事務所の受信機で、敷地内の別棟の倉庫まで自動火災報知設備の感知器を見張りたい。そんなときは、感知器の配線を建物の外へ出して隣の棟まで引くことになります。
国の規則は配線について「電気工作物に係る法令の規定によるほか」と書くだけで、屋外の配線を何メートル埋めるか、どの高さで渡すかまでは書いていません。東大阪市消防局の運用基準は、地中配線・架空配線・屋側配線ごとに、埋める深さや電線の高さを数字で決めています。
この記事では、国の基準と東大阪市の運用を分けて読み、大阪市・堺市の運用基準とも比べます。
東大阪市で、事務所の受信機から別棟の倉庫まで感知器の配線を引く予定です。
屋外の配線に決まりはありますか。
東大阪市の運用基準に、地中と架空それぞれの工事方法が書かれています。
埋める深さや渡す高さに数字があります。
大阪市や堺市でも同じなのですか?
数字はほとんど同じですが、細かな違いもあります。
国の規則から順に見ていきましょう。
- 国の規則第24条第1号は、自動火災報知設備の配線を電気工作物に係る法令の規定によるほか同号イからチまでによるとし、屋外配線の深さや高さの数字は書いていません
- 東大阪市は、地中配線を直接埋めるとき車両などの重さがかかる場所は1.2メートル以上、その他は0.6メートル以上の深さとし、電力ケーブルから0.3メートル以上(特別高圧は0.6メートル以上)離します
- 東大阪市は、架空配線の高さを道路の横断は地表上6メートル以上、鉄道・軌道の横断は軌道面上5.5メートル以上、その他は地表上5メートル以上(道路以外は4メートル以上)とします
- 架空部分の長さの合計が50メートルを超えるときは、自動遮断器と避雷器と接地工事からなる保安装置を設けます
- 大阪市・堺市の数字もほぼ同じですが、低圧架空線との共架の離隔などに違いがあります。最新の内容は管轄の消防署で確認します
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目次
国の規則は自動火災報知設備の配線をどこまで決めているのか

(略)
ニ 自動火災報知設備の配線に使用する電線とその他の電線とは同一の管、ダクト(絶縁効力のあるもので仕切つた場合においては、その仕切られた部分は別個のダクトとみなす。)若しくは線ぴ又はプルボックス等の中に設けないこと。
東大阪市の運用基準は、この規則の上に次のように書き足しています。
- 規則第24条第1号柱書で、配線は電気工作物に係る法令の規定によるほか、同号イからチまでによる
- 東大阪市の8柱書で、配線は規則第24条第1号の規定によるほか、次による
- 8⑴で、使う電線は別表第3の配線区分ごとの電線か、これと同等以上のものとする
- 8⑵で、工事方法を屋内配線・地中配線・架空配線・屋側配線・接地に分けて決める
- ⑵ウの架空配線は、長さが50メートルを超えると図98の保安装置を付ける
なお、耐火・耐熱の保護が要る配線は8⑴の電線の種類から除かれています。耐火配線と耐熱配線の使い分けは配線試験と系統図の記事で解説しています。
国の規則には、屋外の配線の深さなどは書いていないのですね。
はい、数字は東大阪市の運用基準に書かれています。
まず地中配線から見ます。
東大阪市で配線を地中に埋めるときの深さと離隔は

