漏電火災警報器の点検では、変流器の外形や表示を確認して終わりにしてしまいがちです。
ところが点検要領は、変流器の容量について「警戒電路用」と「B種接地線用」で異なる数値基準を定めています。
実は定格電流値の確かめ方が、取り付け場所によって変わります。
この記事では、その判定の考え方を点検要領から確認します。
変流器の外形と表示を見たので、点検は終わったと思っていました。
容量の確認がまだ残っています。
取り付け場所で基準が変わります。
容量なら、変流器に書かれた定格電流値を見れば十分ですよね。
いいえ、警戒電路側の数値と比べる必要があります。
順番に確認していきましょう。
- 変流器の点検は外形・表示・未警戒・容量の4項目で構成される(平成14年消防予第172号第12)。
- 表示では自主表示マークが付されていることを確認する。
- 警戒電路に設けた変流器は、定格電流値が警戒電路の最大負荷電流値以上であることが基準になる。
- B種接地線に設けた変流器は、定格電流値が定格電圧の数値の20%に相当する数値以上であることが基準になる。
- 変電設備を増設・改修すると、変流器を貫通しない接地線ができることがあるため注意する。
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目次
変流器の点検は「外形・表示・未警戒・容量」の4項目で何を確かめるのか

変流器は、警戒電路に流れる電流を測り、漏電火災警報器の受信機へ信号を送る部品です。
外形と表示は目視だけで確認できますが、自主表示マークと銘板は型式や定格電流値を示す根拠になります。
銘板がはがれてしまうと、この先で確認する未警戒や容量の判定そのものができなくなります。
残り2項目(未警戒・容量)は、警戒電路の実情と照らし合わせて確認します。
外形と表示を見れば、変流器の点検は十分ですよね。
いいえ、未警戒と容量も確認します。
次は未警戒を見てみましょう。
防火対象物に2種以上の電源があると、なぜ別々の漏電火災警報器が必要になるのか

未警戒とは、電路の変更工事などによって変流器が監視できていない部分ができていないかという確認です。
たとえば電灯用と動力用の2種以上の電源が供給されている建物では、それぞれに別の漏電火災警報器が必要です。
あわせて、警戒する電路に入ってくるすべての低圧幹線が、漏れなく変流器を貫通しているかも確認します。
漏電火災警報器が1台あれば、建物全体を見られますよね。
電源が2種以上あれば別々に必要です。
次は容量の基準を見ます。
警戒電路用の変流器は、なぜ「最大負荷電流値以上」が基準になるのか

容量の判定は、変流器に表示された定格電流値と、警戒電路側の電流値を比べて行います。
変流器の定格電流値が、この総和(最大負荷電流値)以上であることが基準です。
ただし、ごく短時間だけ流れるせん頭負荷電流は、この総和の計算から除きます。
一瞬だけ跳ね上がる電流まで含めると、変流器の容量が実情より過大に見積もられてしまうためです。
一瞬だけ流れる大きな電流も、全部足して比べるんですか。
いいえ、せん頭負荷電流は除きます。
次はB種接地線用を見ます。
B種接地線用の変流器は、なぜ「定格電圧の20%」が基準になるのか

警戒電路の負荷電流ではなく、警戒電路の定格電圧値を基準にします。
そのため容量の目安も、負荷電流の総和ではなく定格電圧の数値の20%という別の計算式になります。
変流器に表示された定格電流値が、この20%の数値以上であれば基準を満たします。
警戒電路用とB種接地線用は、比べる基準そのものが違うことを押さえておきます。
警戒電路用と同じ最大負荷電流値で比べればよいのでは。
いいえ、定格電圧の20%で比べます。
最後に増設時の注意点を見ます。
変電設備を増設・改修すると、なぜ変流器を貫通しない接地線ができるのか

変電設備そのものの増設・改修工事が、未警戒の原因になることがあります。
工事の際に既設の変流器を通さない新しい接地線を追加してしまうと、その分だけ未警戒の範囲が生まれます。
設置時には貫通していた接地線でも、後の増設・改修で状況が変わっている可能性があります。
点検では、現在の配線図と照らし合わせて、すべての接地線が変流器を貫通しているかを確認します。
設置したときに確認していれば、そのあとは安心ですよね。
増設・改修のたびに確認が必要です。
最後に整理しましょう。
よくある質問
まとめ
まず、変流器の表示と未警戒を確認してみます!
容量の基準の違いも押さえておきましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日 消防予第172号 消防庁予防課長)別添 点検要領 第12 漏電火災警報器
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条の3、第31条の6
※本記事は公表されている法令および消防庁の点検要領に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





