郊外の立体駐車場には、壁がなく、どの階も外に向かって大きく開いたものが多くあります。
一方で、地下の駐車場や窓のない階には、誘導灯が付いているのを見かけます。
吹田市の質疑応答集は、自走式駐車場の単独棟について、地階や無窓階なら誘導灯が必要としつつ、三つの形に当たれば省略できると答えています。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第9節 誘導灯の問5・答5を読み、国の条文と、大阪市・堺市の泡消火設備の基準とも比べます。
吹田市で、車を自分で運転して上る自走式の駐車場を建てます。
地下にも駐車場がありますが、誘導灯は付けないといけませんか?
吹田市の質疑応答集は、原則、地階または無窓階であれば誘導灯は必要としています。
ただし、省略できる場合も書かれています。
省略できる場合があるのですね。
はい、開口部・開口率・大臣認定のどれかに当たれば、除外願を出して省略できます。
順に見ていきましょう。
- 消防法施行令第26条第1項は、駐車場(別表第一(十三)項)の避難口誘導灯と通路誘導灯を、地階・無窓階・十一階以上の部分に求めています
- 吹田市の質疑応答集の答5は、自走式駐車場(単独棟)でも地階または無窓階であれば誘導灯の設置は必要としています
- 答5は、無窓階の判定の開口部を有する・移動式の開口率(10%または15%)を有する・大臣の認定を受けたの三つのどれかに当たれば、誘導灯または誘導標識を省略できるとしています
- 省略するときは、消防用設備等除外願を提出します
- 開口率の10%と15%は、同じ質疑応答集の第4節の答5で、数える開口部の範囲が違います
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目次
吹田市の質疑応答集は自走式駐車場の誘導灯をどう答えているのか

答5 原則、地階または無窓階であれば誘導灯の設置は必要。
ただし、規則第5条の3に規定する開口部(準ずるものを含む)を有する自走式駐車場、特殊消火設備を移動式にする場合の開口率(10%または15%)を有する自走式駐車場、または、建設大臣の認定を受けた自走式駐車場(準ずるものを含む)である場合は、誘導灯または誘導標識の設置を省略することができる。
この場合、消防用設備等除外願を提出すること。
| 区分 | 吹田市の答 | 出どころ |
|---|---|---|
| 原則 | 地階または無窓階であれば誘導灯の設置は必要 | 答5 前段 |
| 省略できる形① | 規則第5条の3に規定する開口部(準ずるものを含む)を有する | 答5 ただし書き |
| 省略できる形② | 特殊消火設備を移動式にする場合の開口率(10%または15%)を有する | 答5 ただし書き |
| 省略できる形③ | 建設大臣の認定を受けた自走式駐車場(準ずるものを含む) | 答5 ただし書き |
| 省略の対象 | 誘導灯または誘導標識 | 答5 ただし書き |
| 手続 | 消防用設備等除外願を提出する | 答5 後段 |
誘導標識も省略できるのですか?
答5は、誘導灯だけでなく誘導標識も省略の対象に挙げています。
国の条文との関係は、次の章で見ましょう。
国の基準では駐車場の誘導灯はどんなときに必要になるのか

一 避難口誘導灯 別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物並びに同表(五)項ロ、(七)項、(八)項、(十)項から(十五)項まで及び(十六)項ロに掲げる防火対象物の地階、無窓階及び十一階以上の部分
四 誘導標識 別表第一(一)項から(十六)項までに掲げる防火対象物
地上の普通階なら、誘導灯はいらないのですね。
はい、だから無窓階かどうかが分かれ目です。
次に、無窓階の決め方を見ましょう。
無窓階かどうかは何で決まるのか

- 床面から開口部の下端までの高さが1.2m以内
- 開口部が、道又は幅員1m以上の通路その他の空地に面している
- 格子など内部から容易に避難することを妨げる構造がなく、外部から開放するか容易に破壊して進入できる
- 開口部が、常時良好な状態に維持されている
- 駐車場の階が地階・無窓階・十一階以上にあるかを確かめる(令第26条第1項第1号・第2号)
- 地上階なら、規則第5条の5で無窓階かを確かめる。普通階なら誘導灯の義務はかからない
- 地階、または無窓階なら、誘導灯が必要が原則(答5 前段)
- 自走式駐車場の単独棟で、答5の三つの形のどれかに当たれば、省略できる(答5 ただし書き)
- 省略するときは、消防用設備等除外願を提出する(答5 後段)
また、除外願を出す法律上の根拠も答5には書かれていません。国の側には次の条文があり、同じ質疑応答集の第19節が「特例適用(令32条)」と題されていることから、令第32条の特例を使う手続と読めます。
うちの駐車場は一階が壁で囲まれています。
無窓階になるのでしょうか?
その場合は、規則第5条の5の開口部を先に数えましょう。
答5の三つの形は、その次に確かめます。
開口率の10%と15%はどう数えるのか

