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大阪市で非常ベルの基準は自動火災報知設備の何を借りているのか|準用の範囲を解説

大阪市の運用基準が非常ベルの音響装置と起動装置と表示灯と電源の細目を自動火災報知設備の項から借りる範囲を、国の消防法施行令と施行規則と分けてたどった記事のアイキャッチ

大阪市で非常ベルや自動式サイレンを付けるとき、大阪市消防局の運用基準は、音響装置・起動装置・表示灯・電源の細目を、自動火災報知設備の項から借りる形で書いています。
借りる範囲は「第6の1から3まで及び7から10まで」のように番号で切られているので、どこまで借りて、どこから借りないのかを知らないと、設計図の確認で戸惑います。
この記事では、国の条文と大阪市の運用基準を分けて、借りる先を番号つきでたどります。堺市の非常ベルの項とも比べます。

大阪市で非常ベルを付けます。
基準は自動火災報知設備と同じなのでしょうか?

同じではなく、借りている範囲が決まっています。
順にたどっていきましょう。

借りるとは、どういうことですか?

別の項の番号を指して、そのまま使うということです。
根拠と一緒に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 大阪市の非常ベルの項は、令第24条第4項と規則第25条の2第2項の規定に足す形で、設置場所・設置方法と電源・配線を定めています
  • 音響装置は、自動火災報知設備の音響装置の項から第6の1から3まで及び7から10までを借ります。聞き取りにくい場所の音は、第3の5・6を読み替えて使います
  • 起動装置は発信機の項の1の(1)と(2)、表示灯は同じ項の2を借り、起動装置は手動で復旧するまで作動し続けるものとします
  • 電源は自動火災報知設備の第9(1の(3)を除く)を借り、非常電源は第6章「非常電源の基準」に進みます
  • 堺市は借り先が同じ節の放送設備の項で、大阪市とは違います。東大阪市の公開資料には、非常ベルの項が見当たりません

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大阪市の運用基準では非常ベルの音響装置は自動火災報知設備の項を借り、起動装置と表示灯は発信機の項を借り、電源は自動火災報知設備の電源の項を借り、堺市は放送設備の項を借りるという借り先の違いを示した図解

大阪市の非常ベルの項は国の条文のどこに乗っているのか

壁に赤い非常ベルが付いた低い事務所の建物と、ケーブルでつながれた灰色の制御箱のイラスト
大阪市消防局の運用基準で、非常ベルと自動式サイレンは、第2章 警報設備の第5節にあります。わずか2ページ(印刷ページ232〜233)の短い節で、第1 用語、第2 設置場所及び設置方法、第3 電源及び配線、第4 特例基準の4つに分かれています。
まず用語の定義です。非常ベルは、次の5つの部品でできたものを指します。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第1 1 非常ベルとは、起動装置、音響装置(サイレンを除く。)、表示灯、電源及び配線により構成されたものをいう。
自動式サイレンも同じで、音響装置がサイレンになるだけです。第2以降は、この5つの部品を1つずつ扱います。
国の条文はどうなっているでしょうか。令第24条第4項は、非常警報器具又は非常警報設備の設置と維持の技術上の基準を、次の3つの号で定めています。
消防法施行令 第24条 第4項 第1号 非常警報器具又は非常警報設備は、当該防火対象物の全区域に火災の発生を有効に、かつ、すみやかに報知することができるように設けること。
消防法施行令 第24条 第4項 第2号 非常警報器具又は非常警報設備の起動装置は、多数の者の目にふれやすく、かつ、火災に際しすみやかに操作することができる箇所に設けること。
消防法施行令 第24条 第4項 第3号 非常警報設備には、非常電源を附置すること。
細目は、規則第25条の2第2項が決めています。非常ベルや自動式サイレンの音響装置は第1号、起動装置は第2号の2です。音響装置の音圧は、次のように数字で決まっています。
消防法施行規則 第25条の2 第2項 第1号 イ(イ) 取り付けられた音響装置の中心から一メートル離れた位置で九十デシベル以上であること。
起動装置は、歩行距離と取付けの高さが次のように決まっています。
消防法施行規則 第25条の2 第2項 第2号の2 イ 各階ごとに、その階の各部分から一の起動装置までの歩行距離が五十メートル以下となるように設けること。
消防法施行規則 第25条の2 第2項 第2号の2 ロ 床面からの高さが〇・八メートル以上一・五メートル以下の箇所に設けること。
大阪市の運用基準は、この国の条文を土台にして書かれています。第2と第3の書き出しで、それがはっきり分かります。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第2 柱書 設置場所及び設置方法は、令第24条第4項第1号及び第2号並びに規則第25条の2第2項第1号及び第2号の2の規定によるほか、次による。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第3 柱書 電源及び配線は、令第24条第4項第3号並びに規則第25条の2第2項第4号及び第5号の規定並びに第6章「非常電源の基準」によるほか、次による。
「規定によるほか、次による」とあるので、国の条文が土台で、大阪市の運用基準がその上に足す形です。第3は、第6章の「非常電源の基準」にも進みます。
なお、凡例では、無印が法令基準(法令の解釈を含む)で、◆が行政指導に当たる基準です。この節では、操作装置・音響装置・起動装置・表示灯・複合装置などの項に◆が付いています。
非常ベルの部品国の条文大阪市の運用基準
音響装置規則第25条の2第2項第1号第2 2(自動火災報知設備の第6などを借りる)
起動装置規則第25条の2第2項第2号の2第2 3(発信機の項を借りる)
表示灯規則第25条の2第2項第2号の2 ハ・ニ第2 4(発信機及び表示灯の項を借りる)
電源令第24条第4項第3号・規則第25条の2第2項第4号ホ第3 1(自動火災報知設備の第9を借りる)
非常電源規則第25条の2第2項第5号第3 柱書(第6章「非常電源の基準」へ)
次の項からは、借り先を1つずつたどります。

