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津市で駐車場の排煙は小梁ごとに区切らなくてよいのか|大梁で一つの防煙区画にする特例を堺市と比べ鈴鹿市・埼玉県央広域・四日市市・大阪市も確認

津市の駐車場で小梁ごとに排煙の区画を区切らなくてよいかを問うアイキャッチ画像

地階や無窓階にある広い駐車場には、消防法施行令第28条により排煙設備が要ることがあります。
排煙口は防煙壁で区切った防煙区画ごとに付けるので、天井から下がる梁を防煙壁と数えるかどうかで、排煙口の数が大きく変わります。
津市消防本部の審査基準は、自走式駐車場で小梁と中梁を防煙壁と扱わず、大梁で囲まれた部分を一つの防煙区画にできる特例を置いています。
この記事では津市の特例をたどり、同じ特例を持つ堺市と、持たない鈴鹿市・埼玉県央広域・四日市市・大阪市を比べます。

津市で地下に自走式の駐車場があるビルを管理しています。
天井に梁がたくさんあって、排煙口の数が多いと言われました。

梁を防煙壁と数えると、梁で区切られた部分ごとに排煙口が要るからです。
津市の審査基準には、その数え方の特例があります。

大きな梁だけで区切ってよい場合があるということですか。

はい。
条件を満たせば、大梁で囲まれた部分を一つの防煙区画にできます。

この記事の結論
  • (13)項の駐車場は、地階又は無窓階で床面積1,000㎡以上なら施行令第28条の排煙設備の対象になります
  • 施行規則第30条は、天井から50cm以上下がる垂れ壁などの防煙壁で500㎡以下に区切った防煙区画ごとに排煙口を求めています
  • 津市は自走式駐車場で、小梁と中梁を防煙壁と扱わず、500㎡以内の大梁で囲まれた部分を一つの防煙区画にできるとしています
  • 堺市も駐車場で同じ特例を持ち、大梁と他の梁の高さの差を30cm以上と数字で書いています
  • 鈴鹿市・埼玉県央広域・四日市市・大阪市の基準には梁の特例が無いので、設計の段階で消防本部に確認します

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施行規則第30条の防煙壁から大梁で一つの防煙区画にする特例の条件までのたどり方を示した図解

国の基準ではどんな駐車場に排煙設備が要るのか

地下に車が並ぶ囲まれた駐車場がある建物と外壁の無い立体駐車場が並んだイラスト
梁の数え方が問題になるのは、そもそも排煙設備を付けなければならない駐車場です。
まず消防法施行令第28条で、どの駐車場が対象になるかを確かめます。
消防法施行令 第28条
排煙設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
(略)
三 別表第一(二)項、(四)項、(十)項及び(十三)項に掲げる防火対象物の地階又は無窓階で、床面積が千平方メートル以上のもの
(略)
3 第一項各号に掲げる防火対象物又はその部分のうち、排煙上有効な窓等の開口部が設けられている部分その他の消火活動上支障がないものとして総務省令で定める部分には、同項の規定にかかわらず、排煙設備を設置しないことができる。
対象は地階と無窓階の広い駐車場です。
(13)項は自動車車庫・駐車場などで、その地階又は無窓階の床面積が1,000㎡以上になると排煙設備が要ります。
一方、施行規則第29条第1号は、規則第30条の例による常時開放の開口部があり、面積の合計も同条の例による部分を、排煙設備の要らない部分としています。
壁の無い開放型の立体駐車場は、この第29条に当たるかどうかを先に確かめることになります。
地下の駐車場のように囲まれた空間では、排煙設備を付ける前提で防煙区画の割り方を考えます。

