共同住宅用自動火災報知設備は、住戸の感知器が作動すると、まず女声の感知器作動警報で確認を促します。
停止の操作がないまま設定した時間が過ぎるか、火災の信号を受けると、男声の火災警報に切り替わります。
鈴鹿市と埼玉県央広域消防本部の審査基準は、その警報の文例まで書いています。
国の告示のたどり方と、二つの基準の文例・場所の言い方・切り替えの時間を、一般の放送設備の文例とも見比べます。
住戸の感知器が鳴ると、すぐ「火事です」と流れるものだと思っていました。
違うのですか。
いいえ、最初は確認を促す女声が流れます。
そのあとに、火災警報の男声へ切り替わります。
鈴鹿市と埼玉県央広域では、文言まで決まっているのでしょうか。
示されているのは文例で、「これに準ずるもの」でもよい書き方です。
同じ文でなくてよいかは、事前に消防署へ確かめましょう。
- 国の告示は、感知器作動警報を女声、火災警報を男声と決め、2分以上5分以下で設定した時間が過ぎるか火災信号を受けると、火災警報に切り替えると定めている
- 鈴鹿市と埼玉県央広域の審査基準は、女声と男声の文例を示し、どちらも法令基準に行政指導を加えた●の扱いにしている
- 火災警報の文例は、出火した住戸・出火階・直上階の3通りで、いずれも「安全を確認のうえ避難してください。」で結ぶ
- 切り替えの時間の書き方は違い、鈴鹿市は特段の事情があれば政令第32条で最大10分以内、県央広域は「消防機関の認める範囲」で異なる時間にできる
- 一般の放送設備の文例は「落ち着いて避難してください」で、共同住宅の文例とは結びの言い方が違う
▼

目次
共同住宅の火災警報は、国の告示でどう決められているのか

その基準が平成18年消防庁告示第18号で、音声警報装置は第3第9号に書かれています。
ハ メッセージは、感知器作動警報にあっては女声によるものとし、火災警報にあっては男声によること。
ニ 感知器作動警報のメッセージの内容は、次の(イ)及び(ロ)に掲げる区分に従い、当該(イ)及び(ロ)に定めるところによること。(略)
ホ 火災警報のメッセージの内容は、火災が発生した場所、避難誘導及び火災である旨の情報又はこれに関連する内容であること。
実際の言い回しは告示に書かれておらず、各消防本部の審査基準の文例が補っています。
一般の放送設備にも、同じように文例を示す基準があります。
(ア) 感知器発報放送(女声)
「ただいま○階の火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので、次の放送にご注意ください。」
(イ) 火災放送(男声)
「火事です。火事です。○階で火災が発生しました。落ち着いて避難してください。」
共同住宅の火災警報は「安全を確認のうえ避難してください」で結び、一般の放送設備の火災放送は「落ち着いて避難してください」で結んでいます。
感知器が作動したときの文も、一般の放送設備は「係員が確認しております」、共同住宅は「確認してください」と違います。
結びの言い方が違う理由までは、基準に書かれていません。
一般の放送設備と同じ文言で流せばよい、というわけではないのですね。
共同住宅用の設備は、告示18号と審査基準の文例で書き方が分かれます。
まず告示の骨組みから確かめましょう。
住戸の感知器が作動したとき、最初に流れるのは何か

