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高度地区の建物の高さはなぜ都市計画で決まるのか|建築基準法第58条と屋根工事の許可を解説

高度地区の街並みと屋根に太陽光パネルを載せた中層ビルの写真

自分の建物のある地域が高度地区に指定されていると、建築物の高さにも都市計画の縛りがかかります。
建築基準法第58条は、その高さのルールと、屋根の工事に関する例外を定めています。
第1項が都市計画への適合、第2項が屋根工事などの高さの特例、第3項が許可の前の手続を定めています。
決め手になるのは、最高限度が定められているかどうかと、特定行政庁の許可の有無です。
今回は建築基準法第58条が定める高度地区内の建築物の高さについて、三つの項の中身と、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。

建物の高さは、都市計画でも決まるのでしょうか。
高度地区とは、どんな地区ですか。

建築基準法第58条に、高度地区内の高さの規定があります。
まず、条文から見ていきましょう。

屋根に太陽光パネルを載せると、高さの制限を超えませんか。
例外はないのでしょうか。

第2項に、屋根工事の許可の規定があります。
第1項から第3項までの中身を、順に確認しますね。

この記事の結論
  • 建築基準法第58条第1項は、高度地区内では建築物の高さは高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合しなければならないと定めています。
  • 高度地区は、都市計画法で、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、高さの最高限度又は最低限度を定める地区とされています。
  • 第2項は、最高限度が定められた高度地区内で、再生可能エネルギー源の利用に資する設備の設置のため必要な屋根に関する工事などを行う建築物のうち、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したものは、その許可の範囲内で最高限度を超えられると定めています。
  • 第2項の許可の対象は、構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものに限られます。
  • 第3項は、第2項の許可に第44条第2項を準用しており、許可の前に建築審査会の同意が必要です。

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高度地区内の建築物の高さは都市計画に適合させ屋根工事は許可で最高限度を超えられ許可の前に建築審査会の同意が必要であることを示す図解

高度地区に指定されると建物の高さはなぜ都市計画の内容に合わせなければならないのか

街区の建物群と上に浮かぶ点線の高さの面のイラスト
第58条は、見出しに「高度地区」と付いています。
この条は、三つの項でできています。
第1項が原則を定め、第2項と第3項が屋根工事などの例外とその手続を定めています。
(建築基準法第五十八条第一項)高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。
第58条第1項は、高度地区内の建築物の高さを、都市計画で定められた内容に適合させなければならないと定めています
高さの具体的な数値は、条文には書かれていません。
数値は、高度地区に関する都市計画で地区ごとに決められます。
都市計画の内容は、市区町村の窓口で確認できます。
建築基準法は、その内容に適合するよう求めているだけです。

数値が条文に書かれていないので、地区ごとに確認するのですね。
高度地区は、法律でどう決められているのでしょうか。

都市計画法に、高度地区の定義があります。
最高限度と最低限度について確認しましょう。

高度地区は高さの最高限度だけでなく最低限度も定められるのか

背の低い建物の街区と背の高い建物の街区の対比のイラスト
高度地区の意味は、都市計画法の条文で定められています。
条文を、確認しておきましょう。
(都市計画法第九条第十八項)高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。
都市計画法は、高度地区を、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区と定めています
定める場所は、用途地域内です。
目的は、市街地の環境を維持することと、土地利用の増進を図ることの二つです。
条文は「最高限度又は最低限度」と書いています。
地区によって、上限だけを決めるものも、下限を決めるものもあり得ます。
どちらが定められているかは、都市計画の内容を確かめる必要があります。

上限だけでなく、下限を決める地区もあるのですね。
屋根の工事の例外は、どちらの地区が対象ですか。

第2項は、最高限度が定められた高度地区が対象です。
次に、条文を詳しく見ていきましょう。

再生可能エネルギー設備の屋根工事ならなぜ最高限度を超えられることがあるのか

屋根の太陽光パネルと点線の高さの線のイラスト
第2項は、対象と条件が条文に細かく書かれています。
長い条文なので、区切りながら確認しましょう。
(建築基準法第五十八条第二項)前項の都市計画において建築物の高さの最高限度が定められた高度地区内においては、再生可能エネルギー源の利用に資する設備の設置のため必要な屋根に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものであつて、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したものの高さは、同項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、当該最高限度を超えるものとすることができる。
第2項は、最高限度が定められた高度地区内で、屋根工事などを行う建築物のうち、国土交通省令で定めるもので特定行政庁が許可したものの高さは、その許可の範囲内で最高限度を超えられると定めています
対象は、再生可能エネルギー源の利用に資する設備の設置のため必要な屋根に関する工事などを行う建築物です。
条件は、構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めることです。
さらに、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したことが要ります。
超えられるのは、許可の範囲内だけです。
許可なしに超えてよいという意味ではありません。 超えられる高さの計算例を示します。
都市計画で高さの最高限度が15メートルと仮定します。
許可の範囲が、最高限度から1メートルまで超えることを認めるものだったとします。
15+1=16メートルが、その建築物の高さの上限の目安です。
数値は、読み方の例です。