うちの駐車場は地下1階で、1,000㎡を超えています。

それなら排煙設備の対象になる可能性が高いです。
まず竣工図で階ごとの床面積と開口部の大きさを確かめましょう。

国の規則では防煙壁と防煙区画をどう決めているのか

天井から下がる梁と垂れ壁で天井の空間がいくつかに分かれた部屋の断面のイラスト
排煙口をいくつ付けるかは、施行規則第30条の防煙壁と防煙区画で決まります。
規則には「梁」という言葉は出てきませんが、防煙壁の定め方を読むと梁との関係が見えてきます。
消防法施行規則 第30条第1号
イ 間仕切壁、天井面から五十センチメートル(略)以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上の煙の流動を妨げる効力のあるもので、不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下この条において「防煙壁」という。)によつて、床面積五百平方メートル(略)以下に区画された部分(以下この条において「防煙区画」という。)ごとに、一以上を設けること。(略)
ロ 防煙区画の各部分から一の排煙口までの水平距離が三十メートル以下となるように設けること。
ハ 天井又は壁(防煙壁の下端より上部であつて、床面からの高さが天井の高さの二分の一以上の部分に限る。)に設けること。
防煙区画ごとに排煙口が一つ以上要ります。
防煙壁は、間仕切壁や天井から50cm以上下がる垂れ壁など、煙の流れを止めるもので不燃材料のものです。
その防煙壁で500㎡以下に区切った部分が防煙区画で、区画ごとに排煙口を付け、各部分から30m以内に収めます。
排煙口の位置も、防煙壁の下端より上と決まっています。
津市と堺市の特例が「小梁又は中梁を防煙壁として取り扱わず」と書いていることから、深い梁は防煙壁として扱われる場合があると読み取れます。
梁の多い駐車場で梁ごとに区切ると防煙区画が細かくなり、排煙口と風道が増えるので、図面では梁の下端の高さを確かめておきましょう。

梁が50cm以上下がっていると、垂れ壁と同じように見られることがあるのですね。

そう読める書き方です。
梁伏図で梁の高さを一覧にしておくと、相談が早く進みます。

津市の特例は小梁と中梁をどう扱うのか

深い大梁の間に浅い小梁が並び天井の大梁より高い位置に排煙口がある地下駐車場のイラスト
津市消防本部の審査基準は、排煙設備の節(5-19)の中で、自走式駐車場の防煙区画の扱いを書いています。
凡例の記号は無く、文の書きぶりは「取り扱うことができる」です。
津市消防本部「津市予防事務審査検査基準」5-19 排煙設備 2 排煙口
⑺ 自走式駐車場に排煙口を設ける場合で、次のすべてに適合した場合は、小梁又は中梁を防煙壁として取り扱わず、大梁に囲まれた部分を一の防煙区画として取り扱うことができるものとする。
ア 一の防煙区画は、床面積500㎡以内とすること。
イ 大梁のスラブ下寸法(大梁の下部に垂れ壁を設置する場合は垂れ壁の高さも含む)
ウ 排煙口は大梁の下端(大梁の下部に垂れ壁を設置する場合は垂れ壁の下端)より上部に設置すること。
大梁で囲んだ一画を一つの区画にできます。
この特例は、国の規則の防煙区画の考え方を、梁の多い自走式駐車場に当てはめたものと読めます。次の順にたどります。
  1. 施行規則第30条第1号イが、防煙壁で500㎡以下に区切った防煙区画ごとに排煙口を求める
  2. 津市の5-19 2⑺が、自走式駐車場では小梁と中梁を防煙壁として扱わず、大梁に囲まれた部分を一つの防煙区画にできるとする
  3. アが、その防煙区画の広さを規則と同じ500㎡以内に抑える
  4. ウが、排煙口を大梁の下端より上に付けるとする(規則第30条第1号ハの「防煙壁の下端より上部」を大梁に当てはめた形)
気を付けたいのはイです。
PDFの画像で見ても、イは「大梁のスラブ下寸法(…含む)」で文が終わっていて、何と比べて何cm要るのかが書かれていません。
同じ特例を持つ堺市は、ここを「他の梁のスラブ下寸法の差が30cm以上」としています。
津市でこの特例を使うときは、イの条件を津市消防本部に確かめてから梁の高さを決めましょう。

