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屋内貯蔵所の架台はなぜ堅固な基礎に固定されるのか|地震で容器が落ちない措置と告示の例外を解説

屋内貯蔵所の架台はなぜ堅固な基礎に固定されるのかを解説する記事のアイキャッチ画像、危険物倉庫の架台を点検する担当者の写真

危険物を保管する屋内貯蔵所では、床面積を有効に使うために棚を組んで容器を段積みすることがあります。
この棚は消防法令上「架台」と呼ばれ、専用の技術基準が定められています。
基準を満たさないまま棚を組むと、地震のときに容器が転落する事故につながりかねません。
この記事では、架台に求められる4つの基準と、実務で見落としやすい落とし穴を解説します。

うちの倉庫、危険物の容器を棚に積んで保管してるんですけど、これって何か特別な決まりがあるんですか。

棚を組んで容器を積む場合、消防法令では「架台」という扱いになり、専用の技術基準を満たす必要があります。

知らずに組んでました。どんな基準を満たせばいいんでしょうか。

材質・固定・強度・落下防止の4つが柱です。順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 屋内貯蔵所で棚を組んで容器を段積みする設備は、消防法令上「架台」として専用の技術基準(危険物の規制に関する規則第十六条の二の二)を満たす必要があります
  • 架台は不燃材料で造り、堅固な基礎にアンカーボルト等で固定することが原則です
  • 架台は、自重や貯蔵する危険物の重量、地震の影響等の荷重に対して安全な構造でなければなりません
  • 容器を収納した架台には、容易に落下しない措置を講ずることが求められます
  • 「告示で定める架台」は基礎への固定が不要になる例外がありますが、通常組む架台には原則どおり固定が必要です

屋内貯蔵所の架台はなぜ堅固な基礎に固定されるかを示す4ステップのインフォグラフィック、架台の有無・不燃材料と強度・地震時の構造・落下防止措置を確認する流れ

屋内貯蔵所の架台とは何を指すのか

屋内貯蔵所の棚に危険物容器を段積みする架台のイメージ
危険物を保管する屋内貯蔵所では、床に容器を並べるだけでなく、棚を組んで段積みすることがあります。
この棚のことを、消防法令では「架台」と呼びます。
危険物の規制に関する政令第十条第一項第十一号の二 貯蔵倉庫に架台を設ける場合には、架台の構造及び設備は、総務省令で定めるところによるものであること
架台を設けるかどうかは事業者の判断に委ねられています。
条文が「架台を設ける場合には」と条件付きで書いているとおり、床に容器を直置きするだけなら架台の基準は関係しません。
一方で棚を組んで容器を段積みすれば、それだけ床面積あたりの貯蔵量を増やせます。
この利点と引き換えに、架台そのものの安全性を担保する技術基準が総務省令(危険物の規制に関する規則)に用意されています。
次の見出しから、その基準の中身を見ていきます。

床に置くのと棚に積むのとで、そんなに扱いが変わるんですね。

はい。棚を組むぶん、その構造自体の安全性が問われるようになります。

架台を設けるときにどんな基準を満たす必要があるのか

架台の脚部をアンカーボルトで床に固定する様子
架台の技術基準は、危険物の規制に関する規則第十六条の二の二にまとめられています。
求められる中身は、大きく4つです。
危険物の規制に関する規則第十六条の二の二第一項 令第十条第一項第十一号の二の規定による架台の構造及び設備は、次のとおりとする。
一 架台は不燃材料で造ること
一の二 架台は堅固な基礎に固定すること。ただし、告示で定める架台にあつては、この限りでない。
二 架台は、当該架台及びその附属設備の自重、貯蔵する危険物の重量、地震の影響等の荷重によつて生ずる応力に対して安全なものであること。
三 架台には、危険物を収納した容器が容易に落下しない措置を講ずること
基準は材質・固定・強度・落下防止の4本立てです。
架台そのものを木材のような可燃物で造ることは認められず、必ず不燃材料で組みます。
そのうえで床や壁に堅固に固定し、架台自体の重さと積む危険物の重さ、さらに地震の影響まで含めた荷重に耐える構造にします。
最後の「容易に落下しない措置」は、単に棚を組むだけでは足りず、容器の転落防止まで求められているという意味です。
4つのうちどれか1つでも欠けると、屋内貯蔵所全体の許可基準を満たさないことになります。

木製のパレットラックなんかは使えないってことですか。

架台本体は不燃材料が原則です。木製の什器を使う予定があるなら、一度所轄消防署に確認しておくと安心です。

地震の揺れにどう耐える構造が求められるのか

地震の横揺れに耐える架台の補強構造
規則第十六条の二の二第2項は、条文本体に書ききれない細目を告示に委ねています。
この告示と消防庁の通知が、地震時の架台の強度計算の考え方を示しています。
危険物の規制に関する規則第十六条の二の二第二項 前項に規定するもののほか、架台の構造及び設備に関し必要な事項は、告示で定める
告示への委任の中身は「地震に耐える構造計算」です。
消防庁の通知(平成8年消防危第125号)は、架台が地震時の水平方向の力を受けても座屈や転倒を生じない構造にすることを求めています。
高さのある架台ほど揺れの影響を受けやすいため、6メートルを超える架台では段ごとに震度を割り増して計算する扱いになっています。
なお、高層倉庫のように架台が建物本体と一体になっている場合は、この告示ではなく建築基準法の基準で強度を確認します。
どちらの基準で見るかは、架台が建物と構造的に独立しているかどうかで変わります。

