消防用設備等の整備は、本来は消防設備士でなければ行えません。
ですが、点検のたびにネジ1本の緩みまで資格者を呼ぶのは現実的ではありません。
実は政令と規則が、ごく限られた範囲で資格がなくても行える整備を定めています。
この記事では、その範囲がどこまで区切られているのかを条文から確認します。
点検でネジの緩みを見つけたのですが、うちのスタッフで締め直していいのでしょうか。
条件を満たせば資格がなくても行えます。
順番に見ていきましょう。
消防設備士でなければ整備できないと聞いていました。
実は政令と規則が例外を定めています。
その範囲を確認していきましょう。
- 消防用設備等の整備は、本来消防設備士免状を持つ者でなければ行えません(消防法第17条の5)。
- 政令が唯一名指しする例外は、屋内消火栓設備の表示灯の交換です(施行令第36条の2第2項)。
- 残りの軽微な整備は規則に委任され、対象は屋内消火栓設備又は屋外消火栓設備に限られます(施行規則第33条の2の2)。
- 具体的にはホース又はノズル、ヒューズ類、ネジ類等部品の交換と、消火栓箱やホース格納箱等の補修です。
- スプリンクラー設備など対象外の設備には、この軽微な整備の規定は及びません。
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目次
消防設備士でなければできない整備とは何を指すのか

消防用設備等の世界には、設置のための工事と、その後の整備という区別があります。
条文が対象とするのは、第10条第4項の技術上の基準に従って設置しなければならない消防用設備等などです。
ここでいう整備とは、工事とは別に、設置後の点検・調整・部品交換までを含む行為を指します。
ただし、この条文は政令で定めるものに限って無資格者の行為を禁止しています。
だから、政令と規則を確かめれば、禁止の境界線がどこにあるかが分かります。
整備といっても、どこまでが整備に当たるのでしょうか。
条文は工事と整備を区別しています。
次に政令の中身を見ていきましょう。
政令が唯一名指しする例外とは何か

実は政令の本文自体が、たった1つだけ例外を名指ししています。
この表示灯の交換だけは、政令本文のかっこ書きで最初から整備の対象外とされています。
屋外消火栓設備の表示灯については、この政令本文には書かれていません。
残りのその他総務省令で定める軽微な整備は、規則へ委任されています。
だから、表示灯以外の整備が資格なしでできるかどうかは、次に規則を確かめる必要があります。
表示灯の交換だけが例外なら、ほかの部品の交換は無理なのでしょうか。
いいえ、規則側にも定めがあります。
続けて確認しましょう。
規則が定める軽微な整備の対象部品とは何か

規則は対象となる設備と部品を具体的に列挙しています。
対象になるのはホース又はノズル、ヒューズ類、ネジ類等の部品交換です。
これらはいずれも点検の現場で消耗や緩みが見つかりやすい部分です。
一方で、同じ消火栓設備でも弁や配管そのものの交換はこの条文に含まれていません。
だから、部品の交換で済む範囲かどうかを見極めることが実務上の線引きになります。
ホースやネジ以外に、箱の修理のようなものも含まれますか。
はい、箱の補修も同じ条文に含まれています。
次の項目で見ていきましょう。
消火栓箱やホース格納箱の補修も含まれるのか

同じ条文の後半に、箱に関する定めがあります。
- 施行令第36条の2第2項:屋内消火栓設備の表示灯の交換
- 施行規則第33条の2の2:屋内消火栓設備又は屋外消火栓設備のホース又はノズル、ヒューズ類、ネジ類等部品の交換
- 施行規則第33条の2の2:消火栓箱、ホース格納箱等の補修その他これらに類するもの
条文は消火栓箱、ホース格納箱等の補修その他これらに類するものと定めています。
補修とは、扉の建て付けやちょうつがいの緩みを直す程度の作業を指すと考えられます。
箱そのものを新しく取り替えるような行為は、この補修の範囲を超えるおそれがあります。
だから、直す内容が軽微な補修の範囲にとどまっているかを、作業のたびに確認しましょう。
それなら、スプリンクラー設備の部品交換も同じように行えますか。
いいえ、対象設備が違えば扱いも変わります。
最後に確認しましょう。
対象外の設備ではどう線引きすればよいのか

規則が名指ししているのは、あくまで2つの設備だけです。
政令が整備の対象として挙げる設備には、スプリンクラー設備・消火器・漏電火災警報器なども含まれます。
これらの設備については、規則第33条の2の2のような軽微な整備の読み替え規定がありません。
だから、消火栓設備以外で見つかった不具合は、部品交換であっても消防設備士に依頼する必要があります。
点検で不具合を見つけたら、まず対象設備が屋内外の消火栓設備かどうかを確認することから始めましょう。
結局、自分たちで直せるかどうかは何で見分ければいいですか。
対象設備と部品の2つを確認することです。
まずそこから始めましょう。
よくある質問
まとめ
まず、点検で気になった箇所が屋内外の消火栓設備かどうかを確認してみます!
対象設備と部品の2つを確認すれば迷いません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条の5(消防設備士免状を有しない者による工事又は整備の制限)
- 消防法施行令第36条の2第2項(消防設備士でなければ行ってはならない整備)
- 消防法施行規則第33条の2の2(消防設備士でなくても行える消防用設備等の整備の範囲)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。軽微な整備に当たるかどうかの実際の判断は、作業の内容や設備の状況によって異なります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





