指定数量の5分の1以上、指定数量未満の危険物は少量危険物と呼ばれ、市町村の火災予防条例で基準が決まっています。
屋外で灯油や重油の小さなタンクを何基も並べると、量をタンクごとに数えるのか、まとめて数えるのかが問題になります。
国は令和2年の通知でタンクどうしを1m以上離す方法を示し、津市消防本部は指導運用指針で、防油堤でまとめて囲む屋外タンク群の扱いを決めています。
津市の指針の第3の9をたどり、国の条例(例)と通知、指定数量以上の屋外タンク貯蔵所の基準と比べます。
津市の工場の裏に、灯油の小さなタンクを3基並べています。
まとめて囲いをしたいのですが、量は合計で数えられてしまうのでしょうか。
津市の指針には、防油堤の中のタンクを一つずつの貯蔵取扱場所として扱える条件があります。
条件はタンクの周りの幅と、堤の中の合計の量です。
国の決まりとは違うのですか。
国の通知はタンクの間1mで場所を分ける方法で、津市はそこに点検の空間や合計の上限を足しています。
順番に見ていきましょう。
- 国の条例(例)は屋外の少量危険物の周りに空地を求め、タンクと金属製容器は指定数量の2分の1以上で1m以上としている
- 国の通知(令和2年 消防危第71号)は、タンクの間を1m以上あければ、それぞれを一の貯蔵場所として扱えるとしている
- 津市の指針の第3の9は、防油堤の中の屋外タンク群を、条件つきで一つずつの貯蔵取扱場所として扱えるとしている
- 2分の1以上のタンクは条例の空地(1m)、2分の1未満のタンクは点検のための0.5mの空間を周りに取り、隣のタンクと兼ねてよい
- 一つの防油堤に入れるタンクは合計1万リットル以下で、防油堤を貫く配管は原則として設けない
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目次
津市はなぜ屋外のタンク群に専用の扱いを置いているのか

タンクを何基も並べたとき、どこまでを一つの場所と見るかについて、国の通知が考え方を示しています。
1 複数の少量危険物タンクを設ける場合の取扱いについて(第31条の4第2項第1号関係)
複数のタンクを設ける場合、タンク間の距離を1m以上確保することにより、それぞれのタンクを一の貯蔵場所として取り扱うことができるものであること。
この場合、タンクに接続する配管は、他のタンクに接続される配管と共用することができるものであること。
消防法第10条は、指定数量以上の危険物を許可を受けた製造所・貯蔵所・取扱所以外で貯蔵し取り扱うことを禁じ、品名の違う危険物を同一の場所で扱うときは指定数量で割った商を足して判断するとしています。
そのため、どこまでを一つの場所と見るかは、少量危険物として条例で扱えるかどうかに直結します。
国の通知はその区切り方として、タンクの間を1m以上あける方法を示し、配管は共用してよいとしました。
津市の指針は、これとは別に、一つの防油堤(流出防止の囲い)の中にタンクを並べる屋外タンク群について、第3の9で一つずつ場所として扱う条件を決めています。
条文と指針は次の順につながっているので、上から読むと追いやすくなります。
- 消防法第9条の4:指定数量未満の危険物の貯蔵・取扱いと場所の基準は市町村条例で定める
- 火災予防条例 第31条の3第2項第1号(屋外の場所の空地)・第31条の4第2項第10号(タンクの流出防止の措置)
- 国の通知(令和2年3月17日 消防危第71号):タンクの間1mで一の貯蔵場所・囲いの容量
- 津市の指針 第3の9:屋外タンク群を一つずつの貯蔵取扱場所に(⑴空地と空間 ⑵兼用 ⑶1万リットル ⑷配管)
- 津市の指針 第2の7:屋外タンク群の標識と掲示板は一括でよい
場所の区切り方しだいで、量の数え方が変わってしまうのですね。
そうなんです、まず1基ごとの量を出すのが出発点です。
次は、津市の指針がタンクの周りに求める幅を見ます。
タンクの周りは何m空ければよいのか

