BLOG

鴻巣市で福祉施設の夜勤の部屋が受信機と別の階なら副受信機は要るのか|埼玉県央広域消防本部の審査基準を6市と比べる

福祉施設の夜勤の部屋が別の階なら副受信機は要るのかというタイトルと夜の介護施設の職員室の壁に表示灯の並んだ表示盤が付いた写真

鴻巣市・桶川市・北本市を受け持つ埼玉県央広域消防本部の審査基準には、副受信機(表示装置)の項目があります。
病院や福祉施設で、夜勤の職員がいる部屋と受信機が別の階にあるときなどに、副受信機を設けるよう求めるものです。
国の規則は受信機の置き場所を防災センター等と決めているだけで、副受信機という言葉は出てきません。
この記事では埼玉県央広域の基準を規則から順にたどり、鈴鹿市・四日市市・津市・大阪市・東大阪市・堺市の書き方と比べます。

鴻巣市の3階建ての施設で、受信機は1階の事務室にあります。
夜勤の職員は2階の職員室にいるのですが、このままでよいのでしょうか。

入所型の福祉施設なら、埼玉県央広域の基準は2階の職員室に副受信機を設けるよう求めています。
夜中にどこで火災表示を見るかという話です。

ほかの市でも同じことを言われるのでしょうか。

趣旨はどこも近いのですが、対象の建物や一緒に付けるものが違います。
まず国の決まりから順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防法施行規則は受信機を防災センター等に設けるとし、受信機が2台以上なら相互に同時通話できる設備を求めますが、副受信機という言葉は施行令・施行規則・受信機の規格省令のどれにも出てきません
  • 埼玉県央広域は、病院・福祉施設などで受信機と別の階に夜勤の職員がいる部屋があるとき、副受信機(表示装置)を設けるよう行政指導(▲)で求めています
  • 1台の受信機で管理区分が異なる部分を見る場合(例として複数の障害者グループホーム)も、同じ項目で副受信機の対象に挙げています
  • 対象の用途を病院・福祉施設などに絞るのは埼玉県央広域と津市で、鈴鹿市・四日市市・大阪市・東大阪市・堺市は用途を限っていません
  • 大阪市と東大阪市は音響装置も、堺市は同時通話装置も、副受信機と一緒に設けるよう書いています

▼

受信機は防災センター等に置き夜勤の部屋が別の階にあるときや管理区分の違う施設を1台で見るときは副受信機で火災表示を見ることと求める用途の範囲が本部で違うことを示した図解

国の基準は受信機をどこに置くと決めているのか

建物の入口の横にある管理事務室の壁に表示灯の並んだ火災の受信機が掛かり机と椅子が置かれているイラスト
受信機の置き場所は、消防法施行規則の自動火災報知設備の条文で決まっています。
まず受信機の場所と台数に関わる2つの号を確かめます。
消防法施行規則 第24条第2号(抜粋)
ニ 受信機は、防災センター等に設けること。
ト 一の防火対象物(令第二十一条第一項第十号、第十一号及び第十三号に係る階にあつては、当該階)に二以上の受信機が設けられているときは、これらの受信機のある場所相互間で同時に通話することができる設備を設けること。
消防法施行規則 第12条第1項第8号(抜粋)
防災センター(略)、中央管理室(略)、守衛室その他これらに類する場所(常時人がいる場所に限る。以下「防災センター等」という。)
規則が決めているのは置き場所の考え方までです。
受信機は、防災センターや守衛室のように常時人がいる場所に置き、2台以上になればその場所どうしで同時に話せる設備を付けます。
ただ、昼と夜で人のいる場所が変わる建物で、夜はどこで火災表示を見るのかまでは書かれていません。
e-Govで消防法施行令・消防法施行規則・受信機に係る技術上の規格を定める省令を検索しても、副受信機という言葉は1件も出てきません。
大阪市の運用基準は副受信機を「受信機から火災信号等を受信し、火災の発生等を防火対象物の関係者に報知するもの」と定義しており、副受信機は各消防本部の審査基準や運用基準が使う言葉です。

