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消防用設備等の点検票はなぜ防火対象物単位に簡素化されたのか|警戒区域の感知器欄の省略から維持台帳の最新化まで質疑五問を現行の条文と照らして解説

点検票と維持台帳はどこまで簡素化できるのかを表すイメージ写真

消防用設備等の点検票や維持台帳の書き方は、点検報告のたびに迷う実務です。
階ごとに全部書くのか、建物単位でまとめてよいのか、古い様式のままでよいのかは、現場の判断に迷う場面が続きます。
平成9年の告示改正を機に整理された質疑応答には、こうした線引きを一つひとつ確かめた回答が残っています。
今回は5つの質疑から、点検票と維持台帳はどこまで簡素化されたのかを見ていきます。

うちのビルの点検票、やっぱり階ごとに全部書かないといけないんでしょうか。
枚数が多くて大変なんです。

実は防火対象物単位でまとめて書いてよい部分が決められているんです。
警戒区域ごとの感知器の個数のように、欄そのものが省略された部分もあります。

じゃあ維持台帳のほうも、何を綴じればいいのか教えてほしいです。

はい、昔の質疑応答に実例が5つ残っています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消火器具点検票・誘導灯点検票の備考欄は、階ごとの作成から防火対象物単位の作成へ簡素化された
  • 自動火災報知設備点検票の警戒区域ごとの感知器個数欄は、着工届の概要表で確認できるため削除された
  • 改正前の点検票は備考欄の修正などで当分の間使用してよい
  • 消防機関へ通報する火災報知設備の点検票だけは全面改正されたため新様式が望ましい
  • 維持台帳の図書は、変更履歴が明確な最新の状況であれば差し支えない

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点検票と維持台帳はどこまで簡素化できるのかを作成単位の変更から維持台帳の最新化まで示した図解

消火器具点検票や誘導灯点検票はなぜ防火対象物単位の作成でよくなったのか

階ごとに分かれていた複数の点検票の束が一枚の点検票にまとまっているイメージ
点検票の多くは、もともと階ごとに作成することが前提でした。
その前提が、どの時点で見直されたのかが問われました。
問 消火器具点検票(別記様式第1)の備考6並びに誘導灯及び誘導標識点検票(別記様式第16)の備考6が、平成9年消防庁告示第13号(以下「13号告示」という。)によりそれぞれ削除されているが、どのような理由によるものか。
答 改正前において同様式は階ごとに作成することとされており、階数の多い防火対象物については点検票の枚数が非常に多くなることから、防火対象物単位で作成してよいこととして、事務の簡素化を図ったものである。
高層のビルほど、階ごとの点検票は枚数が膨らみがちでした。
枚数が増えても点検の精度が上がるわけではないという判断から、防火対象物単位での作成に改められています。
対象になったのは消火器具と誘導灯・誘導標識の点検票で、両方の備考欄が同時に見直されました。
点検そのものの内容が緩んだわけではなく、書き方の単位が変わっただけという点を取り違えないことが大切です。

枚数が減れば、点検そのものも簡単になるんですか。

いいえ、点検の中身は変わりません。
まとめて書けるようになっただけです。

自動火災報知設備点検票はなぜ警戒区域ごとの感知器個数欄が消えたのか

壁面の受信機のような区域図の一列が空欄になり別の概要書類と線でつながっているイメージ
自動火災報知設備の点検票には、警戒区域ごとの感知器の数を書く欄がありました。
その欄が消えた理由と、代わりに何を確認すればよいのかが問われました。
問 自動火災報知設備点検票(別記様式第11)の様式(その5)から(その7)までが、13号告示により削除されたが、どのような理由によるものか。
答 今回削除された部分は、警戒区域ごとの感知器の個数とその点検結果を記載することとされていたものであるが、警戒区域ごとの感知器の個数については、着工届に添付される自動火災報知設備の概要表等で確認できることから、点検票への記載を省略したものである。また、警戒区域ごとの感知器の設置状況等については、設備概要表、警戒区域図等で確認をすることが必要である。
点検票から欄が消えても、確認そのものが不要になったわけではありません。
感知器の個数は、着工届に添付された設備概要表や警戒区域図で確かめる建付けに変わっただけです。
これらの図書は維持台帳に編冊しておく必要があり、台帳が整っていない防火対象物では、改正前の様式を使って保管するよう指導することとされています。
点検票に書く量と確認する量は、別のものとして分けて考える必要があります。

個数を書かなくてよくなったのに、確認はまだ必要なんですね。

はい、概要表や警戒区域図のほうで確かめる形に変わっただけです。

改正前の点検票は当分の間そのまま使ってよいのか

付箋の貼られた古い点検票と折り目だけの真新しい点検票が並んでいるイメージ
様式が改正されても、手元の点検票をすぐに全部刷り直せるとは限りません。
古い点検票をどこまで使い続けてよいのかが問われました。
問 今回改正の行われた消防用設備等点検票(別記様式第1、別記様式第11、別記様式第13及び別記様式第16)については、改正前のものの備考欄の利用、記入欄の一部修正等を行うことにより、当分の間使用することとしてよいか。
答 お見込みのとおり。なお、別記様式第13(消防機関に通報する火災報知設備)については、全面改正していることから、新様式を使用することが望ましい。
備考欄の使い方や記入欄を少し直すだけで、改正前の点検票を当分の間使い続けてよいとされています。
消火器具・自動火災報知設備・誘導灯誘導標識の点検票は、この扱いの対象です。
ただし消防機関へ通報する火災報知設備の点検票だけは全面改正されているため、新様式を使うことが望ましいとされています。
一部改正と全面改正では、継続利用の余地が変わってくるということです。

