共同住宅や事務所ビルでは、2階より上の窓の前にバルコニーがあることがよくあります。
無窓階の判定では、窓が道や幅1m以上の通路などの空地に面しているかが問われますが、バルコニーの奥の窓をどう数えるかは、国の規則には書かれていません。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第18節 普通階判定の問16を読み、空地の位置で有効になる窓が変わるしくみを番号つきで示します。あわせて、豊中市と堺市の基準とも比べます。
吹田市で3階建ての共同住宅を計画しています。
2階と3階の窓はすべてバルコニーの奥にあるのですが、無窓階の判定で数えられますか?
吹田市の質疑応答集は、バルコニーの奥の窓を条件つきで有効としています。
ただし、すべての窓が数えられるとは限りません。
窓の大きさだけを見ればよいと思っていました。
吹田市では、空地がバルコニーのどこに面しているかで数える窓が変わります。
順に見ていきましょう。
- 消防法施行規則第5条の5第2項第2号は、10階以下の階の開口部が道又は道に通ずる幅員1m以上の通路その他の空地に面していることを求めていますが、バルコニーの扱いは書いていません
- 吹田市は、バルコニーの手すりから上の開放部分の高さが1m以上であることを前提に、前面に1m以上の空地等があり有効幅員60cm以上なら、空地等の正面の窓だけを有効としています
- バルコニーの側面に1m以上の空地等がある場合は、有効幅員1m以上で隣戸のパーテーションまでの窓を有効とし、手すりから上の開放部分が1m未満なら有効としません
- 豊中市と堺市は同じ形の表で、手すりより上が1m以上・手すりの高さ1.2m以下・幅員おおむね60cm以上なら窓の全体の高さを開口寸法にするとしています
- 空地の位置で数える窓を分ける書き方は、3市の資料のうち吹田市だけに見られます
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目次
国の規則は無窓階の開口部と空地をどう決めているのか

床面から開口部の下端までの高さは、一・二メートル以内であること。
開口部は、道又は道に通ずる幅員一メートル以上の通路その他の空地に面したものであること。
- 第1項=直径50cm以上の円が内接する開口部の面積の合計が床面積の30分の1を超え、そのうちに大型開口部(直径1m以上の円が内接するもの、又は幅75cm以上・高さ1.2m以上のもの)が2以上ある階が普通階です。
- 第2項第1号=床面から開口部の下端までが1.2m以内であること。
- 第2項第2号=道又は道に通ずる幅員1m以上の通路その他の空地に面していること。11階以上の階には、この号はかかりません。
- 第2項第3号・第4号=外から開けるか壊して入れる構造で、開口のため常に良い状態に保たれていること。
国の規則はバルコニーのことを何も言っていないのですね。
はい、だから市の運用を読む必要があります。
次に吹田市の答えを見ます。
吹田市の質疑応答集はバルコニーの奥の窓をどう答えているのか

(バルコニーの手すりから上の開放部分の高さが1m以上の場合。)
- 手すりから上の開放部分の高さが1m以上あるかを確かめます。1m未満なら、そのバルコニーの奥の窓は有効としません。
- バルコニーに通じる1m以上の空地等が、バルコニーの前面にあるのか、側面にあるのかを確かめます。
- 前面なら図1(有効幅員60cm以上)、側面なら図2(有効幅員1m以上)の決まりで、有効になる窓を選びます。
- 選んだ窓で、国の規則の大きさと割合(大型開口部2以上・床面積の30分の1超)を満たすかを確かめます。
手すりが高いバルコニーだと、窓が数えられないこともあるのですね。
はい、手すりの上が1m未満なら吹田市では有効としません。
次は前面に空地がある場合です。
吹田市でバルコニーの前面に空地があるときはどの窓が有効になるのか