鈴鹿市の第5章 第9 7⑸アを、原文で見ます。
音声警報音のメッセージの内容は、次の文例又はこれに準ずるものとする。●
ア 感知器作動警報
(ア) 住戸、共用室、管理人室の感知器が作動した場合
「火災感知器が作動しました。確認してください。」(女声)
(イ) 住戸、共用室、管理人室以外の部分の感知器が作動した場合
「○○の火災感知器が作動しました。確認してください。」(女声)
住戸の感知器なら場所を言わず、住戸以外の部分なら場所を入れた文です。
埼玉県央広域の第5章 第9 7⑸アも、同じ2通りを同じ文で示しています。
この感知器作動警報は、次のように流れ続けると告示が定めています。
イ(イ) 感知器作動警報は、感知器が作動した旨の信号を受信してから火災警報が発せられるまで又は当該感知器作動警報の停止操作がされるまでの間、第一シグナル、感知器作動警報のメッセージ、一秒間の無音状態の順に連続する警報を一単位として、これを連続して繰り返すものであること。
居住者が確認して火災が発生した旨を通報すると、火災警報になります。
火災が発生していない旨を通報すると、警報が止まります。
また告示は、住戸以外の部分では、感知器の作動から60秒以内に火災警報を発することができる場合に限り、感知器作動警報を省略できるとしています。
入居者には、感知器作動警報が鳴ったらまず現場を確かめ、火災の有無を通報する流れを周知しておきましょう。
最初の女声は、火事だと断定するものではなく、確認を促すものなのですね。
はい、「確認してください」と結ぶ文例です。
居住者の確認を挟む流れになっています。
火災警報は、出火した住戸と出火階と直上階でどう言い分けるのか

鈴鹿市と埼玉県央広域の文例は、出火した住戸、出火階、直上階の3通りです。
イ 火災警報
(ア) 火災が発生した住戸、共用室及び管理人室
「火事です。火事です。火災が発生しました。安全を確認のうえ避難してください。」(男声)
(イ) 出火階
「火事です。火事です。○○で火災が発生しました。安全を確認のうえ避難してください。」(男声)
(ウ) 直上階
「火事です。火事です。○階で火災が発生しました。安全を確認のうえ避難してください。」(男声)
ウ イ(イ)及び(ウ)の「火災が発生した場所」は、具体的な住戸、共用室又は管理人室の名称、部屋番号、階層とする。●
なお、特定共同住宅等の形態から、火災が発生した場所を容易に特定できる場合は、「この近所」として差し支えない。
また、火災が発生した住戸、共用室及び管理人室の場所は、メッセージの内容から省略することができる。
出火した住戸の文には場所が入らず、出火階と直上階の文には「○○で」「○階で」が入ります。
埼玉県央広域の第9 7⑸イ・ウも同じ3通りと同じ場所の扱いで、第9-12図にも男声の3通りが載っています。
場所の言い方は、住戸などの名称、部屋番号、階層とされ、形態から特定できるときは「この近所」も認められています。 警報を流す範囲は、告示の第3第9号(4)ロが決めています。
廊下型では、出火階が2階以上なら出火階とその直上階、1階なら出火階と直上階と地階です。
鈴鹿市と埼玉県央広域は、出火階が地階のとき、出火階・直上階・その他の地階に加えて1階も鳴動させる書き方を▲で加えています。
つまり、出火した住戸とその階、直上階で、流れる文が違うのですね。
はい、場所を言うのは出火階と直上階の文です。
場所の言い方は、基準の⑸ウで確かめましょう。
感知器作動警報から火災警報に切り替わるまでは何分か

鈴鹿市と埼玉県央広域は、この時間の書き方が違います。
感知器が作動した旨の信号を受信した後感知器作動警報を停止させずに二分以上五分以下の範囲で任意に設定した時間が経過した場合又は火災信号を受信した場合は、自動的に火災警報を行うこと。
18号告示第3第9号(5)ロ(ロ)に規定する「時間」は、特段の事情がある場合は、政令第32条の規定を適用して、最大10分以内とすることができる。
なお、同号(5)ロロに規定する時間は、特段の事情がある場合は、消防機関の認める範囲でこれと異なる時間とすることができるものであること。
鈴鹿市は、特段の事情があれば政令第32条で最大10分以内にできると、上限の数字まで書いています。
埼玉県央広域は数字を書かず、消防機関の認める範囲で異なる時間にできるとしています。
どちらも、特段の事情がある場合に限った書き方です。
受信機の設定時間は設計図書に書いておくと、点検や消防署との協議のときに説明しやすくなります。 火災警報になったあとの鳴り方は、告示が決めています。
第一シグナル、メッセージ、1秒間の無音、第一シグナル、メッセージ、1秒間の無音、第二シグナルを一単位として、10分間以上連続して繰り返すとされています。
切り替わるまでの時間は、物件ごとに決めてよいのですか。
告示は2分以上5分以下の範囲で任意に設定するとしています。
それを超えるのは、特段の事情があるときの特例の話です。
住戸用自動火災報知設備や共同住宅用スプリンクラー設備では何と言うのか

