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危険物施設の安全弁の作動確認はなぜ他の法律の検査に合わせられるのか|高圧ガス保安法や労働安全衛生法との関係を消防庁の通知で解説

真鍮色の安全弁と圧力計が取り付けられた化学プラントの圧力容器の写真

危険物施設の安全弁は、設備を止めなければ作動を確かめにくい部品です。
消防法の定期点検は年1回以上とされ、点検表には安全弁の作動確認の欄があります。
消防庁は、平成21年2月27日の消防危第34号で、この作動確認の時期を高圧ガス保安法の保安検査に合わせる取扱いを広げました。
この記事では、その取扱いの中身と、現在の運用の範囲を解説します。

安全弁の作動確認は、毎年、設備を止めて行うものなのですか。
別の法律の検査と重なる場合は、どうなるのでしょうか。

通知は、作動確認の時期を保安検査の作動検査に合わせてよいとしています。
まず、通知の中身から確かめましょう。

どんな安全弁でも、その扱いになるのでしょうか。

いいえ、両方の法律が適用される安全弁に限られます。
順に見ていきます。

この記事の結論
  • 消防法の定期点検は、危険物の規制に関する規則第62条の4により、年1回以上行います。
  • 消防庁の点検表(別記2)は、消防法と高圧ガス保安法などが適用される安全弁の作動確認を、保安検査の作動検査の時期に準ずるものとしています。
  • 作動検査を行った場合は、作動確認を行ったものとすると、点検表の注3は述べています。
  • 平成21年2月の消防危第34号で、危険物が直接触れる安全弁にも広がり、令和3年3月の消防危第43号で、労働安全衛生法が適用される安全弁も加わりました。
  • 注3が付くのは作動確認だけで、目視の点検は別です。通知は助言のため、点検記録の扱いは所轄の消防本部に確認してください。

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二つの法律が適用される安全弁で保安検査の作動検査を行い、作動確認を行ったものとする流れと、時期を保安検査に合わせる取扱いを示す図解

危険物施設の安全弁の作動確認はなぜ他の法律の検査に合わせる取扱いが示されたのか

灰色の圧力容器の模型に真鍮色の安全弁が付き、何も書かれていないカレンダーと赤い印の付いた書類が並ぶイラスト
まず、消防法の定期点検の決まりを、条文と規則で確かめます。
次に、通知が出された経緯を見ます。
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十四条の三の二
政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、これらの製造所、貯蔵所又は取扱所について、総務省令で定めるところにより、定期に点検し、その点検記録を作成し、これを保存しなければならない。
危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第六十二条の四第一項
法第十四条の三の二の規定による定期点検は、一年(告示で定める構造又は設備にあつては告示で定める期間)に一回以上行わなければならない。(略)
定期点検は、年1回以上、製造所等が技術上の基準に適合しているかを確かめるものです。
点検の具体的な方法は、消防庁が、平成3年5月29日の消防危第48号(以下「48号通知」)の点検表で示しています。
点検表の安全弁の欄には、作動確認があります。
一方で、高圧ガスを扱う設備では、高圧ガス保安法に基づく保安検査でも、安全弁の作動検査が行われます。
同じ安全弁を、二つの法律の検査で別々に確かめることが、現場の負担になっていました。 その見直しのきっかけを、平成20年の通知は、次のように述べています。
消防危第43号「「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」の一部改正について(技術的助言)」(平成20年3月14日、消防庁危険物保安室長)は、次のように述べています。
48号通知に定める点検項目のうち、安全弁については、「規制改革推進のための3か年計画」(平成19年6月22日閣議決定)において、消防法及び高圧ガス保安法が適用される安全弁の消防法に基づく定期点検における作動確認の時期と高圧ガス保安法に基づく保安検査における作動検査の時期との整合を図ることの可否について、消防庁において実態を把握した上で、安全性の確保を前提に検討を行うこととされています。
見直しの前提は、安全性の確保です。
閣議決定は、時期を合わせられるかの検討を、消防庁に求めました。
その後の通知の経過を、表で整理します。
時期通知が述べる内容
平成19年6月22日閣議決定「規制改革推進のための3か年計画」で、作動確認と作動検査の時期を合わせられるかの検討が求められた
平成20年3月14日消防危第43号で、危険物が直接触れることによる圧力上昇のおそれのない安全弁について、時期を保安検査に準ずるものとした
平成21年2月27日消防危第34号で、危険物が直接触れることによる圧力上昇のおそれのある安全弁にも広げた
令和3年3月26日消防危第43号で、労働安全衛生法が適用される安全弁も、同じ取扱いの対象に加えた
令和の通知の背景を、消防庁の検討会の資料は、次のように述べています。
危険物施設の長期使用に係る調査検討会(第1回、令和3年3月1日)の資料1「製造所・一般取扱所の定期点検における労働安全衛生法に基づく安全弁に係る検査の活用について」は、次のように述べています。
消防法では設備停止が必要となる、安全弁動作確認が毎年義務付けられている事から、これら安全弁については2年連続運転に対応する事ができない状況
毎年の作動確認が、連続運転の妨げになる点が、見直しの理由の一つです。
資料は、消防法と労働安全衛生法が重なる安全弁について、この状況を述べています。
次に、どの安全弁が対象になるのかを確かめましょう。