短い節なのに、自動火災報知設備の項を何か所も指しているのですね。

はい、番号で借りる書き方です。
まず音響装置から見ましょう。

音響装置は自動火災報知設備の音響装置の項をどこまで借りているのか

廊下の天井に赤いベルが付き、防音パネルで囲まれた小部屋が並ぶ断面のイラスト
第2 2の(1)は、音響装置の定めを自動火災報知設備の項から借りています。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第2 2 (1) 自動火災報知設備の基準(第6.1から3まで及び7から10まで)を準用する。
この項には◆が付いています。借り先は、自動火災報知設備の節の第6 音響装置です。第6には13の項目があります。借りるのは「1から3まで」と「7から10まで」で、その間の4・5・6と、あとの11〜13は含まれません。
代表的な項目を、原文のまま見ます。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第6 1 音響効果を妨げるような障害物のある場所には設けないこと
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第6 2 外傷を受けるおそれのある場所には設けないこと
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第6 3 ベルの鳴動により設備に振動を与えないように設けること
7は屋上の音響装置です。ビアガーデンやプールなど、人が集まる屋上にも音響装置が要ります。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第6 7 屋上部分を多数の者が利用する遊技場、ビアガーデン、プール等に使用する場合又はガーデンテラス等常時人が利用する場合は、当該部分にも音響装置を設けること
屋上の扱いは、津市の屋上ビアガーデンの記事でも比較しています。8から10は、音色、可燃性ガスの防護、雨水の防護です。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第6 8 音色は、他の機器の音色と明らかに区別できること
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第6 10 雨水等が侵入するおそれのある場所に設けるものにあっては、防護措置を講じること。ただし、防滴型のものを設ける場合は、この限りでない。
間の4・5・6は、国の規則の「聞き取りにくい場所」に関する定めです。非常ベルの項は、第6を経由せずに、第2 2の(2)〜(4)で借り先を直接指しています。国の規則は、次のように定めています。
消防法施行規則 第25条の2 第2項 第1号 イ(ロ) 非常ベル又は自動式サイレンの音響装置を、ダンスホール、カラオケボックスその他これらに類するもので、室内又は室外の音響が聞き取りにくい場所に設ける場合にあつては、当該場所において他の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができるように措置されていること。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第2 2 (2) 規則第25条の2第2項第1号イ(ロ)に規定する「室内又は室外の音響が聞き取りにくい場所」とは、自動火災報知設備の基準(第3.5)を準用する。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第2 2 (3) 規則第25条の2第2項第1号イ(ロ)に規定する「当該場所において他の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができるように措置されていること」とは、自動火災報知設備の基準(第3.6)を準用する。なお、この場合において、「自動火災報知設備」は、「非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン)」に読み替えるものとする。
