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高度地区の高さ制限に違反すると誰が罰金になるのか|建築基準法第101条第6号と第58条を解説

朝の住宅街の道路沿いに建つ中層のマンションと低い住宅の写真

建物の高さは、建築基準法だけでなく、都市計画で決まる地区のルールでも縛られます。
そのルールのうち高度地区の高さの制限に違反したときの罰則が、第101条の第6号にあります。
今回は第6号と第58条第1項を対応させて、誰が罰せられるのかを解説します。

高度地区の高さの制限に違反すると、罰金になることはありますか。

第101条の第6号に、100万円以下の罰金の定めがあります。
この記事で、罰せられる人の範囲を確認します。

違反した建物の持ち主が、罰せられるのですか。

第6号が挙げるのは、設計者です。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 第101条は、各号のいずれかに該当する者を、100万円以下の罰金に処すると定めています。
  • 第6号は、第58条第1項の制限に違反した場合の、当該建築物の設計者を罰する規定です。
  • 設計図書を用いないで、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合は、罰せられる者が工事施工者に変わります。
  • 第101条第2項は、その違反が建築主の故意によるものであるときは、建築主にも同じ刑を科すと定めています。
  • 第58条第1項の高さは、条文に数値がなく、高度地区に関する都市計画で地区ごとに決まります。

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高度地区の高さ制限に違反した場合に、設計者、工事施工者、故意の建築主が罰金の対象になる範囲を示す図解

第101条第6号は高度地区の高さ制限違反で誰を罰するのか

高い建物と測量用のポールのイラスト
まず、第101条の前文と第6号、そして第2項を確認しましょう。
(建築基準法第百一条(前文))次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
(建築基準法第百一条第六号)六 第五十八条第一項の規定による制限に違反した場合における当該建築物の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物の工事施工者)
(建築基準法第百一条第二項)前項第三号、第四号又は第六号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。
第6号は、第58条第1項の制限に違反した場合を、100万円以下の罰金に処すると規定しています
罰せられる者は、原則として、当該建築物の設計者です。
括弧書きは、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合を別に定めています。
その場合に罰せられるのは、当該建築物の工事施工者です。
第2項は、第3号、第4号、第6号の違反について、建築主の故意があるときの扱いを定めています。

第6号は、第58条のどの部分の違反を罰するのですか。

第58条の第1項の制限に違反した場合です。
第2項や第3項は、第6号には出てきません。

第58条第1項が定める高さの制限とはどんな内容か

都市計画の地図と建物模型のイラスト
続けて、第6号が指している第58条第1項と、高度地区の意味を確認しましょう。
(建築基準法第五十八条第一項)高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。
(都市計画法第九条第十八項)高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。
第58条第1項は、高度地区内の建築物の高さを、高度地区に関する都市計画で定められた内容に適合させなければならないと定めています。
高さの具体的な数値は、第58条第1項には書かれていません。
数値は、都市計画で地区ごとに決められます。
都市計画法は、高度地区を、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区としています。
つまり、第58条第1項の制限には、上限だけでなく下限が定められている地区もあり得ます。

高さの数値が条文に書かれていないのは、なぜですか。

数値は、都市計画で地区ごとに決まるからです。
どの高さが定められているかは、都市計画の内容で確かめます。

設計図書に従わずに工事をした場合は誰が罰せられるのか

製図台と作業用ヘルメットのイラスト
続けて、括弧書きに出てくる設計者と工事施工者の意味を、第2条で確認しましょう。
(建築基準法第二条第十六号)十六 建築主 建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。
(建築基準法第二条第十七号)十七 設計者 その者の責任において、設計図書を作成した者をいい、建築士法第二十条の二第三項又は第二十条の三第三項の規定により建築物が構造関係規定(同法第二十条の二第二項に規定する構造関係規定をいう。以下同じ。)又は設備関係規定(同法第二十条の三第二項に規定する設備関係規定をいう。第五条の六第三項及び第六条第三項第三号において同じ。)に適合することを確認した構造設計一級建築士(同法第十条の三第四項に規定する構造設計一級建築士をいう。以下同じ。)又は設備設計一級建築士(同法第十条の三第四項に規定する設備設計一級建築士をいう。第五条の六第三項及び同号において同じ。)を含むものとする。
(建築基準法第二条第十八号)十八 工事施工者 建築物、その敷地若しくは第八十八条第一項から第三項までに規定する工作物に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らこれらの工事をする者をいう。
設計者は、その者の責任において、設計図書を作成した者をいうと定義されています。
工事施工者は、建築物に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自ら工事をする者をいうと定義されています。
第6号の括弧書きは、設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合に、罰せられる者を設計者から工事施工者に切り替える書き方になっています。
設計図書のとおりに工事をしていれば設計者、そうでなければ工事施工者、という区別です。
第6号の括弧書きには、第3号や第4号にある認定建築材料等を引き渡した者についての定めは、含まれていません。

