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蓄電池設備の点検票にはどう書くのか|電解液比重とセル電圧の記入欄から接地の確認方法まで解説

蓄電池設備の点検票にはどう書くのか|電解液比重とセル電圧の記入欄から接地の確認方法まで解説

蓄電池設備の点検は済ませたのに、点検票のどこに何を書けばよいか迷ったことはありませんか。
比重もセル電圧も、点検では全セルを測ります。
ところが点検票に書き込む欄は、セルの数ぶんはありません。
この記事では、蓄電池設備の点検票(別記様式第25)の記載要領を項目ごとに解説します。

蓄電池の点検票、どの欄に何を書けばいいのかよくわからないんです。

はい、記載要領には欄ごとの決まりがありますよ。
比重やセル電圧は特に迷いやすいですね。

全部のセルを測るのに、書く欄は少ない気がしていました。

はい、記入するのは測った値の一部だけです。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 表題の右の設備名欄には蓄電池から非常電源の供給を受けている消防用設備等の名称のすべてを記入し、欄に書けない場合は欄外へ記入します
  • 電解液比重は測定値そのものでなく20℃に換算した値で判定します
  • 点検票の比重欄とセル電圧欄には、全セルを測った別表のうち最高と最低の値だけを記入します
  • 制御弁式蓄電池は比重の記入対象から除かれ、全セルの蓄電池表面温度を測定して記入します
  • 逆変換装置の接地は維持台帳等で接地工事の種別を確認して記入し、総合点検の接地抵抗は他の法令による点検値を準用できます

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蓄電池設備の点検票は設備名をすべて記入し比重は20℃に換算して判定し記入は最高と最低の2値だけで接地は維持台帳で確認することを示した図解

表題欄の設備名にはなぜ消防用設備等の名称をすべて書くのか

蓄電池キャビネットから非常ベルと放送用スピーカーと非常照明へ配線がつながるイラスト
蓄電池設備は、単独で動くものではありません。
多くの消防用設備等が、この蓄電池から非常電源の供給を受けています。
  • 表題の右の設備名欄には、蓄電池から非常電源の供給を受けている消防用設備等の名称のすべてを記入します
  • 欄に書ききれない場合は、欄外に記入することも認められています
設備名の欄は、蓄電池1台が何を支えているかを一覧できるようにする欄です。
非常警報設備・自動火災報知設備・放送設備など、複数の設備が1つの蓄電池設備にぶら下がっていることは珍しくありません。
欄に書ける名称の数には限りがあるため、記載要領は欄外への記入まで認めています。
点検票を見る側は、この欄を見るだけで蓄電池が不良になったときに止まる設備の範囲がわかります。
まずは自分の建物の蓄電池が、どの設備の非常電源になっているかを確認しておきましょう。

うちの蓄電池、放送設備と非常警報設備の両方につながってるんですが、両方書くんですか。

はい、電源を受けている設備の名称はすべて書きます。
欄に入らなければ欄外にも書けますよ。

電解液比重はなぜ測定値のままでなく20℃に換算した値で判定するのか

開放形の蓄電池セルに比重計を差し込み隣に温度計を置くイラスト
電解液の比重は、気温や室温の影響をそのまま受けます。
測った値をそのまま判定に使うと、季節によって合否がぶれてしまいます。
  • 点検要領は、比重は電解液の温度により変化するので20℃に換算した値で適正かどうかを判定することとしています
  • 標準温度との差1℃あたり0.0007を加えて補正し、20℃時点の値に直してから基準値と比べます
比重は同じ蓄電池でも、測る時の温度しだいで値が変わってしまいます。
点検要領は、実測した比重の値に温度差1℃あたり0.0007を加えて補正し、20℃時点の値に直してから判定するよう定めています。
例えば鉛蓄電池のCS型・CS-E型は20℃で1.205以上、HS型・HS-E型は20℃で1.230以上であることが基準で、各セル間の差は0.03以内であることも求められます。
電解液温度そのものも45℃以下で、各セルは全セルの平均値の±3度以内であることが条件です。
比重を測ったら、そのまま記録せず温度換算を済ませてから基準値と比べましょう。

比重の値、夏と冬で違う気がしてたんですが、気のせいじゃなかったんですね。

はい、20℃に換算してから判定します。
測ったときの温度も必ず記録してくださいね。

点検票の比重欄とセル電圧欄にはなぜ全セルでなく最高と最低だけを記入するのか

5本並んだ蓄電池セルのうち最も高いものと最も低いものだけ色を変えたイラスト
比重もセル電圧も、点検では全セルを測ります。
ところが点検票に書き込む欄は、セルの数ぶんはありません。
  • 記載要領は、全セルを測った別表のうち最高と最低の値だけを点検票本体の欄に記入するとしています
  • 比重は小数点以下3桁まで、セル電圧は小数点以下2桁まで記入する桁数も決まっています
点検票には、全セルの代表として最高の値と最低の値だけを書きます。
セルごとの比重や電圧は全セルぶんを別表に記録したうえで、点検票本体の欄には最高と最低だけを転記する、という二段構えです。
最高と最低の差が大きいセルがあるほど、セル間のばらつきが大きいことになります。
小数点の桁数は比重が3桁、電圧が2桁と記載要領で決まっているので、四捨五入の仕方も揃えておきましょう。
全セルを測った別表そのものは、転記した後も記録として保存しておく必要があります。