うちは点検票をまだ新しくしていないんですが、大丈夫ですか。

備考欄を直して使い続けられます。
ただし火災通報装置の様式だけは新しいものにしてください。

維持台帳に綴じる図書は何を指すのか

図面や証明書や報告書が一冊のファイルに矢印で集まっているイメージ
維持台帳には、点検結果以外にもいろいろな図書を綴じることになっています。
その図書の範囲が、別の通知に書かれた内容と同じでよいのかが問われました。
問 維持台帳については、規則第31条の4第2項において点検を行った結果を記録するものとして規定されているが、192号通知(平成9年12月5日付け消防予第192号)第3に掲げる図書等がこれに該当すると解してよいか。
答 お見込みのとおり。
維持台帳という言葉だけでは、具体的に何を綴じればよいのか分かりにくいものです。
192号通知が示した図書等の一覧が、そのまま維持台帳の内容と解してよいとされました。
現行の消防法施行規則第31条の6では、この定義がさらに明確になっています。届出に係る書類の写し・検査済証・報告書の写し・工事等の経過一覧表その他の必要な書類を編冊したものが維持台帳です。
当時は通知で示されていた内容が、条文そのものに書き込まれる形に整理されたということです。

維持台帳って、結局どこまで集めればいいのか曖昧でした。

今は条文自体に綴じる図書が書かれています。
見比べておくと安心です。

維持台帳の図書は最新の状況がわかればそれでよいのか

開いたファイルの左ページの古い書類が右ページの新しい書類に差し替わっているイメージ
設計書や配管・配線図などは、設置から時間が経つほど現状と食い違っていきます。
維持台帳に綴じる図書を、どこまで最新に保てばよいのかが問われました。
問 維持台帳に編冊する図書等のうち、消防用設備等に関する図書(設計書、仕様書、計算書、系統図、配管・配線図、平面図、立面図、断面図等)については、最新の状況がわかるものが整備されていればよいか。
答 消防用設備等の設置以降における変更を含め、履歴が明確となっていれば、さしつかえない。
図書を一字一句、設置当時のまま保管しておく必要はありません。
増設や改修があっても、その履歴がたどれる状態になっていれば差し支えないとされています。
逆に言えば、変更の経緯が分からない図書のまま放置すると、台帳の整備が不十分だと判断される余地が出てきます。
維持台帳は一度作れば終わりではなく、工事のたびに更新し続けるものという前提で管理する必要があります。

図面は設置した当時のものをそのまま残しておけばいいんですね。

変更履歴がたどれていれば大丈夫です。
増改築のたびに更新しておきましょう。

よくある質問

Q点検票の様式が簡素化されたことで、点検の内容自体も簡単になったのか?
Aいいえ、簡素化されたのは点検票への記載の仕方であって、点検の内容そのものは変わっていません。警戒区域ごとの感知器の個数のように点検票に書かなくなった情報も、設備概要表や警戒区域図で引き続き確認する必要があります。
Q自分のビルの点検票がどの様式のままか分からないときはどうすればよいのか?
A点検を依頼している消防設備士や点検資格者に、使用している点検票の様式を確認してもらうのが確実です。消防機関へ通報する火災報知設備の点検票だけは全面改正されているため、古いままなら新様式への切り替えを検討してください。
Q維持台帳はどこかに提出する必要があるのか?
A維持台帳そのものを消防機関へ提出する義務はありません。防火対象物の関係者が保存し、点検や立入検査の際に確認できる状態にしておくものです。整備が不十分だと、指導や消防法第8条第4項の措置命令の対象になることがあります。
Q維持台帳の図書を紛失してしまった場合はどうすればよいのか?
A速やかに消防機関へ相談し、着工届や設置届に添付した図書の写しが保管されていないか確認してもらうのが現実的です。防火対象物の関係者からの閲覧等の要請には、可能な限り対応することが望ましいとされています。

まとめ

✔消火器具点検票・誘導灯点検票の備考欄は、階ごとの作成から防火対象物単位の作成へ簡素化された
✔自動火災報知設備点検票の警戒区域ごとの感知器個数欄は、設備概要表や警戒区域図で確認する形に変わった
✔改正前の点検票は備考欄の修正などで当分の間使用してよい
✔消防機関へ通報する火災報知設備の点検票だけは全面改正されたため新様式が望ましい
✔維持台帳は192号通知が示した図書等を編冊したものと解してよい
✔維持台帳の図書は、変更履歴が明確な最新の状況であれば差し支えない
✔迷ったときは、所轄の消防署に相談するのが近道

点検票の書き方が、思っていたより細かく整理されているんですね。
うちの台帳も一度見直してみます。

はい、条文と通知を見比べてから整理するのが安全です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第17条の3の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告・維持台帳の定義)
  • 消防法施行規則第31条の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
  • 消防庁「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件」(平成16年5月31日消防庁告示第9号、旧平成9年消防庁告示第13号)
  • 消防庁「消防用設備等に係る届出等に関する運用について」(平成9年12月5日消防予第192号)
  • 消防庁「消防用設備等に係る質疑応答の細目について」(平成9年消防予)

※この記事は記事作成時点の法令・基準にもとづいています。実際の設計・施工にあたっては、必ず所轄の消防署にご確認ください。

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