四日市市で大きなビルを計画すると、防災センターに総合操作盤が要るかどうかが早い段階で問題になります。
国の規則は延べ面積5万平方メートル以上などの建物には必ず設けるとし、少し小さい建物は消防長の指定があったときだけ対象にしています。
四日市市消防本部はこの指定を告示で定めていて、国が挙げた候補の3つの区分をすべて指定しています。
この記事では国の条文から四日市市の告示までをたどり、津市・堺市・埼玉県央広域消防本部の指定と比べます。
四日市市で地下に駐車場がある商業ビルを計画しています。
総合操作盤が要るのかどうか、どこで分かるのでしょうか。
国の規則で必ず要る規模に届かなくても、消防長の指定で対象になることがあります。
まず条文の仕組みから確かめましょう。
指定の中身は市によって違うのですか。
同じ候補からどれを選ぶかが違います。
四日市市と近隣の基準を並べて見ていきましょう。
- 消防法施行規則第12条第1項第8号は、延べ面積5万平方メートル以上などのイ・ロに総合操作盤を義務づけ、ハの3区分は消防長又は消防署長が指定したものだけを対象にしています
- 四日市市は平成20年の消防本部告示第2号で、ハの3区分に当たる防火対象物をすべて指定しています
- 津市と堺市も3区分を指定していますが、(5)項ロの共同住宅などを指定から外しています(津市は一部の小規模特定用途複合防火対象物も除外)
- 埼玉県央広域消防本部は、地階を除く階数11以上かつ延べ面積10,000平方メートル以上の区分を指定していません
- 指定は準用でスプリンクラー設備や自動火災報知設備などの総合操作盤にも及ぶので、設計の前に管轄の指定を確かめます
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目次
総合操作盤が必ず要る建物と指定で要る建物はどう分かれるのか

第8号はイ・ロ・ハの3つに分けて対象を書いています。
イ 令別表第一(一)項から(十六)項までに掲げる防火対象物で、次のいずれかに該当するもの (イ)延べ面積が五万平方メートル以上の防火対象物 (ロ)地階を除く階数が十五以上で、かつ、延べ面積が三万平方メートル以上の防火対象物
ロ 延べ面積が千平方メートル以上の地下街
ハ 次に掲げる防火対象物(イ又はロに該当するものを除く。)のうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの (イ)地階を除く階数が十一以上で、かつ、延べ面積が一万平方メートル以上の防火対象物 (ロ)地階を除く階数が五以上で、かつ、延べ面積が二万平方メートル以上の特定防火対象物 (ハ)地階の床面積の合計が五千平方メートル以上の防火対象物
| 区分 | 規模 | 扱い |
|---|---|---|
| イ(イ) | 延べ面積50,000㎡以上 | 必ず設置 |
| イ(ロ) | 地階を除く階数15以上かつ延べ面積30,000㎡以上 | 必ず設置 |
| ロ | 延べ面積1,000㎡以上の地下街 | 必ず設置 |
| ハ(イ) | 地階を除く階数11以上かつ延べ面積10,000㎡以上 | 消防長又は消防署長が指定したもの |
| ハ(ロ) | 地階を除く階数5以上かつ延べ面積20,000㎡以上の特定防火対象物 | 消防長又は消防署長が指定したもの |
| ハ(ハ) | 地階の床面積の合計5,000㎡以上 | 消防長又は消防署長が指定したもの |
イとロは規模に当たれば設置が要りますが、ハは候補を3つ並べたうえで、消防長又は消防署長が火災予防上必要と認めて指定したものに限っています。
どう指定するかは条文に書かれていないため、消防本部ごとに告示や規程で範囲を決めています。
ハ(ロ)だけは特定防火対象物に限られ、事務所や共同住宅だけの建物はこの区分に入りません。
自分の建物がハのどれかに当たりそうなら、管轄の消防本部が何を指定しているかを先に確かめます。
計画中のビルは10階建てで、延べ面積が2万平方メートルを少し超えます。
ハに当たるのでしょうか。
商業ビルなら特定防火対象物なので、ハ(ロ)の候補に入ります。
地階の床面積の合計も一緒に確かめておきましょう。
四日市市の消防長はどの建物を指定しているのか

