消火器の上の「消火器」の赤い板や、送水口の上の「送水口(消防隊専用)」の板は、消防用設備等の標識です。
国の規則は「標識を設けること」と定めていますが、多くの標識について、大きさや色の数字までは書いていません。
大阪市消防局の「消防用設備等の設置に係る運用基準」は、第10章 標識類で、標識の大きさと色を1つの表にまとめています。
この記事では、国の規則・告示と大阪市の運用を分けて読み、標識の大きさと色がどこで決まっているのかをたどります。
東大阪市と堺市の公開資料とも比べます。
大阪市のビルで消火器を入れ替えました。
上に貼る「消火器」の板は、どれくらいの大きさにすればよいのでしょうか。
大阪市の運用基準の表では、赤地に白文字で幅8cm以上・長さ24cm以上です。
ただ、この数字は国の規則には書かれていません。
国の決まりではないのですか。
表の末尾には、行政指導を示す「◆」が付いています。
国と市のどちらの話なのかを、順番に見ていきましょう。
- 国の消防法施行規則は、標識に書く文字や設ける場所を定めていますが、消火器や送水口などの標識の大きさと色の数字は書いていません
- 大阪市の運用基準は、第10章 第1で設備ごとの標識の表示・色・大きさ・設置場所を1つの表にまとめ、全体に行政指導の「◆」を付けています
- 消火器は赤地白字で幅8cm以上・長さ24cm以上、屋内消火栓や送水口などは多くが幅10cm以上・長さ30cm以上です
- 避難器具の位置を示す標識は、国の告示が縦0.12m以上・横0.36m以上と定め、大阪市の表も同じ数値で白地黒字としています
- 東大阪市は消防局の告示、堺市は設備ごとの節で定めており、避難器具の使用方法の標識の大きさは3市で書き方が違います
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目次
消防設備の標識は国の規則でどこまで決まっているのか

消火器具の標識は、消防法施行規則第9条第4号に書かれています。
屋内消火栓や連結送水管、非常コンセントも、書き方は同じです。
そのため、実際に何cmの板を何色で作るかは、各地の消防本部の基準を見ることになります。
避難器具だけは国の告示に大きさがあるので、記事の後半で取り上げます。
「標識を設けること」としか書いていないのですね。
はい、大きさと色は規則の外にあります。
次に、大阪市の表を見ていきます。
大阪市の運用基準は標識の大きさと色をどう決めているのか

(中略)
前各章に定めるもののほか、次の表のとおりとする。◆
つまり、国の規則が「標識を設けること」とだけ書いた所を、大阪市の表が具体化しているという構造です。
文の末尾の「◆」は、大阪市の凡例で次のように説明されています。
表から、よく見る標識を抜き出すと次のとおりです(大きさはいずれも「以上」)。
| 設備と標識 | 表示 | 地/文字 | 幅×長さ |
|---|---|---|---|
| 消火器 | 消火器 | 赤/白 | 8cm×24cm |
| 消火器の使用方法 | 使用方法を簡記 | 白/赤 | 12cm×24cm |
| 水バケツ・水槽・乾燥砂・膨張ひる石等 | 消火バケツ・消火水槽・消火砂・消火ひる石 | 赤/白 | 8cm×24cm |
| 屋内消火栓(箱の表面) | 消火栓 | 赤/白 | 10cm×30cm |
| スプリンクラー設備の送水口 | 送水口(スプリンクラー)+送水圧力範囲 | 赤/白 | 15cm×30cm |
| 連結送水管の送水口・放水口・ホース格納箱 | 送水口(消防隊専用)など | 赤/白 | 10cm×30cm |
| 消防機関へ通報する火災報知設備の発信機 | 火災報知機 | 赤/白 | 8cm×24cm |
| 非常コンセント(保護箱の表面) | 非常コンセント | 赤/白 | 10cm×25cm |
| 避難器具 | 避難器具 | 白/黒 | 12cm×36cm |
スプリンクラー設備の送水口は、送水圧力の範囲も書くため幅が15cmと一回り大きくなっています。 たどる順番は次のとおりです。
- 出発点は、消防法施行規則の「標識を設けること」「表示すること」という号です
- その号には、書く文字と場所はありますが、大きさと色の数字はありません
- 大阪市の第10章 第1は、その号を列挙したうえで「次の表のとおり」としています
- 表は、設備ごとに表示・地の色・文字の色・幅・長さ・設置場所を示しています
- 末尾の「◆」は、凡例で行政指導基準と説明されています
消火栓の箱の「消火栓」の文字にも、大きさの目安があるのですね。
はい、赤地に白文字で幅10cm以上・長さ30cm以上です。
表には、数字が書かれていない行もあります。
電源の開閉器や表の備考はどう読むのか

