避難口誘導灯は、非常口などの上で緑色に光る誘導灯です。どの出入口に付けるかは国の規則で決まっていますが、廊下が曲がっている場合や、防火戸がある場合には迷うことがあります。
大阪市消防局の運用基準は、避難口誘導灯の設置場所について6つの項目を定めています。行き止まりの廊下では、曲り角に矢印付きの誘導灯を付ければ足りる場合も示しています。
この記事では、国の基準と大阪市の運用を分けて読み、東大阪市と堺市の書き方とも比べます。堺市は別の項の条件を借りて書いている部分があるので、そのつながりも順にたどります。
大阪市でテナントの内装を変えます。
行き止まりの廊下の奥に階段があるのですが、誘導灯はどこに付けますか?
大阪市の運用基準には、曲り角に付ければ足りる場合が書かれています。
まず国の基準から確かめましょう。
防火戸や、奥の部屋を通り抜ける間取りもあります。
それにも決まりがありますか?
どちらも同じ設置場所の項目に並んでいます。
順に見ていきます。
- 国の基準は、避難口誘導灯を直接地上への出入口・直通階段の出入口など4種類の避難口の上部又は直近に設けるとしています
- 大阪市は設置場所として、平行な出入口・避難階の出口・曲り角・防火設備・連続した居室・連続した出入口の6項目を足しています(行政指導の印◆)
- 避難口から歩行距離5メートル以下の曲り角で、見とおせて途中に出入口がなく行き止まりの廊下なら、矢印付きを曲り角に付ければ足ります
- 奥の部屋を通らないと廊下に出られない間取りでは、各居室の出入口に設けます。ただし国の告示と同じ「見とおせて100平方メートル以下」の居室は除きます
- 東大阪市は同じ文で、堺市は別の項の条件を借りる書き方です。最新の内容は管轄の消防署で確認します
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目次
国の基準では避難口誘導灯をどこに付けるのか

イ 屋内から直接地上へ通ずる出入口(附室が設けられている場合にあつては、当該附室の出入口)
ロ 直通階段の出入口(附室が設けられている場合にあつては、当該附室の出入口)
ハ イ又はロに掲げる避難口に通ずる廊下又は通路に通ずる出入口(室内の各部分から容易に避難することができるものとして消防庁長官が定める居室の出入口を除く。)
ニ イ又はロに掲げる避難口に通ずる廊下又は通路に設ける防火戸で直接手で開くことができるもの(くぐり戸付きの防火シャッターを含む。)がある場所(略)
ニのかっこ書で省略できる防火戸の条件は、常時開放式の防火戸の記事で解説しています。
国の条文は「どの出入口に付けるか」を決めていますが、廊下が曲がっているときや、防火戸から2方向に逃げられるときに、灯をどこにいくつ付けるかまでは書いていません。そこを補っているのが大阪市の運用基準です。
国の基準は、避難口を4種類に分けて決めているのですね。
はい、イとロが主要な避難口です。
大阪市はここに設置場所の細かい決まりを足しています。
大阪市の運用基準は設置場所に何を足しているのか

6つの項目を並べると、次のとおりです。
| 項目 | どんな場所か | 付け方 |
|---|---|---|
| (1) | 出入口が通路等に平行して設けられている | 矢印付きを出入口の前面通路等の上部に |
| (2) | 屋内の直通階段の避難階の出口 | 設置する(乗り換え構造などで避難階と容易に判断できれば不要) |
| (3) | 避難口から歩行距離5メートル以下の曲り角 | ア〜ウに当たれば矢印付きを曲り角に付けて足りる |
| (4) | 廊下等の防火設備から2方向に避難できる | 防火設備の両側(主要な避難口から20メートル以内なら避難口の側は付けない) |
| (5) | 居室が連続し、他の居室を通らないと廊下等に出られない | 各居室の出入口ごと(見とおせて100平方メートル以下の居室などは除く) |
| (6) | 居室の出入口が連続して2以上ある | 10メートルにつき1個以上で足りる |
ただし書の乗り換え構造は、避難階で階段がいったん途切れて、そのまま下へ続けて下りられない形を指すと考えられます。具体的な形は運用基準に書かれていないので、所轄の消防署に確かめると確実です。
階段の出口は、避難階かどうかで扱いが変わるのですね。
はい、避難階を通り過ぎないための出口です。
次は曲り角の項目を見ましょう。
曲り角に付ければ足りるのはどんな廊下か

