飲食店やホテル、病院の厨房には、レンジやフライヤーの上に大きなフード(天がい)が付いています。
スプリンクラー設備がある建物では、このフードが天井のヘッドの散水をさえぎるため、フードの下をどう警戒するかが問題になります。その方法の認め方は、自治体の運用で違います。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備の問18(フード下の警戒)を読み、大阪市・豊中市・堺市の基準とも比べます。
吹田市で飲食店の厨房を作ります。
フードの下にもスプリンクラーヘッドが要るのですか?
吹田市の質疑応答集は、フードの下の警戒について感熱開放継手の代わりになる方法を答えています。
条件は4つです。
ダクト消火の装置を付ければよい、という話ですか。
装置に加えて、受信機への移報・耐熱以上の配線・特例適用願出書までそろえます。
順に見ていきましょう。
- 吹田市の質疑応答集の答18は、フード等に簡易自動消火装置(ダクト消火)を設け、自動火災報知設備の受信機に起動の信号を移報すれば、感熱開放継手の代替とみなせるとしています
- 移報の配線は耐熱以上とし、消防用設備等特例適用願出書を出すことが条件です
- 国の消防法施行規則は、幅又は奥行が1.2メートルを超えるダクト等の下面にもヘッドを求めています
- 大阪市は、火炎伝走防止用消火装置などで厨房設備を包含すれば、その有効範囲内のヘッドを設置しないことができる特例を置いています
- 堺市・大阪市は感熱開放継手でダクト等の下部に開放型ヘッドを設ける方法を示し、豊中市の特例基準には厨房の項目が見当たりません
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目次
吹田市の質疑応答集はフードの下の警戒をどう答えているのか

答18 フード下の警戒として、フード等の部分に簡易自動消火装置(ダクト消火)を設置し、自動火災報知設備の受信機に起動した旨の信号を移報させた場合は、感熱開放継手の代替とみなすことができる。移報配線は耐熱以上とすること。
ただし、消防用設備等特例適用願出書を提出すること。
| 条件 | 答18の内容 |
|---|---|
| ①装置 | フード等の部分に簡易自動消火装置(ダクト消火)を設置する |
| ②移報 | 起動した旨の信号を、自動火災報知設備の受信機に移報させる |
| ③配線 | 移報の配線は耐熱以上とする |
| ④手続 | 消防用設備等特例適用願出書を提出する |
消火装置を付けるだけでなく、受信機に知らせるところまでが条件なのですね。
はい、装置が動いたことが受信機で分かることが求められています。
配線も耐熱以上と指定されています。
国の基準と運用基準ではフードの下のヘッドはどうつながっているのか

ロ 給排気用ダクト、棚等(以下「ダクト等」という。)でその幅又は奥行が一・二メートルを超えるものがある場合には、当該ダクト等の下面にもスプリンクラーヘッドを設けること。
- 国の規則(第13条の2第4項第1号ロ)は、幅又は奥行が1.2メートルを超えるダクト等の下面にもヘッドを求めている
- 大阪市・堺市の運用基準は、天井面下部にダクト等の散水障害があるとき、特定機器評価を受けた感熱開放継手を評価結果に基づき設ければ、ダクト等の下部に開放型ヘッドを設置できるとしている
- 吹田市の答18は、フードの下のこの感熱開放継手の代わりとして、ダクト消火と受信機への移報の組み合わせを認めている
- 代わりの方法は基準どおりではないため、消防用設備等特例適用願出書を出す。吹田市の質疑応答集は第19節の題を「特例適用(令32条)」としており、消防法施行令第32条の特例の手続につながる
代わりの方法でも、届け出が要るのですね。
はい、答18の最後に「ただし、消防用設備等特例適用願出書を提出すること」とあります。
着工届とは別の書類として準備します。
ダクト消火で代えるときは何をそろえるのか

- 天井伏図で、フードの大きさと天井のヘッドの位置を重ね、フードの下が警戒の対象になるかを見る
- フード等の部分に設ける簡易自動消火装置(ダクト消火)の機種と、フードやダクトのどこを守るかを決める
- 装置が起動したときの信号を、自動火災報知設備の受信機へ移報する回路を設計する
- 移報の配線を耐熱以上とし、配線の種別を図面に書く
- 消防用設備等特例適用願出書を作り、装置と移報の図面を付けて吹田市消防本部に出す
同じダクト消火でも、書類が2種類あるのですね。
はい、ヘッドの代わりなら特例適用願出書、特殊消火設備の除外なら除外願出書です。
計画の段階でどちらに当たるか確かめましょう。
大阪市・豊中市・堺市では厨房のヘッドの扱いがどう違うのか

| 市 | フードの下の扱い | 書いてある場所 |
|---|---|---|
| 吹田市 | ダクト消火+受信機への移報(耐熱以上の配線)で感熱開放継手の代替とみなせる。特例適用願出書が必要 | 質疑応答集 第3節 答18 |
| 大阪市 | 火炎伝走防止用消火装置などで厨房設備を包含すれば、有効範囲内はヘッドを設置しないことができる。感熱開放継手で下部に開放型ヘッドも可 | 第14 特例基準12・第9 1(8)◆ |
| 堺市 | 感熱開放継手でダクト等の下部に開放型ヘッドを設置できる。厨房の消火装置でヘッドを省く項目は見当たらない | 第4 Ⅱ 2(4)ク(エ)★ |
| 豊中市 | スプリンクラー設備の特例基準は1〜10で、厨房の消火装置でヘッドを省く項目は見当たらない | 第14 特例基準 |
大阪市はヘッドを省ける範囲、吹田市は感熱開放継手の代わり、と書き方が違うのですね。
はい、同じダクト消火でも、市によって何の代わりになるかが違います。
他市の図面をそのまま使うと食い違います。
厨房の改装やフードの入れ替えでは何に気をつけるのか

| 確かめる点 | 答18での見方 |
|---|---|
| 新しいフードの大きさ | フードの下が天井のヘッドの散水の陰にならないか |
| ダクト消火の装置 | フード等の部分に簡易自動消火装置(ダクト消火)があるか |
| 受信機への移報 | 起動した旨の信号が自動火災報知設備の受信機へ届くか |
| 移報の配線 | 耐熱以上の配線になっているか |
| 書類 | 消防用設備等特例適用願出書を出しているか(前のテナントの書類は引き継げるか) |
フードを替えるだけでも、消防の手続が関係するのですね。
はい、フードの寸法と天井伏図を先に重ねるだけで、多くは事前に分かります。
迷ったら図面を持って相談するのが近道です。
よくある質問
まとめ
厨房のフードは、装置と移報と願出書をそろえると覚えておきます!
フードを決める前に確かめれば、ヘッドや配線を後からやり直す工事を避けられます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第3節 スプリンクラー設備 問18・答18、第4節 問15・答15、第19節 特例適用(令32条) https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第3節 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第9 1(8)、第14 特例基準 12 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 第14 特例基準 https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 堺市消防局「消防設備・消防用設備等審査基準」第4 スプリンクラー設備 Ⅱ 2 (4)ク(エ) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第13条の2第4項第1号ロ(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
- 消防法施行令 第32条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
※本記事は公表されている法令および吹田市・大阪市・豊中市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。答18が前提とする感熱開放継手による警戒の読み方、代替とみなせる範囲、4市の対比は、資料を読んだうえでの整理であり、各市が明記しているものではありません。「書かれていない」「見当たらない」という説明は、各市の公開資料を確認した範囲でのものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個別の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。