イの数字が抜けているとは気づきませんでした。

文が途中で終わっているので、自分で数字を補わないことが大切です。
予防課に梁伏図を持って相談しましょう。

堺市の特例は津市と何が違うのか

深い大梁で区切った地下駐車場の天井が二つ並び各区画に排煙口があるイラスト
大阪府の堺市消防局の審査基準にも、ほぼ同じ文の特例があります。
見出しの★は、凡例で堺市消防局が防火安全性の向上を目的として定めた指導基準の印です。
堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版)第20 排煙設備 Ⅱ 細目 2 一の防煙区画★
(2) 駐車場に排煙口を設ける場合で、次のすべてに適合した場合は、小梁又は中梁を防煙壁として取り扱わず、大梁に囲まれた部分を一の防煙区画として取り扱うことができるものとする。(第20-6図参照)
(ア) 一の防煙区画は、床面積500㎡以内とすること。
(イ) 大梁のスラブ下寸法(大梁の下部に垂れ壁を設置する場合は垂れ壁の高さも含む。)と他の梁のスラブ下寸法の差が30cm以上あること。
(ウ) 排煙口は大梁の下端(大梁の下部に垂れ壁を設置する場合は垂れ壁の下端)より上部に設置すること。
違いは対象の書き方とイの数字です。
津市は「自走式駐車場」、堺市は「駐車場」とだけ書いていて、対象の書き方が違います。
堺市の第20-6図は、小梁や中梁がスラブから50cm以上下がっていても、大梁(下に付けた垂れ壁を含む)がほかの梁より30cm以上深い例を描いています。
小梁が規則の50cmを超えていても、大梁との差が30cmあれば大梁だけで区切れる、という読み方になります。
大梁の深さが足りない場合は、図のように大梁の下に垂れ壁を足して差を作る方法も示されています。
項目津市(5-19 2⑺)堺市(第20 Ⅱ 2(2)★)
対象自走式駐車場駐車場
一つの防煙区画の広さ500㎡以内500㎡以内
大梁と他の梁の高さの差文が途中で終わり数字なし30cm以上(垂れ壁を含めてよい)
排煙口の位置大梁(垂れ壁)の下端より上大梁(垂れ壁)の下端より上
印・図凡例の記号なし・図なし★(指導基準)・第20-6図

堺市の30cmを津市でもそのまま使えるとは限らないのですね。

そのとおりです。
管轄の本部の基準で確かめるのが原則です。

鈴鹿市や埼玉県央広域など梁の特例が無い本部ではどうするのか

天井と梁の断面を描いた図面を広げた製図台と二層の駐車場の白い模型のイラスト
鈴鹿市・埼玉県央広域(鴻巣市・桶川市・北本市)・四日市市・大阪市の排煙設備の節には、梁の特例は見当たりませんでした。
そのかわり、防煙区画や防煙壁について、規則を補う決まりを置いています。
鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第4章 第18 排煙設備 3 防煙区画
⑸ 省令第30条第1項第1号イに規定する「下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上の煙の流動を防げる効力のあるもので、不燃材料で造り、又は覆われたもの」には、第18-10図の例のように、防煙区画を構成する間仕切壁等に常時閉鎖式の不燃材料の戸を設けた場合において、当該戸の上部の不燃材料の垂れ壁を、天井面から下方に30cm以上とした場合も含まれる。
梁の扱いは本部ごとに確認が要ります。
鈴鹿市と埼玉県央広域は、常時閉鎖式の不燃材料の戸の上なら垂れ壁が30cm以上でもよいとしていて、防煙壁の深さを規則の50cmより浅く認める場面を書いています。
四日市市と大阪市は、防煙壁に使える材料を絞る書き方です。
梁の特例が書かれていない本部では、梁を防煙壁と数えるかどうかを規則の定義に当てはめて判断することになります。
駐車場の天井に深さの違う梁が並ぶときは、梁伏図と断面図を添えて、設計の段階で消防本部と区画の割り方を協議しましょう。
消防本部梁を防煙壁と扱わない特例防煙区画が2以上の階にわたらない戸の上の垂れ壁を30cm以上でよい防煙壁のガラス
津市あり(自走式駐車場・5-19 2⑺)記載なし記載なし記載なし
堺市あり(駐車場・差30cm以上・★)あり(★)記載なし線入り・網入り以外は使えない
鈴鹿市記載なしあり(原則・▲)あり(無印)線入り・網入りとする(無印)
埼玉県央広域記載なしあり(▲)あり(無印)線入り・網入りとする(無印)
四日市市記載なし記載なし記載なし線入り・網入り以外は使えない(下線なし)
大阪市記載なしあり(◆)記載なし線入り・網入り以外は使えない(◆なし)
▲は鈴鹿市と埼玉県央広域の凡例で行政指導の印、◆は大阪市の凡例で行政指導の印です。四日市市は行政指導の部分に下線を引いていますが、この項目には下線がありません。

