加圧送水装置には、高架水槽方式・圧力水槽方式・ポンプ方式の3つの方式があります。
前回の記事では動力を使わない高架水槽方式を解説しましたが、圧力水槽方式には落差ではなく圧力そのもので送水する独自の構造基準があります。
密閉した水槽に圧縮空気などを送り込み、その圧力でホースの先まで水を押し出す仕組みです。
本記事では圧力水槽方式の構成機器・圧力の計算式・強度や防食にかかわる構造基準を、条文から解説します。
圧力水槽方式は密閉したタンクを使うと聞きましたが、高架水槽方式とは何が違うのですか。
はい、圧縮した気体の圧力で送水する方式です。
仕組みを見ていきましょう。
屋上に大きな水槽を置かなくてもよいということですか。
はい、それが圧力水槽方式です。
圧力の計算式や強度の基準もあわせて確認しましょう。
- 圧力水槽方式の加圧送水装置は、消防法施行規則第12条第1項第7号ロにより設置基準が定められている
- 圧力水槽方式は水槽・圧力計・水位計・制御盤・排水管・補給水管・マンホールその他必要な機器で構成される
- 必要な圧力は、消防用ホースと配管それぞれの摩擦損失水頭圧、落差の換算水頭圧に0.17メガパスカルを加えた計算式で求められる
- 圧力水槽は使用圧力に対し十分な強度を有するものであることが求められる
- 圧力水槽の腐食するおそれのある部分には、有効な防食処理を施さなければならない
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目次
圧力水槽方式の加圧送水装置とは何を指すのか

まずはその定義と、どのような機器で構成されるのかを確認します。
高架水槽方式のように屋上の高さを利用するのではなく、水槽内部に加えられた圧力そのものでホースの先まで水を押し出します。
構成機器は水槽本体のほか圧力計・水位計・制御盤・排水管・補給水管・マンホールで、屋上に大きな水槽を置くスペースを確保しにくい建物でも採用しやすい方式です。
点検の際は、まずこの一式がそろっているかを確認するとよいでしょう。
高架水槽と違って、屋上を使わなくてよいんですね。
はい、水槽内部の圧力だけで送水します。
圧力水槽の圧力はなぜ計算式で決まるのか

配管の摩擦で失われる圧力まで見込んだうえで、余裕を持たせた式になっています。
これに消防用ホースと配管、それぞれの摩擦損失水頭圧と、水槽と放水口の高低差を圧力に換算した値を加えた値以上を、圧力水槽の圧力として確保しなければなりません。
高架水槽方式が高さ(メートル)で必要な落差を求めるのに対し、圧力水槽方式は圧力(メガパスカル)そのもので必要な値を求める点が異なります。
点検では、圧力計の表示がこの計算値を下回っていないかどうかも確認の対象になります。
高架水槽は高さ、圧力水槽は圧力そのもので決まるんですね。
はい、単位もメガパスカルに変わります。
圧力水槽になぜ十分な強度が必要なのか

密閉して圧力をかける水槽だからこそ、水槽そのものの強さが重視されます。
高架水槽のように大気圧の下で水をためるだけの水槽とは違い、内部を加圧する圧力容器としての強度が前提になります。
告示は具体的な板厚や材質までは指定していませんが、使用圧力に見合った十分な強度を持つことが条文で明記されています。
点検では、水槽の外観に膨らみやゆがみが生じていないかどうかも、強度低下の兆候として見ておくとよいでしょう。
圧力をかける水槽だから、普通のタンクより頑丈なんですね。
はい、使用圧力に見合う強度が条文の要件です。
圧力水槽にはどんな付属機器を設けなければならないのか

高架水槽とは機器の組み合わせが少し違います。
高架水槽が水があふれたときの溢水用排水管を備えるのに対し、密閉された圧力水槽では代わりに給気管から圧縮空気を補充する構造になっています。
圧力計と水位計は水槽内部の状態を外から把握するための機器で、排水管と補給水管は水量を調整するために使われます。
点検では、これらの機器がすべて設置され、正常に機能しているかどうかを確認します。
溢水用排水管の代わりに、給気管があるんですね。
はい、密閉タンクなので空気を送り込む管が必要です。
圧力水槽の腐食するおそれのある部分になぜ防食処理が必要なのか

高架水槽と同じ考え方の基準が定められています。
圧力水槽は屋外の高架水槽ほど風雨にさらされる機会は少ないものの、ポンプ室内の湿気や結露で金属部分が腐食するおそれは残ります。
告示は具体的な処理方法までは指定していませんが、設置環境に応じた有効な防食処理が前提とされています。
点検では、水槽表面の塗装の剥がれやさびの発生がないかを外観から確認することが、実務上のわかりやすい手がかりになります。
屋内にあっても、錆びる心配はあるんですね。
はい、だから防食処理が基準で義務付けられています。
よくある質問
まとめ
圧力水槽にこんなに細かい基準があるとは知りませんでした!
水槽の点検もお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第12条第1項第7号ロ(昭和36年自治省令第6号)
- 加圧送水装置の基準(平成9年6月30日消防庁告示第8号)第二 三・第四
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。設備の仕様や点検の実施方法は機種や建物ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または専門業者にご確認ください。