こちらは感知器作動警報の段階がなく、男声の火災警報だけです。
ハ メッセージは、男声によるものとし、火災が発生した場所、避難誘導及び火災である旨の情報又はこれに関する内容であること。
音声警報音のメッセージは、次の文例又はこれに準ずるものとする。●
「火事です。火事です。火災が発生しました。安全を確認のうえ避難してください。」(男声)
埼玉県央広域の第5章 第10 2⑸エも、同じ文を一つだけ示しています。
共同住宅用スプリンクラー設備の音声警報も、鈴鹿市の第8と埼玉県央広域の第8が、出火住戸・出火階・直上階の同じ3通りの文例を示しています。
四つの項目を表で並べます。
| 項目 | 国の告示 | 鈴鹿市 | 埼玉県央広域 | 一般の放送設備(鈴鹿市・県央広域 第4章 第14) |
|---|---|---|---|---|
| 感知器作動警報(住戸の感知器) | 女声。感知器が作動した旨と、火災の発生を確認する必要がある旨 | 「火災感知器が作動しました。確認してください。」● | 同じ文● | 「ただいま○階の火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので、次の放送にご注意ください。」(女声) |
| 火災警報の結び | 男声。火災が発生した場所、避難誘導、火災である旨 | 「安全を確認のうえ避難してください。」● | 同じ文● | 「落ち着いて避難してください。」(男声) |
| 場所の言い方 | 火災が発生した場所を入れる | 名称・部屋番号・階層●。「この近所」や出火住戸の省略も可 | 同じ扱い● | 「○階で」 |
| 切り替えの時間 | 2分以上5分以下で設定 | 特段の事情で政令第32条により最大10分以内 | 特段の事情で消防機関の認める範囲 | この記事では扱わない |
| 住戸用自動火災報知設備(第10) | 男声。感知器作動警報の段階の規定は見当たらない | 出火住戸の文を一つ● | 同じ文を一つ● | なし |
物件の設備を確かめたら、次の順に現場と突き合わせましょう。
- 設備の種類:共同住宅用自動火災報知設備(二段階)か、住戸用自動火災報知設備(一段階)か
- 受信機の設定:感知器作動警報から火災警報までの時間
- 音声:感知器作動警報、出火住戸、出火階、直上階の各文を実際に聞いて文言を確かめる
- 場所の言い方:部屋番号と階層を読み上げるのか、「この近所」にしているのか
- 入居者への周知:作動警報が鳴ったら、まず現場を確かめて通報する
つまり、設備の種類と設定時間と文言を、所在地の基準で確かめればよいのですね。
はい、受信機の設定と音声を実際に確かめてみましょう。
迷う点は早めに相談してください。
よくある質問
まとめ
鈴鹿市や埼玉県央広域の物件では、受信機の設定時間と音声の文言を確かめます!
文言は文例に「準ずるもの」でもよいので、迷ったら消防署で相談しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令 第3条(平成17年総務省令第40号)(e-Gov法令検索)
- 共同住宅用自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成18年消防庁告示第18号)(総務省消防庁)
- 住戸用自動火災報知設備及び共同住宅用非常警報設備の設置及び維持に関する技術上の基準(平成18年消防庁告示第19号)(総務省消防庁)
- 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第5章 第9・第10、第4章 第14(鈴鹿市消防本部)
- 埼玉県央広域消防本部「消防用設備等に関する審査基準」第5章 第9・第10、第4章 第14(埼玉県央広域消防本部)
※本記事は各消防本部が公表している基準等と、消防庁の告示に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたもので、「見当たらない」としたものは公表資料を確認した範囲の結果です。津市・四日市市・大阪市・東大阪市・堺市・行田市・羽生市は共同住宅の文例を確認できず、今回の比較に含めていません。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