指定そのものは平成20年5月26日の四日市市消防本部告示第2号です。
ア 地階を除く階数が11以上で、かつ、延べ面積が10,000㎡以上の防火対象物
イ 地階を除く階数が5以上で、かつ、延べ面積が20,000㎡以上の特定防火対象物
ウ 地階の床面積の合計が5,000㎡以上の防火対象物
消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第1に掲げる防火対象物。
告示の本文は「別表第1に掲げる防火対象物」とだけ書き、用途で除外する部分を置いていません。
このため四日市市では、ハの3区分のどれかに当たれば、共同住宅でも事務所でも総合操作盤が要る読み方になります。
告示は第14条第1項第12号などの準用規定を括弧書きで並べているので、指定は屋内消火栓設備だけでなくスプリンクラー設備や自動火災報知設備などの総合操作盤にも及びます。
準用しているのは次の16の規定で、e-Govの現行条文でもそれぞれ「第十二条第一項第八号の規定は」準用すると書かれています。
- 消火設備:スプリンクラー設備(第14条)・水噴霧消火設備(第16条)・泡消火設備(第18条)・不活性ガス消火設備(第19条)・ハロゲン化物消火設備(第20条)・粉末消火設備(第21条)・屋外消火栓設備(第22条)
- 警報設備:自動火災報知設備(第24条)・ガス漏れ火災警報設備(第24条の2の3)・非常警報設備(第25条の2)
- 避難設備:誘導灯(第28条の3)
- 消火活動上必要な施設:排煙設備(第30条)・連結散水設備(第30条の3)・連結送水管(第31条)・非常コンセント設備(第31条の2)・無線通信補助設備(第31条の2の2)
四日市市では、高層の共同住宅でも指定に入るのですね。
告示に用途の除外がないので、そう読めます。
計画が固まる前に消防本部へ確かめておきましょう。
津市や堺市や埼玉県央広域では指定の範囲がどう違うのか

指定の根拠と、3区分のうちどれを指定しているかを並べます。
1 令別表第1(5)項ロに掲げる防火対象物
2 小規模特定用途複合防火対象物(規則第13条第1項第2号に規定する小規模特定用途複合防火対象物をいう。)のうち、令別表第1(1)項から(6)項まで及び(9)項イに掲げる用途に供する部分のみが存する防火対象物
⑴ 政令別表第1に掲げる特定防火対象物のうち、地階を除く階数が5以上で、かつ、延べ面積が20,000平方メートル以上のもの
⑵ 地階の床面積の合計が5,000平方メートル以上の防火対象物
| 消防本部 | 指定の根拠 | ハ(イ)11階以上・10,000㎡以上 | ハ(ロ)5階以上・20,000㎡以上の特定防火対象物 | ハ(ハ)地階5,000㎡以上 | 除外・経過措置など |
|---|---|---|---|---|---|
| 四日市市 | 平成20年 消防本部告示第2号 | 指定 | 指定 | 指定 | 用途の除外なし |
| 津市 | 令和元年 消防本部告示第2号 | 指定 | 指定 | 指定 | (5)項ロと、(1)項から(6)項・(9)項イの部分だけの小規模特定用途複合防火対象物を除く |
| 堺市 | 平成27年 消防局告示第1号 | 指定 | 指定 | 指定 | (5)項ロを除く。平成27年8月1日に現に存する・工事中のものは従前の例 |
| 埼玉県央広域(鴻巣市・桶川市・北本市) | 火災予防規程第6条 | 指定なし | 指定 | 指定 | - |
| 鈴鹿市 | 審査基準の第4章第24に指定の記載なし | - | - | - | - |
| 大阪市 | 運用基準の第7章に指定の記載なし | - | - | - | ハ(イ)(ハ)に受信機などで総合操作盤があるとみなす特例 |
津市と堺市は3区分とも指定しつつ(5)項ロの寄宿舎・下宿・共同住宅を外しているので、高層の共同住宅は指定の対象になりません。
津市はさらに、規則第13条第1項第2号の小規模特定用途複合防火対象物のうち一部の用途の部分だけがあるものも除いています。
埼玉県央広域は特定防火対象物の区分と地階の区分だけを指定し、11階以上の区分は指定していないので、地階が5,000平方メートルに届かない事務所だけの高層ビルはハでは対象になりません。
堺市は平成27年8月1日の時点で建っていた建物や工事中の建物に従前の例を残しているので、既存建物の改修では告示の日付も確かめます。
同じ規模の共同住宅でも、四日市市と津市では扱いが違うのですね。
津市と堺市は共同住宅を指定から外しています。
複数の市で計画するときは、告示を並べて見比べてください。
指定されたら総合操作盤そのものを必ず置くのか

