。
  • 第1号は、第12条の2第3項の規定による命令に違反した者を対象にしています。
  • 第2号は、第68条の16などの規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者を対象にしています。
  • 第3号は、第77条の29の2の規定に違反して書類の備え置きや閲覧を怠った者などを対象にしています。
  • 第2項は、第77条の35の15に違反した指定構造計算適合性判定機関又はその職員を対象にしています。

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建築基準法第106条が命令違反と届出と書類の備え置きを過料の対象とする仕組みを示す図解

建築基準法第106条第1項の過料はどんな罰則なのか

会社の建物と書類のイラスト
まず、第106条第1項の前文を確認しましょう。
(建築基準法第百六条第一項)次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。
第106条第1項は、次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処すると規定しています
第98条第1項と第99条第1項は拘禁刑又は罰金と書いていて、第106条は過料と書いています。
各号に並んでいるのは、命令の違反、届出、書類の備え置きと閲覧の3つで、第2項には別の対象が置かれています。

過料と罰金は、同じものと考えてよいのですか。

条文は刑と過料を書き分けているので、第106条は過料として読みます。
まず、条文にどう書かれているかを確かめましょう。

資格者証の返納を命じられたのに従わないと第1号でどうなるのか

建物と掲示板と書類のイラスト
次に、第1号を確認しましょう。
(建築基準法第百六条第一項第一号)第十二条の二第三項(第十二条の三第四項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
(建築基準法第十二条の二第三項)国土交通大臣は、建築物調査員が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その建築物調査員資格者証の返納を命ずることができる。
一この法律又はこれに基づく命令の規定に違反したとき。
二前項第三号又は第四号のいずれかに該当するに至つたとき。
三調査等に関して不誠実な行為をしたとき。
四偽りその他不正の手段により建築物調査員資格者証の交付を受けたとき。
(建築基準法第十二条の三第四項(一部))前条第二項から第四項までの規定は、建築設備等検査員資格者証について準用する
第1号は、第12条の2第3項の規定による命令に違反した者を対象にしています
括弧書きには、第12条の3第4項と、第88条第1項で準用する場合も含まれています。
第12条の2第3項は、国土交通大臣が、建築物調査員が一定の場合に該当すると認めるとき、その建築物調査員資格者証の返納を命ずることができると定める規定です。
返納を命ずることができる場合には、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反したときや、調査等に関して不誠実な行為をしたときなどが挙げられています。
第12条の3第4項は、この返納の規定を建築設備等検査員資格者証について準用すると定めています。

返納の命令に従わなかったら、第1号に当たるのですか。

第1号は、第12条の2第3項の命令に違反した者を挙げています。

届出をしなかったり虚偽の届出をしたりすると第2号でどうなるのか

受付と書類と郵便受けのイラスト
続けて、第2号を確認しましょう。
(建築基準法第百六条第一項第二号)第六十八条の十六若しくは第六十八条の十七第一項(これらの規定を第八十八条第一項において準用する場合を含む。)又は第七十七条の六十二(第三号を除き、第七十七条の六十六第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(建築基準法第六十八条の十六)認証型式部材等製造者は、第六十八条の十一第二項の国土交通省令で定める事項に変更(国土交通省令で定める軽微なものを除く。)があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
(建築基準法第六十八条の十七第一項)認証型式部材等製造者は、当該認証に係る型式部材等の製造の事業を廃止しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
(建築基準法第七十七条の六十二(一部))当該建築基準適合判定資格者が当該各号に該当するに至つた日(第一号の場合にあつては、その事実を知つた日)から三十日以内に、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない
第2号は、第68条の16、第68条の17第1項又は第77条の62の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者を対象にしています
括弧書きには、第88条第1項で準用する場合や、第77条の66第2項で準用する場合も含まれています。
第68条の16は、認証型式部材等製造者が、国土交通省令で定める事項に変更があったとき、国土交通大臣に届け出なければならないと定めています。
第68条の17第1項は、製造の事業を廃止しようとするとき、あらかじめ届け出るよう定めています。
第77条の62は、建築基準適合判定資格者が死亡したときなどに、相続人や本人などが、該当するに至った日から30日以内に届け出るよう定めています。

届出をしなかっただけでも、この号に当たりますか。

第2号は、届出をせずと、虚偽の届出を並べて挙げています。

書類を備え置かなかったり閲覧させなかったりすると第3号でどうなるのか

書類棚と書類のイラスト
次に、第3号を確認しましょう。
(建築基準法第百六条第一項第三号)第七十七条の二十九の二の規定に違反して、書類を備え置かず、若しくは関係者の求めに応じて閲覧させず、又は書類に虚偽の記載をし、若しくは虚偽の記載のある書類を関係者に閲覧させた者
(建築基準法第七十七条の二十九の二(一部))指定確認検査機関は、国土交通省令で定めるところにより、確認検査の業務を行う事務所に次に掲げる書類を備え置き、第六条の二第一項の規定による確認を受けようとする者その他の関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。
第3号は、第77条の29の2の規定に違反して、書類を備え置かず、若しくは関係者の求めに応じて閲覧させず、又は書類に虚偽の記載をし、若しくは虚偽の記載のある書類を関係者に閲覧させた者を対象にしています
第77条の29の2は、指定確認検査機関が、確認検査の業務を行う事務所に書類を備え置き、関係者の求めに応じて閲覧させるよう定めています。
備え置く書類には、業務の実績を記載した書類や、確認検査員又は副確認検査員の氏名及び略歴を記載した書類などが挙げられています。
関係者には、第6条の2第1項の規定による確認を受けようとする者が含まれると書かれています。
どの書類の記載が虚偽に当たるかは、第106条には書かれていません。