(3)の借り先、自動火災報知設備の第3の6は、音の大きさの数字を決めています。ここでは「自動火災報知設備」を「非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン)」と読み替えます。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第3 6 (1) 任意の場所で65デシベル以上の警報音を確保すること
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第3 6 (2) 暗騒音(店内BGM等やパチンコ台による音響)が65デシベル以上ある場合は、次のいずれかの措置又はこれと同等以上の効果のある措置を講ずること
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第3 6 (2) ア 音響装置の音圧が、当該場所における暗騒音より6デシベル以上強くなるよう確保されていること
(2)のイは、自動火災報知設備の作動と連動して音響装置以外の音を止める方法などを定めています。(4)も同じ仕組みで、ヘッドホンなどを使う個室の警報音を、第6の6から借りて読み替えます。
第6の項内容非常ベルでの扱い
1・2・3障害物のある場所・外傷を受けるおそれのある場所・ベルの振動借りる(第2 2(1))
4・5・6聞き取りにくい場所・区別して聞き取る措置・個室第2 2(2)〜(4)で別に指す((3)(4)は読み替え)
7・8・9・10屋上・音色・可燃性ガスの防護・雨水の防護借りる(第2 2(1))
11地区音響装置の鳴動方法(全館一斉鳴動と区分鳴動)借りる範囲に入っていない
12放送設備が併設されている場合の鳴動の停止借りる範囲に入っていない
13光警報装置及び光警報制御装置借りる範囲に入っていない
11は、国の規則が定める区分鳴動の運用です。国の規則は、次のように定めています。
消防法施行規則 第25条の2 第2項 第1号 ロ 地階を除く階数が五以上で延べ面積が三千平方メートルを超える防火対象物にあつては、出火階が、二階以上の階の場合にあつては出火階及びその直上階、一階の場合にあつては出火階、その直上階及び地階、地階の場合にあつては出火階、その直上階及びその他の地階に限つて警報を発することができるものであること。この場合において、一定の時間が経過した場合又は新たな火災信号を受信した場合には、当該設備を設置した防火対象物又はその部分の全区域に自動的に警報を発するように措置されていること。
自動火災報知設備の第6の11は、この「一定の時間」に上限を定めています。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第6 11 (2) ア 一定の時間とは、出火階及びその直上階からの避難が完了すると想定される時間等及び防火対象物の用途、規模等並びに火災確認に要する時間等を考慮して、最大10分以内の時間で設定できるものとする。
この項は、確認した非常ベルの節の借りる範囲に入っていません。非常ベルの節にも、一定の時間を数字で示した項は見当たりませんでした。区分鳴動を採る建物(地階を除く階数が5以上で延べ面積3,000平方メートル超)では、一定の時間の決め方を消防署に確認してください。
  1. 音響装置は、自動火災報知設備の第6の1から3まで及び7から10までを借りる(◆)
  2. 聞き取りにくい場所は、第3の5を借りる。区別して聞き取る措置は、第3の6を「非常警報設備」と読み替えて借りる
  3. 個室で警報音を聞き取れる措置は、第6の6を読み替えて借りる
  4. 区分鳴動の一定の時間(第6の11)や放送設備との関係(12)、光警報装置(13)は、借りる範囲の外にある

