ホテルの宴会場で使うカーテンや、展示会場に並ぶ合板のパネル。
防炎処理をしたはずなのに、化粧紙を貼ったり不燃材料の表示を重ねたりすると、防炎性能の扱いはどう変わるのでしょうか。
鍵を握るのは、だれが表示を付け、どう性能を確かめるかという実務の積み重ねです。
今回は5つの質疑応答から、防炎処理品の表示と確認の仕組みを解説します。
うちの展示パネル、化粧紙を貼ったんですが防炎性能ってどうなるんですか。
貼り方では決まりません。
土台の合板自体の性能で判断します。
表示を付けるのって、だれがやっても良いわけじゃないんですよね。
はい。
5つの質疑応答を順番に見ていきましょう。
- 展示用合板に化粧紙を貼っても、合板自体が防炎性能を有していれば性能は失われない
- 不燃材料・準不燃材料・難燃材料の表示がある展示用合板は、重ねて防炎表示をする必要はない
- 登録を受けた防炎表示者が法人の場合、その従業者が表示を行っても違反にならない
- 防火対象物の関係者が自ら付ける「防炎処理品」の表示は、登録表示者の表示と紛らわしい表示には当たらない
- 登録を受けていない者が行った防炎処理は、他の材料に同じ処理をさせて性能を確かめるのが現実的な対策になる
▼

目次
展示用合板に化粧紙を貼ると防炎性能はどう判定されるのか

昭和48年、大阪府からこんな照会がありました。
化粧紙や布をのりづけで貼ろうとピン止めで貼ろうと、結果を左右するのは合板等そのものが防炎処理されているかどうかです。
消防法施行令第4条の3第4項が定める残炎時間・残じん時間・炭化面積などの基準を、土台の合板が満たしているかが判断の軸になります。
なお、合板等の防炎性能の有効期限については、処理方法・使用場所・使用方法等により異なるため画一的に定めることができないとされました。
化粧紙を貼り替えるたびに不安になる必要はなく、土台の処理台帳を確認すれば足ります。
貼り方で結果が変わると思っていました。
土台の処理記録を確認してください。
不燃材料の表示がある展示用合板にも防炎表示は必要なのか

昭和48年、消防庁から全国の消防主管部長へこんな質疑応答が示されました。
建築基準法に基づく不燃材料・準不燃材料・難燃材料の表示は、それ自体が防炎性能を証明する役目を果たすため、消防法上の防炎表示を重ねて付ける必要はないとされました。
これは消防法施行令第4条の3第3項が定める防炎対象物品(展示用の合板など)の扱いと、建築基準法の不燃性能の扱いを整理したものです。
現場で表示を確認するときは、防炎表示が無くても不燃材料等の表示があれば足りると覚えておくと、無駄な照会を減らせます。
不燃材料の表示だけじゃ心もとない気がしていました。
一枚の表示で足ります。
重ねて付ける必要はありません。
登録を受けた表示者が法人の場合従業者が表示してよいか

昭和48年、消防庁から全国の消防主管部長へこんな質疑応答が示されました。
当時の通達が使う「認定」という言葉は、現行の消防法施行規則第4条の4第1項第1号では「消防庁長官の登録」に置き換わっていますが、登録を受けた法人の従業者が実際に表示を付ける作業自体は、同じく適法な行為として扱われます。
表示は縫付・ちょう付・下げ札等の方法で、防炎物品ごとに見やすい箇所へ行うことが定められており、作業そのものを登録者本人だけに限る規定ではありません。
登録証を確認するときは、作業者個人ではなくその人が所属する会社が登録を受けているかを見るのが実務のポイントです。
社長本人じゃないと表示できないと思っていました。
会社としての登録があれば十分です。
関係者が自ら付ける防炎処理品の表示は紛らわしくないか

昭和48年、消防庁から全国の消防主管部長へこんな質疑応答が示されました。
登録表示者が付ける第2項の表示とは別に、防火対象物の関係者が自分で防炎処理をさせた場合は、第5項の表示で足りると整理されました。
現行の消防法施行規則第4条の4第9項は、この表示に「防炎処理品」又は「防炎作製品」の文字・処理をした者の氏名又は名称・処理をした年月を明らかにするよう定めています。
形が違っても紛らわしい表示にはあたらないという考え方なので、施設側が自前で処理した防炎物品にも、きちんと記録を残す表示を付けておけば問題ありません。
自分たちで付けた表示が、違反扱いされないか不安でした。
処理した者の名前と年月を明記してください。
登録を受けていない者が行った防炎処理はどう確かめるのか

昭和48年、消防庁から全国の消防主管部長へこんな質疑応答が示されました。
その上で、やむを得ず未登録の業者が関わる場合は、同じ方法で別の材料にも処理をさせ、残炎時間や炭化面積などの結果を比べることで能力を判定できるとされました。
これは個々の物品を信頼するかどうかの問題ではなく、処理をする業者の技量そのものを確かめる方法です。
最終的にはできるだけ登録を受けた者に処理させることが望ましいとされており、確認の手間を省きたいなら、最初から登録表示者に依頼するのが近道です。
処理した物そのものを信じるしかないと思っていました。
最初から登録業者に頼むのが近道です。
よくある質問
まとめ
うちの展示パネルと表示も、一度確認してみます!
登録証と処理記録を揃えれば迷いません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第8条の3第1項・第2項・第3項・第5項
- 消防法施行令第4条の3第1項・第3項・第4項
- 消防法施行規則第4条の4第1項・第9項
- 防炎処理物品の防炎性能及び有効期限等に関する疑義(昭和48年4月9日 消防予第57号 予防課長から大阪府あて回答)
- 不燃材料等の表示と防炎表示の要否・防炎表示者として認定を受けた者が法人である場合その従業者が表示を行ってもよいか・「防火対象物の関係者」が行った「防炎処理品」の表示は消防法第8条の3第3項に該当しないか・防炎表示者としての認定を受けていない者が行った防炎処理に対する対策は(いずれも昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号 予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した照会・回答は昭和48年当時のもので、「認定」等の用語は当時のものです。現行の消防法施行規則では「消防庁長官の登録」に相当する制度として整理されており、現行条文は編集部で確認のうえ解説しています。個別の事案についての適用は、所轄の消防本部にご確認ください。





