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津市で避難器具専用室の区画は耐火構造が要るのか|国の告示の不燃材料との違いと広さ・扉・照明を6市と比べる

津市で避難器具専用室の区画は耐火構造が要るのかを示すアイキャッチ画像

地下の階に避難はしごを付けるとき、外壁沿いのドライエリアが取れなければ避難器具専用室を設けます。
国の告示は、この部屋を不燃材料で区画すればよいとしています。
ところが津市の審査基準は、壁と床を耐火構造にするよう書いています。
地階が一階層だけなら不燃材料でよいというただし書を含めて、鴻巣市・鈴鹿市・四日市市・大阪市・堺市・東大阪市と比べます。

津市で地下に店舗のあるビルを計画しています。
避難はしごの部屋の壁を、どこまでの造りにすればいいのか迷っています。

津市の審査基準は、国の告示より一段強い区画を求めています。
地下が何階まであるかで、求められる造りが変わります。

地下の階数で変わるんですか。

はい、地下が一階だけなら不燃材料でよいとされています。
ほかの市の基準とも並べて、広さや扉まで見ていきましょう。

この記事の結論
  • 施行令第25条の表で地階に使える避難器具は避難はしごと避難用タラップだけで、国の告示は地階の避難はしごをドライエリアか専用室に置くよう定めている
  • 国の告示は専用室を不燃材料で区画すればよいとし、建築基準法施行令第112条の防火区画による場合はその規定によるとしている
  • 津市は専用室を耐火構造の壁及び床で区画するとし、地階の階層が一階層のみの場合だけ不燃材料を認めている
  • 津市と比べた6市の基準には、区画を耐火構造にする書き方はなかった
  • 広さは鴻巣市・鈴鹿市・大阪市が一辺おおむね90cm以上かつ2㎡以上、四日市市が概ね2㎡以上とし、入口の扉や照明の書き方も市ごとに違う

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避難器具専用室の区画が施行令と国の告示から津市の耐火構造の基準へつながる流れを示した図解

避難器具専用室はどんなときに設ける部屋なのか

地階のある建物の外壁沿いのドライエリアに固定式の避難はしごを置いたイメージ
最初に、避難器具専用室という部屋がどこから出てくるのかを、国の法令でたどります。
入口は施行令第25条の表で、細かい置き方は消防庁の告示が決めています。
消防法施行令 第25条第2項第1号の表(抜粋)
前項第一号の防火対象物 地階 避難はしご 避難用タラップ
(前項第二号から第四号までの防火対象物の地階も同じ)
避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(平成8年消防庁告示第2号)(抜粋)
第二 九 避難器具専用室 避難はしご又は避難用タラップを地階に設置する場合の専用の室をいう。
第三 一 (一) ル 避難はしごを地階に設ける場合は、固定式とし、ドライエリア(地階に相当する建築物の外壁に沿ったからぼりをいう。)の部分に設けること。ただし、第四に定める避難器具専用室内に設置する場合にあっては、この限りでない。
地階の避難はしごの置き場所です。
施行令第25条第2項第1号の表では、どの用途でも地階に使える避難器具は避難はしごと避難用タラップの2種類だけです。
この告示は、消防法施行規則第27条第2項が「消防庁長官が定める」と任せた細目で、地階の避難はしごは固定式にして外壁沿いのドライエリアに置くのが原則です。
ドライエリアが取れないときに、建物の中に設ける専用の部屋が避難器具専用室です。
鴻巣市を受け持つ埼玉県央広域消防本部と鈴鹿市は、地階の避難器具をドライエリアか専用室に設けると●付きで書き、専用室は地階以外にも設置できるとしています。
地下に避難器具が要る計画では、まずドライエリアが取れるかどうかを図面で確かめます。

ドライエリアが取れないときの代わりの部屋なのですね。

そうです、だから区画の造りが大事になります。
次は国の告示が求める区画を見ます。

国の告示は専用室の区画になにを求めているのか

地階の倉庫の右に薄い壁で囲った部屋を置き天井のハッチへ固定式のはしごを伸ばしたイメージ
同じ告示の第四が、避難器具専用室そのものの基準です。
区画・広さ・照明・入口の扉が一から四に、上昇口のふたなどが五から十に並んでいます。
避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目 第四 避難器具専用室(抜粋)
一 不燃材料(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号に規定する不燃材料をいい、ガラスを用いる場合は、網入りガラス又はこれと同等以上の防火性能を有するものに限る。)で区画されていること。ただし、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十二条の規定による場合にあっては、当該規定によること。
二 避難器具専用室は、避難に際し支障のない広さであること。
国の基準は不燃材料の区画です。
告示第四の一は、専用室を不燃材料で区画すればよいとし、ガラスを使うなら網入りガラスなどに限っています。
ただし書は、建築基準法施行令第112条の防火区画がかかる場合はその規定によるという意味で、消防の基準が建築の区画を下回らないようにしています。
二の広さは「避難に際し支障のない広さ」とだけあり、告示に数字はありません。
鴻巣市・堺市・東大阪市の基準は、この一をほぼそのまま写しています。
上昇口の大きさやふたの基準は告示の五から十にあり、津市・鴻巣市・堺市・東大阪市の基準も告示とほぼ同じ文です。

