都市ガスのように空気より軽いガスを使う厨房では、ガス漏れ検知器を天井付近に付けます。
国の消防法施行規則は、天井付近に吸気口があればその付近にも設けるとしていますが、何メートル先の吸気口までかは書いていません。
鴻巣市を受け持つ埼玉県央広域消防本部の審査基準は、ここに12m・4m・8mの線を引いています。
埼玉県央広域の基準を軸に、鈴鹿市・大阪市・堺市・四日市市・津市の書き方も並べて比べます。
鴻巣市の店舗の改装で、厨房から離れた天井に吸気口が増えることになりました。
検知器も増やさないといけないのでしょうか。
燃焼器から吸気口までの水平距離で答えが変わります。
まず国の規則から順にたどってみましょう。
ほかの市でも同じ距離で決まっているのですか。
5つの本部は同じ数字ですが、津市だけ書き方が違います。
6つの本部を並べて見ていきます。
- 消防法施行規則第24条の2の3第1項第1号イは、天井面等の付近に吸気口があれば最も近い吸気口の付近にも検知器を設けるとするが、距離の数字は書いていない
- 埼玉県央広域は、燃焼器から12m以内(4m以内を除く)で天井面から0.6m未満の吸気口があれば、吸気口からおおむね1.5m以内にも検知器を設けるとしている
- 最も近い吸気口が4mを超え8m以内なら、吸気口付近の1つで燃焼器側の検知器を省略できる
- 鈴鹿市・大阪市・堺市・四日市市も同じ12m・4m・8mの線引きで、付いている印(▲・◆・印なし・下線なし)が違う
- 津市は12mの線を書かず、8m以内に吸気口があれば吸気口付近だけで足りるとし、天井から0.6m以上下がった壁の吸気口は不要としている
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目次
国の基準では吸気口の付近に検知器をどう置くことになっているのか

空気より軽いガスはイ、重いガスはロに分かれていて、吸気口が出てくるのはイだけです。
一 ガス漏れ検知器(以下「検知器」という。)は、天井の室内に面する部分(略。以下「天井面等」という。)又は壁面の点検に便利な場所に、次のイ又はロに定めるところによるほか、ガスの性状に応じて設けること。ただし、(略)ガス燃焼機器(以下「燃焼器」という。)の廃ガスに触れやすい場所その他ガス漏れの発生を有効に検知することができない場所に設けてはならない。
イ 検知対象ガスの空気に対する比重が一未満の場合には、次の(イ)から(ニ)までに定めるところによること。
(イ)燃焼器(略)又は貫通部(略)から水平距離で八メートル以内の位置に設けること。ただし、天井面等が〇・六メートル以上突出したはり等によつて区画されている場合は、当該はり等より燃焼器側又は貫通部側に設けること。
(ハ)燃焼器若しくは温泉の採取のための設備(以下この号において「燃焼器等」という。)が使用され、又は貫通部が存する室の天井面等の付近に吸気口がある場合には、当該燃焼器等又は貫通部との間の天井面等が〇・六メートル以上突出したはり等によつて区画されていない吸気口のうち、燃焼器等又は貫通部から最も近いものの付近に設けること。
(ニ)検知器の下端は、天井面等の下方〇・三メートル以内の位置に設けること。
国の規則が数字で決めているのは、燃焼器から8m以内、はりの0.6m、検知器の下端0.3mまでです。
吸気口については「天井面等の付近」にあれば「最も近いものの付近」に設けるとだけ書いていて、燃焼器から何メートルまでの吸気口を見るのか、吸気口から何メートルを「付近」とするのかは書いていません。
空気より重いガスのロには、吸気口の決まりそのものがありません。
吸気口から検知器までの目安や、天井から下がった壁の吸気口についての国の質疑応答は、記事末の関連記事で解説しています。
明日やることは、自分の建物で使っているガスが空気より軽いのか重いのかを、ガス事業者の資料で確かめることです。
国の規則だけだと、どこまでの吸気口を見るのか決められないのですね。
そこで効いてくるのが各本部の審査基準です。
次は埼玉県央広域の書き方です。
鴻巣市を受け持つ埼玉県央広域はどの吸気口まで検知器を求めるのか

