1階に専用庭のあるマンションでは、庭の外側にネットフェンスが立っていることが多いです。そのフェンスの向こうに道があっても、庭に面した窓は避難や消火活動に使える開口部として数えてもらえるのでしょうか。
消防法施行規則は、無窓階の判定に数える開口部を、道又は道に通ずる幅員1メートル以上の通路その他の空地に面したものと定めています。
この記事では、吹田市消防本部の質疑応答集 第18節 問14・問15が、専用庭やネットフェンスをどう答えているかを、国の規則と鈴鹿市・豊中市・堺市の基準と並べて読みます。
条文にフェンスという言葉は出てこないため、市の運用が書いているところと、書いていないところを分けて整理します。
専用庭のフェンスが高いと、窓は使えないのですか?
国の規則はフェンスに触れていません。
市の運用が目安を示しています。
市によって書き方が違うのですか?
はい、吹田市と鈴鹿市と豊中市で数字の置き方が違います。
順に確かめていきましょう。
- 国の規則は、開口部が道又は道に通ずる幅員1メートル以上の通路その他の空地に面していることを求めるだけで、専用庭やフェンスには触れていません
- 吹田市の質疑応答集 第18節 問14は、ネットフェンス等で囲まれた専用庭に面する開口部を有効とし、ただしフェンス等の高さが1.2mを超える場合は有効としないと答えています
- 吹田市は問15で、建物の周りをネットフェンス等で囲んでいる場合の開口部を原則として有効としないとし、高さ1.2m以下のものは状況により判断すると答えています
- 鈴鹿市は専用庭のフェンス等に容易に開放できる幅0.75m以上の門扉等を原則として求め、豊中市は障害物の高さが1.2m以下なら支障なしとし、堺市の審査基準には専用庭やネットフェンスの記述が見当たりません
- 開口部を有効としないことと、階が無窓階になることは別です。実際の取扱いは、管轄の消防署で確認してください
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目次
国の規則は開口部の前の空地をどう定めているのか

条文に、専用庭、フェンス、塀という言葉はありません。窓の前の囲いがあると「空地」と言えなくなるのかは、規則だけでは決まらず、各消防本部が運用で補っています。
なお、第1号の「1.2メートル以内」は窓の下端の高さの数字です。この記事に出てくるフェンスの1.2mとは、別の物差しです。11階以上の階は第2号が除かれていて、この記事の話は10階以下の階が対象です。 窓の前の駐車場や樹木の扱いは、吹田市で窓の前に駐輪場や植木があると無窓階になるのかの記事で解説しています。
窓の下端の1.2mと、フェンスの1.2mは同じ話ですか?
いいえ、別の話です。
窓の下端は規則、フェンスの高さは市の運用です。
吹田市の質疑応答集は専用庭のネットフェンスをどう答えているのか

問15の図は、建物の周り全体をネットフェンスが囲み、フェンスと建物のすき間が0.5m・0.8m・1.5mと書かれています。答は、原則としてA・Bとも有効としないです。ただし1.2m以下のフェンスは「状況により判断」と、結論を決めていません。 二つの答を、場合ごとに並べ直します。
| 囲み方とフェンスの高さ | 吹田市の答 |
|---|---|
| 専用庭だけを囲む・1.2m以下 | 有効とする(問14) |
| 専用庭だけを囲む・1.2mを超える | 有効としない(問14) |
| 建物の周り全体を囲む・1.2mを超える | 原則として有効としない(問15) |
| 建物の周り全体を囲む・1.2m以下 | 状況により判断(問15) |
建物の周り全体を囲むと、どうなりますか?
問15は原則として有効としません。
低いフェンスは状況により判断します。
鈴鹿市と豊中市と堺市はフェンスや塀をどう書いているのか

