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ハロゲン化物消火設備の総合試験はなぜ消火剤ごとに換算量が違うのか|ハロンと代替ガスで9リットルから34リットルまで差がある理由を解説

ハロゲン化物消火設備の貯蔵容器と試験用ガス容器

ハロゲン化物消火設備の総合試験では、なぜ消火剤を全部放射しないのでしょうか。
実は、防護区画の消火剤貯蔵量の10%相当という試験用ガスの量が決まっています。
しかもその量は、ハロンやHFC系など薬剤の種類ごとの換算表で変わります。
この記事では、試験基準をもとに、試験用ガスの量の決め方と薬剤ごとの違いを整理します。

総合試験は、消火剤をぜんぶ使い切って確かめるのではないのですか。

いいえ、試験用のガスを使って、量を抑えて確認します。
順番に見ていきましょう。

試験用のガスは、どれくらい使うのでしょうか。

薬剤の種類ごとに定められた換算表で量が決まります。
まず全体像から確認します。

この記事の結論
  • ハロゲン化物消火設備の総合試験は、消火剤を全部放射せず試験用ガスで代用して行います。
  • 試験用ガスの量は、防護区画の消火剤貯蔵量の10%相当以上です。
  • 換算量は薬剤ごとに違い、ハロン2402は9リットル、ハロン1211は15リットル、ハロン1301は16リットル(消火剤貯蔵量1kgあたり)です。
  • HFC系はさらに多く、HFC-23は34リットル、HFC-227eaは14リットルです。
  • 試験用ガス容器は設置容器と同容量のものを5本まで使うことができます。

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ハロゲン化物消火設備の総合試験における試験用ガスの量を決める4つの手順

ハロゲン化物消火設備の総合試験はなぜ消火剤を全部放射しないのか

防護区画のドアにつながる4本の貯蔵容器と別置きの試験用ガス容器2本
ハロゲン化物消火設備は、全域放出方式や局所放出方式でガスを放射して消火する設備です。
設置工事が終わったときや総合点検のときには、実際に試験用のガスを放出して動作を確かめます。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号)別添第7 ハロゲン化物消火設備試験基準 ウ 総合試験 総合作動試験(試験方法)
各防護区画において起動装置を操作して試験用ガスの放出により通気の状況、各部の状況等を確認する。
試験用ガスの放射量は試験を行う防護区画の消火剤貯蔵量の10%相当の量(消火剤貯蔵量1kgあたりの量を下記の表により算定した量の窒素又は空気とする。)以上の量を用いる。
総合試験では、設置された消火剤を全部使うのではなく、窒素や空気でできた試験用ガスを代わりに使います。
放射量の目安は、防護区画の消火剤貯蔵量の10%相当です。
この10%という量も、そのまま窒素や空気の体積を使うわけではありません。
消火剤1kgあたりに換算した量を、薬剤の種類ごとの表から求めます。
換算の具体的な数値は、次の章で見ていきます。

ガスを全部出さずに、試験ができるのですか。

試験用ガスで代用することで、消火剤を無駄にせず動作確認ができます。
防護区画や配管の状態も同時に確かめます。

試験用ガスの量はなぜ薬剤の種類によって変わるのか

はかりに乗った貯蔵容器と薬剤ごとの換算量を示す棒グラフ
試験用ガスの量は、消火剤の種類によって数値が変わります。
その理由は、薬剤ごとに貯蔵量と放射性能の関係が異なるためです。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号)別添第7 ハロゲン化物消火設備試験基準 ウ 総合試験 総合作動試験(試験方法)
試験用ガスの放射量は試験を行う防護区画の消火剤貯蔵量の10%相当の量(消火剤貯蔵量1kgあたりの量を下記の表により算定した量の窒素又は空気とする。)以上の量を用いる。
試験用ガスの量は、消火剤1kgあたりの換算値を定めた表から、薬剤の種類ごとに求めます。
窒素や空気は消火剤そのものとは性質が違うため、薬剤ごとに換算した量でなければ同じ試験の意味を持ちません。
換算表は、ハロン系とHFC系をあわせて定められています。
薬剤の種類を取り違えると、試験用ガスの量も誤ってしまいます。
実際の数値は、次の章で確認します。

窒素や空気を、そのまま10%だけ使えばよいのではないのですか。

いいえ、薬剤ごとの換算表にあてはめた量を使います。
単純に体積の10%ではありません。

ハロンとHFC系で換算量はどれくらい違うのか

5種類の薬剤で大きさが異なる試験用ガス容器が並ぶ様子
換算表には、ハロン系とHFC系、あわせて5種類の消火剤の数値が並んでいます。
実際の換算量を見ていきましょう。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号)別添第7 ハロゲン化物消火設備試験基準 ウ 総合試験(試験用ガスの換算量、消火剤貯蔵量1kgあたり)
ハロン2402 9リットル
ハロン1211 15リットル
ハロン1301 16リットル
HFC-23 34リットル
HFC-227ea 14リットル
同じハロン系でも、ハロン2402は9リットル、ハロン1211は15リットル、ハロン1301は16リットルと、消火剤の種類ごとに換算量が違います。
代替薬剤のHFC系はさらに多く、HFC-23は34リットル、HFC-227eaは14リットルです。
数値だけを見ると、HFC-23の34リットルが最も多く、ハロン2402の9リットルが最も少ない計算です。
この差は、薬剤ごとの消火に必要な濃度や蒸気圧の違いを反映したものと考えられます。
点検や試験の前に、設備に使われている薬剤の種類を確認しておくことが欠かせません。

