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消火器用消火薬剤の再利用はなぜ基準が定められたのか|平成18年の消防庁通知と粉末消火薬剤の含水率を解説

作業場の床に置かれた赤い粉末消火器と、トレーに載った薄いピンク色の粉の小さな山の写真

平成18年11月9日、消防庁予防課長が消防予第466号を出しました。
消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令が改正され、使用済等消火薬剤を再利用する際の基準が新たに定められたためです。
通知は、都道府県に周知を求めています。
この記事では、通知の中身と、現行の省令で確かめられる点を解説します。

使い終わった消火器の薬剤は、また使えるものなのでしょうか。

省令が改正され、再利用する際の基準が新たに定められました。
まず、通知の中身を確かめましょう。

通知は、何を改正したものなのですか。

消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令の一部改正です。
順に見ていきます。

この記事の結論
  • 消防予第466号(平成18年11月9日、消防庁予防課長)は、消火器用消火薬剤の再利用の基準を定めた省令改正の通知です。
  • 改正の省令(平成18年総務省令第124号)は平成18年10月30日に公布され、公布の日から施行されたと通知は述べています。
  • 使用済等消火薬剤は、省令の基準に適合する処理を施したものに限り、再利用消火薬剤として使えます。
  • 再生処理を施した粉末消火薬剤には、通常の性状に加えて、含水率2パーセント以下と固化を生じない措置が求められます。
  • 施行の際に型式承認を受けている消火薬剤は、改正後の規格による型式承認とみなすとされました。

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使用済みの消火薬剤に処理を施し、基準に適合した処理に限って再利用できることを示す図解

消火器用消火薬剤の再利用はなぜ平成18年に基準が定められたのか

赤い消火器の円筒と、二本の曲がった矢印の輪と、薄いピンク色の粉の小さな山が並ぶイラスト
通知は、改正の背景から書き始めています。
まず、通知の本文を確かめます。
消防予第466号(平成18年11月9日、消防庁予防課長)は、冒頭で次のように述べています。
消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令の一部を改正する省令(平成18年総務省令第124号)が平成18年10月30日に公布されました。
今回の改正は、近年、環境に対する配慮の観点から、消火器用消火薬剤についても再利用を促進することとしていること等を踏まえ、消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第28号。以下「省令」という。)の一部を改正し、使用済等消火薬剤(一度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄されたもの又はその全部若しくは一部を原料とするものをいう。以下同じ。)に省令の規定に適合する処理を施したものを消火器用消火薬剤として再利用する際の基準を新たに定めたものです。
改正の目的は、消火器用消火薬剤の再利用を進めることです。
通知は、近年、環境に対する配慮の観点から、消火薬剤についても再利用を促進することとしていると述べています。
改正の省令は、平成18年総務省令第124号として、平成18年10月30日に公布されました。
改正後の省令が新たに定めたのは、使用済等消火薬剤を消火器用消火薬剤として再利用する際の基準です。
改正の背景として通知が挙げているのは、この点です。

環境への配慮から、再利用を進める改正だったのですね。

はい、通知は環境に対する配慮の観点を挙げています。
次に、再利用できる薬剤の条件を条文で確かめましょう。

使用済みの消火薬剤は処理を施せば再利用してよいのか

赤い消火器の円筒と、じょうご付きの処理機の箱と、閉じた薄いピンク色の粉の袋が並ぶイラスト
通知の記の1は、共通的性状の関係から始まります。
まず、通知の本文と、現行の条文を確かめます。
通知は、消火薬剤の共通的性状(第1条の3関係)について、次のように述べています。
使用済等消火薬剤については、省令に定める基準に適合するよう処理を施したものに限り使用できることとすること。
消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令第1条の3
消火薬剤は、一度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄されたもの又はその全部若しくは一部を原料とするもの(以下この条において「使用済等消火薬剤」という。)であつてはならない。
同省令第1条の3ただし書
ただし、再利用消火薬剤(使用済等消火薬剤であつて前条及び次条から第八条までの規定に適合する処理を施したものをいう。第七条第三項において同じ。)にあつては、この限りでない。
使用済みの薬剤は原則として使えず、処理を施したものだけが例外です。
省令第1条の3は、消火薬剤が使用済等消火薬剤であってはならないと定めています。
ただし書は、再利用消火薬剤にあたるものを、この限りでないとしています。
再利用消火薬剤とは、使用済等消火薬剤に、省令の第1条の2と第2条から第8条までの規定に適合する処理を施したものです。
通知が述べる「処理を施したものに限り使用できる」は、この条文にあたります。
区分省令第1条の3が定めていること
原則消火薬剤は、使用済等消火薬剤であってはならない
使用済等消火薬剤の意味一度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄されたもの又はその全部若しくは一部を原料とするもの
例外再利用消火薬剤は、この限りでない
再利用消火薬剤の意味使用済等消火薬剤であって、第1条の2と第2条から第8条までの規定に適合する処理を施したもの