- (3):専用庭にフェンス等があるときは、原則として容易に開放できる幅0.75m以上の門扉等を設ける
- (3)ア:フェンス等の幅1m以上の部分で、地面からの高さが1.2m以下なら、門扉等は求められない
- (3)イ:高さが1.2mを超えても、(2)イただし書きの例に倣い、踏み台でフェンス等の高さを1.2m以下にすれば、同じく求められない
- (2)イただし書き:その踏み台は、(1)が定める踏み台(不燃材料で堅固・壁面にすき間なく床へ固定・高さ0.3m以内など)
鈴鹿市は門扉まで求めるのですか?
原則は0.75m以上の門扉等です。
高さ1.2m以下なら、この限りでないとしています。
吹田市・鈴鹿市・豊中市・堺市の違いを並べるとどうなるのか

| 項目 | 吹田市 | 鈴鹿市 | 豊中市 | 堺市 |
|---|---|---|---|---|
| 専用庭やフェンスの語 | 問14・15にあり(ネットフェンス等) | 3(3)にあり(フェンス又は塀) | 専用庭の語なし(塀等) | 専用庭の語なし(へい) |
| 高さの数字 | 1.2mを超えると有効としない(問14) | 1.2m以下なら門扉等は不要 | 1.2m以下なら支障なし | へいの高さの数字なし(樹木は概ね50cm以下) |
| 門扉や出入口 | 記載なし | 0.75m以上の門扉等を原則として求める | 扉・塀等で狭くなる通路は0.75m以上 | 記載なし |
| 建物の周り全体を囲む場合 | 原則として有効としない(問15) | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
一つ目は、書いている範囲です。吹田市と鈴鹿市は専用庭のフェンスを名指しし、豊中市は塀などの障害物一般、堺市は「へい」として扱っています。
二つ目は、1.2mの使い方です。吹田市は超えると有効としない、鈴鹿市は以下なら門扉等を求めない、豊中市は以下なら支障なしと、同じ数字を別の結論に結んでいます。
三つ目は、建物の周り全体を囲む場合です。これを書いているのは、確認した範囲では吹田市の問15だけでした。「記載なし」は、認められているという意味ではありません。 今回は大阪市と東大阪市を、比較に含めていません。
同じ1.2mなのに、結論がバラバラですね?
はい、基準ごとに何を1.2mで測るのかが違います。
自分の建物の所在地の基準で確かめましょう。
専用庭やフェンスのある建物では何を確かめればよいのか

- その階が10階以下かを確かめます。11階以上の階は、道や空地に面する条件が除かれています。
- 窓の前の囲いが、専用庭だけを囲むフェンスなのか、建物の周り全体を囲むフェンスなのかを図面で確かめます。
- フェンスの高さを地面から測り、1.2mを超えていないかを確かめます。
- 建物の所在地の基準を開きます。吹田市は第18節 問14・問15、鈴鹿市は第2章 第4 3(3)、豊中市は第4 2(2)、堺市は第5 2(2)ウです。
- 図面とフェンスの高さを持って、消防署に相談します。フェンスの高さを変えると、無窓階の判定や設置する設備が変わることがあります。
フェンスを低くすれば、窓は数えてもらえますか?
高さを変える前に、消防署で確認しましょう。
建物全体を囲む場合は状況による判断です。
よくある質問
まとめ
まずフェンスの高さと出入口を確かめます。
そのうえで消防署に相談します!
専用庭の扱いは消防署で確認しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第18節 普通階判定 問14・問15(更新2026-07-13) https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第2章 第4 無窓階の取り扱い 3(3) https://www.city.suzuka.lg.jp/shobo/1012943/1016101/index.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」(令和6年4月1日改正)第1部 第2章 第4 無窓階の取扱い 2(2) https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第5 無窓階の取扱い 2(2)ウ https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第5条の5(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・鈴鹿市・豊中市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたもので、「記載なし」「見当たらない」としたものは公表資料を確認した範囲の結果です。大阪市・東大阪市は今回の比較に含めていません。基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個々の建物の窓が有効な開口部に当たるかは、所轄の消防署にご確認ください。