二つの法律の検査が重なる点が、負担だったのですね。

はい、通知は、安全性の確保を前提に、時期を合わせる取扱いを示しました。
次に、対象を見ましょう。

どの安全弁がこの取扱いの対象になるのか

紺色と橙色の二枚の板が並び、圧力容器の模型と紺色のタンクの模型が並ぶイラスト
現在の取扱いは、48号通知の点検表(別記2)の注3に書かれています。
まず、令和3年の通知が示した注の文面を確かめます。
消防危第43号「「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」の一部改正について」(令和3年3月26日、消防庁危険物保安室長)は、別記2の注3を次のように改めると述べています。
注3 消防法、高圧ガス保安法又は労働安全衛生法が適用される安全弁については、作動確認の時期を高圧ガス保安法又は労働安全衛生法に基づく保安検査における作動検査の時期に準ずるものとし、当該作動検査を行った場合は作動確認を行ったものとすること。
別記2は、製造所と一般取扱所の点検表です。
注3は、その点検表の安全弁に付けられた注です。
文面だけでは、三つの法律のうち一つが適用されれば足りるように読めます。
しかし、通知の経過と検討会の資料は、消防法と、ほかの法律が重なる安全弁を取り上げています。
対象の広がりを、通知ごとに整理します。
通知対象になる安全弁
平成20年3月14日 消防危第43号消防法及び高圧ガス保安法が適用される安全弁のうち、蒸気やガス等により圧力上昇のおそれがあり、かつ、危険物が直接触れることによる圧力上昇のおそれのないもの
平成21年2月27日 消防危第34号上の限定を削り、危険物が直接触れることによる圧力上昇のおそれのあるものも含めた
令和3年3月26日 消防危第43号消防法、高圧ガス保安法又は労働安全衛生法が適用される安全弁
平成21年の通知の改正文は、限定を削る形で書かれています。
消防危第34号(平成21年2月27日、消防庁危険物保安室長)は、次のように改正するとしています。
「48号通知」記2(4)別記2の欄外注3中「安全弁のうち、蒸気やガス等により圧力上昇のおそれがあり、かつ、危険物が直接触れることによる圧力上昇のおそれのない」を削る。
対象の限定は、平成21年の通知で外されました。
その後、令和3年の通知で、労働安全衛生法の安全弁が加わったと読めます。
ご自身の施設の安全弁が、どの法律の適用を受けているかは、設備の管理台帳などで確かめる必要があります。

別記2の注なのですね。
他の点検表にも同じ注があるのでしょうか。

この記事で確かめたのは、別記2の注3です。
他の施設の扱いは、所轄の消防本部に確認しましょう。

作動確認の時期を保安検査に準ずるとは何を認めているのか

真鍮色の安全弁の模型と、丸い盤面の計器と、赤い印の付いた書類が並ぶイラスト
注3は、二つのことを述べています。
まず、通知が示した根拠を確かめます。
消防危第34号(平成21年2月27日、消防庁危険物保安室長)は、次のように述べています。
今般、消防法及び高圧ガス保安法が適用される安全弁のうち、危険物が直接触れることによる圧力上昇のおそれのあるものについても、2年又は4年の連続運転後の安全弁の性能及び作動状況を検証した結果、高圧ガス保安法に基づく保安検査における作動検査が適正に行われていれば、消防法に基づく定期点検における作動確認で求められる安全弁の安全性は確保されているとの結論が得られました。
根拠は、連続運転後の安全弁を実際に検証した結果です。
作動検査が適正に行われていれば、消防法の作動確認で求める安全性も確保されていると、通知は述べています。
この結論を受けて、注3が、次の二つを定めています。
注3の文面実務での読み方
作動確認の時期を、保安検査における作動検査の時期に準ずるものとする作動確認を、毎年の点検に合わせず、保安検査の作動検査の時期に合わせて行う
作動検査を行った場合は、作動確認を行ったものとする保安検査などで作動検査を行えば、その分の作動確認を別に行わなくてよい
右の列は、注の文面を、この記事が実務に引き直した読み方です。
通知は、作動確認をやめてよいとは述べていません。
作動検査を「行った場合」に、作動確認を行ったものとする、という条件が付いています。
つまり、作動検査を行っていない安全弁まで、作動確認を省く取扱いではありません。

保安検査で作動検査をすれば、その分は作動確認になるのですね。

はい、注3は、作動検査を行った場合に、作動確認を行ったものとします。
次に、見落としやすい点を確かめましょう。

この取扱いで見落としやすい点はどこにあるのか

紙の札の付いた安全弁の模型と、丸い虫眼鏡と、紺色のタンクの模型が並ぶイラスト
注3は、安全弁の点検のすべてを置き換えるものではありません。
まず、点検表の安全弁の欄を確かめます。
点検内容点検方法注3
腐食、損傷の有無目視付いていない
固定状況の適否目視付いていない
機能の適否作動確認付いている
上の表は、48号通知の別記2の「安全装置」の欄のうち、安全弁の部分をまとめたものです。
注3が付くのは、作動確認だけです。
腐食や損傷、固定状況の目視は、注3の対象として示されていません。
定期点検は、規則により年1回以上と決まっているため、目視の点検は、これまでどおり行うと読めます。
点検の方法は、点検表の項目ごとに示されているためです。 もう一つの落とし穴は、対象の範囲と、点検記録の扱いです。
  • 消防法だけが適用される安全弁は、注3が述べる二つ以上の法律が重なる安全弁には当たらないと読めるため、従来どおり作動確認を行う
  • 作動検査を行っていない安全弁は、作動確認を省けない
  • 点検記録の作成と保存は、消防法第14条の3の2の義務のため、作動確認の欄への書き方は所轄の消防本部に確かめる
  • 通知は、消防組織法第37条に基づく助言のため、運用は市町村ごとに違うことがある
作動確認を行ったものとする、と述べる注は、記録の書き方までは示していません。
通知の文面に、点検記録の様式の変更は、書かれていません。
保安検査の結果を、点検記録にどう関連づけるかは、所轄の消防本部と事前に協議しておくと安心です。

目視の点検は、これまでどおり毎年なのですね。

はい、注3が述べるのは、作動確認の時期だけです。
最後に、確認する手順をまとめます。

明日から何を確認すればよいのか

何も書かれていないチェックリストの板と、真鍮色の安全弁の模型と、三冊の綴じ込みが並ぶイラスト
取扱いを使うかどうかは、施設ごとの事情で変わります。
まず、次の点を順に確かめてください。
  • 安全弁ごとに、消防法のほかに、高圧ガス保安法か労働安全衛生法の検査が付いているかを確かめる
  • 保安検査などの作動検査を行った時期と結果を、点検の書類と突き合わせられるようにしておく
  • 腐食、損傷、固定状況の目視の点検は、点検表どおりに続ける
  • 点検記録への書き方と提出の扱いを、所轄の消防本部に確かめる
  • 消防法だけが適用される安全弁は、従来どおり作動確認を行う
この取扱いは、点検の手間を減らすためだけのものではありません。
通知は、保安検査の作動検査が適正に行われていることを、前提にしています。
作動検査の記録が残っていなければ、作動確認を行ったものとは言えなくなります。
迷ったときは、所轄の消防本部に確認してください。

うちの施設の安全弁が、どちらの法律の対象かを確かめます。

まず、適用される法律と検査の記録を確かめましょう。
迷ったときは、所轄の消防本部に相談します。

よくある質問

Qこの取扱いは、すべての安全弁に使えますか?
Aいいえ。注3は、消防法と、高圧ガス保安法などが適用される安全弁について、作動確認の時期を述べたものです。
Q保安検査で作動検査を行えば、作動確認は不要になりますか?
A注3は、作動検査を行った場合は、作動確認を行ったものとすると述べています。作動検査を行っていない安全弁は、対象になりません。
Q腐食や損傷の目視の点検も、保安検査に合わせてよいのですか?
A注3が付くのは、点検表の作動確認の欄だけです。目視の点検は、注3の対象として示されていません。
Qこの通知に従わないと違反になりますか?
A通知は、消防組織法第37条に基づく助言として出されています。運用の詳細は、所轄の消防本部に確認してください。

まとめ

✔消防法の定期点検は、規則第62条の4により、年1回以上行う
✔48号通知の別記2は、安全弁の作動確認の時期を、保安検査の作動検査の時期に準ずるものとしている
✔作動検査を行った場合は、作動確認を行ったものとすると注3は述べる
✔平成21年2月の消防危第34号で、危険物が直接触れる安全弁にも対象が広がった
✔令和3年3月の消防危第43号で、労働安全衛生法が適用される安全弁も加わった
✔注3が付くのは作動確認だけで、目視の点検は点検表どおりに行う
✔通知は助言であり、点検記録の扱いは、所轄の消防本部に確認する

適用される法律と検査の記録を、確かめておきます!

危険物施設の定期点検や記録の相談は、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防危第34号「「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」の一部改正について」(平成21年2月27日 消防庁危険物保安室長)
  • 消防危第43号「「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」の一部改正について(技術的助言)」(平成20年3月14日 消防庁危険物保安室長)
  • 消防危第43号「「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」の一部改正について」(令和3年3月26日 消防庁危険物保安室長)
  • 危険物施設の長期使用に係る調査検討会(第1回、令和3年3月1日)資料1 総務省消防庁
  • 消防法(昭和23年法律第186号)第14条の3の2、危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第62条の4 e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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