特定共同住宅等のマンションでメゾネット型住戸(上下階が一体になった住戸)を設計する場合や、住戸間の防火区画に乾式壁を使いたい場合、消防設備の基準をどう適用すればよいか迷う設計者・施工管理者は少なくありません。
この記事では、188号通知に基づく実務上の取り扱いを解説します。
メゾネットの住戸は、スプリンクラーが要るのは上の階だけでしょうか。
いえ、上階のみに義務が生じる場合でも、下階を含めて住戸全体に設置が必要とされています。
テナントが入っている部分は住戸ではありませんが、どう扱うのでしょうか。
独立した用途に供される部分は住戸とみなして40号省令を適用できます。
住戸間の乾式壁も施工管理体制が整っていれば認められます。
この記事でまとめて解説します!
- メゾネット型住戸は上階のみにスプリンクラー義務が生じる場合でも、下階を含め住戸全体に設置が必要
- 階段室型特定共同住宅等の連結送水管放水口は階数3以内ごと+主たる出入口が面する階段室等に設置
- テナント区画等の「独立した用途に供される部分」は住戸とみなして40号省令を適用できる
- 住戸間の防火区画に乾式壁を使う場合は、適切な施工管理体制が整っていれば認められる
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目次
メゾネット型住戸のスプリンクラー・連結送水管の扱い
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メゾネット型住戸(上下階が一体になった住戸)に特定共同住宅等の技術上の基準を適用する場合、次のように取り扱います。
| 項目 | 取り扱い |
|---|---|
| スプリンクラー設備 | 上階のみに設置義務が生じる場合でも、下階を含めた住戸全体に設置する必要がある |
| 共同住宅用連結送水管の放水口(階段室型特定共同住宅等) | 階数3以内ごとに、かつ当該住戸の主たる出入口が面する階段室等に設ける |
上下階を1つの住戸として、まとめて見るのですね。
一体で判断します。
住戸ごとの階層を平面図に書き出して、設置範囲を確認してください。
「独立した用途に供される部分」の防火区画
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共同住宅の中にテナント区画等、住戸とは異なる独立した用途に供される部分がある場合の扱いも実務上のポイントです。
- 「独立した用途に供される部分」は、住戸とみなして40号省令を適用しても差し支えないとされている
- この部分と住戸等・共用部分を区画する床または壁は、位置・構造告示第3号に規定する基準に適合する構造とする必要がある
- 150平方メートル以内ごとの防火区画についても、同様の構造基準を満たす必要がある
テナント部分を住戸とみなす場合、壁の作りまで見られるのでしょうか。
区画する床や壁が基準に適合している必要があります。
区画の仕様書を保管しておいてください。
乾式壁を防火区画に使う場合の施工管理体制
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特定共同住宅等の住戸等の区画に用いる床または壁は「堅牢かつ容易に変更できない構造」が求められますが、乾式壁(乾式工法による軽量な間仕切り壁)の使用も、適切な施工管理体制が整っていれば認められます。
| 求められる施工管理体制 | 内容 |
|---|---|
| 施工方法の明確化 | 乾式壁の製造者が作成した施工仕様書等により、施工方法が明確にされ、施工実施者に周知されていること |
| 現場責任者の選任 | 乾式壁の施工に関し十分な技能を有する者(製造者の技術研修修了者等)を現場責任者として選任し、施工実施者への指導・監督を行うこと |
| 施工状況の確認 | 施工の適正な実施について自主検査等により確認を行い、結果を保存すること |
| 耐火処理の徹底 | 乾式の壁と床・はり等の躯体との接合部の耐火処理について、特に徹底した施工管理を行うこと |
乾式壁でも、施工の管理ができていれば認められるのですね。
施工仕様書と管理体制が要ります。
改修で壁に手を入れるときは、記録を残す前提で発注してください。
特定共同住宅等の代替設備を検討する際に押さえておきたい視点
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特定共同住宅等の制度は、通常の消防用設備等の基準をそのまま適用するのではなく、共同住宅特有の構造(各住戸の独立性、廊下・階段の配置等)を踏まえた代替設備(40号省令、188号通知等)を認める仕組みです。
メゾネット型住戸や乾式壁のような個別の論点も、この「建物全体としての避難安全性をどう確保するか」という大きな視点の中に位置づけて検討することが重要です。
- 個々の住戸単位の基準適合だけでなく、建物全体の階段・廊下を含めた避難動線全体で安全性を評価する
- メゾネット型住戸や乾式壁など、構造が複雑な部分ほど、設計段階の早い時期に所轄消防署と協議しておく
- 40号省令・188号通知は改正や運用解釈の更新がある分野のため、設計時点の最新の通知内容を確認する
建物全体の避難の安全から考えるということですね。
その視点で見ると判断がぶれません。
迷ったら住戸の切り方から所轄に相談してください。
よくある質問
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まとめ
- メゾネット型住戸はスプリンクラー・連結送水管とも住戸全体で一体的に基準を適用する
- テナント区画等は住戸とみなして40号省令を適用できるが、区画の構造基準に適合させる必要がある
- 乾式壁は適切な施工管理体制(仕様書の明確化・現場責任者の選任・自主検査・耐火処理の徹底)が整っていれば使用できる
住戸の単位をどう切るかで、必要な設備がまるごと変わるのですね。
すっきりしました。
そのとおりです。
メゾネットは1住戸として一体で見る、これが判断の軸になります。
参考・出典
- 特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(平成17年総務省令第40号)・位置、構造及び管理の状況を定める告示(位置・構造告示) e-Gov法令検索
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)特定共同住宅等の設備基準に関する質疑応答(平成17-18年通知・188号通知)を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年7月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の設計・施工計画については所轄消防署にご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