数値がばらばらで、覚えるのが大変そうです。

覚える必要はなく、換算表をそのつど確認すれば取り違えを防げます。
薬剤の種類は貯蔵容器の表示でも確認できます。

局所放出方式と移動式ではどう試験するのか

5台の移動式ホースリールのうち1台を試験用に選ぶ様子
ここまでは全域放出方式を中心に見てきましたが、局所放出方式と移動式には別の決まりがあります。
どちらもハロン2402・1211・1301の3薬剤に限られています。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号)別添第7 ハロゲン化物消火設備試験基準 ウ 総合試験 移動式(ハロン2402、1211、1301に限る。)移動式作動状況(試験方法)
放射は、試験用ガス(窒素又は空気)を用いて行うものとし、ユニット5個以内ごとに任意のユニットで、貯蔵容器と同一仕様の、試験用ガス容器1本を用いて行う。
(判定方法)ホース及びホース接続部から試験用ガスの洩れがないこと。
局所放出方式は、全域放出方式と同じ試験方法を使いますが、対象はハロン2402・1211・1301の3薬剤に限られます。
一方、移動式は仕組みが異なり、ユニット5個以内ごとに任意の1ユニットを選んで試験します。
使う試験用ガス容器は、貯蔵容器と同一仕様のものを1本です。
判定は、ホースやホース接続部から試験用ガスが漏れていないことで確認します。
すべてのユニットを試験するわけではない点が、全域放出方式との大きな違いです。

移動式は、ユニットを1台ずつ全部試験しなくてよいのですか。

はい、5個以内ごとに任意の1台を選べば足ります。
選ばれたユニットの結果で、グループ全体を確認する考え方です。

試験用ガス容器の本数や容量はどう決めるのか

10本の貯蔵容器と大きさの違う容器を試験に使わない注意
試験用ガスの量が決まっても、それを入れる容器の本数や大きさにも決まりがあります。
ここを誤ると、試験そのものが成立しません。
消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号)別添第7 ハロゲン化物消火設備試験基準 ウ 総合試験 総合作動試験(試験方法)
ただし、試験用ガス貯蔵容器は設置消火剤貯蔵容器と同容量のものとし、5本を超えないこととすることができる。ただし、自動閉鎖装置がガス圧式の場合にあっては個々に確認することができる。
試験用ガス容器は、設置されている消火剤貯蔵容器と同じ容量のものを使い、本数は5本を超えない範囲で足ります。
つまり、容器のサイズをそろえることが前提で、本数を減らせるという決まりです。
容量の違う容器を混ぜて使うことは想定されていません。
なお、自動閉鎖装置がガス圧式の場合は、個々に確認することができるという扱いもあります。
容器の仕様をそろえたうえで、本数の上限を守ることが試験の前提になります。

貯蔵容器がたくさんある設備でも、試験用の容器は5本で足りるのですか。

はい、設置容器と同容量のものを5本までという決まりです。
容器の容量をそろえることが条件になります。

よくある質問

Qハロゲン化物消火設備の総合試験では、なぜ消火剤を全部使わないのですか?
A試験のたびに消火剤を使い切ると負担が大きいため、窒素や空気でできた試験用ガスで代用します。放射量は防護区画の消火剤貯蔵量の10%相当です。
Q試験用ガスの量は、どの薬剤でも同じですか?
Aいいえ。薬剤ごとの換算表で量が決まり、ハロン2402は9リットル、ハロン1211は15リットル、ハロン1301は16リットル、HFC-23は34リットル、HFC-227eaは14リットルです(消火剤貯蔵量1kgあたり)。
Q移動式の試験は、ユニットを全部確認するのですか?
Aいいえ。ユニット5個以内ごとに任意の1ユニットを選び、貯蔵容器と同一仕様の試験用ガス容器1本で試験します。
Q試験用ガス容器は何本まで使えますか?
A設置されている消火剤貯蔵容器と同容量のものを5本まで使うことができます。容量をそろえることが前提です。

まとめ

✔ハロゲン化物消火設備の総合試験は、消火剤を全部放射せず試験用ガスで代用して行う
✔試験用ガスの放射量は、防護区画の消火剤貯蔵量の10%相当以上
✔換算量は薬剤ごとに違い、ハロン2402は9リットル、ハロン1211は15リットル、ハロン1301は16リットル
✔HFC系はHFC-23が34リットル、HFC-227eaが14リットルとさらに多い
✔局所放出方式はハロン2402・1211・1301の3薬剤に限って同じ試験方法を使う
✔移動式はユニット5個以内ごとに任意の1台を選んで試験する
✔試験用ガス容器は、設置容器と同容量のものを5本まで使うことができる

まず設備に使われている薬剤の種類を、貯蔵容器の表示で確認してみます!

その確認が、試験用ガスの量を正しく決める第一歩になります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防用設備等の試験基準の全部改正について(平成14年9月30日消防予第282号)別添第7 ハロゲン化物消火設備試験基準 ウ 総合試験
  • 消防用設備等の試験基準に係る運用について(平成14年9月30日消防予第283号)

※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。試験基準は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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