答5 開口部面積(㎡)÷駐車場面積(㎡)×100(%)とし、下記の開口率を有する場合は、移動式消火設備として可。
・10%を適用 常時外気が流通している開口部のうち階高の2分の1以上の部分のみ合算
・15%を適用 常時外気が流通している開口部のすべてを合算
※駐車場面積とは、車室、車路(車室に面する車路に限る)とし、進入路及びスロープ部分は除く。
なお、移動式消火設備の包含も上記と同様とする。
| 適用する割合 | 足し合わせる開口部 | 出どころ |
|---|---|---|
| 10% | 常時外気が流通している開口部のうち、階高の2分の1以上の部分のみ | 第4節 答5 |
| 15% | 常時外気が流通している開口部のすべて | 第4節 答5 |
| 分母の駐車場面積 | 車室と、車室に面する車路。進入路とスロープは除く | 第4節 答5 ※ |
答1 開放面と隣接する建築物及び工作物との離隔を500mm以上確保すること。
隣接しているものが車両の場合
① 500mm以上の離隔があれば、当該開放面については全面を算定。
② 500mm未満の場合は、1,800mm以上の部分を算定する。
- 立面図から、常時外気が流通している開口部を拾い出す
- 駐車場面積を、車室と車室に面する車路で求める(進入路とスロープを除く)
- 開口部のうち階高の2分の1以上の部分だけを足して、10%を超えるかを見る
- 届かなければ、開口部をすべて足して、15%を超えるかを見る
- 開口部が当たるかを、吹田市消防本部に図面を持ってで確かめる
10%と15%は、足す開口部の範囲が違うだけなのですね。
はい、階高の半分より上だけを足すのか、全部を足すのかで割合が変わります。
立面図に高さを書き込んで数えましょう。
大阪市と堺市は移動式の開口をどう決めているのか

(1) 屋上駐車場その他完全に開放されている場所
(2) 道路の高架下その他周囲が開放されており、気流の流通を妨げるもののない場所
(3) 次に適合する排煙上有効な開口部の面積の合計が、当該場所の床面積の10分の1以上あるもの
(1)ウ 前イ以外の駐車の用に供する部分については次の(ア)~(ウ)全てに適合していること。★
(ア)駐車の用に供する部分の側面及び上部のうち2面以上が外気に開放されていること。
(イ)排煙上有効な開口部の面積の合計が、駐車の用に供する部分の面積の1/10以上確保されていること。
| 項目 | 吹田市 | 大阪市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 定めている場所 | 質疑応答集 第4節 問5 | 運用基準 泡消火設備 第3 1(3) | 審査基準 第6 Ⅱ 3(1)イ・ウ |
| 開口の割合 | 10%または15% | 床面積の10分の1以上 | 天井開口は床面積の15%以上/それ以外は面積の1/10以上 |
| 数える開口部 | 10%は階高の2分の1以上の部分のみ、15%はすべて | 排煙上有効な開口部 | 側面は階高の1/2以上の部分、上部開口は全体 |
| ほかの条件 | 駐車場面積は車室と車路(進入路・スロープ除く) | 常時外気に開放されたもの等 | ウは2面以上の外気開放と、幅員1m以上の空地に面した側面開口 |
| 誘導灯の省略への使い方 | 答5が開口率を省略の形の一つに挙げる | 見当たらない | 見当たらない |
同じ10分の1前後でも、市によって数え方が違うのですね。
はい、誘導灯の省略に使えるのは、答5を示しているは吹田市の目安です。
他の市では、その市の基準で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
駐車場の誘導灯は、階の位置と開口部が分かれ目です!
計画の段階で確かめれば、完成後の設備の追加を避けられます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第9節 誘導灯 問5、第4節 水噴霧消火設備等 問1・問5 https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」泡消火設備 第3 移動式に関する基準 1 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 堺市消防局「消防同意・消防用設備等審査基準」第6 泡消火設備 Ⅱ 3 移動式 (1) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行令 第26条・第32条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037
- 消防法施行規則 第5条の5・第18条第4項・第28条の2(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。答5の「規則第5条の3」を旧条番号と読む点、「建設大臣」を国土交通大臣と読む点、除外願を令第32条の特例の手続と読む点、答5が開口率を借りている理由、三市の対比は、資料を読んだうえでの整理であり、各市が明記しているものではありません。「見当たらない」とした項目は、各市の公開資料を確認した範囲でのものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個別の建物の扱いは、所轄の消防署にご確認ください。