同じ第6でも、借りない項目があるのですね。

はい、借りるのは番号で指された項目だけです。
次は起動装置と表示灯と電源を見ましょう。

起動装置と表示灯と電源は自動火災報知設備のどの項から借りているのか

廊下の壁に付いた赤い押しボタンの箱と、その真上にある赤い表示灯のイラスト
起動装置は、押しボタンのことです。第2の3で、自動火災報知設備の発信機の項から借ります。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第2 3 自動火災報知設備の基準(第7.1.(1)及び(2))を準用するほか、手動により復旧しない限り継続して作動するものとする。
この項にも◆が付いています。借り先の第7の1は、次の2つです。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第7 1 (1) 廊下、階段、出入口付近その他多数の目にふれやすい場所で、かつ、容易に操作できる場所に設けること
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第7 1 (2) 次に掲げる場所に設ける場合は、防護措置を施したものとすること
(2)の次に掲げる場所とは、アが腐食性ガス等の発生するおそれのある場所、イが可燃性ガス・粉じん等が滞留するおそれのある場所、ウが雨水等が侵入するおそれのある場所(防滴型を除く)です。第7の1には(3)消火設備等との共用と(4)受信機に適応する機器の項もありますが、借りるのは(1)と(2)だけです。
そのうえで、非常ベルの項は「手動により復旧しない限り継続して作動する」ことを足しています。押しボタンを押したあと、元に戻すまで鳴り続ける、という意味です。
なお、国の規則には、歩行距離50メートル以下と高さ0.8メートル以上1.5メートル以下がありました。この数字は、大阪市の第2の3には書かれておらず、国の条文が定めています。
表示灯は、第2の4で同じ第7の2を借ります。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第2 4 自動火災報知設備の基準(第7.2)を準用する。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第7 2 (1) 通行に支障のない場所で、かつ、多数の者の目にふれる位置に設けること
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第7 2 (2) 天井面からの距離が0.6メートル以上離れた位置に設けること
(3)は「1.(2)に適合すること」で、起動装置の(2)と同じ防護措置です。表示灯の色や見え方は、国の規則が決めています。
消防法施行規則 第25条の2 第2項 第2号の2 ニ 表示灯は、赤色の灯火で、取付け面と十五度以上の角度となる方向に沿つて十メートル離れた所から点灯していることが容易に識別できるものであること。
複合装置は、起動装置・表示灯・音響装置を組み合わせて一体にし、非常電源を内蔵したもので、一体型は、同じ組み合わせを一体にしたものです。第2の5は、これを「1から4までの例による」としています。単体で付ける場合と同じ基準を、一体にしたものにも当てはめる、という意味です。
電源は、第3の1で自動火災報知設備の第9から借ります。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第3 1 自動火災報知設備の基準(第9(1.(3)を除く。))を準用する。
第9の1の(3)は、無線式感知器等の電池を常用電源にする場合です。非常ベルは無線式感知器を使わないので、除かれていると読めます。借りる範囲には、次の項目が入ります。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第9 1 (1) イ 電源は、規則第24条第3号イの規定にかかわらず自動火災報知設備に障害をおよぼすおそれがない場合は、他の消防用設備等の電源と共用することができる。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第9 1 (2) 蓄電池設備の基準(昭和48年消防庁告示第2号)に適合するものとすること
国の規則第24条第3号イは、電源を「他の配線を分岐させずにとる」と定めています。
消防法施行規則 第24条 第3号 イ 電源は、蓄電池又は交流低圧屋内幹線から他の配線を分岐させずにとること。
第9の1の(1)イは、これに対する緩和です。ただし、この項の文言は「自動火災報知設備に障害をおよぼすおそれがない場合」で、非常ベルについて読み替える旨は、確認した2ページの範囲に書かれていません。電源を他の設備と共用する設計は、消防署に確認してください。
非常電源は、第9の2から第6章「非常電源の基準」に進みます。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備 第9 2(前段) 非常電源及び非常電源回路等の配線は、第6章「非常電源の基準」による。
第6章には、非常ベルと自動式サイレンの非常電源回路等を定めた項があります。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第6章 非常電源 (非常ベル及び自動式サイレン) 非常ベル及び自動式サイレンの非常電源回路等は、図6-14の例により非常電源から操作装置までを耐火配線、ベル、サイレン回路、操作回路及び表示灯回路を耐火配線又は耐熱配線とすること
非常電源から操作装置までが耐火配線で、操作装置から先のベル・サイレン・操作・表示灯の回路は、耐火配線か耐熱配線です。国の条文との対応は、規則第25条の2第2項の第4号ホと第5号です。
消防法施行規則 第25条の2 第2項 第4号 ホ 非常警報設備の電源は、第二十四条第三号の規定の例により設けること。
消防法施行規則 第25条の2 第2項 第5号 非常電源は、第二十四条第四号の規定に準じて設けること。
第9の2には、予備電源の容量が非常電源の容量以上なら非常電源を省略できる、というただし書もあります。借りる範囲に入っていますが、非常ベルの予備電源をどう読むかは、項に書かれていないので、消防署に確認します。
  1. 起動装置は、発信機の項の第7の1の(1)と(2)を借り、手動で復旧するまで作動し続ける
  2. 表示灯は、発信機及び表示灯の項の第7の2を借りる(天井面から0.6メートル以上離す)
  3. 複合装置と一体型は、第2の1から4までの例による
  4. 電源は、自動火災報知設備の第9(1の(3)を除く)を借りる
  5. 非常電源は、第9の2から第6章「非常電源の基準」へ進み、回路は耐火配線か耐熱配線にする