国の基準だけなら、不燃材料の間仕切りで足りるのですね。

告示だけならそうです。
ところが津市は一段強い区画を書いています。

津市では専用室の区画はどこまで厳しくなるのか

地下2階まである建物の右側に厚いコンクリートの壁と床で囲った縦長の部屋を置き固定式のはしごを通したイメージ
津市消防本部の「津市予防事務審査検査基準」5-16 避難器具を見ます。
2が避難器具専用室の節で、⑴が区画の定めです。
津市予防事務審査検査基準 5-16 避難器具(抜粋)
2 避難器具専用室を設ける場合にあっては、次によること。
⑴ 避難器具専用室は耐火構造の壁及び床で区画されていること。
ただし、地階の階層が一階層のみの場合は、不燃材料(ガラスを用いる場合は網入りガラス又はこれと同等以上の防火性能を有するものに限る。)とすることができる。
地下が二階以上なら耐火構造です。
津市は専用室の区画を耐火構造の壁及び床とし、告示の不燃材料を、地階の階層が一階層のみの場合のただし書に回しています。
地下2階や地下3階まである建物では、専用室の壁だけでなく床も耐火構造で区画することになります。
津市の基準には行政指導を示す記号の凡例がなく、この⑴も「区画されていること」と書かれているので、義務か指導かは書きぶりからは決めきれません。
津市と比べた6市の基準には、専用室の区画を耐火構造にする書き方はありませんでした。
津市で地下二階以上の専用室を計画するときは、壁と床の構造を設計の早い段階で消防本部と打ち合わせておきます。
市・消防本部専用室の区画基準の書き方
国の告示不燃材料(建築基準法施行令第112条の防火区画ならその規定)告示第四 一
津市耐火構造の壁及び床(地階が一階層のみなら不燃材料)5-16 2⑴(記号の凡例なし)
鴻巣市(埼玉県央広域)不燃材料(第112条の防火区画ならその規定)第4章 第15 6⑴(無印)
堺市不燃材料(第112条の規定ならその規定)第17 2(1)(★◆なし)
東大阪市不燃材料(第112条の防火区画ならその規定)4⑴(無印)
鈴鹿市・四日市市・大阪市区画の独自の書き方はない(告示による)鈴鹿市 第15 6・四日市市 第15 4・大阪市 第4

つまり地下が一階だけなら、津市でも国と同じ不燃材料でよいのですね。

はい、一階層のみかどうかが分かれ目です。
次は専用室の広さを比べます。

専用室の広さは何平方メートルあればよいのか

固定式のはしごを置いた小さな部屋の床にオレンジ色の線で広さを示し右に廊下を置いたイメージ
告示第四の二は、専用室の広さを「避難に際し支障のない広さ」と書くだけです。
この言葉を数字に置き換えているかどうかで、市の基準が分かれます。
埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第4章 第15 避難器具 6 避難器具専用室(抜粋)
⑵ 避難器具専用室は、避難に際し支障のない広さであること。(避難器具設置基準告示第4第2号関係)
なお、ここでいう「避難に際し支障のない広さ」とは、一辺の長さがおおむね90㎝以上で、かつ、2㎡以上の広さとすること。●
数字を置いているのは4市です。
鴻巣市(埼玉県央広域)と鈴鹿市は一辺おおむね90cm以上かつ2㎡以上とし、法令基準に行政指導を加えた基準を示す●を付けています。
大阪市も、行政指導を示す◆が見出しに付いた「第4 避難器具専用室」の中に同じ数字を書いています。
四日市市は「概ね2㎡以上」とだけ書き、本市の行政指導を示す下線を引いています。
津市は「避難器具の操作面積を確保するとともに」と付け加え、堺市と東大阪市は告示の文のままで、数字はありません。
数字のない市でも、はしごを操作する人が立てる広さを図面で示せるようにしておきます。
市・消防本部専用室の広さ印
鴻巣市(埼玉県央広域)一辺おおむね90cm以上かつ2㎡以上●(法令+行政指導)
鈴鹿市一辺おおむね0.9m以上かつ2㎡以上●(法令+行政指導)
大阪市一辺おおむね90cm以上かつ2㎡以上◆(行政指導)
四日市市概ね2㎡以上下線(行政指導)
津市操作面積を確保し、避難に際し支障のない広さ凡例なし
堺市・東大阪市避難に際し支障のない広さ(告示の文のまま)なし

