建物の中に性格の違う用途が入るとき、建築基準法施行令は用途の境目を防火区画で仕切ることを求めています。いわゆる用途区画(異種用途区画)です。
堺市消防局の「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」は、この用途区画について同じ区分の用途どうしでも原則として区画すると書いています。
その一方で、物品販売店の一角にある喫茶店やホテルのレストランは、4つの条件を満たせば区画をしなくてよいとしています。
では堺市では、店舗と喫茶店のあいだに区画がいるのは、どんな場合なのでしょうか。
この記事では、国の条文と堺市の審査基準を分けて読み、消防法上の扱いと大阪市・東大阪市の基準も確かめます。
堺市で、物販店の中にカフェコーナーを作る改装を考えています。
壁で仕切らないといけないのでしょうか。
堺市の審査基準には、管理者が同じなど4つの条件を満たせば区画を不要とできる取扱いがあります。
ただし原則は区画です。
原則が区画というのは、国の基準と違うのですか。
国の条文は用途の部分とその他の部分を区画せよという書き方です。
堺市はその読み方を具体的に書いています。
- 国の基準(建築基準法施行令第112条第18項)は、建物の一部が建築基準法第27条の各項の各号に当たるとき、その部分とその他の部分の区画を求めています
- 堺市の審査基準は、建築基準法 別表第1(い)欄の同じ区分の用途どうしでも原則として区画するとしています
- ただし物品販売店の一角の喫茶店・食堂やホテルのレストランなどは、管理者が同一・一体利用・利用時間がほぼ同一・車庫や倉庫以外の4つを満たせば区画を不要とできます
- 審査基準の条番号(第112条第12項・第13項、建築基準法第24条)は改正前のもので、現行の条文に当て直して読む必要があります
- 用途区画をしただけで消防法施行令第8条の別の防火対象物になるわけではありません。大阪市・東大阪市の公開の基準には同じ取扱いの記載は見当たりません
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目次
国の基準で用途区画はどんな建物で必要になるのか

ただし、国土交通大臣が定める基準に従い、警報設備を設けることその他これに準ずる措置が講じられている場合においては、この限りでない。
| 別表第1(い)欄 | 主な用途 |
|---|---|
| (一)項 | 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場など |
| (二)項 | 病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等など |
| (三)項 | 学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、水泳場、スポーツの練習場など |
| (四)項 | 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、バー、遊技場、公衆浴場、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗など |
| (五)項 | 倉庫など |
| (六)項 | 自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオなど |
また第18項のただし書で、国土交通大臣が定める基準に従って警報設備を設けるなどの措置があれば、区画をしなくてよい場合もあります。用途区画のほかの区画との違いは防火区画の4つの種類の記事で整理しています。
国の条文は「その部分とその他の部分」という書き方なのですね。
はい、同じ区分の用途どうしをどう扱うかは条文に書かれていません。
そこを堺市が書いています。
堺市の審査基準は同じ区分の用途どうしにも区画を求めるのか

- 審査基準は「建基政令第112条第12項、第13項」と書いている。現行の建築基準法施行令では、法第27条の各号に当たる部分を区画する規定は第112条第18項にある(審査基準の第9-1表でも、この区画は「異種用途区画」として特定防火設備の欄に並んでいる)
- 審査基準が挙げる「建基法第24条各号」と例の「第24条第1号の学校と劇場」は、改正前の条文を指している。e-Govで確かめると、現行の建築基準法第24条は市街地の区域の内外にわたる建築物の措置を定めた別の内容の条文になっている
- 残る「同法第27条第1項各号」は現行の第27条第1項にあり、現行の第18項は第2項・第3項の各号も含めて区画の対象にしている
- 「別表第1(い)欄の同一号内の用途相互間」は、現行の別表第1でいえば同じ項に並ぶ用途どうしと読める。たとえば(四)項には百貨店と、第115条の3第3号で類するものとされた飲食店がいっしょに入っている
- 堺市は、こうした同じ項の用途どうしのあいだも原則として区画すると読んでいる
同じ(四)項どうしなら区画はいらないと思っていました。
堺市の審査基準では、同じ区分でも原則は区画です。
例外は次の見出しの4つの条件です。
堺市で物販店の中の喫茶店に区画がいらないのはどんな場合か