起動装置は、メゾネットの上の階など特別な場合の定めはないのですか?

この節には見当たりませんでした。
メゾネットの扱いは、別の記事で比べています。

堺市の非常ベルは同じ節のどこから借りているのか

二冊のバインダーから赤い非常ベルへ矢印が向かう机の上のイラスト
堺市の審査基準にも、非常ベルと自動式サイレンの項があります。第3章 第1節 第16 非常警報設備の中で、放送設備の項の次に、同じ形で書かれています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第16 非常警報設備 Ⅱ 2 柱書 非常ベル、自動式サイレンは、政令第24条第4項の規定によるほか、次によること。
大阪市との違いは、借り先が違うことです。堺市の起動装置と表示灯は、自動火災報知設備ではなく、同じ第16の放送設備の項を借ります。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第16 非常警報設備 Ⅱ 2(3)起動装置 ア(ア) 前1.(5).ア.(ア)を準用すること。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第16 非常警報設備 Ⅱ 2(4)表示灯 ア 前1.(6).アを準用すること。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第16 非常警報設備 Ⅱ 2(5) 複合装置及び一体型は、前(1)から(4)を準用すること。
借り先の「前1.(5).ア.(ア)」は、放送設備の起動装置(非常用押しボタン)の設置場所です。ここには、階数に算入されないb階・PH階の特例も含まれているので、堺市の非常ベルの起動装置は、その特例も借りる形になります。b階・PH階の特例は、堺市の記事で解説しています。
起動装置のほうは、手動で復旧するまで作動し続けることも、大阪市と同じ趣旨で書かれています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第16 非常警報設備 Ⅱ 1(5)ア(イ)d 手動により復旧しない限り、正常に作動が継続するものであること。
音響装置は、堺市はほとんどを自分の項に並べています。区分鳴動の一定の時間は、非常ベルの項が放送設備の項(1.(3)ウ(オ))を指して決めています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第16 非常警報設備 Ⅱ 2(2)ウ なお、省令第25条の2第2項第1号ロに規定する一定の時間については、前1.(3).ウ.(オ).a を準用すること。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第16 非常警報設備 Ⅱ 1(3)ウ(オ) 省令第25条の2第2項第3号チに規定する一定の時間とは、出火階及びその直上階からの避難が完了すると想定される時間等を考慮し、概ね2分から5分とし、最大で10分以内とすること。
堺市は「概ね2分から5分、最大で10分以内」という数字を、放送設備の項から借りています。大阪市の非常ベルの節には、確認した範囲で、一定の時間の数字が見当たりません。
操作装置は、大阪市も堺市も同じ趣旨です。堺市は次のように書いています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第16 非常警報設備 Ⅱ 2(1)エ(イ) 1回線に接続できる表示灯又は音響装置の個数は、各15個以下であること。
大阪市も、操作装置に接続する表示灯又は音響装置を「1回線につき各15個以下」としています(第2 1(5))。自動火災報知設備と連動する場合の「無電圧メーク接点」も、両市とも同じです。
堺市の凡例は、大阪市と記号の意味が違います。大阪市の◆は市独自の行政指導ですが、堺市は◆が国の通知等を参考にした指導基準、★が堺市消防局として定めた指導基準です。
項目大阪市堺市
起動装置の借り先自動火災報知設備の第7の1の(1)と(2)放送設備の項(前1.(5).ア)
表示灯の借り先自動火災報知設備の第7の2放送設備の項(前1.(6))
音響装置自動火災報知設備の第6の1から3まで及び7から10までを借りる(◆)自分の項に障害物・損傷・屋上・防護などを並べる
区分鳴動の一定の時間非常ベルの節には数字が見当たらない概ね2分から5分、最大10分以内
操作装置の15個以下・無電圧メーク接点書かれている書かれている(同じ趣旨)
複合装置・一体型1から4までの例による前(1)から(4)を準用
東大阪市は、公開されている運用基準6ファイル(消火器、自動火災報知設備、非常コンセント、連結送水管、避難器具、誘導灯)に、非常ベルの項が見当たりませんでした。この記事では比較の対象にしていません。

