特殊消防用設備等を設置しても、それだけで表彰されるわけではありません。
消防庁長官が行う「優良消防用設備等」の表彰は、性能評価を受けた設備の中から、検定協会や都道府県・消防本部等が消防庁長官へ上申して初めて審査の対象になります。
平成16年に制定された要綱は、審査の手順から表彰状の授与まで細かく定めています。
上申できる主体と審査の流れを知っておくと、表彰につながる準備が見えてきます。
最近導入した設備、かなり評価が高いらしくて表彰を受けられたら嬉しいんですが。
うちから直接申請すればいいんでしょうか。
いえ、上申できるのは検定協会や都道府県・消防本部等に限られているんです。
設置者から消防庁長官へ直接申請する制度ではありません。
そうなんですね、てっきり自分たちで出せると思っていました。
じゃあ何を準備しておけばいいんでしょう。
まずは性能評価を受けた機関か、所轄の消防本部等に相談することが出発点です。
そこから上申の書類づくりが始まります。
- 表彰の対象は消防用設備等・特殊消防用設備等その他これらに類するものに限られます
- 上申できるのは検定協会や都道府県・消防本部等で、設置者本人は直接申請できません
- 審査は学識経験者らで構成する優良消防用設備等審査会が行います
- 特に優れたものには最優秀消防用設備等賞も授与されます
- 旧来の昭和62年消防庁規程は廃止され、平成16年の要綱に一本化されました
▼

目次
優良消防用設備等の表彰はなぜ平成16年に作られたのか

以前あった制度を廃止して作り直されたものです。
消防用設備等に係る消防防災システムの高度化については、「消防防災システムの高度化の推進と総務大臣の認定について(通知)」(平成16年4月28日消防予第66号消防庁次長通知)によりその考え方をお示ししたところですが、今般、優良消防用設備等表彰要綱を別添のとおり定めましたので、貴管内市町村に対する周知について、よろしくご配慮願います。なお、「優良消防防災システムに対する表彰制度について」(昭和62年消防庁規程)は廃止しましたので、念のため申し添えます。
平成16年当時、特殊消防用設備等の性能評価の仕組みが整理され、消防防災システムの高度化を促す動きが進んでいました。
これを受けて、消防庁次長通知「消防防災システムの高度化の推進と総務大臣の認定について」(平成16年4月28日消防予第66号)が示され、続けて表彰の具体的な手続きを定めるために本要綱が制定されました。
旧制度である昭和62年消防庁規程による表彰は、この要綱の施行と同時に廃止されています。
制度の背景を知っておくと、今の仕組みがなぜこの形になっているのかが見えてきます。
昔は別の表彰制度があったんですね。
今はもう無いということですか。
そうです、平成16年にこの要綱へ一本化されました。
今も続いているのはこちらの制度です。
表彰の対象になるのはどんな設備と誰なのか

誰でも対象になるわけではないので順番に確認します。
第2条 表彰は、消防用設備等、特殊消防用設備等その他これらに類するもののうち、次のいずれかの観点から他の模範となるものを対象とする。一 消防防災技術の高度化に資するものであること 二 火災時の人的対応力の向上に資するものであること 三 ユニバーサルデザインの推進に資するものであること 2 表彰の対象者は、消防用設備等、特殊消防用設備等その他これらに類するものの設置者、施工者、設計者又は開発者とする。
もとは特殊消防用設備等だけが対象でしたが、平成30年の改正で消防用設備等そのものやこれらに類するものまで対象が広がりました。
前年度末までに適正に施工され、所定の性能が確保されていることも条件です。
表彰を受けられるのは設置者だけでなく、施工者・設計者・開発者も対象者として挙げられています。
対象の範囲を正しく把握しておくと、自社がどの立場で関わっているかが分かります。
うちは設置した側ですけど、施工した業者も表彰されるんですか。
関わり方によって対象が変わるんですね。
はい、施工者・設計者・開発者も対象になります。
どの立場で関わったかを整理しておくとよいです。
表彰までどんな手順で進むのか

決まった手順を踏んで審査されます。
上申には上申書・第2条第1項の要件に該当することを示す書類・参考資料をそろえる必要があります。
審査は優良消防用設備等審査会が行い、学識経験者や行政機関の代表者が加わります。
消防庁長官は審査結果に基づいて表彰の対象を決定し、上申した者へ通知します。
特に優れたものには、通常の表彰に加えて最優秀消防用設備等賞が授与されることもあります。
上申から審査まで、ちゃんと段取りがあるんですね。
自分たちが直接審査されるわけじゃないんだ。
そうです、審査するのは優良消防用設備等審査会です。
上申する側が整える書類の中身が大事になります。
表彰の上申はなぜ設置者本人からできないのか

設置者が直接申請できる制度ではありません。
要綱の第4条が指す「上申しようとする者」は、前条(第3条)で定める日本消防検定協会・登録検定機関、または都道府県・消防本部等に限られています。
設置者が単独で消防庁長官へ表彰状を請求できる仕組みは、この要綱のどこにもありません。
上申の書類も、性能評価の結果や防火対象物の情報を整理した様式が前提になっています。
まず上申できる立場の機関に相談することが出発点になります。
てっきり自分たちで申請書を出せると思っていました。
これは結構見落としそうですね。
実際にそう思われる方は多いです。
まずは検定協会か消防本部等に確認してみてください。
自社の設備を表彰につなげるには何を確認すればよいのか

表彰までの流れを逆算して準備します。
第2 上申の方法 1 消防本部等が上申する場合は、次のとおりとする。(略)都道府県消防防災主管部にあっては、管内の消防本部等からの上申書類をとりまとめの上、平成30年7月13日(金)までに当該書類の電子ファイルを消防庁予防課まで提出すること。
消防庁からは年度ごとに上申を依頼する通知が出され、都道府県や消防本部等が取りまとめる期限も示されます。
まずは性能評価を受けた機関や所轄の消防本部等に、自社の設備が対象になりそうか相談してみましょう。
写真や性能評価結果の写しなど、上申書類に必要な資料は早めに整理しておくと安心です。
提出期限から逆算して準備を進めることが、表彰につながる近道です。
じゃあ明日からは何を準備すればいいんでしょう。
毎年決まった時期があるんですか。
はい、毎年度の提出期限が示されます。
性能評価の実績や写真をそろえておくとスムーズです。
よくある質問
まとめ
表彰の仕組み、思っていたより段取りがしっかりしてるんですね!
これなら準備の仕方も分かりました。
点検や書類づくりからお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防予第81号「優良消防用設備等表彰要綱の制定について(通知)」(平成16年5月20日)
- 優良消防用設備等表彰要綱(平成16年5月20日消防予第81号。平成18年12月15日・平成24年4月1日・平成30年5月25日改正)
- 消防予第393号「平成30年度優良消防用設備等表彰の上申について(依頼)」(平成30年5月25日)
- 消防法第17条第1項・第3項、第17条の2
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。上申の様式や取りまとめの運用は年度や都道府県ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署や都道府県消防防災主管部にご確認ください。