許可の範囲までしか超えられないのですね。
許可の前には、どんな手続がありますか。

第3項が、許可の前の手続を定めています。
第44条とのつながりを確認していきましょう。

屋根工事の許可にはなぜ建築審査会の同意が必要なのか

書類と丸いテーブルと空の椅子のイラスト
第3項は、第2項の許可の手続を定めています。
準用している第44条第2項の条文も、あわせて確認しましょう。
(建築基準法第五十八条第三項)第四十四条第二項の規定は、前項の規定による許可をする場合について準用する。
(建築基準法第四十四条第二項)特定行政庁は、前項第四号の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
第3項は、第2項の許可をする場合に第44条第2項を準用しており、特定行政庁はあらかじめ建築審査会の同意を得る必要があります
準用とは、別の規定を、その場面に当てはめることです。
第44条第2項は、道路内の建築の許可について、あらかじめ同意を得ると定めています。
第58条第3項は、この考え方を、第2項の許可にも及ぼしています。
許可の前に、建築審査会の同意が要る点が、手続の特徴です。
同意の具体的な進め方は、特定行政庁の窓口で確認が欠かせません。

許可の前に、審査会の同意まで要るのですね。
防火管理者は、なにを確認したらよいでしょうか。

高度地区の話は建築基準法の話ですが、増築や屋上の工事のときに関係します。
確認したい点を、五つにまとめます。

増築や屋上の設備工事を考えるとき防火管理者はなにを確かめておくとよいのか

書類ばさみと都市計画図と虫眼鏡のイラスト
第58条は、建築物の高さに関する建築基準法の規定です。
防火管理者の義務を、直接に決めるものではありません。
ただし、増築や屋上の設備工事を考えるときには、関係する場面があります。 第58条の高さの規定は建築基準法の話であり、消防法令の基準を緩めるものではありません
高さの許可を受けられる工事でも、消防用設備等の設置基準は別に判断します。
判断に迷うときは、所轄消防署への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
  • 建物のある場所が高度地区か、最高限度か最低限度かを、市区町村の窓口で確認して記録する。
  • 都市計画で定められた高さの内容と、現在の建物の高さを、書類で照らし合わせておく。
  • 屋根への設備の設置を考えるときは、工事の内容が第2項の許可の対象になり得るかを、特定行政庁に事前に相談する。
  • 許可を受けた場合は、許可の範囲を示す書類を内容を控えて保管する。
  • 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
建築基準法と消防法は別々の法律です。
高さの話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。

高度地区かどうかと、許可の範囲を、まず確認します。
屋上の工事の前に、両方の窓口へ相談してみます。

状況が分かれば、工事のときの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。

よくある質問

Q高度地区では、高さの最高限度だけが定められるのですか?
Aいいえ。都市計画法は、高度地区を最高限度又は最低限度を定める地区としています。どちらが定められているかは、都市計画の内容で確かめます。
Q屋根に太陽光パネルを設置すれば、必ず最高限度を超えられますか?
A必ずではありません。第2項は、国土交通省令で定めるもので、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したものに限っています。
Q許可の前に、建築審査会は関わりますか?
A関わります。第3項が第44条第2項を準用しており、特定行政庁は許可の前に建築審査会の同意を得る必要があります。
Q高さの許可を受ければ、消防用設備等の基準も緩みますか?
A緩みません。建築基準法の高さの話と、消防法令の設置基準は別に判断します。所轄消防署に確認しましょう。

まとめ

✔建築基準法第58条は、高度地区内の建築物の高さを、都市計画の内容に適合させなければならないと定めています。
✔高度地区は、都市計画法で、用途地域内において高さの最高限度又は最低限度を定める地区とされています。
✔第2項は、最高限度が定められた高度地区で、屋根工事などを行う建築物のうち、特定行政庁が許可したものの高さを、許可の範囲内で最高限度を超えられるとしています。
✔第2項の対象は、構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものに限られます。
✔第3項は、許可に第44条第2項を準用しており、許可の前に建築審査会の同意が必要です。
✔計算例では、最高限度が15メートルで許可の範囲が1メートルなら、上限の目安は16メートルで、超えられるのは許可の範囲内だけです。
✔この条文が定めるのは建築基準法の話であって、消防法令の基準を緩めるものではありません。防火管理者は、高度地区かどうかと、許可の範囲を確認して記録します。

高度地区かどうかと、許可の範囲を、確認しておく必要があるんですね。
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許可の範囲が分かれば、屋上の工事の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第五十八条・第四十四条・都市計画法第九条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。高度地区の指定内容や屋根工事の許可の扱いは特定行政庁ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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