副受信機は国の規則には書かれていないのですね。

はい、だから管轄の審査基準を読む必要があります。
次は埼玉県央広域の書き方を見ます。

埼玉県央広域消防本部はどんな建物に副受信機を求めているのか

病院とスロープのある介護施設と二階建てのグループホームと一階が店舗の複合用途の建物が一列に並んだイラスト
埼玉県央広域の審査基準は、自動火災報知設備の節の最後に副受信機の項目を置いています。
対象の建物と、副受信機が要る2つの場面を1つの文で書いています。
埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第4章 第10 自動火災報知設備 9 副受信機(表示装置)
次に掲げる防火対象物のうち、受信機の設置場所以外の階に、ナースステーション、宿直室、介護職員室その他夜間に職員が存する室がある場合又は一の受信機で管理区分が異なる部分を警戒する場合(例 複数の障害者グループホーム)には、副受信機(表示装置)を設けること。▲
⑴ 政令別表第1(6)項イ(1)から(3)までに掲げる防火対象物
⑵ 政令別表第1(6)項ロに掲げる防火対象物
⑶ 政令別表第1(6)項ハに掲げる防火対象物(利用者を入居させ、又は宿泊させるものに限る。)
⑷ 政令別表第1(16)項イ(前アからウまでに掲げる用途に供される部分が存するものに限る。)に掲げる防火対象物
対象は夜に人が泊まる医療・福祉の建物です。
(6)項イ(1)から(3)の病院や有床診療所、(6)項ロの老人ホームや障害者のグループホーム、入居や宿泊のある(6)項ハの施設、それらを含む複合用途の(16)項イが並んでいます。
⑷の原文は「前アからウまで」と書いていて⑴から⑶の用途を指すと読めますが、番号の表記がずれているので、該当しそうなら所轄で確かめると確実です。
末尾の▲は、この審査基準の凡例で行政指導基準を示す記号で、第1章では行政指導は相手方の任意の協力を前提とすると書いています。
義務ではありませんが、消防本部が審査で求める内容なので、設計の段階で受け止めておくのが現実的です。

事務所や店舗だけのビルは、この項目の対象に入っていないのですね。

埼玉県央広域の9は、医療・福祉の用途に絞っています。
まず自分の建物の用途の項を確かめてください。

夜勤の職員室が受信機と別の階にあるとき副受信機はどこに置くのか

三階建ての介護施設の断面で一階の事務室に火災の受信機があり二階の夜勤の職員室の壁に小さな表示盤が付いているイラスト
1つ目の場面は、昼に受信機を見ている場所と、夜に職員がいる場所が違う階になる建物です。
受信機の置き場所について、埼玉県央広域は規則の「防災センター等」に当たる場所を先に挙げています。
埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第4章 第10 自動火災報知設備 4 受信機 ⑴ 設置場所 ア
省令第24条第2号ニに規定する「防災センター等」とは、次に掲げる場所が該当するものであること。
ただし、防災センター等が存しない場合にあっては、火災表示を容易に確認できる場所に設けること。
(ア) 防災センター (イ) 中央管理室 (ウ) 守衛室 (エ) 管理人室
受信機は1か所でも夜の見張り場所は動きます。
福祉施設では、受信機を1階の事務室や管理人室に置き、夜は職員が上の階の介護職員室やナースステーションで過ごすことがよくあります。
9はこの形を「受信機の設置場所以外の階に(略)夜間に職員が存する室がある場合」と書き、その部屋に副受信機を設けるよう求めています。
夜勤の職員が火災表示を見るために階段を下りる時間を省き、その場で出火場所を知って動けるようにする考え方です。
自分の施設でやることは、夜勤の職員が実際に詰めている部屋の階と、受信機のある階を図面で並べて比べることです。

