ビルの3階以上の窓に付いている赤い三角の印は、消防隊が外から入るための非常用の進入口の目印です。
進入口を設けることは建築基準法が決めていますが、建ったあとに進入口の前に物を置かないといった管理の決まりは、八尾市では火災予防条例第64条(消防活動空間)が定めています。
この記事では、八尾市の条例を国の条文から順にたどり、つながり方を番号つきで示します。あわせて、同じ形の条文を持つ大阪市・東大阪市との違いと、堺市・豊中市・吹田市の条例も比べます。
八尾市の店舗ビルで、3階の窓の下のバルコニーに在庫の箱を置いています。
赤い三角の窓なのですが、問題になりますか?
八尾市の火災予防条例は、進入口の付近に物品等を置かないことを求めています。
順にたどってみましょう。
建築基準法の話だと思っていました。
設けるのは建築基準法、建ったあとの管理は市の条例です。
まず条例の中身から見ます。
- 八尾市火災予防条例第64条第1項は、建築基準法施行令第126条の6で設けた非常用の進入口について、付近に物品等を置かない・面する空地に物品等を置かない・標識を設けるの3つの管理を求めています
- 進入口の位置や大きさ、赤色灯などの構造は国の建築基準法施行令第126条の6・第126条の7が決め、建ったあとの管理を市の条例が受け持つ形です
- 第2項は、(4)項と(16)項イの建物で高さ31m以下の部分にある3階以上の窓のうち消防長が指定するものにも、同じ管理を準用します(非常用エレベーターがあれば除く)
- 八尾市の第64条は大阪市の第55条の3と同じ内容で、東大阪市の第64条だけが、窓の指定の対象用途が広く、空地に「みだりに駐車させない」と書いています
- 堺市・豊中市・吹田市の火災予防条例には、同じ形の条文は見当たりません
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目次
八尾市の条例の消防活動空間は何を決めているのか

(1) 非常用の進入口の付近及び当該進入口等から屋内通路等に通ずる部分には、消防隊員の進入を妨げるおそれのある広告物、壁その他の工作物を設け、又は物品等を置かないこと。
(2) 非常用の進入口が面する道又は道に通ずる通路その他の空地には、消防活動に支障となる物品等を置かないこと。
(3) 非常用の進入口には、外部から見やすい方法で進入口である旨の標識を設けること。
- 第1号=進入口のまわりと、そこから屋内の通路に通じる部分。広告物・壁などの工作物を設けず、物品等を置きません。
- 第2号=進入口が面する道や通路、空地。消防活動に支障となる物品等を置きません。はしご車などが近づく場所です。
- 第3号=進入口そのもの。外から見やすい方法で、進入口であることを示す標識を設けます。
バルコニーの在庫の箱は、第1号の「付近」に当たりそうですね。
はい、進入口の付近は物品等を置かない場所です。
次は国の条文とのつながりを確かめます。
建築基準法の非常用進入口と八尾市の条例はどう役割を分けているのか

ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。
第百二十九条の十三の三の規定に適合するエレベーターを設置している場合
進入口の間隔は、四十メートル以下であること。
進入口の幅、高さ及び下端の床面からの高さが、それぞれ、七十五センチメートル以上、一・二メートル以上及び八十センチメートル以下であること。
進入口には、奥行き一メートル以上、長さ四メートル以上のバルコニーを設けること。
進入口又はその近くに、外部から見やすい方法で赤色灯の標識を掲示し、及び非常用の進入口である旨を赤色で表示すること。
- 建築基準法施行令第126条の6が、高さ31m以下の部分にある3階以上の階に非常用の進入口を設ける義務を定めます。非常用エレベーターがある場合などは不要です。
- 同令第126条の7が、間隔40m以下・幅75cm以上・高さ1.2m以上・下端は床から80cm以下・バルコニー・赤色灯と赤色の表示といった構造を定めます。
- 八尾市火災予防条例第64条第1項が、「第126条の6の規定により設けられた」進入口を受けて、付近と面する空地に物を置かない・標識を設けるという建ったあとの管理を定めます。
- 同条第2項が、指定された窓に第1項を準用します(次の見出しで説明します)。
- 同条第3項が、第2項ただし書で名前の出た非常用エレベーターの乗降ロビーの管理を定めます。
建物を建てたあとに物を置いてしまうのを、条例で押さえているのですね。
はい、設計どおりに造っても、使い方でふさがれることがあるからです。
次は第2項の窓を見ます。
八尾市で消防長が指定する窓とはどんな窓なのか