(イ) 管路引入れ式、暗きょ式及び直接埋設式共通事項
a 地中箱及び地中電線を収める管は、堅ろうで車両等の重圧に耐え、かつ、水が侵入しにくい構造とすること。
b 地中箱の底部には、水抜きを設けること。
c 自動火災報知設備用ケーブルと電力ケーブルは、0.3メートル(特別高圧の電力ケーブルの場合は、0.6メートル)以上離すこと。ただし、電磁的に遮蔽を行い、かつ、耐火性能を有する隔壁を設けた場合は、この限りでない。
(ウ) 直接埋設式による場合の埋設深さは、車両その他の重量物の圧力を受けるおそれのある場所については、1.2メートル以上、その他の場所にあっては、0.6メートル以上とすること。
- 工事は管路引入れ式・暗きょ式・直接埋設式のどれかで行う
- 地中箱と管は、車両などの重さに耐え、水が入りにくい構造にする
- 地中箱の底には水抜きを設ける
- 電力ケーブルとは0.3メートル以上(特別高圧の電力ケーブルなら0.6メートル以上)離す。電磁的に遮蔽し、耐火性能のある隔壁を設ければ不要
- 直接埋設式の深さは、車両など重いものの圧力がかかるおそれがある場所で1.2メートル以上、その他の場所で0.6メートル以上
電力ケーブルとの離隔は、国の規則第24条第1号ニがほかの電線と同じ管・ダクトに入れないとしているのと同じ方向の考え方で、地中では距離で離す形になっています。
駐車場の下を通すなら、1.2メートル以上埋めるのですね。
はい、重さのかかる場所は1.2メートル以上です。
次は電柱で渡す架空配線です。
東大阪市で架空配線を渡すときの高さと支持物は

(イ) 木柱、鉄筋コンクリート柱等の支持等は、根入れを支持物の全長の6分の1とし、かつ、埋設深さは、0.3メートル以上とすること。
(ウ) 支線及び支柱
a 支線は、その素線の直径が3.2ミリメートル以上の亜鉛メッキ鉄線又はこれと同等以上の防食性及び引張り強さを有するものを用い、素線は3条以上のより合せたものを使用すること。
e 架空電線の高さは、次によること。
(a) 道路を横断する場合は、地表上6メートル以上とすること。
(b) 鉄道又は軌道を横断する場合は、軌道面上5.5メートル以上とすること。
(c) 前(a)及び(b)以外の場合は、地表上5メートル以上とすること。ただし、道路以外の場所に設ける場合は、地表上4メートル以上とすることができる。
| 渡す場所 | 架空電線の高さ(東大阪市) |
|---|---|
| 道路を横断する | 地表上6メートル以上 |
| 鉄道・軌道を横断する | 軌道面上5.5メートル以上 |
| 上の2つ以外 | 地表上5メートル以上 |
| 道路以外の場所 | 地表上4メートル以上とすることができる |
- 支持物は木柱・鉄筋コンクリート柱・鋼管柱・鉄塔のどれか
- 柱の根入れは全長の6分の1とし、埋める深さは0.3メートル以上
- 支線は、直径3.2ミリメートル以上の亜鉛メッキ鉄線などの素線を3条以上より合わせたもの
- 架空電線と建物などの距離は0.3メートル以上
構内なら4メートル、道路をまたぐなら6メートルなのですね。
はい、渡す場所で高さが変わります。
次は電力線と並ぶときの決まりです。
電力線と並べるときや架空部分が50メートルを超えるときは

(略)
c 架空電線は、低圧架空電線又は高圧架空電線の上に設けないこと。ただし、施工上止むを得ない場合で、架空電線と低圧架空線又は高圧架空線との間に保護網を設けた場合は、この限りでない。
(略)
f 架空電線を低圧架空線又は高圧架空線と共架する場合は、次によること。
(a) 架空電線は、低圧架空線又は高圧架空線の下に設けること。
(b) 架空電線と他の架空線の離隔距離は、架空線が低圧架空線の場合は、0.75メートル以上、高圧架空線の場合は1.5メートル以上とすること。
架空部分が長くなるときは、雷などから受信機側を守る装置が要ります。
- F:定格電流7A以下の自動遮断器(2本の線それぞれに入れる)
- L:AC500V以下で作動する避雷器
- E:接地工事(避雷器から接地する)
建物の外壁に沿わせる屋側配線は、管やケーブルの支持点の間を2メートル以下とし、メタルラス張りなどの壁に付けるときは十分に絶縁します(8⑵エ)。接地線は導体の直径1.6ミリメートル以上の600ボルトビニル絶縁電線などとし、ヒューズなどの遮断器を入れません(8⑵オ)。
架空の長さの合計が50メートルを超えたら、保安装置が要るのですね。
はい、地中ケーブルだけなら不要です。
最後に大阪市・堺市と比べます。
大阪市・堺市の運用基準と比べて違いはあるのか