つまり、夜勤の部屋がある階に表示が見える盤を置くということですね。

そうです、夜勤の配置を変えたときも部屋の階を確かめ直してください。
次は、1台の受信機を複数の施設で使う場合です。

複数のグループホームが1台の受信機を使うときはどうするのか

三階建ての共同住宅の断面で一階の管理事務室に大きな受信機があり二階と三階の別々のグループホームの職員室に小さな表示盤があって線でつながっているイラスト
2つ目の場面は、1つの建物の中に運営の違う施設がいくつか入り、受信機は1台という建物です。
埼玉県央広域は、受信機の台数について次の考え方を示しています。
埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第4章 第10 自動火災報知設備 4 受信機 ⑴ 設置場所 カ
一の防火対象物(令8区画したものを除く。)は、原則として1台の受信機で監視するものであること。▲
1台の受信機を施設ごとの表示で補います。
共同住宅の階ごとに障害者グループホームが入るような建物では、建物全体の受信機は1台で、それぞれのホームの職員は自分の階にいます。
9は「一の受信機で管理区分が異なる部分を警戒する場合」を挙げ、例として複数の障害者グループホームを示して、副受信機を設けるよう求めています。
受信機を施設ごとに分けて2台以上にすると、規則第24条第2号トの同時通話の設備が要ることになります。
なお、審査基準の本文は「管理区分」の意味を定めていないので、運営者が同じか違うかの線引きは計画の段階で所轄に確かめてください。

同じ建物でも、ホームごとに火災表示が見えないと困るわけですね。

はい、入居する施設が増えるときは表示の割り振りも見直します。
最後に、ほかの市の書き方と並べてみます。

鈴鹿市や四日市市や大阪市の基準と比べると何が違うのか

背の色が違う七冊の基準のファイルが机に並び手前に小さな表示盤とノートとペンが置かれたイラスト
同じような項目は、三重県の3市と大阪府の3市の基準にもあります。
鈴鹿市は埼玉県央広域とほぼ同じ例を挙げつつ、用途を限らない書き方です。
鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第4章 第10 自動火災報知設備 8 副受信機(表示装置)
防火対象物の使用形態から営業時間等の違いにより、防火対象物の関係者が受信機の表示を速やかに確認できない場合は、火災表示を容易に確認できる場所へ副受信機(表示装置)を設けること。▲(例 受信機の設置場所以外の階に、ナースステーション、宿直室、介護職員室その他夜間に職員が存する室がある場合、一の受信機で管理区分が異なる部分を警戒する場合)
違いは対象の用途と一緒に付けるものです。
津市は「病院及び社会福祉施設等」に絞ってナースセンター等に副受信機を求め、四日市市・大阪市・東大阪市・堺市も鈴鹿市と同じく用途を限らずに書いています。
大阪市と東大阪市は副受信機と一緒に音響装置を、堺市は同時通話装置を設けるよう書いています。
7本部の該当箇所を並べます。
消防本部箇所と記号対象の建物置く場所と置くもの
埼玉県央広域消防本部第4章 第10 9(▲行政指導)(6)項イ(1)〜(3)・(6)項ロ・(6)項ハ(入居・宿泊)・(16)項イ別の階の夜勤の部屋/管理区分が異なる部分に副受信機(表示装置)
鈴鹿市消防本部第4章 第10 8(▲行政指導)限定なし(使用形態や営業時間の違い)火災表示を容易に確認できる場所に副受信機(表示装置)。例は埼玉県央広域と同じ2つ
四日市市消防本部第10 1(3)カ(下線=本市の行政指導)限定なし夜間などに人のいる場所が宿直室やスタッフステーション等に移る場合、その場所に副受信機等
津市消防本部5-11 4⑼(凡例の記号なし)病院及び社会福祉施設等夜間に勤務者がいるナースセンター等に、各警戒区域を表示できる表示装置(副受信機)
大阪市消防局自動火災報知設備 第8 副受信機(◆行政指導)2限定なし受信機の設置場所と宿直室等が異なる場合、宿直室等に副受信機と音響装置
東大阪市消防局Ⅱ 細目 6 副受信機(●行政指導)⑵限定なし大阪市と同じく、宿直室等に副受信機と音響装置
堺市消防局第12 Ⅱ 1(3)ク(★市独自の指導)限定なし人のいる場所が複数あるときや夜間に宿直室等へ移るとき、副受信機(表示盤)と同時通話装置
「管理区分が異なる部分」を例に挙げているのは、埼玉県央広域と鈴鹿市だけです。
津市以外の6本部は、いずれも行政指導の記号や下線が付いた項目として書いています。