使用済みなら何でも再利用できる、というわけではないのですね。

はい、基準に適合する処理を施したものに限られます。
次に、粉末消火薬剤の性状を確かめましょう。

再生処理を施した粉末消火薬剤にはどんな性状が求められるのか

実験用のはかりと、薄いピンク色の粉を半分入れたガラスの瓶と、目盛りだけの丸い計器が並ぶイラスト
通知の記の1の(2)は、粉末消火薬剤(第7条関係)です。
まず、通知の文言と、現行の条文を確かめます。
通知は、粉末消火薬剤(第7条関係)について、次のように述べています。
通常の粉末消火薬剤のもつ性状等に加え、再生処理を施した粉末消火薬剤は次のような性状等を有すべきこと。
① 含水率が2%以下であること。
② 固化を生じないような措置が講じられていること。
消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令第7条第3項
再利用消火薬剤のうち粉末消火薬剤は、前二項に定めるもののほか、次の各号に適合するものでなければならない。
(第1号)含水率が二パーセント以下であること。
(第2号)均質であつて、かつ、固化を生じないような措置が講じられていること。
再生処理を施した粉末消火薬剤には、通常の性状に加えて、二つの条件が加わります。
第一は、含水率が2パーセント以下であることです。
第二は、均質であって、固化を生じないような措置が講じられていることです。
省令第7条第3項は、通知の二つの条件を、第1号と第2号として定めています。
第2号には、通知にない「均質であつて」という文言も加わっています。
同省令第7条第1項第2号
温度三十度及び相対湿度六十パーセントの恒温恒湿槽中に四十八時間以上恒量になるまで静置した後に、温度三十度及び相対湿度八十パーセントの恒温恒湿槽中に四十八時間静置する試験において、質量増加率が二パーセント以下であること。
通常の粉末消火薬剤の性状は、第7条第1項と第2項にあります。
第1項は、呼び寸法180マイクロメートル以下の微細な粉末であることなどを定めています。
第1項第2号の2パーセントは、恒温恒湿の試験での質量増加率です。
第3項第1号の2パーセントは、含水率です。
どちらも2パーセント以下ですが、省令は別の指標として書いています。
区分求められること
通常の粉末消火薬剤(第7条第1項)呼び寸法180マイクロメートル以下の微細な粉末であること。恒温恒湿の試験で質量増加率が2パーセント以下であること。水面に均一に散布した場合に1時間以内に沈降しないこと
りん酸塩類等の着色(第7条第2項)淡紅色系の着色を施すこと
再利用消火薬剤のうち粉末消火薬剤(第7条第3項)前二項に定めるもののほか、含水率が2パーセント以下であること。均質であって、固化を生じないような措置が講じられていること

通常の性状に、含水率と固化の条件が加わるのですね。

はい、再生処理を施した粉末消火薬剤には、含水率と固化を生じない措置が求められます。
次に、施行の前の扱いを確かめましょう。

施行前に試験を申請し、または型式承認を受けていた消火薬剤はどう扱われるのか

白紙の書類と、丸い印章と、赤い消火器の円筒が並ぶイラスト
通知の記の2は、施行期日等です。
まず、通知の本文を確かめます。
通知は、施行期日等について、次のように述べています。
(1)この省令は、公布の日(平成18年10月30日)から施行するとされたこと。
(2)この省令の施行の際に日本消防検定協会の行う検定対象機械器具等についての試験を申請している消火器用消火薬剤に係る試験については、なお従前の例によるとされたこと。
(3)この省令の施行の際に型式承認を受けている消火器用消火薬剤及び前項の規定により従前の例によることとされた試験の結果に基づいて型式承認を受けた消火器用消火薬剤に係る型式承認は、改正後の消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令の規格による型式承認とみなすこととされたこと。
施行は公布の日で、施行の際の状況ごとに扱いが示されています。
省令は、公布の日である平成18年10月30日から施行されました。
施行の際に、日本消防検定協会へ試験を申請していた消火薬剤の試験は、なお従前の例によるとされました。
施行の際に型式承認を受けていた消火薬剤の型式承認は、改正後の規格による型式承認とみなすとされました。
従前の例による試験の結果に基づいて型式承認を受けた消火薬剤も、同じ扱いです。
施行の際の状況通知が述べる扱い
省令の施行公布の日(平成18年10月30日)から施行する
日本消防検定協会へ試験を申請している消火薬剤試験は、なお従前の例による
型式承認を受けている消火薬剤改正後の省令の規格による型式承認とみなす
従前の例による試験の結果に基づいて型式承認を受けた消火薬剤同じく、改正後の省令の規格による型式承認とみなす
消防法施行令第37条
法第二十一条の二第一項の政令で定める消防の用に供する機械器具等は、次に掲げるもの(略)とする。
(第2号)消火器用消火薬剤(二酸化炭素を除く。)
消火器用消火薬剤は、検定の対象になっています。
消防法施行令第37条は、検定対象機械器具等の一つとして、消火器用消火薬剤を挙げています。
ただし、二酸化炭素は除かれています。
通知の型式承認の扱いは、この検定の対象になる薬剤についてのものです。