同じ非常ベルでも、大阪市と堺市で借り先が違うのですね。

はい、借り先は市ごとに違います。
他市の物件は、その市の基準で確かめましょう。

非常ベルを付けなくてよい特例は何を条件にしているのか

番台の板の間と下足箱とのれんがある銭湯の脱衣場の断面のイラスト
大阪市の第4は、非常ベルを設置しなくてもよい特例です。国の根拠は、令第32条です。
消防法施行令 第32条 第三十二条 この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第4 柱書 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン)を設置しなければならない防火対象物又はその部分のうち、次のいずれかに該当するものについては、令第32条の規定を適用し、それぞれ当該各項に定めるところによる。
「認めるとき」とあるように、特例は自動で使えるわけではありません。消防長又は消防署長の判断が前提です。1つ目は、銭湯の番台です。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第4 1 (1) 令別表第1(9)項ロに掲げる防火対象物のうち、番台から脱衣場及び浴槽を監視することができる公衆浴場に非常警報器具を設置したもの
令第24条は、(9)項ロの公衆浴場に、収容人員が20人以上50人未満なら非常警報器具(令第24条第1項)、50人以上なら非常ベルなど(同条第2項第2号)を求めています。非常警報器具は、令第7条に、警鐘・携帯用拡声器・手動式サイレンなどと書かれています。
消防法施行令 第7条 第4項 第2号 警鐘、携帯用拡声器、手動式サイレンその他の非常警報器具
趣旨は、番台から脱衣場と浴槽を見渡せる浴場なら、人が見て声で知らせられるので、非常警報器具で足りる、ということだと読めます(運用基準には理由は書かれていません)。
2つ目は、ガス充塡所です。屋内消火栓設備の特例の第12の13または14に適合する製造施設が対象で、同じ特例はLPガス充てん所の記事で解説しています。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第4 1 (2) ガス充塡所の製造施設のうち、屋内消火栓設備の基準(第12.13又は14)に適合するもの
第12の13は、液化石油ガスの製造設備が液石則に該当するもので、次に適合する場合に屋内消火栓設備を設置しないことができるという定めです。借りる条件は、(1)液石則の第6条から第8条に適合すること、(2)主要構造部が不燃材料、(3)壁と天井の仕上げが不燃・準不燃、(4)火気の使用がない等、(5)整理・清掃など維持管理が適正、の5つです。
つまり、非常ベルの特例は、屋内消火栓設備の特例の条件を借りる形です。第14は、一般則などに該当する可燃性ガスの製造設備で、(1)で適合する規則が一般則などに変わり、(2)から(5)は第13と同じです。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第2節 屋内消火栓設備 第12 14 (2) 13.(2)から(5)までに適合すること
第4の2は、長屋の特例です。消火器具の項の借り先で、令第24条に読み替えています。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン) 第4 2 消火器具の基準(第4.6)に適合するものについては、住戸ごとにそれぞれ別の防火対象物とみなし令第24条の規定を適用することができる。
借り先の消火器具の第4の6は、長屋住宅の一部を店舗などに使うときに、住戸ごとに別の防火対象物とみなせる条件です。
大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1章 第1節 消火器具 第4 6 (2) 同一棟内に階段、廊下等の共用部分を有しないものであること
条件は5つあり、ほかに住戸ごとの権原、道路に直接面すること、開口部のない防火構造の界壁、(16)項で延べ面積1,000平方メートル未満かつ住宅部分が2分の1以上、があります。同じ条件を令第10条・令第11条・令第24条に読み替えて、設備ごとに借りています。詳しくは大阪市の長屋の記事をご覧ください。
  1. 非常ベルの特例は、令第32条の規定を適用する形で、消防長又は消防署長の判断が前提
  2. 番台から脱衣場と浴槽を監視できる公衆浴場は、非常警報器具を設置したものが対象
  3. ガス充塡所は、屋内消火栓設備の特例の第12の13又は14に適合するものが対象
  4. 長屋は、消火器具の第4の6の5つの条件を借り、令第24条に読み替える