その審査基準の第4章 第11 ガス漏れ火災警報設備は、5⑵イで空気より軽いガスの置き方を書き足しています。
イ 空気に対する比重が1未満の場合に対する設置方法
設置方法は、省令第24条の2の3第1項第1号イ((ロ)を除く。)の規定によるほか、次によること。
(ア) 燃焼器から水平距離が8m以内のガス漏れを最も有効に検知することができ、かつ、廃ガスの影響の少ない位置に検知器を設けること。
(イ) 燃焼器から水平距離12m以内(廃ガスの影響を受けやすい水平距離4m以内を除く。)で天井面から0.6m未満の位置に吸気口がある場合は、前(ア)により検知器を設けるほか、燃焼器から最も近い吸気口付近(吸気口からおおむね1.5m以内の場所)に検知器を設けること。▲
埼玉県央広域は、国の規則の「天井面等の付近」と「付近」に、次の数字を当てています。
▲は、埼玉県央広域の凡例で行政指導を表す印です(画像で確かめました)。
- 国の規則イ(イ)と県央の(ア)で、燃焼器から8m以内の廃ガスの影響の少ない位置に検知器を1つ置く
- 県央の(イ)で、燃焼器から12m以内にある吸気口を探す(4m以内の吸気口は廃ガスの影響を受けやすいとして範囲から外す)
- その吸気口が天井面から0.6m未満の位置にあるかを見る
- 当てはまれば、燃焼器から最も近い吸気口からおおむね1.5m以内にもう1つ置く(▲)
冒頭の質問の店舗なら、増える吸気口がバーナーの中心から12m以内で天井から0.6m未満かどうかが分かれ目です。
なお、12mより遠い吸気口や4m以内の吸気口しかない部屋の扱いは、(イ)には書かれていません。
明日やることは、厨房の天井伏図にバーナーの中心から8mと12mの円を描き、その中にある吸気口に印を付けることです。
増える吸気口が10mくらいの所なら、検知器が2つになるのですね。
天井から0.6m未満で、それが最も近い吸気口ならそうなります。
吸気口の高さも図面で確かめましょう。
吸気口が4mを超え8m以内なら検知器は1つでよいのか

吸気口が燃焼器に近く、8mの範囲に入っている場合です。
ただし、最も近い吸気口が燃焼器から水平距離が4mを超え8m以内にあり当該吸気口付近に検知器を設けた場合は、前(ア)に設ける検知器を省略することができる。(第11-10図参照)
吸気口付近の検知器が燃焼器から8m以内に入るので、燃焼器側の(ア)の検知器を省略できるという形です。
このただし書には▲が付いていません(画像で確かめました)。
吸気口の距離ごとに、県央の書き方を並べると次のとおりです。
表の「書かれていない」は、検知器が要らないという意味ではありません。
明日やることは、天井伏図の吸気口が下の表のどの行に当たるかを確かめ、検知器の数を設備業者と突き合わせることです。
| 最も近い吸気口の位置(燃焼器からの水平距離) | 埼玉県央広域の(イ)の書き方 | 検知器 |
|---|---|---|
| 4m以内 | 廃ガスの影響を受けやすいとして(イ)の範囲から除く | (ア)の1つ(この場合の吸気口付近の扱いは書かれていない) |
| 4mを超え8m以内 | 吸気口付近(おおむね1.5m以内)に設ければ(ア)を省略できる | 吸気口付近の1つでよい |
| 8mを超え12m以内 | (ア)のほか吸気口付近(おおむね1.5m以内)に設ける(▲) | 2つ |
| 12mを超える | (イ)には書かれていない | 所轄に確かめる |
吸気口を燃焼器に近づければ、検知器は1つで済むこともあるのですね。
ただし4m以内に寄せると廃ガスの影響が出ます。
配置を変える前に所轄と相談しておくと安心です。
ほかの消防本部も同じ12mと8mの線引きなのか