うちの架台、業者に組んでもらったんですが、この計算までされているか不安になってきました。

設置時の許可申請には構造計算書の添付が必要です。図面や計算書が手元に残っているか確認してみてください。

実務で見落としやすいのはどこか

落下防止の柵がある架台とない架台の対比
条文どおりに架台を組んでも、運用の段階で基準から外れてしまうことがあります。
特に見落とされやすいのが「容易に落下しない措置」の中身です。
消防庁の解釈通知(平成元年消防危第64号) 「危険物を収納した容器が容易に落下しない措置」とは、地震動等による落下を防止するため、不燃材料でできた柵等を設けることをいう。
落下防止の柵や帯は、あとから外れやすい装備だからこそ見落とされます。
架台を組んだ直後は柵付きだったのに、在庫の入れ替え作業で柵を外したまま戻し忘れる、といった運用上の抜けが起きやすいところです。
落下防止の措置は架台の高さによって求められる中身が変わり、一定の高さを超える段には容器を帯で結束するなど、より強い対策が必要になります。
また「告示で定める架台」に当たれば基礎への固定は不要になりますが、これは特別な設計が前提の例外であり、通常組む架台には当てはまりません。
自己判断で固定を省略しないことが重要です。

うちの倉庫、点検のときに柵を外したまま放置してた棚があったかもしれません。

柵や帯は在庫作業のたびに外れやすい部分です。定期点検の項目に加えておくことをおすすめします。

明日からなにを確認すればよいのか

架台を点検する担当者
架台の基準は一度満たせば終わりではなく、使い続ける中で維持することが求められます。
最後に、明日からできる確認をまとめます。
消防法第十一条第五項 市町村長等は、製造所、貯蔵所又は取扱所における危険物の貯蔵又は取扱いが技術上の基準に違反していると認めるときは、(略)当該製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者で権原を有するものに対し、当該貯蔵所又は取扱所の使用を一時停止すべき旨を命じ、又はその使用を制限することができる
基準に適合しない状態が見つかれば、使用の停止や制限を命じられる可能性があります。
架台については、まず柵や帯といった落下防止の装備が外れていないかを目視で確認します。
次に、床への固定金具にゆるみやさびがないかを見ます。
最後に、設置時の構造計算書や許可図面が手元に残っているかを確認しておくと、増設や改造の際にもスムーズです。
日常点検のチェック項目に架台を加えるだけで、多くの見落としを防げます。

分かりました。まずは柵と固定金具の目視点検から始めてみます。

それが一番確実な第一歩です。気になる点があれば、いつでもご相談ください。

よくある質問

Q架台を設置するのに、屋内貯蔵所の許可とは別の申請が必要ですか?
A架台は屋内貯蔵所の設備の一部として扱われるため、別枠の申請ではなく屋内貯蔵所の設置許可・変更許可の審査に含まれます。既存の屋内貯蔵所にあとから架台を追加する場合は、変更許可の対象になります。
Q架台の高さに上限はありますか?
A規則第十六条の二の二自体に高さの数値基準はありませんが、高さが増すほど地震時の荷重計算が厳しくなり、6メートルを超える架台では段ごとに震度を割り増す扱いになります。
Q木製のパレットラックは架台として使えますか?
A架台は不燃材料で造ることが基準なので、木製の棚をそのまま架台として使うことは認められません。使用可否は所轄消防署に確認するのが確実です。
Q落下防止の柵を後から追加するだけで基準を満たせますか?
A柵や帯の追加は有効な措置の一例ですが、架台自体の固定や強度が基準を満たしていることが前提です。柵の追加だけで他の基準の不備を補うことはできません。

まとめ

屋内貯蔵所で棚を組んで容器を段積みする設備は「架台」と呼ばれます
根拠は政令第十条第一項第十一号の二と規則第十六条の二の二です
架台は不燃材料で造ることが基準の1つです
堅固な基礎に固定すること(告示で定める架台は例外)も基準の1つです
自重・貯蔵する危険物の重量・地震の影響に対して安全な構造にすることも基準の1つです
容器が容易に落下しない措置を講ずることも基準の1つです
日常点検で柵・固定金具・構造計算書の3点を確認しておくと見落としを防げます

架台の落下防止措置、これまで意識したことがなかったので勉強になりました!

柵や固定金具は見た目では判断が難しいこともあります。㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第十一条第一項・第五項
  • 危険物の規制に関する政令第十条第一項第十一号の二
  • 危険物の規制に関する規則第十六条の二の二第一項・第二項
  • 消防庁「消防危第64号」(平成元年7月4日)
  • 消防庁「消防危第125号」通知(平成8年10月15日)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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