確認を受けようとする側にとって、この号はどんな意味がありますか。

確認検査の機関には、書類を閲覧させることが第77条の29の2に書かれています。

指定構造計算適合性判定機関やその職員は第2項でどう扱われるのか

事務所と書類棚のイラスト
最後に、第2項を確認して、全体を整理します。
(建築基準法第百六条第二項)第七十七条の三十五の十五の規定に違反して、書類を備え置かず、若しくは関係者の求めに応じて閲覧させず、又は書類に虚偽の記載をし、若しくは虚偽の記載のある書類を関係者に閲覧させた指定構造計算適合性判定機関(その者が法人である場合にあつては、その役員)又はその職員は、三十万円以下の過料に処する。
(建築基準法第七十七条の三十五の十五(一部))指定構造計算適合性判定機関は、国土交通省令で定めるところにより、構造計算適合性判定の業務を行う事務所に次に掲げる書類を備え置き、構造計算適合性判定を受けようとする者その他の関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。
第2項は、第77条の35の15の規定に違反して書類を備え置かず、閲覧させず、又は虚偽の記載をした指定構造計算適合性判定機関又はその職員を対象にしています
指定構造計算適合性判定機関が法人である場合には、その役員が対象になると書かれています。
第77条の35の15は、第77条の29の2と同じ形で、構造計算適合性判定の業務を行う事務所に書類を備え置くよう定めています。
刑の重さは、第1項と同じ30万円以下の過料です。
ここまでの内容を、項と号ごとに整理します。
分けて読むと、混乱しにくくなります。
項・号対象者押さえる点
第1項前文各号のいずれかに該当する者30万円以下の過料です
第1号第12条の2第3項の規定による命令に違反した者返納の命令への違反です
第2号第68条の16、第68条の17第1項、第77条の62の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者届出に関する規定です
第3号第77条の29の2の規定に違反して書類を備え置かず、閲覧させず、又は虚偽の記載をした者書類の備え置きと閲覧に関する規定です
第2項第77条の35の15の規定に違反した指定構造計算適合性判定機関又はその職員法人の役員も対象になります
これらは建築基準法の過料についての規定であり、消防法令の罰則とは別の規定です
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、どの行為が各条の違反に当たるかの判断は、第106条の条文には書かれていません。
建物の手続で資格者や機関とやり取りするときは、建築基準法の側にも過料の規定があることを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
  • 依頼する調査や検査の相手が、資格者証を持つ人かを、建築の窓口で確かめる。
  • 確認検査を依頼する機関が、書類の閲覧に応じているかを、その機関の事務所で確かめる。
  • 建築基準法上の届出の期限を、建築の窓口へ確かめる。
  • 届いている命令の通知があれば、内容を建築の窓口に確認する。
  • 消防法令の罰則は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
建築基準法の過料については建築の窓口に、消防法令の罰則については所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。

整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。

まず、依頼する相手が資格者証を持つ人か、機関かを確認しましょう。
消防法令の罰則は、所轄消防署に別に確かめます。

よくある質問

Q建築基準法第106条第1項の過料はいくらですか?
A各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の過料に処すると定められています。
Q第1号は何に違反した者を対象にしていますか?
A第12条の2第3項の規定による命令に違反した者を対象にしています。
Q第2号と第3号は誰を対象にしていますか?
A第2号は第68条の16などの規定による届出をせず又は虚偽の届出をした者、第3号は第77条の29の2の規定に違反して書類の備え置きや閲覧を怠った者などを対象にしています。
Q第2項は誰を対象にしていますか?
A第77条の35の15の規定に違反した指定構造計算適合性判定機関又はその職員を対象にしています。どの行為が違反に当たるかは、第106条には書かれていません。

まとめ

✔第106条第1項は、各号のいずれかに該当する者を30万円以下の過料に処すると定めています。
✔第1号は、第12条の2第3項の返納の命令に違反した者を対象にしています。
✔第2号は、第68条の16などの規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者を対象にしています。
✔第3号は、第77条の29の2の規定に違反して書類の備え置きや閲覧を怠った者などを対象にしています。
✔第2項は、第77条の35の15に違反した指定構造計算適合性判定機関又はその職員を対象にしています。
✔どの行為が各条の違反に当たるかは、第106条には書かれていません。
✔この規定は建築基準法の過料についてのもので、消防法令の罰則とは別なので、防火管理者は建築の窓口と所轄消防署の両方に確認します。

過料の規定があることがよく分かりました。
まず、届出の期限を確認します!

建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第十二条の二・第十二条の三・第六十八条の十六・第六十八条の十七・第七十七条の二十九の二・第七十七条の三十五の十五・第七十七条の六十二・第百六条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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