BLOG

石油コンビナートの消火用配管はなぜ合成樹脂製も使えるようになったのか|埋設基準と腐食防止の運用指針を解説

消火用の配管は合成樹脂製でも使ってよいのかを示すアイキャッチ画像

石油コンビナート等特別防災区域にある特定事業所の消火用屋外給水施設の配管は、これまで鋼製の管に限られていました。
平成27年の改正で、ようやく合成樹脂製の管等も使えるようになりましたが、だれでも好きな樹脂管を埋めてよいわけではありません。
性能試験への合格や埋設の深さ、鋼製の管との接続方法まで、細かな運用指針が定められています。
この記事では、合成樹脂製の管等を使うときの試験・埋設・接続・点検の基準を解説します。

石油コンビナートの消火用の配管に、樹脂管を使ってもよくなったと聞きました。

平成27年の改正ですね。
ただし性能試験に合格した管でなければ使えません。

埋める深さや鋼製の管とのつなぎ方にも決まりがあるんですか。

はい、深さ・距離・標識まで細かく運用指針で決まっています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 石油コンビナートの特定事業所の消火用屋外給水施設の配管は、平成27年の改正で鋼製限定から合成樹脂製の管等も使用できるようになりました
  • 合成樹脂製の管等は、消防庁告示が定める漏れ試験・耐圧試験など10種類の性能試験に合格したものに限られます
  • 地下に埋設する場合は、地表面から0.6メートル以上の深さを確保すれば耐候性試験は不要になります
  • 鋼製の管と接続するときは、地下ピット内接続と地中接続の2つの方法があります
  • 定期点検では漏水検知計器は不要ですが、放水試験による総合点検で機能を確認します

▼

石油コンビナートの消火用配管はなぜ合成樹脂製も使えるようになったのかを示す図解

石油コンビナートの消火用配管はなぜ鋼製限定から変わったのか

鋼製の管と合成樹脂製の管を並べたイメージ
石油コンビナート等特別防災区域の特定事業所には、大型化学消防車等へ送水するための配管が張り巡らされています。
その材質について、長く続いてきた決まりが平成27年に変わりました。
合成樹脂製の管等を使用する場合の消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針等について(平成27年10月1日 消防特第161号) 石油コンビナート等特別防災区域における特定事業所の消火用屋外給水施設の配管については、これまで鋼製のものに限ることとされてきましたが、今回の改正により、合成樹脂製の管等も使用することができることとなりました。
石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令第10条第1項第2号イ 配管(消火用屋外給水施設の配管)は、鋼製又は合成樹脂製であること。ただし、合成樹脂製の管にあつては、消防法施行規則第12条第1項第6号ニ(ロ)に定める基準に適合するものに限ることとする。
条文上は、鋼製と合成樹脂製を並べて認める形に変わりました。
消火用屋外給水施設は、消火栓・配管・加圧ポンプ等で構成され、大容量泡放水砲の給水にも使われる重要な設備です。
これまで配管は鋼製の管等に限るとされてきましたが、平成27年総務省令第86号による改正で、合成樹脂製の管等も選べるようになりました。
ただし、ただ樹脂管であればよいわけではなく、消防法施行規則が定める基準に適合するものに限られます。
次の章で、その具体的な試験の内容を見ていきます。

鋼製しか駄目だったのが、選べるようになったんですね。

はい、ただし性能試験に合格したものだけです。
次はその試験の内容を見てみましょう。

合成樹脂製の管等を使うにはどんな性能試験に合格すればよいのか

圧力試験のベンチと合成樹脂製の管のコイルを示したイメージ
合成樹脂製の管等は、消防庁告示が定める複数の試験に合格したものでなければ使えません。
管そのものだけでなく、管継手を含めた状態での試験も求められています。
合成樹脂製の管等を使用する場合の消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針等について(平成27年10月1日 消防特第161号) 合成樹脂製の管は、合成樹脂製の管及び管継手の基準を定める件(平成13年消防庁告示第19号)「第三 管等の性能」に規定する屋内消火栓設備及び屋外消火栓設備の配管に適用される各試験(漏れ試験、耐圧試験、破壊試験、水撃圧試験、曲げ試験、引張強度試験、押しつぶし試験、衝撃試験、長期静水圧試験及び繰り返し温度試験)にそれぞれ合格するものであること。管継手についても、管、管継手、バルブ類等が相互に接続した状態で同じ各試験を実施し、合格するものであることとされている。
試験は管単体ではなく、接続した状態で確かめます。
平成13年消防庁告示第19号は、屋内消火栓設備・屋外消火栓設備の配管に適用される10種類の試験(漏れ試験・耐圧試験・破壊試験・水撃圧試験・曲げ試験・引張強度試験・押しつぶし試験・衝撃試験・長期静水圧試験・繰り返し温度試験)を定めています。
管継手についても、管同士を接続する管継手、鋼製の管と合成樹脂製の管を接続する管継手、バルブ類等と接続する管継手のいずれも、組み合わせた状態で同じ試験に合格する必要があります。
さらに、摩擦損失水頭についても、配管系統の一部に支障が生じても必要な流量を確保できるよう、決められた算式で求めることとされています。
現場で使う管や管継手が、この告示の試験に合格した製品かどうかを、まず書類で確認することが出発点になります。