2分の1以上は条例の空地、2分の1未満は点検のための空間です。
9 屋外タンク群により危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合は、次の各号に掲げるところにより当該一の屋外タンクを一の貯蔵取扱場所として扱うことができる。(7-1図から7-2図関係)
(略)
(1) 屋外タンク(危険物を移送するための配管を除く。)の周囲には、条例第31条の3第2項第1号に規定する空地を保有すること。
また、指定数量の2分の1未満の屋外タンクには、タンク外面の点検ができるように周囲0.5メートルの空間を保有すること。
ただし、タンクと防油堤間の距離はタンク頂部からの漏えい危険を考慮するものとする。
(2)(略)空地又は空間は、他の屋外タンクに係るものと兼ねることができること。
⑴が借りている条例の第31条の3第2項第1号は、国の条例(例)では、タンクと金属製容器について指定数量の2分の1以上で1m以上の空地を求め、5分の1以上2分の1未満の行は置いていません。
つまり2分の1未満の小さなタンクは条例の空地の表に当たりませんが、津市は群として扱う場合にタンクの外面を点検できるよう周り0.5mの空間を取るとしています。
指針の7-1図は2分の1以上の群を「空地型」、7-2図は5分の1以上2分の1未満の群を「空間型」と呼び、どちらもタンクの間の幅を1本で描いて、⑵のとおり隣のタンクと兼ねる形にしています。
国の通知が場所を分ける目安にした1mと比べると、津市の空間型は防油堤の中に限って0.5mで足りる形になっています。
灯油(第二石油類の非水溶性液体・指定数量1,000リットル)なら500リットルが境目なので、タンクごとに入れる最大の量を確かめ、1mと0.5mのどちらになるかを配置図に書き込みます。
2分の1未満のタンクどうしなら、間は0.5mでよいということですね。
防油堤の中の群として扱うときの点検の空間という位置づけです。
防油堤との距離は、タンクの頂部から漏れた油も考えて取るとされています。
一つの防油堤には何リットルまで入れられるのか

国の通知が決めているのは囲いの容量で、上限の考え方が違います。
(3) 一の流出防止措置(防油堤)内に設置できる屋外タンクの容量の合計は、1万リットル以下とすること。
タンク周囲に設ける囲いは、鉄筋コンクリート製又は鋼板、ステンレス等の金属製のものとするとともに、当該囲いの容量は、タンクの最大容量以上の量を収納できる量とすること。
また、複数のタンクを包含するように囲いを設ける場合、当該囲いの容量は、包含されるタンクのうち、最大のものの容量以上の量を収納できる量とすること。(略)
津市の⑶は、一つの防油堤の中のタンクの容量の合計を1万リットル以下にするとしています。
国の通知は、囲いの容量を中のタンクのうち最大のものの容量以上とし、開閉弁の操作などで複数のタンクから同時に流れ出さないようにするとしていますが、中に入れるタンクの合計の上限は書いていません。
指定数量以上の屋外タンク貯蔵所では、危険物の規制に関する規則第22条第2項第1号が、防油堤の容量を最大のタンクの110パーセント以上としています。
たとえば灯油で1基950リットルのタンクなら、10基で9,500リットルなので上限の内側ですが、11基目からは別の防油堤に分けることになります。
囲いの容量は条例と通知、タンクの合計は津市の指針と、二つの数字を別々に確かめます。
| 項目 | 国の条例(例) | 国の通知(消防危第71号) | 津市の指針 第3の9 | 指定数量以上の屋外タンク貯蔵所 |
|---|---|---|---|---|
| 場所の分け方 | 定めなし | タンクの間1m以上で一の貯蔵場所 | 防油堤の中の群を条件つきで一つずつ | - |
| 周りの幅 | タンク・金属製容器は2分の1以上で1m以上(第31条の3第2項第1号) | タンクの間1m以上 | 2分の1以上は条例の空地・2分の1未満は0.5mの空間(隣と兼用可) | 倍数500以下で3m以上(危政令第11条第1項第2号) |
| 流出防止 | 有効な措置(第31条の4第2項第10号) | 囲いは最大のタンクの容量以上・同時流出の防止 | 一つの防油堤のタンクの合計1万リットル以下 | 防油堤は最大のタンクの110パーセント以上(危規則第22条第2項第1号) |
| 配管 | 配管の共通基準(第31条の2第2項第9号) | 他のタンクと共用できる | 防油堤を貫く配管は原則として設けない | 防油堤等を貫く配管は原則として設けない(危規則第22条第2項第12号) |
| 標識 | 標識と掲示板(第31条の2第2項第1号) | 囲いに付けるなら機能を損なわない位置 | 群に一括で設けてよい(第2の7) | - |
つまり、囲いの大きさと中のタンクの合計は、別々に見るのですね。
そのとおりで、合計の上限は津市の指針にある数字です。
次は、配管と標識で迷いやすいところを見ます。
配管と標識で見落としやすいのはどこか