ただし、この場合、有効とするのは1m以上の空地等の正面の開口部のみとする。
(図の場合A・Dのみ有効とする。)
- バルコニーの有効幅員(奥行き)が60cm以上あることが条件です。
- バルコニーの前面のうち、両端の前は1m以上の空地等になっています。中央の前は駐車スペースです。
- 有効になるのは、1m以上の空地等の正面にある窓だけです。図1では両端の窓A・Dが有効で、駐車スペースの正面にある窓B・Cは有効になりません。
バルコニーが一続きでも、駐車場の正面の窓は数えられないのですね。
はい、前面の場合は空地の正面の窓だけです。
次は側面に空地がある場合です。
吹田市でバルコニーの側面に空地があるときはどこまでの窓が有効になるのか

(図の場合C・Dのみ有効となる。)
- バルコニーの側面(右わき)に、1m以上の空地等があります。左わきは0.8mなので空地等になりません。
- 側面から入る場合は、バルコニーの有効幅員が1m以上必要です。前面の場合の60cmより広い条件です。
- 有効になるのは、空地等のある側から隣戸のパーテーションまでの窓です。図2では右側の住戸の窓C・Dが有効で、仕切りの向こうの窓A・Bは有効になりません。
隣の住戸との仕切り板が、数える窓の境目になるのですね。
はい、側面の場合はパーテーションまでです。
最後に豊中市と堺市と比べます。
豊中市と堺市はバルコニーのある窓をどう測るのか

なお、Bは1m以上で、手摺の高さは、1.2m以下とする。
(注)バルコニーの幅員は概ね60cm以上の場合に限る。これによりがたい場合は、Cを開口寸法とする。
なお、Bは1m以上で手すりの高さは、1.2m以下とする。
(注)バルコニーの幅員は概ね60cm以上の場合に限る。これによりがたい場合はCを開口寸法とする。
A=1m (0.65m)以上
B=0.45m (0.4m)以上
(注)( )内は、バルコニー等がある場合
| 項目 | 吹田市 | 豊中市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 資料 | 質疑応答集 第18節 問16 | 運用基準 第6-2表 | 審査基準 第5-2表 |
| 手すりより上の開いた部分 | 1m以上(未満は有効としない) | 1m以上 | 1m以上 |
| 手すりの高さ | 記載なし | 1.2m以下 | 1.2m以下 |
| バルコニーの幅員 | 前面の空地は60cm以上・側面の空地は1m以上 | おおむね60cm以上(よりがたいときはCで測る) | おおむね60cm以上(よりがたいときはCで測る) |
| 空地の位置で数える窓を分けるか | 分ける(正面の窓のみ・仕切りまで) | 記載なし | 記載なし |
| 引き違い窓の寸法のゆるめ | 記載なし | 記載なし | バルコニー等があれば0.65m×0.4m以上 |
- 断面図で、手すりの上端から上の階の床までの開いた部分の高さと、手すりの高さを測ります。
- 平面図で、バルコニーの有効幅員を測ります。室外機や物置を置く計画なら、その分を差し引いて考えます。
- 配置図で、1m以上の空地等がバルコニーの前面と側面のどこにあるかを確かめます。駐車場や駐輪場の位置も書き込みます。
- 有効とする窓を選び、大型開口部2以上・床面積の30分の1超を満たすかを計算します。
- 判断に迷う配置は、図面を持って管轄の消防本部に事前に相談します。
吹田市と豊中市では、確かめる点が少しずつ違うのですね。
はい、同じ大阪府内でも書き方が違います。
最後によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
図面に空地とバルコニーの幅を書き込んで、吹田市消防本部に事前相談します!
空地の位置と手すりの高さがそろっていれば、有効になる窓の計算もすぐにできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第18節 普通階判定 問3・問16 https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」第1部 第2章 第1節 第4 無窓階の取扱い 第6-2表 https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第5 無窓階の取扱い 第5-2表 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行令 第10条第1項第5号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
- 消防法施行規則 第5条の5(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。「手すりから上の開放部分」の意味、答16と答3のつながり、側面の場合に仕切りで区切る理由は、資料を読んだうえでの整理であり、吹田市が明記しているものではありません。「記載なし」「見当たらない」とした項目は、各市の公開資料を検索した範囲でのものです。運用基準や質疑応答集は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。個別の建物の判定は、所轄の消防署にご確認ください。