大阪なら、副受信機だけでなく音響装置も考えておくのですね。

そのとおりで、一緒に付けるものまで本部ごとに読み分けます。
施設のある市の基準を開いて、該当の項目を確かめましょう。

よくある質問

Q埼玉県央広域の副受信機の項目は義務ですか?
A9には▲(行政指導基準)が付いています。審査基準の第1章は、行政指導は義務を課すものではなく相手方の任意の協力によるものと書いていますが、審査で求められる内容なので計画の段階で消防本部と相談するのが確実です。
Q事務所だけの建物でも副受信機を求められますか?
A埼玉県央広域の9が挙げるのは(6)項の病院・福祉施設などとそれを含む(16)項イで、事務所だけの建物は入っていません。ただし鈴鹿市・四日市市・大阪市・東大阪市・堺市は用途を限らずに書いているので、建物のある市の基準で確かめてください。
Q夜勤の職員室と受信機が同じ階なら副受信機は要りませんか?
A9の1つ目の場面は「受信機の設置場所以外の階に」夜勤の部屋がある場合なので、同じ階ならこの場面には当たりません。ただし管理区分が異なる部分を1台で見る場合はもう1つの場面に当たるので、両方を確かめてください。
Qグループホームごとに受信機を分けて置いてもよいですか?
A埼玉県央広域は、令8区画したものを除き1つの防火対象物は原則1台の受信機で監視するとしています。2台以上にすると規則第24条第2号トの同時通話の設備も要るので、分けるかどうかは所轄と相談してください。

まとめ

✔消防法施行規則は受信機を防災センター等に置くとし、2台以上なら同時通話の設備を求めます
✔副受信機という言葉は施行令・施行規則・受信機の規格省令には無く、各本部の基準が使う言葉です
✔埼玉県央広域は病院・福祉施設などで、受信機と別の階に夜勤の部屋があれば副受信機を求めます
✔1台の受信機で管理区分が異なる部分を見る場合も、複数の障害者グループホームを例に対象としています
✔この項目は▲の行政指導で、義務ではなく任意の協力を前提とした内容です
✔用途を絞るのは埼玉県央広域と津市で、ほかの5市は用途を限らず、大阪市・東大阪市は音響装置、堺市は同時通話装置も求めます
✔夜勤の部屋と受信機の階を図面で並べ、施設のある市の基準で確かめます

夜勤の部屋の階を図面に書き込んで、埼玉県央広域消防本部に相談します!

副受信機の位置は夜の動き方で決まるので、配置を変えるたびに見直すのが近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は各消防本部が公開している審査基準・運用基準と国の法令に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。各本部の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。副受信機の位置や台数など個々の建物の扱いは、所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
福祉施設の夜勤の部屋が別の階なら副受信機は要るのかというタイトルと夜の介護施設の職員室の壁に表示灯の並んだ表示盤が付いた写真
鴻巣市・桶川市・北本市を受け持つ埼玉県央広域消防本部の審査基準には、副受信機(表示装置)の項目があります。 病院や福祉施設で、夜勤の職員がいる部屋と受信機が別の階にあるときなどに、副受信機を設けるよう求めるものです。 国...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →