防油堤には、たまった雨水を抜くための水抜口と、それを開閉する弁が必要です。
その弁のかわりに、配管そのものを起こしたり倒したりして排水を止める方式が照会されました。
弁ではないものを弁として認められるのか。認めるとして、開閉の確認はどうするのか。
この記事では防油堤の水抜きと配管の貫通部の扱いを消防庁の質疑応答に沿って整理します。
排水管を起こしたり倒したりして止めるんも、弁のうちに入るやろ。
そこは分けて答えています。
開閉する弁等とは認められないとしたうえで、機能から政令第23条を適用して認めました。
ほな開いてるか閉まってるかはどう確かめるんや。
目で見て分かることです。
別の回答は防油堤周囲の構内道路上等から目視により容易に確認できることと定義しています。この記事でまとめて解説します!
- スイングジョイントによる排水設備は規則第22条第2項第13号の水抜口を開閉する弁等とは認められない
- ただし機能から判断すれば政令第23条の規定を適用し、その設置を認めてさしつかえない
- 同じく弁等の開閉状況を容易に確認できる装置と同等の機能を有するものと認めてさしつかえない
- 雨水の流入等により腐食する可能性があるため適切な防食措置を施すべきである
- 配管が貫通する防油堤に金属性可撓式管継手を用いることは適当でない
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目次
スイングジョイントは水抜口を開閉する弁等とは認められない

昭和52年3月28日付け消防危第50号は、京都府からの照会に答えたものです。
防油堤の水抜口について、弁を使わない方式が提案されました。
スイングジョイントは、配管の途中に回転する継手を入れて、その先を起こしたり倒したりできるようにしたものです。
先を上に立てれば水は出ず、横に倒せば流れ出します。
条文が求めているのは弁等です。
管の向きを変えるだけの機構は、弁そのものではありません。
条文には合いません。
機能から判断すれば政令第23条を適用して認められる

否定はそこで終わりません。
回答は同じ文の中で、別の道を示しています。
条文の文言には当てはまらないが、機能から判断すれば同じ目的を果たしている。
だから基準の特例を適用して認める、という組み立てです。
この連載でくり返し出てくる政令第23条の使い方が、ここでもはっきり表れています。
名称ではなく、果たしている働きで判断されるということです。
機能で判断されます。
開閉状況の確認は構内道路上等から目視できること

照会の二つめは、開閉の確認方法についてです。
規則第22条第2項第14号は、弁等の開閉状況を容易に確認できる装置を求めています。
管が立っているか倒れているかは、離れていても見て分かります。
そのため確認装置と同等の機能があると認められました。
この容易に確認できるの意味については、別の回答が定義を示しています。
基準は防油堤周囲の構内道路上等からです。
堤のそばまで行かなければ分からないようでは足りません。
離れて見て分かることです。
立てたままの排水管には適切な防食措置を施す

照会の三つめは、照会側が自ら気づいた懸念です。
ふだんの状態がどうなるかを考えたうえでの問いでした。
排水を止めているとき、管は上を向いたままになります。
そこに雨水が入れば内側から錆びていきます。
弁であれば起こらない問題が、この方式では起こる。
特例で認めるかわりに、その方式に固有の弱点を手当てすることが求められました。
弱点を手当てします。
貫通部にベローズ型伸縮管継手を用いることは適当でない

同じ防油堤でも、配管が貫通する部分については別の結論が出ています。
昭和52年3月17日付け消防危第39号は、愛媛県からの照会に答えたものです。
ベローズ型伸縮管継手は、蛇腹状の部分が伸び縮みして配管の動きを吸収する部品です。
地盤沈下やタンクの沈下による力を逃がす目的で使われます。
しかし蛇腹の部分は、まっすぐな配管より薄く、傷みやすい部分でもあります。
防油堤を貫通する場所という、漏れれば堤の外に出てしまう位置には向かないという判断です。
場所を選ぶ部品です。
よくある質問
まとめ
- スイングジョイントにより水平連通の原理を応用して排水管を操作する設備が照会された
- この設備は規則第22条第2項第13号に規定する水抜口を開閉する弁等とは認められない
- ただし機能から判断すれば政令第23条の規定を適用しその設置を認めてさしつかえない
- 閉のとき管が起立し開のとき管が横臥する状態は開閉状況を容易に確認できる装置と同等の機能を有する
- 弁等の開閉状況が容易に確認できるとは防油堤周囲の構内道路上等から目視により容易に確認できることをいう
- 排水管を通常立てかけておく方式では雨水の流入等による腐食に対し適切な防食措置を施すべきである
- 配管が貫通する防油堤に金属性可撓式管継手すなわちベローズ型伸縮管継手等を用いることは適当でない
特例で通してもろたら、そのぶん別の手当てが要るんやな。
そのとおりです。
防油堤の水抜設備や貫通部の計画も、所轄消防署との事前協議からお手伝いします。
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第11条・第23条 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第22条 e-Gov法令検索
- 配管が貫通する防油堤の保護について(昭和52年3月17日付け消防危第39号 危険物規制課長から愛媛県あて回答)
- 防油堤のスイングジョイントによる水抜について(昭和52年3月28日付け消防危第50号 危険物規制課長から京都府あて回答)
- 危険物の規制に関する疑義について(昭和52年9月9日付け消防危第136号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の危険物の規制に関する政令の質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