国の規則は、非常電源専用受電設備の開閉器に表示することを求めています。
大きさの欄は、「文字の鮮明度をそこなわない範囲において自由」とされています。
小さなスイッチの横に貼るものなので、数字で縛っていないと読めます。
パッケージ型消火設備や無線通信補助設備の保護箱なども、大きさは同じく「自由」です。 表の最後には、3つの備考があります。
2 「消火器」の標識には必要に応じ、普通火災用、油火災用、電気火災用等その適応性を付記することができること
3 文字の向きを変更する場合において、その標識の大きさの幅と長さの比率はこの表に掲げる最小限度の数値のとおりとすること
たとえば消火器なら、幅8cm・長さ24cmの1対3を保って大きくします。
2は、消火器の標識に「普通火災用」などの適応性を書き足してよい、という扱いです。
3は、文字を縦書きにするときも、幅と長さの比率は同じにするということです。
うちの消火器の標識は大きめですが、縦横の比率まで見ていませんでした。
大阪市では、大きくするなら比率をそろえるのが目安です。
次は、国の告示に大きさがある避難器具です。
避難器具の標識は国の告示と大阪市でどう違うのか

(四) 標識の地色と文字の色は、相互に対比色となる配色とし、文字が明確に読みとれるものであること。
(一) 標識は、避難器具の直近の見やすい箇所に設置すること。ただし、使用方法の簡便なものにあっては、設置しないことができる。
(二) 使用方法は、図及び文字等を用いてわかりやすく表示すること。
大阪市の表は、避難器具の標識を白地に黒文字で12cm×36cmとしています。
数値は告示と同じで、色を白と黒に具体化した形です。
表の注には、避難はしごや救助袋など「避難」「救助」の文字を持つ器具名にしてよいと書かれています。
| 項目 | 国の告示 第五 | 大阪市の表 |
|---|---|---|
| 位置を示す標識の大きさ | 縦0.12m以上・横0.36m以上 | 幅12cm以上・長さ36cm以上 |
| 位置を示す標識の色 | 相互に対比色となる配色 | 白地に黒文字 |
| 使用方法の標識の大きさ | 定めなし(図及び文字等でわかりやすく) | 図及び1cm角以上の文字でわかりやすく表示した範囲内で自由 |
| 使用方法の標識の色 | 定めなし | 白地に黒文字 |
文字を1cm角以上にして、図と文字で分かるように書けば、板の大きさは自由という扱いです。
避難器具の標識の掲げ方そのものは避難器具の標識の大きさを解説した記事で詳しく取り上げています。
避難器具の板の大きさは、国の告示と大阪市で同じなのですね。
はい、位置の標識は同じ数値です。
違いが出るのは使用方法の標識で、東大阪市と堺市を見るとよく分かります。
東大阪市と堺市では標識の決め方はどう違うのか