ア 廊下等の曲り角から避難口を容易に見とおし、かつ、識別することができること
イ 廊下等の曲り角から避難口までの間に居室等の出入口がないこと
ウ 廊下等は、行き止まりであること
- 国の規則第28条の3第3項第1号が、避難口誘導灯を避難口の上部又はその直近に付けるとする
- 大阪市の第2の柱書が、国の規定と告示第2号によるほか、次によるとする
- 1の(3)で、避難口が廊下等の曲り角から歩行距離5メートル以下の位置にあるかを確かめる
- ア 曲り角から避難口を見とおせて識別できる、イ 間に居室等の出入口がない、ウ 廊下等が行き止まり、の3つに当たるかを確かめる
- 当たれば、矢印付きの避難口誘導灯を曲り角に付けることで足りる
3つの条件のうち1つでも欠けると、(3)は使えません。たとえば枝の廊下の途中に倉庫の扉があれば、イに当たらないので、避難口の上部に付ける国の原則に戻ります。
なお、国の規則は通路誘導灯についても、廊下又は通路の曲り角に設けるとしています(第28条の3第3項第2号イ)。曲り角に付けた灯が通路誘導灯の役目も果たすかどうかは運用基準に書かれていないので、図面の段階で所轄に確かめましょう。
行き止まりで、途中に扉がなく、5メートル以内なら曲り角の灯で足りるのですね。
はい、3つの条件と5メートルをすべて満たすことが前提です。
扉が1枚あるだけで使えなくなります。
防火戸や連続した居室ではどこに付けるのか

ただし書は、防火設備が主要な避難口から20メートル以内のときは、その避難口の側には付けないとしています。運用基準の図では、防火戸の階段側の位置に×印が付いています。理由は書かれていません。
1の(5)と(6)は、居室の出入口の項目です。
ア 居室の出入口が、当該居室の各部分から容易に見とおし、かつ、識別することができること
イ 床面積が100平方メートル(主として防火対象物の関係者及び関係者に雇用されている者(略)の使用に供するものにあっては、400平方メートル)以下である居室に設けられた出入口
ただし書のアとイは、国の告示 第三 第二号の2条件と同じ内容です。大阪市は、国が廊下への出入口について定めた除外の条件を、居室から居室への出入口にも当てていることになります。
イの(略)とした部分には、関係者に雇用されている者を「当該防火対象物(特に避難経路)について熟知している者」に限り、通常出入りしていないなど内部の状況に不案内な者は含まないという説明が入っています。400平方メートルの枠を使えるのは、建物の中をよく知っている人が使う居室だけです。
注1 2以上の出入口が断続的にある場合は、出入口ごとに設けること
注2 可動式の間仕切りにより2以上に区画されている場合は当該区画をそれぞれ1の居室とみなす。
会議室などを可動式の間仕切りで分けて使う場合は、注2のとおり区画ごとに1つの居室と数えます。間仕切りを閉めた状態で、それぞれの区画の出入口を考えることになります。
奥の部屋の出入口は、国の条文だけを読むと対象外に見えますね。
そこを大阪市は◆の行政指導基準で求めています。
小さく見とおせる居室なら不要です。
東大阪市や堺市では設置場所はどう書かれているのか