どちらも、群をまとめて扱うときに迷いやすい部分です。
(4) 流出防止措置(防油堤)には、当該流出防止措置(防油堤)を貫通して配管を設けないこと。ただし、当該流出防止措置(防油堤)に損傷を与えないよう必要な措置を講じた場合は、この限りでない。
7 条例第31条の2第2項第1号に規定する標識等の設置については、次により行うことができるものとする。
(1) 屋外タンク及び移動タンクに係る「類、品名及び最大数量」の標識は、当該タンクの外面に直接記載することができること。
(2) 貯蔵し、又は取り扱う危険物が、ガソリン、灯油、軽油及び重油の場合には、当該品目を記載することにより類及び品名の表示に替えることができること。
(3)(略)屋外タンク群に係る「危険物を貯蔵し、又は取り扱っている旨」の標識及び「防火に関し必要な事項」の掲示板については、当該屋外タンク群に一括して設けることができること。
⑷は防油堤を貫通して配管を設けないとし、防油堤に損傷を与えないよう必要な措置を講じた場合だけを例外にしています。
この言い回しは、指定数量以上の屋外タンク貯蔵所の防油堤について定めた危険物の規制に関する規則第22条第2項第12号とほぼ同じです。
標識は、条例が求める「貯蔵し取り扱っている旨」の標識と「防火に関し必要な事項」の掲示板を、津市は屋外タンク群に一括で設けてよいとしています。
「類、品名及び最大数量」はタンクの外面に直接書いてよく、ガソリン・灯油・軽油・重油なら品目を書けば類と品名の表示に替えられます。
国の通知も、標識を囲いに付けるときは囲いの機能に影響しない位置や方法にするよう求めているので、看板を堤の壁に留めるなら取り付け方を図に描いておきます。
標識は、タンクごとに付けなくてもよいのですね。
旨の標識と掲示板は群にまとめてよく、最大数量などはタンクの外面に書けます。
最後に、明日からの確認の順番です。
明日からなにを確認すればよいのか

指針は、この扱いをするときに所有者等へ維持管理と守るべき基準を教示するとしています。
9 屋外タンク群により危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合は、次の各号に掲げるところにより当該一の屋外タンクを一の貯蔵取扱場所として扱うことができる。(7-1図から7-2図関係)
ただしこの場合、所有者等に対し維持管理および遵守すべき基準について必要な教示をすること。
条例(例)の第46条は、少量危険物を貯蔵し取り扱う者に、あらかじめ消防長(消防署長)へ届出をするよう求めています。
津市の扱いは「扱うことができる」という書き方なので、群として一つずつ数えてもらえるかは、届出の前の相談で確かめるのが確実です。
群の合計が指定数量以上になる配置については指針に特に書かれていないので、その場合は計画の早い段階で扱いを確かめておきます。
確認は次の順に進めると、配置図にそのまま書き込めます。
- タンクごとに品名と入れる最大の量を書き出し、指定数量の5分の1以上か、2分の1以上かを分ける
- 2分の1以上のタンクは周りに条例の空地(1m)、2分の1未満のタンクは0.5mの空間を取り、隣と兼ねる配置にする
- 防油堤とタンクの距離は、タンクの頂部から漏れた場合も考えて取る
- 一つの防油堤のタンクの合計が1万リットル以下か、囲いの容量が最大のタンク以上かを計算する
- 配管は堤を貫かずに通す経路にし、標識と掲示板は群にまとめて付ける位置を決める
タンクを買う前に、配置図に幅と合計の量を書き込んでおきます。
それがいちばん確実です。
図面ができたら、維持管理の方法もあわせて確かめてください。
よくある質問
まとめ
タンクごとの量と幅を配置図にまとめて、津市消防本部に相談してみます!
防油堤の中の合計の量も書いておくと、話が早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 津市消防本部「少量危険物及び指定可燃物の規制に関する指導運用指針」第2 7・第3 9・7-1図・7-2図 https://www.info.city.tsu.mie.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/295/syouryoukikennbutuoyobisiteikanennbutu.pdf
- 指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクに係る火災予防条例(例)の運用について(令和2年3月17日 消防危第71号) 総務省消防庁の掲載PDF
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号)第31条の2・第31条の3・第31条の4・第46条 https://www.fdma.go.jp/laws/laws/items/20230531_joureirei.pdf
- 消防法 第9条の4・第10条(e-Gov法令検索)
- 危険物の規制に関する政令 第11条・別表第三、危険物の規制に関する規則 第22条(e-Gov法令検索)
※本記事は津市消防本部が公表している指導運用指針と、消防庁の通知・火災予防条例(例)・消防法・危険物の規制に関する政令及び規則に基づく一般的な解説です。指針と条例(例)の文章・数字・図は原本の画像で確かめ、長い部分は(略)で省きました。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