施行前に型式承認を受けた薬剤は、そのままでは使えなくなるのでしょうか。

通知は、改正後の規格による型式承認とみなすと述べています。
最後に、確認する手順をまとめます。

明日から消火器の消火薬剤で何を確認すればよいのか

机の上の白紙のチェックリストの板と、赤い消火器の円筒と、閉じた薄いピンク色の粉の袋が並ぶイラスト
通知は、都道府県に、市町村への周知を求めるものです。
次に挙げる確認は、通知が利用者に求めたものではなく、この記事の整理です。
  • 使用済みの消火薬剤を再利用するときは、省令の基準に適合する処理を施したものに限られると知っておく
  • 再生処理を施した粉末消火薬剤は、含水率が2パーセント以下で、固化を生じない措置があるかを確かめる
  • 薬剤の型式承認が、施行の際に受けていたものにあたるかを確かめる
  • 詰め替えなどで使う薬剤の出所が分からないときは、製造者や整備の事業者に処理の内容を確かめる
  • 判断に迷ったときは、所轄の消防機関に確かめる
確認の中心は、再利用する薬剤が省令の基準に適合するかです。
通知は、使用済等消火薬剤に処理を施したものだけが使えるとしています。
粉末消火薬剤には、含水率と固化の条件が加わります。
施行の前に型式承認を受けていた薬剤は、改正後の規格による型式承認とみなされます。
個々の消火器や薬剤にどこまで当てはまるかは、通知には書かれていません。

薬剤の出所と処理の内容を、確かめておきます。

まず、処理を施した薬剤かどうかを確かめましょう。
迷ったときは、所轄の消防機関に確かめます。

よくある質問

Qこの通知が具体的な性状を示しているのは、すべての種類の消火薬剤ですか?
A通知が具体的な性状を示しているのは、粉末消火薬剤だけです。使用済等消火薬剤は処理を施したものに限るという点は共通ですが、他の種類の薬剤の細かな性状は、通知には書かれていません。
Q含水率2パーセント以下は、通常の粉末消火薬剤の質量増加率と同じものですか?
A省令は、別の指標として書いています。第7条第1項第2号は恒温恒湿の試験での質量増加率、第7条第3項第1号は含水率で、どちらも2パーセント以下と定めています。両者の関係は、通知からは分かりません。
Q施行前に型式承認を受けていた薬剤は、新しい基準で試験を受け直す必要がありますか?
A通知は、施行の際に型式承認を受けている消火薬剤の型式承認を、改正後の規格による型式承認とみなすと述べています。改正後に別の手続を求める記述は、通知の本文にはありません。
Qこの通知の内容は、今の省令にもそのまま当てはまりますか?
A通知は平成18年11月9日付けのものです。この記事では、省令第1条の3と第7条をe-Gov法令検索の現行の条文で確かめ、通知の述べる内容と合っていることを確認しました。他の条文は確認していません。

まとめ

✔消防予第466号は、消火器用消火薬剤を再利用する基準を定めた省令改正の通知である
✔改正は、環境に対する配慮の観点から、再利用を促進することを踏まえたものである
✔使用済等消火薬剤は、省令の基準に適合する処理を施したものに限り使用できる
✔再利用消火薬剤とは、使用済等消火薬剤に省令の規定に適合する処理を施したものをいう
✔再生処理を施した粉末消火薬剤は、含水率2パーセント以下で、固化を生じない措置が必要である
✔施行の際に型式承認を受けている薬剤は、改正後の規格による型式承認とみなされる
✔省令は、公布の日である平成18年10月30日から施行された

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防予第466号「「消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令の一部を改正する省令」の公布について(通知)」(平成18年11月9日 消防庁予防課長)
  • 消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第28号)第1条の3、第7条 e-Gov法令検索
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第37条 e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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