堺市消防局の審査基準は、書き方が違います。設置箇所の本文は国の規則のイからニをほぼそのまま書き直し、そこに堺市独自の指導基準(★)の項目を足しています。
連続した居室の扱いは、堺市では「避難口誘導灯の設置を要しない部分」の側に書かれています。ここで別の項の条件を借りる書き方が出てきます。
(ア) 室内の各部分から当該居室の出入口を容易に見とおし、かつ、識別することができること。
(イ) 当該居室の床面積は100 ㎡(主として防火対象物の関係者及び関係者に雇用されている者の使用に供するものにあっては、400 ㎡)以下であること。
- 国の規則第28条の3第3項第1号ハが、廊下又は通路に通ずる出入口から消防庁長官が定める居室の出入口を除く
- 告示第2号 第三 第二号が、その居室を見とおせて100平方メートル(関係者等は400平方メートル)以下と定める
- 堺市の2(1)ウ(◆)が、同じ2条件を書き写して、廊下等に通ずるその居室の出入口を設置を要しないとする
- 堺市の2(1)エ(★)が、ウの(ア)及び(イ)を借りて、連続した居室の出入口にも同じ除外を当てる
大阪市・東大阪市は(5)のただし書に同じ2条件を書き込み、堺市はウを借りて書いています。書き方は違いますが、見とおせて100平方メートル以下の居室の出入口なら不要という結論はそろっています。比べると次のとおりです。
| 項目 | 大阪市 | 東大阪市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 項目の印 | 設置場所に◆(行政指導基準) | 同じ(◆) | 項目ごとに無印・◆・★ |
| 平行な出入口 | 矢印付きを前面通路等の上部 | 同じ | 本文に項目なし(図に平行取付け・対面取付けの例) |
| 避難階の出口 | 直通階段の避難階の出口に設置(乗り換え構造などは不要) | 同じ | 避難経路以外の経路がある場合に、階段室から廊下等への出入口(★) |
| 曲り角 | 5メートル以下・ア〜ウに当たれば曲り角の矢印付きで足りる | 同じ | 屈折して至る場合は矢印付き(図に概ね3m以内)、足りるとする本文はない |
| 廊下等の防火設備 | 両側に設ける(主要な避難口から20メートル以内なら避難口の側は付けない) | 同じ | 国のニと同じ箇所、両側・20メートルの定めは見当たらない |
| 連続した居室 | 各居室の出入口ごと(見とおし・100平方メートル以下は除く) | 同じ | ウの条件を借りて不要の範囲を定める(エ★) |
| 連続した出入口 | 10メートルにつき1個以上 | 同じ | 見当たらない |
- 各出入口が国の規則のイからニのどれに当たるかを図面に書き込む
- 通路に平行な出入口には、前面通路の上に矢印付きを付ける
- 行き止まりの枝の廊下の奥にある避難口は、5メートル以下・見とおし・途中に出入口なしを満たすかを確かめる
- 廊下の防火設備は、2方向に避難できるか、主要な避難口から20メートル以内かを確かめる
- 奥の部屋の出入口と並んだ出入口の数え方を図面で整理し、所轄の消防署と事前に協議したか
東大阪市は大阪市と同じで、堺市は曲り角の決まり方が違うのですね。
はい、曲り角で足りるとする本文は大阪市と東大阪市だけです。
建物のある市の基準で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず図面の出入口にイからニの区分を書き込みます。
枝の廊下は5メートルと扉の有無を測ります!
大阪市では、曲り角と防火戸と連続した居室の置き方が要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例、第3章 第2節 誘導灯及び誘導標識 第1 用語の意義、第2 避難口誘導灯(柱書・1 設置場所(1)〜(6)) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 東大阪市消防局「誘導灯及び誘導標識の運用基準」凡例、第2 避難口誘導灯(柱書・1 設置場所⑴〜⑹) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第1章 総則 4 凡例、第3章 第1節 第18 誘導灯及び誘導標識 Ⅱ 細目 2(1)ウ・エ、3(2)ア(ア)・イ(ア) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行令 第26条第2項第1号/消防法施行規則 第28条の3第3項第1号・第2号(e-Gov法令検索)
- 誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年消防庁告示第2号)第三 第二号(総務省消防庁)
※本記事は公表されている法令および大阪市・東大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。個々の建物で避難口誘導灯をどこに付けるかは、設計の段階で所轄の消防署にご確認ください。





