八尾市で開放された立体駐車場を計画するとき、自動火災報知設備をどう付けるかは、設計の早い段階で決めたい項目です。
八尾市消防本部の行政指導指針は、網目状の床の駐車場に付ける感知器の種類と個数、雨にさらされる部分の発信機・受信機・配線の守り方、無人のときの通報まで定めています。
この記事では、国の条文と八尾市の指針を分けて、番号つきの手順でたどります。東大阪市・大阪市・堺市の公開資料とも照らします。
八尾市で立体駐車場を計画しています。
自動火災報知設備は、どう付ければよいのでしょうか?
八尾市の指針は、感知器・雨対策・通報を定めています。
順にたどっていきましょう。
国の基準と同じではないのですか?
国の条文に足されている部分があります。
根拠と一緒に見ていきましょう。
- 八尾市消防本部の行政指導指針は、開放立体駐車場の自動火災報知設備を、令第21条・規則第23条・第24条・第24条の2の規定に足す形で定めています
- 網目状の金属板等が使われた駐車の用に供する部分では、感知器を天井に付け、定温式スポット型の特殊(防水型に限る)とします
- 感知器の個数は取付け面の高さで決まり、4メートル未満は20平方メートル、4メートル以上8メートル未満は15平方メートルに1個以上です。国の表の特種より小さい面積です
- 雨露にさらされるおそれのある部分は、発信機・音響装置・表示灯を防滴性能のあるもの、または防滴装置を講じた金属製の箱等とし、配線は金属管工事で支持点間1.5メートル以下とします
- 無人の防火対象物には自動通報機等を設けます。東大阪市にも同じ趣旨の定めがありますが、大阪市と堺市の自動火災報知設備の項には「自動通報」の言葉が見当たりません
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目次
八尾市の指針は自動火災報知設備を国の基準のどこにつなげているのか

床面積と階数の数え方(形態1から8)は、前回の記事で解説しました。この記事は、その先の自動火災報知設備だけを扱います。
令第21条第1項第13号は、駐車の用に供する部分について、次のように定めています。
設置のしかた(感知器の種別と個数、受信機、発信機、配線)は、総務省令の規則が決めています。
- 令第21条第1項第13号は、地階と2階以上の駐車の用に供する階に、床面積200平方メートル以上で自動火災報知設備を求める
- 感知器の種別は、規則第23条第4項第2号の表で取付け面の高さに応じて決まる
- 感知器の個数は、規則第23条第4項第3号ロの表で感知器の種別と取付け面の高さに応じた床面積ごとに決まる
- 規則第24条は受信機・発信機・音響装置・配線を、規則第24条の2は維持の基準を定める
国の条文には、雨対策までは書いていないのですね。
はい、雨対策は八尾市の指針に書かれています。
次は感知器を見ましょう。
網目状の床の駐車場で八尾市は感知器をどこに何型で付けさせるのか

(イ)の種別を、国の規則と照らします。規則第23条第4項第2号は、取付け面の高さに応じて使える種別を表で決めています。
| 取付け面の高さ | 定温式の感知器で使える種別(国の表から抜粋) |
|---|---|
| 4メートル未満 | 定温式のすべての種別 |
| 4メートル以上8メートル未満 | 定温式の特種若しくは一種 |
| 8メートル以上15メートル未満 | 定温式は表にない(差動式分布型、イオン化式スポット型一種若しくは二種、光電式スポット型一種若しくは二種) |
「防水型」は、感知器等規格省令が防水試験を定めている型です。
- 感知器は、駐車する部分の天井(グレーチング等を含む)に付ける
- 種別は、定温式スポット型の特殊(国の表では特種)で、防水型に限る
- 定温式の特種は、国の表で取付け面の高さが8メートル未満の場所に使える
- 取付け面が振動するおそれのある場所では、脱落しないよう堅固に取り付ける
取付け面の高さと種別の関係は、感知器の種別を解説した記事で詳しく解説しています。
網目状の床というのは、どんな駐車場ですか?
指針の文言は網目状の金属板等です。
どこまで対象かは、消防署に確認しましょう。
八尾市は感知器を何平方メートルに1個付けるように求めているのか

| 取付け面の高さ | 1個以上を付ける床面積(八尾市の指針の表) |
|---|---|
| 4メートル未満 | 20平方メートル |
| 4メートル以上8メートル未満 | 15平方メートル |
| 取付け面の高さ | 国の表(特定主要構造部が耐火構造) | 国の表(その他の構造) | 八尾市の指針 |
|---|---|---|---|
| 4メートル未満 | 70平方メートル | 40平方メートル | 20平方メートル |
| 4メートル以上8メートル未満 | 35平方メートル | 25平方メートル | 15平方メートル |
たとえば、取付け面の高さが3メートルで、その他の構造の駐車の用に供する部分が400平方メートルなら、国の表では10個以上、八尾市の指針では20個以上です。実際の個数は感知区域ごとに数えるので、図面を持って消防署に確認します。
感知区域ごとの床面積の考え方は、感知器の個数を解説した記事で解説しています。
- 八尾市の指針は、取付け面の高さが4メートル未満か、4メートル以上8メートル未満かで面積を分ける
- 面積は、4メートル未満で20平方メートル、4メートル以上8メートル未満で15平方メートルに1個以上
- 国の表の定温式スポット型の特種は、40・25平方メートル(その他の構造)などで、八尾市の指針はそれより小さい面積
- 個数は、はり等で区画された感知区域ごとに数える(国の規則)
国の表より、感知器の数が増えるのですね。
はい、国の表より小さい面積に1個です。
数は図面で確認しましょう。
雨にさらされる駐車場の発信機・受信機・配線を八尾市はどう守らせるのか