| 項目 | 東大阪市 | 大阪市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 直接埋設の深さ | 重量物の圧力のおそれ1.2m以上、その他0.6m以上 | 同じ | 同じ |
| 電力ケーブルとの離隔(地中) | 0.3m以上(特別高圧0.6m以上) | 同じ | 同じ |
| 架空電線の高さ | 道路横断6m・鉄道軌道5.5m・その他5m(道路以外4m) | 同じ | 同じ |
| 柱の根入れ | 全長の6分の1とし、埋設深さ0.3m以上 | 全長の6分の1以上、かつ0.3m以上 | 東大阪市と同じ書き方 |
| 電力線の上に設けない | 低圧・高圧の架空電線の上に設けない | 同じ | 「低圧架空線の上に設けない」と書く |
| 共架の離隔(低圧/高圧) | 0.75m以上/1.5m以上 | 同じ | 0.7m以上/1.5m以上 |
| 保安装置 | 架空部分の合計50m超で設ける | 同じ | 同じ |
| ほかの架空電線との離隔の表 | - | - | 第12-13表を別に載せる |
- 大阪市は柱の根入れを「全長の6分の1以上、かつ、0.3メートル以上」と書き、東大阪市・堺市は「6分の1とし、かつ、埋設深さは0.3メートル以上」と書いている
- 堺市は、低圧架空線との共架の離隔を0.7メートル以上と書いている(東大阪市・大阪市は0.75メートル以上)
- 堺市は、架空電線をほかの架空電線と接近・交差させるときの電線の種類ごとの離隔距離の表を別に載せている
- メッセンジャーワイヤ(ちょう架用線)の太さの表で、3段目のケーブルを東大阪市・堺市は50PC以下、大阪市は55PC以下と書いている(断面積はどれも45)
敷地内の別棟を1つの受信機でまとめるときの考え方は東大阪市の無人の建物と受信機の記事で、中継器の置き場所は東大阪市の中継器の記事で解説しています。東大阪市の建物で屋外の配線を計画するときの確認の順番は次のとおりです。
- 別棟まで地中で通すか、架空で渡すかを決める
- 地中なら、通路の下か植え込みの下かで1.2メートルか0.6メートルの深さを決め、電力ケーブルとの離隔をとる
- 架空なら、道路・鉄道を横断するかで高さを決め、電力線との共架は下側にして離隔をとる
- 架空部分の長さの合計が50メートルを超えるなら保安装置を入れる。設計図ができた段階で所轄の消防署に相談する
3市とも、ほぼ同じ数字なのですね。
はい、共架の離隔など細かな違いはあります。
図面にする前に確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず地中か架空かを決めて、深さと高さを図面に書き込みます。
電力線との離隔も確かめます!
構内か道路かで高さが変わるので現地の確認が要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 東大阪市消防局「自動火災報知設備の設置に係る運用基準」凡例、Ⅱ 細目 8 配線 ⑴ 電線の種類・⑵ 配線及び工事方法(イ 地中配線・ウ 架空配線・エ 屋側配線・オ 接地)、別表第3 https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第10 配線(2 地中配線・3 架空配線・4 屋側配線・5 接地・6 電線の種類)、別表2-1-3 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第12 自動火災報知設備 Ⅱ 細目 8 配線及び工事方法等((2) 電線・(3) 配線及び工事方法) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第24条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および東大阪市・大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。電気工作物に係る法令(電気設備の技術基準など)の中身は本記事では扱っていないので、電気工事の設計では電気の基準もあわせてご確認ください。