図の数値は、消火器が長辺24cm・短辺8cm、送水口が長辺30cm・短辺10cm、非常コンセントが長辺25cm・短辺10cmで、大阪市の表と同じです。 違いが出るのは、避難器具の使用方法の標識です。
東大阪市の「避難器具の設置に係る運用基準」の図4は、使用方法の標識を白地に黒文字・文字1cm角以上・長辺60cm以上・短辺30cm以上とし、末尾に「●」を付けています。
消火器の節は次のとおりです。
省令第9条第4号に規定する標識の形状等は、次によること。
なお、標識付近の見やすい位置に使用方法を簡記すること。
(1) 標識の大きさは、短辺8cm以上、長辺24cm以上とすること。
(2) 地を赤色、文字を白色ですること。
(3) 文字の大きさは概ね2.5cm角以上とすること。★
見出しの◆②は、節の末尾で次の通知を指しています。
(3) ★ : 指導基準のうち、堺市消防局として防火安全性の向上を図ることを目的として定めたもの
スプリンクラー設備の制御弁・送水口や、連結送水管の送水口・放水口も、各節で短辺10cm以上・長辺30cm以上の赤地白文字(◆)です。
なお、この通知の本文は今回確認できていないため、記事では堺市が参考元として挙げている事実にとどめます。 避難器具の使用方法の標識は、堺市の第17 避難器具の表で縦30cm以上・横60cm以上とし、ただし書きで明確に読み取れる場合はこの大きさによらないことができるとしています(いずれも★)。
| 項目 | 大阪市 | 東大阪市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 基準の形 | 運用基準 第10章の表(◆行政指導) | 消防局告示(昭和53年第1号)を各基準の図で示す | 設備ごとの節(◆通知を参考・★市独自) |
| 消火器 | 赤地白字 8cm×24cm | 赤地白字 8cm×24cm | 赤地白字 8cm×24cm+文字概ね2.5cm角★ |
| 送水口(連結送水管) | 赤地白字 10cm×30cm | 赤地白字 10cm×30cm | 赤地白字 10cm×30cm |
| 非常コンセント | 赤地白字 10cm×25cm | 赤地白字 10cm×25cm | 今回の資料では未確認 |
| 避難器具の位置の標識 | 白地黒字 12cm×36cm | 白地黒字 12cm×36cm | 対比色(例 白地に黒文字)12cm×36cm |
| 避難器具の使用方法の標識 | 1cm角以上の文字で大きさ自由 | 30cm×60cm以上● | 30cm×60cm以上★(読めればこの限りでない) |
屋内消火栓の操作方法を示すシールの通知は屋内消火栓の操作方法シールの記事をご覧ください。 大阪市で標識を作る・取り替えるときの確かめ方を、最後に整理します。
- 設備ごとに、消防法施行規則がどんな文字をどこに表示させているかを確かめます
- 大阪市の第10章の表で、地の色・文字の色・幅・長さを確かめます
- 大きく作るときは、表の最小の数値の縦横比をそろえます
- 避難器具は、国の告示の12cm×36cmと使用方法の標識の書き方を確かめます
- 東大阪市・堺市の建物では、それぞれの告示や審査基準の数値で作ります
3市とも、消火器や送水口の標識の大きさはそろっているのですね。
はい、主な標識の数値は3市で同じでした。
違うのは決め方の形と、避難器具の使用方法の標識です。
よくある質問
まとめ
今度の点検のときに、標識の大きさと色を表と見比べてみます。
足りない板はまとめて作り直します!
表と見比べるだけで、点検や立入検査での指摘を減らせます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例、第10章 標識類 第1 標識の表示基準(表・備考1〜3) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 東大阪市消防局「消火器具の設置に係る運用基準」(用語の定義10・凡例・細目 1(4)・図5・図6)、「避難器具の設置に係る運用基準」(8 表示・図3・図4)、「連結送水管の設置に係る運用基準」(図2)、「非常コンセント設備の設置に係る運用基準」(図2) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第1章 総則 4 凡例、第1 消火器具 Ⅱ細目 3 標識、第17 避難器具 Ⅱ細目 3 標識(第17-2表)、第4 スプリンクラー設備・第22 連結送水管の標識の項目 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第9条第4号、第12条第1項第3号イ・第4号イ(ハ)、第27条第1項第3号ロ、第31条第4号、第31条の2第9号イ
- 避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年消防庁告示第2号)第5 標識 https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/assets/h8_kokuji2.pdf
※本記事は公表されている法令および大阪市・東大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。個々の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。





