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点検票はなぜ棟単位の原則に例外があるのか|令第32条の特例や重大な違反の別途報告まで解説

点検票の作成単位と報告のルールを確かめるイメージ。赤い消火設備収納箱と点検記録用のクリップボードがある建物の廊下

消防用設備等の点検票は、たいてい建物の棟ごとに1枚作ればよいとされています。
ところが、水噴霧消火設備や令第8条の区画では、この原則がそのまま使えません。
非常電源や配線の点検票をまとめられる場合や、令第32条の特例基準が適用された設備では、作り方そのものが変わります。
点検票と点検結果報告書には、原則の一歩先にある作り方のルールがあります。

うちの点検票、たしかに棟ごとに1枚もらってます。
でも全部の設備がそうなんでしょうか。

いいえ、水噴霧消火設備や区画のある建物では例外があります。
順番に確認していきましょう。

特例とか重大な違反の報告とか、聞いたことはあります。
でも内容がよく分かりません。

どれも点検実務でよく出てくる場面です。
5つに分けて整理します。

この記事の結論
  • 点検票は原則、防火対象物の棟ごとに作成するが、令第8条の区画や水噴霧消火設備等には別の単位が定められている。
  • 非常電源・配線・総合操作盤の点検票は、複数の設備で共用している場合はいずれか1つに添付すればよい。
  • 令第32条の特例基準が適用された設備は、点検票の記入欄を備考欄の利用や一部修正で対応してよいとされている。
  • 屋内消火栓設備のように各階に分散して設置されている設備は、系統図を作成し不良箇所を記録しておく必要がある。
  • 設置又は維持に関し重大な違反又は不適格の事実を確認したときは、通常の報告書とは別に書面で報告することとされている。

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点検票が棟単位の原則から区画・共用設備・令第32条の特例・系統図・重大な違反の報告へ枝分かれしていく図解

点検票はなぜ棟単位の原則に例外があるのか

防火戸で区画された建物の両側に、それぞれ別の点検票が置かれているイラスト
点検票は原則として、建物の棟ごとに1枚作成します。
ただし区画の仕方や設備の種類によっては、この単位がそのまま当てはまりません。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第8条 防火対象物が次に掲げる当該防火対象物の部分で区画されているときは、その区画された部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の防火対象物とみなす。一 開口部のない耐火構造の床又は壁 二 床、壁その他の建築物の部分又は防火設備のうち、防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたもの
棟ごとに1枚、が点検票の基本ですが、区画の仕方によっては単位が変わります。
開口部のない耐火構造の床・壁で区切られた部分や、防火戸に総務省令で定める措置を施した部分は、令第8条により別の防火対象物とみなされます。
この区画がある建物では、区画ごとに別の点検票を作る必要があります。
さらに水噴霧消火設備等は、棟ではなく防護対象物又は防護区画を単位に点検票を作ります。
加圧送水装置や消火薬剤貯蔵容器等を複数の防護区画で共用している場合は、まとめて1つの単位としてもかまいません。

うちは防火戸で区切られた部分があります。
その場合も点検票は1枚でいいんでしょうか。

いいえ、その区画は別の防火対象物として扱われます。
区画ごとに点検票を分けてください。

非常電源・配線・総合操作盤の点検票はなぜ1つで足りることがあるのか

複数の消防用設備に1つの非常電源が配線でつながり、点検票が1枚だけ添えられているイラスト
非常電源や配線は、複数の設備に共通して使われていることがあります。
その場合、点検票をどう添付するのかが次の疑問です。
消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(平成16年5月31日消防庁告示第9号)第1 消防用設備等の種類等 消防用設備等(非常電源、配線及び総合操作盤の部分を除く。)の種類及び非常電源の種別並びに配線及び総合操作盤の別をいう。
非常電源・配線・総合操作盤は、個々の設備とは別の単位として扱われます。
告示は消防用設備等の種類等を非常電源・配線・総合操作盤を除いた部分と、これら3つの別の種別とに分けて定義しています。
複数の設備が同じ非常電源や配線を共用している場合、その非常電源・配線はもともと1つしかありません。
だから点検票も、共用しているいずれか1つの設備に添付すれば足り、設備ごとに重ねて作る必要はありません。
各設備の点検票に非常電源や配線の点検項目がすでに記載されている場合は、専用の点検票を別に添付する必要もありません。

うちは3つの消火設備で同じ非常電源を使っています。
点検票は3枚とも非常電源の欄を書くんでしょうか。

いいえ、共用している場合は1つの点検票にまとめて構いません。
重ねて作る必要はありません。

令第32条の特例基準が適用された設備はどう点検票を作ればよいのか

通常の点検票の記入欄に手書きの修正が加えられ備考欄が使われているイラスト
令第32条の特例基準が適用された設備は、通常の基準とは異なる仕組みで点検します。
この場合、決まった様式の点検票をどう使うのかが問題になります。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第32条 この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。
特例基準が適用された設備も、既存の様式を使って点検票を作ります。
令第32条により通常の基準が適用除外になった設備でも、非常電源・配線・総合操作盤を除いた設備の種類及びこれらの点検の基準に従って点検を行います。
点検結果は別記様式により点検票を作成しますが、特例の内容によっては既存の記入欄がそのまま合わないことがあります。
その場合は備考欄の利用や記入欄の一部修正といった方法で、実際の点検内容に適宜対応してよいとされています。
様式を新しく作り直す必要はなく、手元の点検票を工夫して使えば足ります。

