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屋内消火栓のホースと結合金具は引っ張らずに強度を確認できるのか|水圧試験への置き換えと既設交換時の対象範囲を解説

ホースと結合金具は引っ張らずに強度を確認できるのかのアイキャッチ

屋内消火栓のホースと結合金具は、外側から引っ張って接続部分の強度を確かめる試験が定められています。
この試験には大掛かりな引張試験機が必要なため、消防庁には水圧を使った別の方法で代用したいという照会が寄せられました(平成26年3月31日消防予第137号)。
消防庁は、ホースを薄肉円筒とみなして水圧から荷重を計算する方法なら差し支えないと回答しています。
この記事では、水圧試験への置き換え方と、既設のホースを交換したときの対象範囲を解説します。

ホースの強度試験って、引っ張って確かめるものなんですか。

はい。
でも水圧を使った代わりの方法も認められています。

水圧だけで、引っ張ったときと同じ強さを確かめられるんですか。

はい。
計算で荷重をそろえれば代用できます。

この記事の結論
  • 消防予第137号は、平成26年3月31日に消防庁予防課長が発出した、「屋内消火栓設備の屋内消火栓等の基準」(平成25年消防庁告示第2号)の運用に関する質疑応答をまとめた執務資料です。
  • ホースと結合金具の装着部の強度試験は、外側から引っ張る試験の代わりに、装着部の内側から水圧を加える試験でも差し支えないとされています。
  • 水圧は、ホースを薄肉円筒の構造とみなし、最小内径の断面積と水圧の積で荷重を求め、使用圧を考慮して1.8キロニュートンに相当する圧力を導きます。
  • 試験の対象は、2号告示第1に規定する屋内消火栓等に使用する設備及び器具です。
  • 既設の屋内消火栓設備でホースを取り替える場合も、交換後のホースに係る結合金具との装着部分は試験の対象になるとされています。

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ホースの強度試験はどう変わるかを、引っ張り試験の代わりに、水圧から荷重を計算、既設の交換後も対象、結果を記録して保存の4つで整理した概要図解

結合金具の装着部試験はなぜ水圧での代用が照会されたのか

ホースと結合金具を試験装置で両側から引っ張るイラスト
平成25年に制定された2号告示は、屋内消火栓のホースと結合金具の装着部について、外側から引っ張って強度を確かめる試験を定めました。
この試験方法について、水圧を使った代わりの方法でよいかという照会が寄せられました。
消防予第137号(平成26年3月31日)問1
「屋内消火栓設備の屋内消火栓等の基準」(平成25年消防庁告示第2号。以下「2号告示」という。)第11第3号⑴に規定する消防用ホースと結合金具の装着部の強度試験について、消防用ホースと結合金具を外側から引っ張る試験に相当するものとして、装着部の内側から水圧を加え装着部の引っ張りに対する強度を確認する試験を行うこととしたいが、よろしいか。
答1(要旨)
差し支えない。消防用ホースを薄肉円筒の構造とみなした場合、消防用ホースのホース流水方向の荷重は、消防用ホースの最小内径の断面積と加える水圧の積で求めることができるため、消防用ホースの使用圧を考慮して、1.8キロニュートンの荷重に対応する水圧を装着部の内側から加えることができるのであれば、引っ張る試験に相当するものとして実施することができる。
外側から引っ張る試験と同じ強さを確認できれば、水圧による試験でも差し支えありません。
引っ張る試験には、ホースと結合金具の両端を固定して反対方向に引っ張る大掛かりな試験機が必要です。
現場でその試験機を毎回用意するのは実務上の負担が大きく、水圧による代替法の照会に至ったと考えられます。
消防庁の回答は、荷重の大きさがそろっていれば試験の方法を問わないという考え方を示しています。

引っ張る試験機を毎回用意するのは大変そうですね。

はい。
荷重がそろえば方法は問わないというのが回答の考え方です。

試験の対象になるのはどの設備とどの器具か

屋内消火栓箱にホースが収まっている様子を並べたイラスト
装着部の強度試験は、すべてのホースに及ぶわけではありません。
対象となる範囲について、続けて照会がありました。
消防予第137号 問2(前段)
2号告示第11第3号に規定する消防用ホースと結合金具の装着部の試験について、当該試験の対象となるのは2号告示第1に規定されている設備及び器具に係るものと考えてよいのか。
答2(前段)
お見込みのとおり。2号告示は、屋内消火栓設備の屋内消火栓等に使用するものを対象にしているものである。
消防法施行規則第十二条第1項第一号の二
屋内消火栓設備の屋内消火栓及び放水に必要な器具は、消防庁長官が定める基準に適合するものとすること。
試験の対象は、2号告示が対象にしている屋内消火栓設備の屋内消火栓等に限られます。
消防法施行規則第12条第1項第一号の二が、屋内消火栓及び放水に必要な器具を消防庁長官が定める基準に適合させることを求め、その基準が2号告示です。
2号告示第1には、この基準の対象となる設備及び器具の範囲が定められています。
装着部の強度試験も、この範囲に含まれるホースと結合金具が対象になります。