- 用途=消防法施行令別表第1の(4)項(百貨店・マーケット・物品販売店舗・展示場)と、(16)項イ(特定用途を含む複合用途)の防火対象物です。
- 位置=高さ31m以下の部分にある3階以上の階の窓その他の開口部です。国の第126条の6と同じ範囲です。
- 指定=その中で消防長が指定したものだけが対象です。すべての窓にかかるわけではありません。
- 除外=非常用エレベーター(令第129条の13の3に適合するもの)を設置していれば、第2項はかかりません。
店舗ビルなので、(4)項に当たりますね。
はい、指定された窓があれば進入口と同じ管理になります。
次は近くの市と比べます。
大阪市や東大阪市と比べて八尾市の条例はどこが違うのか

| 項目 | 八尾市 第64条 | 大阪市 第55条の3 | 東大阪市 第64条 |
|---|---|---|---|
| 進入口の付近・屋内の通路に通ずる部分 | 工作物を設けず物品等を置かない | 同じ | 同じ |
| 進入口が面する道・通路・空地 | 物品等を置かない | 同じ | 物品等を置かず、みだりに駐車させない |
| 進入口の標識 | 外部から見やすい方法で設ける | 同じ | 同じ |
| 指定窓の対象用途 | (4)項・(16)項イ | 同じ | (1)〜(4)項・(5)項イ・(6)項・(9)項イ・(16)項イ |
| 指定窓の位置 | 高さ31m以下の部分の3階以上 | 同じ | 同じ |
| 非常用エレベーターがある場合 | 第2項はかからない | 同じ | 同じ |
| 非常用エレベーターの乗降ロビー | 物品等を置かない・識別を妨げない | 同じ | 同じ |
2 令別表第1(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ及び(16)項イに掲げる防火対象物の高さが31メートル以下の部分にある3階以上の階に設けられた窓その他の開口部のうち、消防長が指定するものには前項の規定を準用する。
隣の東大阪市なら、車を止めるのもはっきりだめなのですね。
はい、東大阪市は駐車まで書いています。
八尾市の条文に駐車の語はありませんが、空地には車も止めないのが安全です。
八尾市で非常用エレベーターの乗降ロビーと日々の管理は何を見ればよいのか

(1) 消防隊員の活動を妨げるおそれのある物品等を置かないこと。
(2) 消防活動上必要な施設、標識、表示灯その他これらに類するものの識別を妨げるおそれのある設備又は装飾用物品等を設けないこと。
- 進入口のまわりとバルコニー=在庫の箱・植木鉢・物干しなどを置いていないか。
- 進入口から屋内の通路に通じる部分=棚や間仕切り、広告物で進入をふさいでいないか。
- 進入口が面する道・通路・空地=看板や資材、車両などが消防活動の支障になっていないか。
- 進入口の標識=赤い三角の表示が外から見えるか、看板や窓のフィルムで隠れていないか。
- 指定された窓=進入口と同じ3点を確認します。
- 非常用エレベーターの乗降ロビー=物品を置いていないか、表示灯や標識が装飾で見えにくくなっていないか。
売場の配置を変えるときに、窓の前をふさがないよう気をつけます。
はい、図面に進入口の位置を書き込むのが近道です。
最後によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
バルコニーの箱を片付けて、窓の指定も八尾市消防本部に確認します!
進入口と指定窓の位置が図面にそろっていれば、点検や模様替えの確認もすぐにできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 八尾市火災予防条例 第64条(八尾市例規集) https://ops-jg.d1-law.com/opensearch/SrJbF01/init?jctcd=8A85C0D651&houcd=H348901010040&no=1&totalCount=17&fromJsp=SrMj
- 大阪市火災予防条例 第55条の3(大阪市例規データベース) https://www1.g-reiki.net/reiki37e/reiki.html
- 東大阪市火災予防条例 第64条(東大阪市例規集) https://ops-jg.d1-law.com/opensearch/SrJbF01/init?jctcd=8A85C0D6B1&houcd=H348901010038&no=1&totalCount=71&fromJsp=SrMj
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第5章 火災予防条例審査基準 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 豊中市火災予防条例(豊中市例規集) https://www1.g-reiki.net/toyonaka/reiki_honbun/k205RG00000714.html
- 吹田市火災予防条例(吹田市例規集) https://www2.city.suita.osaka.jp/reiki/d1w_reiki/H337901010407/H337901010407_j.html
- 建築基準法施行令 第126条の6・第126条の7・第129条の13の3(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
※本記事は公表されている法令および八尾市・大阪市・東大阪市・堺市・豊中市・吹田市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。国と条例の役割分担の説明や、指定窓と国の第126条の6ただし書第2号の窓の関係は、条文を並べて読んだ整理であり、八尾市が明記しているものではありません。「見当たらない」とした項目は、各市の条例を全文検索した範囲でのものです。条例や運用は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。窓の指定の有無や個別の管理方法は、所轄の消防署にご確認ください。