- 発信機・音響装置・表示灯は、防滴性能のあるものか、防滴装置を講じた金属製の箱等に収める
- 受信機は、雨露にさらされない措置を講じた場所に置くか、防滴措置を講じた金属製の箱等に収める
- 配線は金属管工事とし、支持点間は1.5メートル以下、管端や接続点は0.3メートル以下で堅固に取り付ける
- 金属管の接続部と管のボックスの接続部には水が浸入しない措置、電線の接続部には耐水性のある絶縁テープ等を用いる
雨にぬれる場所だけ、配線まで細かく決めているのですね。
はい、金属管工事の距離や水の侵入対策まで書かれています。
他の市とも比べてみましょう。
東大阪市・大阪市・堺市は雨対策と無人の通報をどう定めているのか

次に、網目状の駐車部分です。東大阪市の特例基準に、八尾市の(1)イとほぼ同じ言い回しの項目があります。
東大阪市と堺市の、高架下や外気に開放された機械式駐車装置の特例は、東大阪市と堺市の記事で解説しています。 発信機の雨対策は、大阪市と堺市にも定めがあります。
配線は、八尾市が金属管工事の支持点間を定めている点が目立ちます。大阪市は、露出して金属管を施設する場合を次のように書いています。
| 項目 | 八尾市 | 大阪市 | 東大阪市 | 堺市 |
|---|---|---|---|---|
| 網目状の駐車部分の自動火災報知設備 | 感知器は天井に付ける。定温式スポット型の特殊(防水型)、20・15平方メートルに1個以上 | 見当たらない | 通報の設備を条件に設置しないことができる | 見当たらない |
| 発信機の雨対策 | 防滴性能のあるもの、または防滴装置を講じた金属製の箱等 | 防滴型を除き防護措置 | 大阪市と同じ文言 | 防滴性のある屋外型 |
| 金属管工事の支持点間 | 1.5メートル以下(管端・接続点は0.3メートル以下) | 露出する場合は原則2メートル以下 | 距離の定めは見当たらない | 距離の定めは見当たらない |
| 合成樹脂管工事の支持点間 | 指針に書かれていない | 1.5メートル以下(接続部分から0.3メートル以下) | 1.5メートル以下(0.3メートル以下) | 1.5メートル以下(0.3メートル以下) |
| 無人の通報 | 自動通報機等 | 「自動通報」の言葉は見当たらない | 自動通報機等(行政指導基準) | 「自動通報」の言葉は見当たらない |
- 開放された立体駐車場(第2)か、屋内に形態5から8を設ける場合(第3)か
- 床が網目状の金属板等で、気流が上の層へ流れるおそれがあるか
- 感知器は定温式スポット型の特種(指針の表記は特殊)で防水型か、取付け面の高さが8メートル未満か
- 取付け面の高さごとに、4メートル未満は20平方メートル、8メートル未満は15平方メートルで個数を数えたか
- 雨露にさらされる部分の発信機・音響装置・表示灯・受信機・配線に防滴の措置をしたか
- 無人の防火対象物なら自動通報機等を設けたか
- 設計の段階で管轄の消防署(八尾市消防本部 予防課)に事前相談したか
八尾市は、感知器の型と数、雨対策まで細かく書いているのですね。
はい、八尾市の指針は開放された駐車場の自動火災報知設備に絞っています。
他市の物件は、その市の基準で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず網目状の床かどうかを確かめます。
そのうえで消防署に相談します!
八尾市の指針は感知器・雨対策・通報を定めています。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 八尾市消防本部 予防課「行政指導指針(消防用設備等)立体駐車場に係る床面積及び階数の算定並びに消防用設備等の設置基準」(PDF・18ページ・第2 2 自動火災報知設備、第3 2) https://www.city.yao.osaka.jp/kurashi_tetsuzuki/anzen_bousai_shoubou/1014727/1002194/1013591/1002433/1002357.html
- 東大阪市消防局「自動火災報知設備の設置に係る運用基準」(1 受信機 ク、4 音響装置、5 発信機、8 配線、9 特例基準) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第2章 第1節 自動火災報知設備(第6 音響装置、第7 発信機及び表示灯、第10 配線) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第12 自動火災報知設備(5 発信機、8 配線及び工事方法等) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条第1項第4号・第13号、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第4項・第24条・第24条の2、火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号)第21条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および八尾市・東大阪市・大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や指導指針は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。八尾市の指針のPDFには、確認した範囲で発出年月日が見当たりませんでした。