津市だけは、国の規則に近い書き方をしています。
3 軽ガスに対する設置方法◆
燃焼器等から水平距離12メートル以内(廃ガスの影響を受けやすい水平距離4メートル以内を除く。)で天井面から0.6メートル未満の位置に吸気口がある場合は、規則第24条の2の3第1項第1号イの規定により検知器を設けるほか、燃焼器から最も近い吸気口付近(吸気口からおおむね1.5メートル以内の場所)に検知器を設けること(略)。ただし、最も近い吸気口が燃焼器等から水平距離4メートルを超え8メートル以内にある場合は、当該吸気口付近に検知器を設けることで足りる(略)。
津市予防事務審査検査基準 5-12 ガス漏れ火災警報設備 1⑵ア(抜粋)
(ウ) 天井面等の付近に吸気口がある場合は、燃焼器又は貫通部から最も近い吸気口付近に設けること。なお、燃焼器又は貫通部から8m以内に吸気口がある場合には、当該吸気口の付近に設置すれば、(ア)の規定によるものは設置する必要はない。
(オ) 天井面等より0.6m以上下がった位置の壁面にある吸気口付近には、検知器の設置は要しない。
鈴鹿市は県央とほぼ同じ文で▲、大阪市は見出しに◆(行政指導基準)、堺市は印なし、四日市市は下線なし(四日市市は行政指導を下線で示します)でした(いずれも画像で確かめました)。
ただし書の結びは、県央・鈴鹿市が「省略することができる」、大阪市が「足りる」、堺市が「この限りでない」、四日市市が「下図の例によることができる」と少しずつ違います。
津市は12mの線を書かず、図でも8m以上離れた吸気口の付近に検知器を描いています。
そのうえで8m以内に吸気口があれば吸気口付近だけで足りるとし、4m以内を除く書き方はしていません。
明日やることは、下の表で建物のある本部の行を探し、吸気口の距離の数え方を確かめることです。
| どこまでの吸気口を見るか | 1つで足りる場合 | 吸気口からの距離 | 印 | |
|---|---|---|---|---|
| 国の規則 | 天井面等の付近の吸気口(距離の数字なし) | 書かれていない | 書かれていない | - |
| 埼玉県央広域(鴻巣市など) | 燃焼器から12m以内・4m以内を除く・天井面から0.6m未満 | 4mを超え8m以内 | おおむね1.5m以内 | 本文▲・ただし書は無印 |
| 鈴鹿市 | 県央と同じ | 県央と同じ | おおむね1.5m以内 | 本文▲・ただし書は無印 |
| 大阪市 | 県央と同じ | 県央と同じ(足りる) | おおむね1.5m以内 | ◆ |
| 堺市 | 県央と同じ | 県央と同じ(この限りでない) | おおむね1.5m以内 | 印なし |
| 四日市市 | 県央と同じ | 県央と同じ(下図の例による) | おおむね1.5m以内 | 下線なし |
| 津市 | 最も近い吸気口(12mの記載なし)・0.6m以上下がった壁面の吸気口は不要 | 8m以内 | 1.5m以内で流動方向に沿う方向 | 記号なし |
つまり数字はほぼ共通で、津市だけ遠い吸気口にも触れているのですね。
そのとおりです。
本部をまたいで出店するときは図面の描き直しが要ることもあります。
自分の建物の厨房では何を測っておけばよいのか

吸気口の決まりが関係するかどうかは、まずここで分かれます。
ア 共通事項
省令第24条の2の3第1項第1号イ(イ)及びロ(イ)の水平距離の算定は、次に定める距離によること。
(ア) 燃焼器は、バーナー部分の中心からの水平距離
ウ 空気に対する比重が1を超える場合に対する設置方法
設置方法は、省令第24条の2の3第1項第1号ロ((ロ)を除く。)の規定によるほか、次によること。
(ア) 床面に段差がある場合、燃焼器又は貫通部の設けられている側に検知器を設けること。
吸気口の12m・4m・8mの線引きはイ(空気より軽いガス)の項目で、空気より重いガスのウには吸気口の項目がありません。
軽いガスなら、距離は機器の端ではなくバーナーの中心から水平に測ります。
吸気口が天井から何センチ下がっているかと、間に0.6m以上のはりがあるかも、検知器の数に響きます。
明日やることは、次の5点を設備業者と一緒に図面で確かめることです。
- 使っているガスが空気より軽いか重いか
- バーナーの中心から各吸気口までの水平距離
- 吸気口の位置が天井面から0.6m未満かどうか
- 燃焼器と吸気口の間に0.6m以上突き出したはりがあるか
- 吸気口の付近の検知器が吸気口からおおむね1.5m以内にあるか
距離をバーナーの中心から測るとは知りませんでした。
厨房の機器を入れ替えるとバーナーの位置も動きます。
改装のたびに距離を測り直しましょう。
よくある質問
まとめ
まずは天井伏図に12mの円を描いてみます!
鴻巣市なら4mと8mと12mが分かれ目です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則 第24条の2の3(e-Gov法令検索)
- 埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第4章 第11 ガス漏れ火災警報設備(埼玉県央広域消防本部)
- 鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第4章 第11 ガス漏れ火災警報設備(鈴鹿市消防本部)
- 大阪市消防局 消防用設備等の設置に係る運用基準 第2章 第2節 ガス漏れ火災警報設備(大阪市消防局)
- 堺市消防同意・消防用設備等審査基準 第13 ガス漏れ火災警報設備(堺市消防局)
- 四日市市消防同意事務審査基準 第11 ガス漏れ火災警報設備(四日市市消防本部)
- 津市予防事務審査検査基準 5-12 ガス漏れ火災警報設備(津市消防本部)
※本記事は各消防本部が公表している審査基準と消防法施行規則に基づく一般的な解説です。東大阪市は、手元の運用基準にガス漏れ火災警報設備の節が見当たらなかったため比べていません。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