大阪市は総合操作盤があるものとみなす特例を定め、四日市市は大規模な建物の協議と複数の盤を使うシステムの扱いを書いています。
2 留意事項(抜粋) 一の防火対象物の火災関連情報を複数の総合操作盤により、監視・制御するシステムについては、(略)特殊消防用設備等に該当するので留意すること。
大阪市はハ(イ)とハ(ハ)の建物に限り、令第32条又は条例第47条を使って、受信機や放送設備の増幅器などで決められた表示・警報・操作が防災センター等でできれば総合操作盤があるとみなす特例を置いています。
ハ(ロ)の特定防火対象物は、この特例の対象に挙げられていません。
四日市市は高さ60m超などの大規模な建物に国のガイドラインを参考にした協議を求め、複数の総合操作盤で監視・制御するシステムは特殊消防用設備等に当たるとしています。
四日市市・津市・堺市・県央広域・鈴鹿市の総合操作盤の節には、大阪市のようなみなし特例は見当たりませんでした。
つまり大阪市の特例と同じ扱いを、四日市市で当てにしてはいけないのですね。
四日市市の審査基準にはみなし特例の記載がありません。
機器の構成は設計の早い段階で協議しておきましょう。
四日市市で総合操作盤が要るか確かめるには何から始めるのか

四日市市の第26は、国の総合操作盤の告示と運用通知によるほか第26の内容によるとしているので、まず規模の判定から入ります。
- 延べ面積と地階を除く階数を出し、イ(50,000㎡以上か、15以上かつ30,000㎡以上)かロ(1,000㎡以上の地下街)に当たるかを見ます。当たれば指定の有無にかかわらず必要です
- 当たらなければ、ハの3区分(11以上かつ10,000㎡以上/5以上かつ20,000㎡以上の特定防火対象物/地階の合計5,000㎡以上)に当たるかを見ます
- 用途が特定防火対象物か、(5)項ロかを確かめます。四日市市は用途の除外がありませんが、津市と堺市は(5)項ロを除いています
- 管轄の告示や規程を開き、どの区分を指定しているかを確かめます
- 四日市市で高さ60m超・延べ面積80,000㎡以上などに当たるときは、ガイドラインを参考にした協議の準備をします
- 既存の建物を改修するときは、告示の施行時期と経過措置の有無も確かめます
ハに当たるかどうかは、延べ面積・地階を除く階数・地階の床面積の3つの数字と、特定防火対象物かどうかで決まります。
数字が出れば、四日市市なら告示第2号の指定に入るかがすぐ分かり、防災センターの位置や広さを含めた計画に進めます。
総合操作盤は屋内消火栓設備だけでなく準用先の設備にもかかるので、設備ごとに盤を考える前に事前相談で全体の構成を決めます。
まず延べ面積と階数と地階の面積を表にしてから相談に行きます。
その表があれば話が早いです。
用途ごとの床面積も添えると、特定防火対象物かどうかを判断しやすくなります。
よくある質問
まとめ
計画中のビルがどの区分に当たるか、数字を出してみます!
区分が分かれば、防災センターの計画も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第12条第1項第8号、第13条第1項第2号、第14条第1項第12号ほか第12条第1項第8号を準用する各規定
- 四日市市消防本部「四日市市消防同意事務審査基準」第2章 第26 総合操作盤、四日市市消防本部告示第2号(平成20年5月26日) 四日市市消防本部「審査基準・告示・ガイドライン」のページ
- 津市消防本部「津市予防事務審査検査基準」2-5 総合操作盤を設置しなければならない防火対象物 津市消防本部「予防関係審査基準」のページ
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第26 総合操作盤 Ⅰ 3 設置要件(平成27年消防局告示第1号を収録) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 埼玉県央広域消防本部「埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準」第4章 第24 総合操作盤 1(火災予防規程第6条を収録) 埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」のページ
- 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第4章 第24 総合操作盤 鈴鹿市「消防用設備等に関する審査基準」のページ
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第7章 総合操作盤 第4 特例基準 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
※本記事は各消防本部が公開している審査基準・運用基準・告示と法令に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。総合操作盤が要るかどうかは、建物の規模・用途・地階の床面積や管轄ごとの指定によって変わるため、計画の前に所轄の消防署にご確認ください。