うちの設備は令第32条の特例で基準が緩和されています。
点検票の欄が実情に合わないんですが。

その場合は備考欄を使うか、欄を一部修正して対応できます。
様式を作り直す必要はありません。

分散して設置された設備はなぜ系統図が必要なのか

各階に取り付けられた屋内消火栓と、それらをつなぐ系統図を見比べているイラスト
屋内消火栓設備のように、各階に分かれて設置されている設備があります。
不良箇所をどう記録するのかが、ここでの論点です。
消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6第3項 防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行った結果を、維持台帳に記録するとともに、防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。
各階に分かれて設置されている設備は、系統図を作って記録します。
屋内消火栓設備のように防火対象物の各階に分散して設置されている設備は、点検結果を維持台帳に記録する際、系統図を作成し不良であったものの設置場所を明確にしておきます。
階数と場所を系統図で示しておけば、あとから改修や再点検が必要な箇所をすぐに追えます。
また、すべての設備を点検せず抜取り方式で行った場合は、実際に点検を行った設備を記録しておく必要があります。
記録を維持台帳にまとめておくことが、次回以降の点検をスムーズにする前提になります。

うちの屋内消火栓、各階にあるので不良があった階がどこか分かりにくいです。
記録の仕方に決まりはありますか。

系統図を作って、不良の場所を明確にしてください。
抜取り点検をした設備も記録しておきましょう。

重大な違反が見つかったときはどう報告すればよいのか

通常の点検結果報告書の束から1枚だけ分けて関係者に手渡しているイラスト
点検の結果、見過ごせない不備が見つかることもあります。
その場合、通常の報告書だけで済ませてよいのかが気になります。
消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の3 法第17条第1項の防火対象物の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等について、総務省令で定めるところにより、定期に、点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
重大な不備は、通常の報告書とは別に伝えることになっています。
消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置又は維持に関し、重大な違反又は不適格の事実を確認した場合は、法第17条の3の3の規定に基づく通常の点検結果報告書とは別に、報告を行う防火対象物の関係者へ書面で知らせることとされています。
定期の報告をそのまま待つのではなく、早めに関係者本人へ直接伝える点がここでの違いです。
点検者が気づいた重大な不備が、定期報告の中に埋もれてしまわないようにするための仕組みといえます。

点検で見つかった不備が、結構重大そうなんです。
次の報告書が来るまで黙っておいてもいいですか。

いいえ、重大な違反や不適格は別に書面で知らせます。
定期報告を待たず、早めに伝えてください。

よくある質問

Q令第8条の区画と水噴霧消火設備の防護区画は、同じ考え方ですか?
Aいいえ、別の考え方です。令第8条の区画は別の防火対象物とみなす仕組みで、水噴霧消火設備等は防護対象物又は防護区画そのものを点検票の単位とする仕組みです。
Q非常電源の点検票を共用できるのは、どんな場合ですか?
A複数の消防用設備等が同じ非常電源や配線を使っている場合です。各設備の点検票に非常電源の点検項目が記載済みなら、添付そのものが不要になります。
Q令第32条の特例基準が適用された設備には、専用の点検票がありますか?
A専用の様式はありません。既存の別記様式を使い、記入欄が合わない部分は備考欄の利用や一部修正で対応します。
Q重大な違反の報告は、どのタイミングで行いますか?
A点検の中で重大な違反又は不適格の事実を確認した時点です。定期の点検結果報告書の提出時期を待たず、別途書面で知らせます。

まとめ

✔点検票は原則棟単位だが、令第8条の区画や水噴霧消火設備等には別の単位が定められている
✔開口部のない耐火構造の床・壁、または規則第5条の3の措置を講じた防火戸で区画された部分は別の防火対象物とみなす
✔水噴霧消火設備等は防護対象物又は防護区画を点検票の単位とする
✔非常電源・配線・総合操作盤を複数の設備で共用している場合は、点検票をいずれか1つの設備にまとめて添付すればよい
✔令第32条の特例基準が適用された設備も既存の様式を使い、備考欄の利用等で対応する
✔各階に分散して設置された設備は系統図を作成し、不良箇所と抜取り点検の対象を記録する
✔重大な違反又は不適格を確認したときは、通常の報告書とは別に書面で関係者へ報告する

点検票の作り方がすっきり分かりました!
次の点検票はちゃんと確認してみます!

重大な違反が見つかったときは早めにご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の3
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第8条、第32条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第5条の3、第31条の6
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(平成16年5月31日消防庁告示第9号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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