鈴鹿市や四日市市の建物だと、梁ごとに排煙口を付けることになるのでしょうか。

基準に書かれていないので、一律には言えません。
梁の高さを一覧にして、早めに所轄の消防本部へ相談しましょう。

よくある質問

Q壁の無い開放型の立体駐車場にも排煙設備は要りますか?
A施行令第28条は地階又は無窓階の駐車場を対象にしていて、施行規則第29条第1号は常時開放の開口部が規則の例どおりにある部分を排煙設備の要らない部分としています。開放型はまずここに当たるかを確かめます。
Q大梁と小梁の高さの差が30cmに足りないときはどうなりますか?
A堺市の(イ)を満たさないので、特例は使えません。小梁も防煙壁として扱われる場合は、梁で区切られた部分ごとに排煙口を考えることになります。大梁の下に垂れ壁を足して差を作る方法は堺市の図に示されています。
Q機械式の立体駐車場にも津市の特例は使えますか?
A津市の特例は対象を自走式駐車場と書いています。機械式駐車場については書かれていないので、津市消防本部に確認してください。
Q一つの防煙区画を500㎡より広くできますか?
A津市・堺市の特例とも、大梁で囲まれた一つの防煙区画は500㎡以内としています。施行規則第30条第1号イの上限と同じです。

まとめ

✔(13)項の駐車場は地階又は無窓階で床面積1,000㎡以上なら排煙設備の対象です
✔防煙壁は天井から50cm以上下がる垂れ壁などで、500㎡以下の防煙区画ごとに排煙口が要ります
✔津市は自走式駐車場で小梁と中梁を防煙壁と扱わず、大梁に囲まれた部分を一つの防煙区画にできます
✔排煙口は大梁の下端より上に付け、一つの防煙区画は500㎡以内に収めます
✔津市のイは文が途中で終わっているので、高さの差の条件は津市消防本部に確かめます
✔堺市は駐車場を対象に、大梁と他の梁の差を30cm以上と数字で決めています
✔鈴鹿市・埼玉県央広域・四日市市・大阪市には梁の特例が無いので設計の段階で協議します

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令 第28条、消防法施行規則 第29条・第30条(e-Gov法令検索)
  • 津市消防本部「津市予防事務審査検査基準」(令和8年3月1日現在)5-19 排煙設備 5-19のPDF
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版)総則 凡例、第20 排煙設備 Ⅰ 概要・Ⅱ 細目 1(1)・2(2) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第4章 第18 排煙設備 3 防煙区画 第4章 第18のPDF
  • 埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第4章 第18 排煙設備 4 防煙区画 第18のPDF
  • 四日市市消防本部「四日市市消防同意事務審査基準」第18 排煙設備 2 防煙区画 消火活動上必要な施設のPDF
  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例、第5章 第1節 排煙設備 第2 設置方法 1 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html

※本記事は各消防本部が公開している審査基準・運用基準と国の法令に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。各本部の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。個々の駐車場で防煙区画をどう割るかは、所轄の消防本部にご確認ください。

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