対象は2号告示が決めている範囲だけなんですね。

はい。
屋内消火栓等に使用するものが範囲です。

水圧試験の荷重はどう計算するのか

ホースの断面に水圧の矢印と圧力計を描いたイラスト
答1が示した計算の考え方を、もう少し詳しく見ていきます。
ホースを単純な形に見立てて計算します。
答1(計算部分の再掲)
消防用ホースを薄肉円筒の構造とみなした場合、消防用ホースのホース流水方向の荷重は、消防用ホースの最小内径の断面積と加える水圧の積で求めることができるため、消防用ホースの使用圧を考慮して、1.8キロニュートンの荷重に対応する水圧を装着部の内側から加えることができるのであれば、引っ張る試験に相当するものとして実施することができる。
項目考え方
ホースの形薄肉円筒の構造とみなす
荷重の求め方最小内径の断面積×加える水圧
目標とする荷重1.8キロニュートン相当
水圧を決めるときの条件ホースの使用圧を考慮する
断面積に水圧をかけた値が、引っ張る試験の荷重に相当するという考え方です。
ホースの最小内径の断面積は製品ごとに決まっているため、必要な水圧は逆算で求められます。
求めた水圧がホースの使用圧を超えないかどうかも、合わせて確認する必要があります。
この計算を満たす水圧を装着部の内側から加えれば、引っ張る試験に相当するものとして扱われます。

断面積と水圧をかけ算するだけでいいんですね。

はい。
使用圧を超えないかも確認します。

既設のホースを交換したときも試験は必要なのか

古いホースを外して新しいホースに取り替えるイラスト
問2には、既設の設備についての後段がありました。
ここが見落としやすい落とし穴です。
消防予第137号 問2(後段)
また、既設の屋内消火栓設備の消防用ホースが取り替えられる場合も、その交換後に設置される消防用ホースに係る結合金具との装着部分は、当該試験の対象となるのか。
答2(後段)
対象となる。
既設の設備だからという理由で、交換後のホースが試験の対象から外れることはありません。
「設備自体は古くから設置されているから、交換する部材まで新基準に合わせなくてよい」と考えてしまいがちですが、交換後のホースと結合金具の装着部分はあらためて試験の対象になります。
既設設備のホースを取り替える工事を行う際は、新しいホースが装着部の強度試験に対応したものかどうかを確認する必要があります。
古い設備だからと確認を省略すると、基準を満たさないまま運用してしまうおそれがあります。

古い設備のホースを替えるだけなら、試験は不要だと思っていました。

いいえ。
交換後のホースも対象です。

現場では装着部の強度をどう確認すればよいのか

水圧試験のポンプと圧力計とチェックリストを並べたイラスト
ここまでの内容を、実際の確認の流れに落とし込みます。
特別な引張試験機がなくても対応できる手順です。
  • 対象のホースの最小内径を測り、断面積を求める
  • 断面積から、1.8キロニュートンに相当する水圧を逆算する
  • 逆算した水圧が、ホースの使用圧を超えていないかを確認する
  • 装着部の内側から水圧試験装置で加圧し、結合金具が外れないことを確認する
  • 試験の方法・水圧の値・結果を記録し、新設時も交換時も同じ手順で残す
手順を先に確認しておけば、引張試験機を用意できない現場でも装着部の強度を確かめられます。
新設のときだけでなく、既設設備のホース交換でも同じ手順を踏むことになります。
計算と水圧の値は、工事の記録や点検の記録として残しておくと、後から確認する際に役立ちます。
不明な点があれば、所轄消防署や施工業者に確認してから作業を進めましょう。

水圧と計算の記録を残しておけばいいんですね。

はい。
新設も交換も同じ手順で残します。

よくある質問

Q装着部の強度試験は、すべての消防用ホースに必要ですか?
A対象は、2号告示第1に規定する屋内消火栓設備の屋内消火栓等に使用する設備及び器具です。それ以外のホースまで対象にする趣旨ではありません。
Q既存の屋内消火栓のホースを交換した場合も試験が必要ですか?
Aはい。問2の回答は「対象となる」であり、既設設備の交換後のホースであっても装着部の試験から外れません。
Q水圧試験の圧力は、どのホースでも同じ値になりますか?
Aいいえ。ホースの最小内径の断面積によって必要な水圧は変わるため、ホースごとに1.8キロニュートン相当となる水圧を計算します。
Q外側から引っ張る試験と水圧試験は、どちらを選んでもよいのですか?
Aはい。問1の回答は「差し支えない」であり、1.8キロニュートンの荷重に対応する水圧を加えられるのであれば、引っ張る試験に相当するものとして実施できます。

まとめ

✔消防予第137号は、平成26年3月31日に消防庁が発出した2号告示の運用に関する執務資料
✔ホースと結合金具の装着部試験は、外側から引っ張る試験の代わりに水圧試験でも差し支えない
✔荷重は最小内径の断面積×水圧で求め、使用圧を考慮して1.8キロニュートン相当の水圧を決める
✔試験の対象は、2号告示第1に規定する屋内消火栓等に使用する設備及び器具
✔既設設備のホース交換でも、交換後のホースに係る装着部分は試験の対象になる
✔現場では最小内径の測定・水圧の逆算・使用圧の確認・加圧試験・記録の保存の順に進める
✔根拠は消防法施行規則第12条第1項第一号の二に基づく、消防庁長官が定める基準(2号告示)

ホース交換のときの試験範囲、しっかり確認しておきます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成26年3月31日 消防予第137号 消防庁予防課長)
  • 屋内消火栓設備の屋内消火栓等の基準(平成25年消防庁告示第2号)第1・第11第3号
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第一号の二

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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