10種類もの試験に通った管でないと使えないんですね。

はい、管継手も含めた状態で確認します。
次は地下に埋設するときの基準を見てみます。

地下に埋設するときはどんな距離と標識が必要なのか

埋設された合成樹脂製の管と地上の標識を示したイメージ
合成樹脂製の管等は、地下に埋設して使うことが前提になっています。
埋設の深さと、他の工作物との距離には具体的な数値があります。
合成樹脂製の管等を使用する場合の消火用屋外給水施設の設置基準(平成27年10月1日 消防特第161号) 地表面から合成樹脂の管等の外面までの距離を0.6メートル以上離した地下に埋設することにより、火災の熱、紫外線及び荷重の影響を受けないよう設置することができる。この場合には、屋外に露出して設けられるもの及び火災時に熱を受けるおそれがある部分に設けられるものに該当せず、耐候性試験、標準耐熱性試験は不要である。また、合成樹脂製の管等は、その外面から他の工作物に対し0.6メートル以上の距離を保たせ…ではなく0.3メートル以上の距離を保たせ、かつ、当該工作物の保全に支障を与えない場所に設置すること。
深さ0.6メートルが、試験項目そのものを減らす境目になります。
地表面から0.6メートル以上の深さに埋設すれば、火災の熱や紫外線の影響を受けない設置とみなされ、耐候性試験・標準耐熱性試験は不要になります。
他の工作物との距離は0.3メートル以上が原則ですが、それが難しく工作物の保全策を講じる場合は例外も認められています。
埋設位置は、地上なら着色・標識・杭・鋲のいずれかで示し、地中ならビニルやポリエチレンなど耐久性のある材質の標識シートを管の上部に埋設して示すこととされています。
工事業者に発注するときは、この0.6メートルと0.3メートルの2つの数値を仕様書に明記しておくと行き違いが起きにくくなります。

深さと距離、どちらも数字で決まっているんですね。

そうです、標識の示し方まで決まっています。
次は鋼製の管とつなぐ場所の話です。

鋼製の管とつなぐときはどんな腐食防止措置が必要なのか

鋼製の管と合成樹脂製の管をつなぐ地下ピットを示したイメージ
地上の鋼製の管と、地下に埋めた合成樹脂製の管は、どこかで必ずつなぐ必要があります。
そのつなぎ方には、腐食を防ぐための決まりがあります。
合成樹脂製の管等を使用する場合の消火用屋外給水施設の設置基準(平成27年10月1日 消防特第161号) 地上に露出した鋼製の管と地下に埋設された合成樹脂製の管を接続する場合には、雨水等の進入を防止できる耐火性能を有する蓋をした地下ピットに設置する方法があり、鋼製の管について地盤面から0.6メートル以上の根入れをとり、地下ピット内で接続すること。これとは別に地中で接続する方法もあるが、この場合は地中における管部分に外面の腐食を防止するための措置が必要となり、電気的腐食のおそれのある場所では塗覆装及び電気防食が必要である。
接続方法は、ピット接続と地中接続の2つに分かれます。
ピット接続は、雨水の侵入を防ぐ耐火性能の蓋をした地下ピットの中で、鋼製の管と合成樹脂製の管をつなぐ方法です。
地中接続は、ピットを使わずに地中で直接つなぐ方法で、この場合は鋼製の管の部分に塗覆装という腐食防止の措置を施し、電気的腐食のおそれがある場所ではさらに電気防食も必要になります。
バルブ類と合成樹脂製の管を地中でつなぐ場合も同じ考え方で、バルブ類が鋼製の管を介さずに直接つながっているかを確認することとされています。
どちらの方法でも、鋼製の管が地上に出る部分をアスファルト舗装等で完全にふさがないようにし、漏水を目視で確認できる状態を保つことが重要です。