特例は、他の設備の条件を借りているのですね。

はい、条件を借りる書き方が多いです。
適用できるかは消防署の判断になります。

よくある質問

Q大阪市の非常ベルの項に付いた◆に従わないと、違反になりますか?
A凡例では、◆は行政指導に当たる基準で、無印は法令基準(法令の解釈を含む)です。設置の義務そのものは国の令と規則が決めますが、◆の扱いは管轄の消防署が判断するので、設計の段階で確認してください。
Qカラオケボックスやパチンコ店の非常ベルは、音が大きくないとだめですか?
A国の規則は、聞き取りにくい場所で他の警報音や騒音と明らかに区別して聞き取れる措置を求めています。大阪市は、その数字を自動火災報知設備の第3の6から借り、任意の場所で65デシベル以上とし、暗騒音が65デシベル以上ある場合の措置も定めています。
Q大阪市と堺市で、非常ベルの区分鳴動の時間は同じですか?
A堺市は非常ベルの項に「概ね2分から5分、最大10分以内」と書いています。大阪市の非常ベルの節には、確認した範囲で数字が見当たらず、自動火災報知設備の第6の11(最大10分以内)も借りる範囲に入っていません。区分鳴動を採る建物は、消防署に確認してください。
Q非常ベルの項に書かれていないことは、自動火災報知設備の項をそのまま当てはめればよいのですか?
Aいいえ。大阪市の非常ベルの項は、借りる項目を番号で指定しています。第6の11〜13のように範囲に入っていない項目を、そのまま当てはめてよいかは、消防署に確認してください。

まとめ

✔大阪市の非常ベルの項は、令第24条第4項と規則第25条の2第2項に足す形で書かれ、細目の多くを自動火災報知設備の項から借りています
✔音響装置は、第6の1から3まで及び7から10までを借り、聞き取りにくい場所の音は第3の5・6を読み替えます
✔起動装置は発信機の項の第7の1の(1)と(2)、表示灯は第7の2を借りて、起動装置は手動で復旧するまで作動し続けます
✔電源は第9(1の(3)を除く)を借り、非常電源は第6章「非常電源の基準」へ進みます
✔区分鳴動の一定の時間(第6の11)は借りる範囲の外で、堺市は非常ベルの項に「概ね2分から5分、最大10分以内」と書いています
✔特例は令第32条で、番台のある公衆浴場・ガス充塡所・長屋の3つです。消防署長の判断が前提です
✔運用基準は改正されることがあるので、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認しましょう

まずどの項目を借りているかを確かめます。
そのうえで消防署に相談します!

大阪市の非常ベルは借りる範囲が決まっています。
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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第5節 非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン)、第2章 第1節 自動火災報知設備(第3 5・6、第6、第7、第9)、第6章 非常電源、第1章 第1節 消火器具(第4 6)、第1章 第2節 屋内消火栓設備(第12 13・14) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第3章 第1節 第16 非常警報設備(Ⅱ 1 放送設備、Ⅱ 2 非常ベル、自動式サイレン) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 東大阪市消防局の運用基準(公開されている6ファイル) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第7条第4項第2号・第24条・第32条、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第3号・第25条の2(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および大阪市・堺市・東大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。

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大阪市の運用基準が非常ベルの音響装置と起動装置と表示灯と電源の細目を自動火災報知設備の項から借りる範囲を、国の消防法施行令と施行規則と分けてたどった記事のアイキャッチ
大阪市で非常ベルや自動式サイレンを付けるとき、大阪市消防局の運用基準は、音響装置・起動装置・表示灯・電源の細目を、自動火災報知設備の項から借りる形で書いています。 借りる範囲は「第6の1から3まで及び7から10まで」のよ...
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