2㎡というと、畳一枚ちょっとくらいの広さですね。

そうです、一辺90cmの条件もあるので細長い部屋は不向きです。
最後に入口の扉と照明を見ます。

入口の扉と照明は市によってなにが違うのか

廊下の壁に閉じた防火戸と上部のドアクローザーを描き扉の上に非常用の照明を付けたイメージ
告示第四の三は非常照明を、四は入口の防火戸を定めています。
扉の寸法を書いている津市・鴻巣市・堺市・東大阪市は、どれも告示と同じ数字ですが、付け足している中身が違います。
避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目 第四 避難器具専用室(抜粋)
三 避難器具専用室は、避難器具の使用方法の確認及び操作等が安全に、かつ、円滑に行うことができる明るさを確保するよう非常照明を設置すること。
四 避難器具専用室の入口には、随時開けることができ、かつ、自動的に閉鎖することのできる高さ一・八メートル以上、幅〇・七五メートル以上の防火戸(建築基準法第二条第九号の二ロに規定する防火設備であるものに限る。)を設けること。
扉の寸法はどこも同じです。
入口は高さ1.8m以上・幅0.75m以上で、ふだんは開けられて自動的に閉まる防火戸にします。
津市はこれに加えて、入口に「避難器具設置室」を示す標識を付けるよう書いています。
鴻巣市(埼玉県央広域)は、同じ寸法の防火戸を「常時閉鎖式」と書いています。
照明は、鴻巣市と鈴鹿市が建築基準法施行令第5章第4節の非常用の照明装置とし、大阪市は第126条の5の例によるうえで、その階を使うときに必ず点く照明と連動させるよう同じ第4に書いています。
東大阪市は、避難器具の設置場所の明るさを定めた同じ基準の1⒀イの照明設備を専用室にも使うとしています。
扉の閉まり方と照明の点き方は、竣工前の消防検査で実際に動かして確かめておきます。

扉と照明にも、市ごとの書き足しがあるのですね。

はい、津市なら標識も忘れずに用意します。
建物のある市の基準で、区画と広さと扉を一度に確かめましょう。

よくある質問

Q津市で地下1階だけのビルなら、専用室は不燃材料の壁でよいですか?
A津市の5-16 2⑴は、地階の階層が一階層のみの場合は不燃材料とすることができるとしています。ガラスを使うなら網入りガラスなどに限られる点は告示と同じです。
Q避難器具専用室は地下以外の階にも設けてよいですか?
A告示は地階に設ける部屋として定義していますが、鴻巣市(埼玉県央広域)と鈴鹿市の基準は地階以外にも設置できると書いています。ほかの市で計画するときは消防本部に確かめます。
Q専用室の広さに数字がない市では、どのくらいにすればよいですか?
A数字は市の基準ごとに違いますが、比べた中では一辺おおむね90cm以上かつ2㎡以上とする市が多く見られました。数字のない市では、はしごの操作に支障がないことを図面で示して相談します。
Q上昇口の大きさやふたの基準も市によって違いますか?
A上昇口は直径0.5m以上の円が内接する大きさで、上部が専用室でなければ金属製のふたを設けます。津市・鴻巣市・堺市・東大阪市の基準は、この部分を告示とほぼ同じ文で書いていました。

まとめ

✔施行令第25条の表で、地階に使える避難器具は避難はしごと避難用タラップだけ
✔国の告示は地階の避難はしごを固定式にし、ドライエリアか避難器具専用室に置くよう定めている
✔告示第四の一は、専用室を不燃材料で区画すればよいとしている
✔津市は専用室を耐火構造の壁及び床で区画するとし、地階が一階層のみなら不燃材料を認める
✔広さは鴻巣市・鈴鹿市・大阪市が一辺おおむね90cm以上かつ2㎡以上、四日市市が概ね2㎡以上
✔入口は高さ1.8m以上・幅0.75m以上の防火戸で、津市は標識、鴻巣市は常時閉鎖式と書き足している
✔地下に専用室を計画したら、建物のある市の基準で区画と広さと扉を確かめる

地下の階数を確かめて、専用室の壁と床の造りを決めます!

図面ができたら、早めに消防本部と打ち合わせておきましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令・告示および各消防本部の審査基準に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部でご確認ください。建築基準法上の防火区画は建築確認の審査機関にもご確認ください。

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