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防災管理点検を一年に一回できないときはどうするのか|新型インフルエンザ等を事由とする点検期間の読み替えを解説

防災管理点検を一年に一回できないときはどうするのか

防災管理点検の案内が届いたものの、感染症の流行や施設の事情でどうしても期限までに点検を受けられない年があります。
一年に一回という決まりだけを見ていると、遅れたらそのまま違反になってしまうように思えます。
ところが消防法施行規則には、はじめから点検の期間を読み替えるための一文が置かれています。
この記事では点検の期間が動く条件と動かない条件を条文で確認します

点検の期限が近いのですが、今年はどうしても点検資格者に入ってもらえそうにありません。
一年に一回というのは、ずらせないものなんでしょうか。

規則の期間を定めた条文にはただし書が付いています。
まずはその一文から確認しましょう。

ただし書があるなら、こちらの判断で来年に回しても構わないということでしょうか。

いいえ、期間を決めるのは消防庁長官です。
そこが読み違えやすいところなので順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防災管理点検は一年に一回行うのが原則です
  • 規則のただし書には新型インフルエンザ等その他の消防庁長官が定める事由が置かれています
  • 期間を定めるのは消防庁長官であって建物の側ではありません
  • 消防用設備等の点検では報告の期間まで読み替えの対象になります
  • 実際に令和3年消防庁告示第3号が事由と期間を定めた例があります

防災管理点検の期間が消防庁長官の定める事由と期間によって読み替えられる流れを示した図解

防災管理点検はどれくらいの間隔で行うのか

一年に一回の防災管理点検を受ける建物と点検の担当者のイメージ
まずは原則から確かめます。
点検の間隔は法律ではなく規則の側に書かれています。
消防法施行規則第51条の12第2項 第四条の二の四第一項及び第三項の規定は、法第三十六条第一項において準用する法第八条の二の二第一項の規定による点検について準用する
消防法施行規則第4条の2の4第1項 法第八条の二の二第一項の規定による点検は、一年に一回行うものとする。(略)
間隔は一年に一回です
消防法第36条第1項が第8条の2の2を読み替えて準用しているため、防災管理点検にも防火対象物点検と同じ点検の仕組みが働きます。
そのうえで規則第51条の12第2項が規則第4条の2の4第1項を準用しているので、一年に一回という間隔がそのまま防災管理点検の間隔になります。
点検を行う月をあらかじめ決めておけば、次の期限は前回の点検日から自動的に決まります。
まずは前回の点検日を記録から確かめてください。

間隔そのものは法律ではなく規則に書いてあるんですね。

そのとおりです。
だからこそ例外も同じ規則の中に置かれています。

一年に一回の点検ができないときに働く規定はどこにあるのか

建物に入れず点検を行えない状況で立ち止まる担当者のイメージ
次にただし書を読みます。
規則第4条の2の4第1項は本文の後ろに一文が続く形になっています。
消防法施行規則第4条の2の4第1項ただし書 ただし、新型インフルエンザ等(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)第二条第一号に規定するものをいう。(略))その他の消防庁長官が定める事由により、その期間ごとに法第八条の二の二第一項の規定による点検を行うことが困難であるときは、消防庁長官が当該事由を勘案して定める期間ごとに当該点検を行うものとする。
例外は規則の中にあらかじめ用意されています
ここでいう新型インフルエンザ等は、新型インフルエンザ等対策特別措置法第2条第一号が定める感染症の範囲を指しています。
条文は新型インフルエンザ等を挙げたうえでその他の消防庁長官が定める事由と続けているので、対象は感染症だけに限られていません。
ただし読み替えが起きるのは、事由と期間の両方が消防庁長官によって示されたときだけです。
このただし書を読んだだけでは、自分の建物の期限は一日も動きません。

条文があるだけでは足りず、実際に示されないと動かないということですか。

はい、示す手段が告示です。
実際に出された例を見てみましょう。

消防庁長官はどんな事由と期間を定めたのか

消防庁が事由と期間を定めた告示と期間が延びることを示すイメージ
実際に定められた例を見ます。
令和3年に告示が1本公布され、同じ日から施行されています。
消防予第17号(令和3年1月22日 消防庁次長) 本告示は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言に関する公示(令和3年1月7日)(以下「緊急事態宣言」という。)を踏まえ、消防法令に定める点検等の期間を延長するため、消防法施行規則(略)第4条の2の4第1項ただし書(規則第51条の12第2項において準用する場合を含む。以下同じ。)及び第31条の6第4項の規定に基づき、消防庁長官が定める事由及び期間を定めるものです。
事由は緊急事態宣言がなされたこととされました
この告示は令和3年消防庁告示第3号として令和3年1月22日に公布され、同じ日に施行されています。
期間は、法令に定める点検又は報告の期間に3月と、緊急事態宣言の期間の開始の日から終了の日までの日数を加えた期間とされました。
対象になるのは緊急事態措置を実施すべき区域などに所在する建物で、点検又は報告の期間がその範囲の中に終わるものです。
自分の建物が区域と期限の両方に当てはまるかを確かめる必要があります。

つまり全国どこでも一律に延びるわけではないんですね。

はい、区域と期限の両方が要件でした。
次は似て非なる消防用設備等の側と見比べます。

消防用設備等の点検とはどこが違うのか

点検だけが対象になる建物と点検と報告の両方が対象になる建物を並べたイメージ
ここが読み違えやすいところです。
同じ読み替えでも、条文が及ぶ範囲は手続によって違います。
消防法施行規則第31条の6第4項 前三項の規定にかかわらず、新型インフルエンザ等その他の消防庁長官が定める事由により、これらの項に規定する期間ごとに法第十七条の三の三の規定による点検を行い、又はその結果を報告することが困難であるときは、消防庁長官が当該事由を勘案して定める期間ごとに当該点検を行い、又はその結果を報告するものとする。
消防用設備等の側は報告の期間まで書かれています
規則第31条の6第4項は点検を行い又はその結果を報告すると書いているので、点検報告の両方の期間が読み替えの対象になります。
これに対して規則第4条の2の4第1項ただし書が書いているのは点検の期間だけです。
条文の書き分けが違う以上、どちらも同じ扱いだと決めつけて読むことはできません。
自分がいま何の期限の話をしているのかを、先に切り分けてください。

設備の点検と防災管理点検を、ひとまとめに考えていました。

根拠の条文が別なので分けて考えます。
最後に確認の手順をまとめましょう。

明日からなにを確かめればよいのか

所轄消防署の窓口で点検の期限を確認する場面のイメージ
最後に手を動かす順番を決めます。
起点になるのは前回の点検の記録です。
消防法施行規則第51条の12第1項 法第三十六条第一項の建築物その他の工作物の管理について権原を有する者は、同項において準用する法第八条の二の二第一項の規定により点検を行った結果を防災管理維持台帳(略)に記録するとともに、これを保存しなければならない
まず前回の点検日を台帳で押さえます
防災管理維持台帳には点検の結果を記録して保存する義務があるので、前回の点検日はそこから確認できます。
そのうえで次の期限が一年後のいつになるかを出し、間に合わない事情があるなら早めに所轄消防署へ相談します。
告示が出ていない事由で自分の判断だけ先送りしても、期間の読み替えは起こりません。
点検を委託している場合は、委託先とも期限の認識を合わせておいてください。

台帳を開けば前回の点検日がわかるので、そこから逆算すればよいわけですね。

その順番で十分です。
迷ったら早めに所轄消防署へ確認してください。

よくある質問

Q感染症が流行していれば自動的に点検を先送りできますか?
Aいいえ。読み替えが起きるのは消防庁長官が事由と期間を定めたときだけです。定めが無ければ通常どおりの期間で点検します。
Q告示が出ていれば全国どこの建物でも期間が延びるのですか?
A令和3年消防庁告示第3号の例では、緊急事態措置を実施すべき区域などに所在することと、点検又は報告の期間がその範囲の中に終わることの両方が要件とされていました。
Q防火対象物点検と防災管理点検で扱いは変わりますか?
A変わりません。規則第51条の12第2項が規則第4条の2の4第1項を準用しているので、ただし書も防災管理点検に及びます。
Q点検の期間が延びたら報告の期限も一緒に延びますか?
A規則第4条の2の4第1項ただし書が書いているのは点検の期間だけです。報告まで条文に書かれているのは規則第31条の6第4項の消防用設備等の側なので、扱いは所轄消防署にご確認ください。

まとめ

防災管理点検は一年に一回行うのが原則です
間隔の根拠は規則第51条の12第2項が準用する規則第4条の2の4第1項です
ただし書には新型インフルエンザ等その他の消防庁長官が定める事由が置かれています
事由と期間を定めるのは消防庁長官です
令和3年には緊急事態宣言を事由とする告示が公布され施行されました
消防用設備等の点検では報告の期間まで読み替えの対象になります
自分の判断で先送りせず所轄消防署に確認します

まずは台帳を開いて前回の点検日を確かめます。
期限が近ければ早めに動きます。

期限の管理から点検の段取りまで、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の2第1項・第36条第1項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第46条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の4第1項・第31条の6第4項・第51条の12
  • 新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)第2条第一号
  • 消防庁「『消防法施行規則第四条の二の四第一項ただし書及び第三十一条の六第四項の規定に基づき、消防庁長官が定める事由及び期間を定める件』の公布・施行について」(令和3年1月22日 消防予第17号)
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※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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