(1) 管理者が同一であること。
(2) 利用者が一体施設として利用するものであること。
(3) 利用時間がほぼ同一であること。
(4) 自動車車庫、倉庫等以外の用途であること。
4つの条件を、計画のときに確かめる順に並べると次のとおりです。
- 主の用途の一角にある喫茶店・食堂・レストランなどか(物品販売店の一角、ホテルのレストランが例)
- 管理者が同一か(店舗と喫茶店を別の会社が運営する場合は当たらないと読める)
- 利用者が一体施設として利用するか(買い物客がそのまま立ち寄るような使い方)
- 利用時間がほぼ同一か(喫茶店だけ深夜まで営業する場合などは当たらないと読める)
- 自動車車庫や倉庫などの火災危険の大きい用途ではないか
- 4つすべてに当たれば、区画は「不要とすることができる」。必ず不要になるのではなく、審査の中で判断される
カフェだけテナントに貸すと、条件の1つ目から外れてしまいますね。
はい、管理者が同一が条件です。
運営の形を決める前に所轄へ相談しましょう。
用途区画の防火戸や防火ダンパーは煙で閉まるものにするのか

ダクトが用途区画を貫通する部分についても、堺市の審査基準は煙で閉まる防火ダンパーにする場合として挙げています。
堺市の審査基準は、日常の管理についても無印で次のように書いています。
店舗と喫茶店のあいだの防火戸の前に、商品の棚を置くのはだめですね。
はい、閉鎖の障害になる物件を置かないことが求められます。
改装のたびに確かめましょう。
用途区画をすると消防用設備は別の建物の扱いになるのか

一 開口部のない耐火構造(建築基準法第二条第七号に規定する耐火構造をいう。以下同じ。)の床又は壁
つまり、店舗と喫茶店のあいだを区画してもしなくても、消防用設備等をどう付けるかは消防法施行令の別表第1の用途と面積で別に判断します。建築の区画と消防の区画は、根拠も目的も違う別の話です。
大阪市の「消防用設備等の設置に係る運用基準」(45のPDF)と、東大阪市が公開している運用基準(6のPDF)も確かめましたが、用途区画(異種用途区画)の取扱いの記載は見当たりません。どちらも消防用設備等の設置を中心にした基準です。
| 項目 | 国の基準 | 堺市 | 大阪市 | 東大阪市 |
|---|---|---|---|---|
| 用途区画の対象 | 法第27条の各号に当たる部分(第112条第18項) | 同じ | 記載なし | 記載なし |
| 同じ区分の用途どうし | 条文に定めなし | 原則として区画(無印) | 記載なし | 記載なし |
| 店舗の一角の喫茶店など | 条文に定めなし | 4つの条件で区画不要とできる | 記載なし | 記載なし |
| 区画の防火設備 | 遮煙性能・煙で自動閉鎖(第19項第2号) | 同じ(第9-1表) | 記載なし | 記載なし |
| 消防法の別の防火対象物 | 令第8条の区画が必要 | 同じ | 同じ | 同じ |
区画したから消防設備も別々に考えられる、というわけではないのですね。
はい、消防法の別の防火対象物は令第8条の区画です。
建築と消防を分けて確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まずカフェの運営と営業時間を決めてから相談します。
堺市の計画なら早めに所轄に聞いてみます!
堺市では、同じ区分でも原則は区画、例外は4つの条件です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第1章 総則 4 凡例、第2章 第1節 総論 第9 防火区画 1(1)・3・4(2)(第9-1表)・5(4)・6(1) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 東大阪市消防局 公開の運用基準 https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 建築基準法 第24条・第27条・別表第1(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令 第112条第18項・第19項、第115条の3(e-Gov法令検索)
- 消防法施行令 第8条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および堺市・大阪市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各市の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。個々の建物で用途区画が必要かどうかは、建築確認の窓口と所轄の消防署にご確認ください。