全部のセルを測るのに、書くのは最高と最低だけでいいんですか。

はい、最高と最低の2つだけ書きます。
全セルの記録は別表として残しておいてくださいね。

制御弁式蓄電池はなぜ比重でなく表面温度を記入するのか

開放形の鉛蓄電池と密閉形の制御弁式蓄電池を並べ密閉形にだけ温度計を添えたイラスト
比重を測るには、セルの蓋を開けて電解液に触れる必要があります。
ところが蓄電池の中には、最初から蓋を開けられない構造のものもあります。
  • 点検要領は、電解液温度の欄について制御弁式据置鉛蓄電池は蓄電池表面温度とし、比重欄の対象から除いています
  • 制御弁式蓄電池は電解液を補う構造を前提としない密閉形の蓄電池です
制御弁式蓄電池は、電解液を補う作業そのものを前提としない密閉構造の蓄電池です。
蓋を開けて比重計を差し込む開放形の蓄電池とは違い、制御弁式蓄電池は電解液に直接触れられません。
そのため点検票の記載要領は比重欄の記入対象から制御弁式蓄電池を除き、代わりに全セルの蓄電池表面温度を測定して記入するよう定めています。
自分の蓄電池がどちらの形式かは、銘板や取扱説明書で確認できます。
形式を取り違えて書けない比重欄を埋めようとすると、点検票そのものが整合しなくなるので注意しましょう。

うちの蓄電池、蓋が無くて比重計が入らないんですが、どう書けばいいんですか。

それは制御弁式蓄電池ですね。
比重欄は対象外で、表面温度を測って記入します。

逆変換装置の接地と総合点検の接地抵抗はどう確認し記入するのか

逆変換装置から接地棒へ配線がつながり傍に維持台帳が置かれたイラスト
接地は、測るたびに新しく調べるものではありません。
工事の種別が分かっていれば、点検票への記入はそこから始まります。
  • 逆変換装置の接地欄は、接地工事の種別を維持台帳等により確認して記入します
  • 総合点検の接地抵抗は、他の法令による点検が実施されている場合はその測定値とすることができます
接地工事の種別は、点検のたびに測り直す項目ではありません。
逆変換装置や充電装置の接地欄は、維持台帳等に残っている接地工事の種別を確認して記入します。
総合点検の接地抵抗は接地抵抗計で測定した値を記入しますが、他の法令による点検が実施されている場合はその測定値とすることができます。
維持台帳は、消防法施行規則第31条の6第3項により防火対象物の関係者が保存する記録です。
点検のたびに同じ測定を重ねないためにも、維持台帳を先に確認する習慣をつけておきましょう。

なるほど、接地は毎回測るんじゃなくて維持台帳で確認するんですね。

そうです、維持台帳の記録を確認してから記入します。
電気主任技術者の点検と合わせると二重測定も防げますよ。

よくある質問

Q点検票の表題の設備名欄は、1つしか書けませんか?
Aいいえ。蓄電池から非常電源の供給を受けている消防用設備等の名称はすべて記入し、欄に入らない場合は欄外にも記入できます。
Q電解液比重は、測定した値をそのまま点検票に書いてよいですか?
Aいいえ。20℃に換算した値で適正かどうかを判定し、その換算後の値を記入します。
Qセル電圧の欄には、全セルの測定値を書く必要がありますか?
Aいいえ。全セルを測った別表のうち最高と最低の値だけを点検票の欄に記入します。
Q制御弁式蓄電池の比重欄が埋まらないのは、記入漏れですか?
Aいいえ。制御弁式蓄電池は比重欄の記入対象から除かれ、代わりに蓄電池表面温度を記入する決まりです。

まとめ

✔表題の右の設備名欄には蓄電池から非常電源の供給を受けている消防用設備等の名称のすべてを記入します
✔電解液比重は20℃に換算した値で適正かどうかを判定します
✔比重の温度換算は、実測値に温度差1℃あたり0.0007を加えて補正します
✔点検票の比重欄とセル電圧欄には、全セルを測った別表のうち最高と最低の値だけを記入します
✔制御弁式蓄電池は比重欄の記入対象から除かれ、全セルの蓄電池表面温度を記入します
✔逆変換装置の接地欄は維持台帳等で接地工事の種別を確認して記入します
✔総合点検の接地抵抗は、他の法令による点検が実施されている場合はその測定値を使うことができます

点検票の書き方がこんなに細かいとは知りませんでした!

記入に迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号、最終改正:令和7年消防庁告示第6号)別表第25 非常電源(蓄電池設備)
  • 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第25 非常電源(蓄電池設備)(最終改正:令和7年10月3日消防予第410号)

※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検の基準や点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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