設計図書に従わなかった工事でも、設計者が罰せられますか。

その場合は、第6号の括弧書きにより、工事施工者が罰せられます。
設計者ではなく、工事を施工した側が対象です。

第2項の故意の規定で建築主にも刑が科されるのはどんな場合か

住宅の模型と鍵のイラスト
続けて、第2項の中身を、条文の言葉どおりに確認しましょう。 第2項は、第3号、第4号、第6号の違反があった場合に、その違反が建築主の故意によるものであるときは、設計者又は工事施工者を罰するほか、建築主にも同項の刑を科すと定めています。
ここで科される刑は、前項の刑、つまり100万円以下の罰金です。
建築主は、第2条第16号で、建築物に関する工事の請負契約の注文者などをいうと定義されています。
条件は、違反が建築主の故意によるものであることです。
第2項は、故意でない場合に建築主を罰するとは書いていません。
また、第2項が挙げる号は第3号、第4号、第6号だけなので、第5号などは対象に含まれていません。

建築主は、違反があれば必ず罰せられますか。

いいえ、第2項は建築主の故意があるときに限って、建築主にも刑を科すと書いています。
故意かどうかは、個別の事案で判断されます。

第6号の内容を整理すると何が分かるのか

役所の建物と天秤のイラスト
最後に、ここまでの内容を整理します。
場面根拠罰せられる者
第58条第1項の制限に違反した第101条第6号当該建築物の設計者
設計図書を用いず、又は設計図書に従わずに工事を施工した第101条第6号の括弧書き当該建築物の工事施工者
その違反が建築主の故意によるものである第101条第2項設計者又は工事施工者に加えて建築主
科される刑第101条の前文100万円以下の罰金
高さの数値第58条第1項高度地区に関する都市計画で定められる
第6号は、高度地区の高さの制限に違反したときの罰則を、100万円以下の罰金と定めています
これは建築基準法の罰則であり、消防法令の義務とは別の規定です。
また、個別の建物の高さが制限に適合するかどうかや、誰の故意が認められるかは、第101条には書かれていません。
高度地区の建物に関わるときは、都市計画の内容を、事前に確かめておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
  • 建物のある場所が高度地区かどうかを、市区町村の都市計画の窓口で確かめる。
  • 高度地区であれば、都市計画で定められた最高限度と最低限度を確かめる。
  • 増築や改修で高さが変わるときは、事前に特定行政庁や建築の窓口へ相談する。
  • 設計や工事を頼むときは、設計図書のとおりに施工されているかを確かめる。
  • 建物の防火管理などの義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
建築基準法の罰則については特定行政庁や建築の窓口に、消防法令の義務については所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。

整理はできました。
実務では、何から確かめればよいですか。

まず、その場所の都市計画で、高さの限度を確認しましょう。
消防法令の義務は、所轄消防署に別に確かめます。

よくある質問

Q第6号は何を罰しますか?
A第58条第1項の規定による制限に違反した場合の、当該建築物の設計者を、100万円以下の罰金に処すと定めています。
Q設計図書に従わなかった場合は誰が罰せられますか?
A設計図書を用いないで、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合は、当該建築物の工事施工者が罰せられます。
Q建築主が罰せられるのはどんな場合ですか?
A第6号の違反が建築主の故意によるものであるときに、第2項により、建築主にも同じ刑が科されます。
Q第58条第1項の高さの数値は条文に書かれていますか?
A書かれていません。数値は、高度地区に関する都市計画で地区ごとに定められます。

まとめ

✔第101条第6号は、第58条第1項の高さの制限に違反した場合を、100万円以下の罰金で罰すると定めています。
✔罰せられる者は、原則として、当該建築物の設計者です。
✔設計図書を用いず、又は設計図書に従わずに工事を施工した場合は、工事施工者が罰せられます。
✔第2項は、その違反が建築主の故意によるものであるときに、建築主にも同じ刑を科すと定めています。
✔第58条第1項の高さの数値は、条文ではなく、高度地区に関する都市計画で地区ごとに決まります。
✔第2項が挙げる号は、第3号、第4号、第6号の三つで、第5号などは含まれません。
✔これは建築基準法の罰則で、消防法令の義務とは別なので、防火管理者は建築の窓口と所轄消防署の両方に確認します。

高度地区の高さの制限にも、罰則があることがよく分かりました。
まず、都市計画の高さの限度を確認します!

建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第二条・第五十八条・第百一条、都市計画法第九条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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