地中でつなぐときは、腐食対策がより重くなるんですね。

はい、漏水を目視で確認できる状態を保つことも大切です。
最後に定期点検の方法を見てみましょう。

定期点検では合成樹脂製の管等をどう確認すればよいのか

放水試験の消火栓と点検用のクリップボードを示したイメージ
合成樹脂製の管は地下に埋まっているため、鋼製の管と同じ点検方法は使えません。
運用指針は、点検の方法も別に定めています。
合成樹脂製の管等を使用する場合の消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針等について(平成27年10月1日 消防特第161号) 地下に埋設された合成樹脂製の管等の配管に係る定期点検については、漏水を検知できる計器等を設置する必要はないものの、放水試験による総合点検を行い、必要な機能が適切に維持されているかを確認すること。合成樹脂製の管と接続する部分で地下埋設を行う鋼製の管等については、当該部分における地上への漏水の有無について目視により確認すること。
計器での監視は求めず、放水試験で機能を確かめます。
鋼製の管のように漏水を検知する計器を設置する必要はありませんが、その代わりに放水試験による総合点検を行い、必要な水を実際に流して機能が維持されているかを確認します。
合成樹脂製の管と接続する鋼製の管の部分についても、地上への漏水の有無を目視で確認することとされています。
総合点検のたびに、埋設位置の標識が消えたり動いたりしていないかも合わせて見ておくと、次回以降の点検がしやすくなります。
樹脂管だからといって点検そのものを省略できるわけではなく、確認の方法が計器から放水試験に替わっただけだと理解しておくことが大切です。

計器が無くても、放水試験できちんと確かめるんですね。

はい、点検の方法が替わるだけです。
次はよくある質問をまとめます。

よくある質問

Q石油コンビナートの消火用屋外給水施設とは何ですか?
A特定事業所内に設置され、大型化学消防車等へ送水するための消火栓・配管・加圧ポンプ等で構成される屋外給水施設です。平成27年までは配管に鋼製の管等しか使用できませんでした。
Q合成樹脂製の管ならどんな製品でも使えますか?
A使えません。平成13年消防庁告示第19号が定める10種類の性能試験に、管継手を含めた状態で合格したものに限られます。
Q地下に埋設すれば耐候性試験は不要になりますか?
A地表面から0.6メートル以上の深さに埋設すれば、屋外に露出するものに該当しないため、耐候性試験・標準耐熱性試験は不要になります。
Q鋼製の管と合成樹脂製の管をつなぐ場所に決まりはありますか?
A地下ピット内で接続する方法と、地中で直接接続する方法があります。地中接続の場合は、塗覆装や電気防食などの腐食防止措置が必要です。

まとめ

✔石油コンビナートの特定事業所の消火用屋外給水施設の配管は、平成27年の改正で鋼製限定から合成樹脂製の管等も使用できるようになりました
✔合成樹脂製の管等は、消防庁告示が定める漏れ試験・耐圧試験など10種類の性能試験に合格したものに限られます
✔地下に埋設する場合は、地表面から0.6メートル以上の深さを確保すれば耐候性試験等は不要になります
✔他の工作物とは0.3メートル以上の距離を保ち、埋設位置には地上・地中それぞれの方法で標識を示します
✔鋼製の管と接続するときは、地下ピット内接続と地中接続の2つの方法があります
✔地中で接続する場合は、塗覆装や電気防食などの腐食防止措置を講じなければなりません
✔定期点検では漏水検知計器は不要ですが、放水試験による総合点検で機能を確認します

配管の材質と接続方法、しっかり確認します!

配管の更新や点検のご相談はいつでもお受けします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 合成樹脂製の管等を使用する場合の消火用屋外給水施設の設置に関する運用指針等について(平成27年10月1日 消防特第161号)
  • 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令第10条第1項第2号(配管の構造基準)
  • 消防法施行規則第12条第1項第6号ニ・ホ(屋内消火栓設備の配管に用いる合成樹脂製の管等の基準)
  • 合成樹脂製の管及び管継手の基準を定める件(平成13年消防庁告示第19号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
消火用の配管は合成樹脂製でも使ってよいのかを示すアイキャッチ画像
石油コンビナート等特別防災区域にある特定事業所の消火用屋外給水施設の配管は、これまで鋼製の管に限られていました。 平成27年の改正で、ようやく合成樹脂製の管等も使えるようになりましたが、だれでも好きな樹脂管を埋めてよいわ...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →