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地下埋設タンクの腐食対策はなぜ毎年調査されるのか|未措置には警告から許可取消しまで段階があることを解説

地下タンクの腐食対策はなぜ毎年調べるのか

給油取扱所の敷地の下に、何年前から埋まっている地下タンクがあるか
正確に把握できていますか。
消防庁は腐食のおそれがある地下タンクの措置状況を毎年全国から集計し、通知としてまとめています。
この記事では第19回フォローアップ調査の最新結果から、自分のタンクが対象になる条件と、未措置のまま放置したときに待っている行政指導の段階を解説します。

うちの地下タンクは古いですが、調査の対象になっているかどうか分かりません。

実は設置年数と塗覆装の種類によって、対象かどうかが決まっています。

え、そうなんですか。
うちも一度確認したほうがよさそうです。

はい、未措置のまま放置すると行政指導が段階的に強まっていきます。

この記事の結論
  • 消防庁は腐食のおそれが高い地下タンクの措置状況を毎年集計し、第19回フォローアップ調査の結果を公表しました。
  • 調査基準日の令和6年3月31日時点で、腐食のおそれが特に高い地下タンクは22,241基のうち未措置が787基(4%)でした。
  • 腐食のおそれが高い地下タンクは31,081基のうち未措置が2,099基(7%)でした。
  • 措置が進まない施設には改修計画書の受理から警告書・基準適合命令書・使用停止命令書の交付、許可の取り消しまで段階的な行政指導が行われます。
  • 内面コーティングを施工した地下貯蔵タンクは、開放点検や撤去工事の際に消防庁への情報提供が求められています。

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地下埋設タンクの腐食対策はなぜ毎年調査されるのかを示す4ステップの概要図解

地下タンクの腐食対策はなぜ毎年調査されるのか

腐食した地下タンクと調査のチェックリストを示すイラスト
給油取扱所や貯蔵所の地下には、長年使われてきたタンクが数多く埋まっています。
古いタンクほど、目に見えない腐食が進んでいる可能性があります。
消防危第361号「既設の地下に埋設されたタンクに関するフォローアップ調査(第19回)の集計結果及び適切な指導について(通知)」(令和6年12月20日、消防庁危険物保安室長発出)によれば、危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成22年総務省令第71号)等により、設置年数、塗覆装の種類及び設計板厚から腐食のおそれが高いもの及び特に高いものを対象に、内面コーティング、電気防食等の流出防止対策を講ずることとされています。(略)「既設の地下に埋設されたタンクに関するフォローアップ調査(第19回)について」(令和6年5月14日付け消防危第131号)により、対象となる地下タンクや内面コーティング等の措置状況に関して集計結果を取りまとめました。
この調査は今回が初めてではなく、第19回まで積み重ねられてきたものです。
平成22年の省令改正で、老朽化した地下タンクからの危険物流出を防ぐため、腐食のおそれの高さに応じた対策が義務付けられました。
消防庁は危険物保安室を通じて、毎年この措置状況を全国の消防機関から報告させています。
今回の第19回調査は令和6年3月31日を基準日とし、その結果を令和6年12月にまとめて通知したものです。
自分のタンクが古いというだけで済まさず、実際に対象になるかどうかを次の項目から確認していきます。

うちのタンクも埋めてからだいぶ経ちますが、対象になるんでしょうか。

設置年数だけでなく、塗覆装の種類や設計の板厚も合わせて判定します。

どの地下タンクが調査の対象になるのか

内面コーティングと電気防食を施した地下タンクを比較するイラスト
対象になるかどうかは、タンクの古さだけで決まるわけではありません。
どんな条件で腐食のおそれが高いと判定されるのかを見てみましょう。
同通知によれば、調査の対象は「腐食のおそれが特に高い地下タンク」と「腐食のおそれが高い地下タンク」の2区分で、内面コーティングを講じたものと電気防食を講じたもの、微少な漏れ検知設備を設けたものに分けて措置状況が集計されています。
危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第23条の2
地下貯蔵タンクの外面は、次の各号に掲げる当該地下貯蔵タンクの区分に応じ、当該地下貯蔵タンクの腐食を防止するための当該各号に定める方法により保護しなければならない。(略)ただし、腐食のおそれが著しく少ないと認められる材料で地下貯蔵タンクを造る場合は、この限りでない。
対象かどうかは設置年数・塗覆装の種類・設計板厚の組み合わせで決まります。
古いタンクでも、腐食に強い塗覆装や板厚があれば区分が変わることがあります。
規則第23条の2は、この区分に応じた外面保護を地下貯蔵タンクの設置者に義務付けています。
保護の方法として通知は内面コーティングと電気防食の2つを主に挙げています。
自分のタンクがどちらの区分に当てはまるかは、設置時の図面や工事記録で確認できます。

うちは古いタンクですが、塗覆装の記録なんて残ってるかどうか。
探してみないと分かりません。

設置時の図面や工事記録が無い場合は、所轄の消防署に相談することをおすすめします。

第19回調査の結果はどうだったのか

調査結果の割合を示すグラフと地図のイラスト
対象タンクの区分が分かったところで、実際の集計結果を見てみましょう。
全国でどれくらいの地下タンクが未措置のまま残っているのでしょうか。
同通知の別紙1によれば、調査基準日(令和6年3月31日現在)で「腐食のおそれが特に高い地下タンク」は対象22,241基のうち措置済みが21,454基、未措置が787基(4%)でした。「腐食のおそれが高い地下タンク」は対象31,081基のうち措置済みが28,982基、未措置が2,099基(7%)でした。措置の内訳は内面コーティングと電気防食が中心で、腐食のおそれが高いタンクにはこれらに加えて微少な漏れ検知設備を設けた例もありました。
未措置率は特に高い区分で4%、高い区分で7%にとどまっています。
全国のほとんどのタンクで対策が進んでいることが分かりますが、それでも数千基単位の未措置が残っています。
措置の方法は内面コーティングが最も多く、次いで電気防食が採用されています。
前年度の調査結果と比べると、腐食のおそれが特に高い区分では対象タンク数自体が18,297基から22,241基へ増加しており、新たに区分が変わったタンクもあることがうかがえます。
自分の施設が全国のどちら側に含まれているかは、次の行政指導の段階を知ると一層はっきりします。

数字で見ると、対策はけっこう進んでるんですね。

はい、それでも未措置が残る施設には段階的な指導が続いています。

未措置が残る施設にはどんな行政指導が行われるのか

未措置の地下タンクへの行政指導の段階を示すイラスト
未措置のまま調査に挙がった施設は、放置されるわけではありません。
消防庁の通知は、その後の指導の段階まで示しています。
同通知の別紙3によれば、対象施設29,481施設のうち27,479施設は措置済みで、残る施設は改修計画書の受理・警告書交付・基準適合命令書交付・使用停止命令書交付などの段階にあり、未措置率は6%でした。警告書交付は合計38施設、基準適合命令書交付は合計11施設、使用停止命令書交付は合計2施設で、消防法第12条の2による許可の取り消しを行ったものが1施設ありました。集計結果において法令違反となっている地下タンクが存在することから、適切な指導をお願いしますとされています。
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第12条の2
市町村長等は、製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者が次の各号の一に該当するときは、当該製造所、貯蔵所又は取扱所について、第11条第1項の許可を取り消し、又は期間を定めてその使用の停止を命ずることができる。
指導は改修計画書の受理から始まり、最後は許可の取り消しまで段階を踏みます。
まず改修計画の提出を促し、それでも進まない場合に警告書、さらに基準適合命令書へと強まっていきます。
今回の集計では実際に許可の取り消しを受けた施設が1件確認されており、放置した場合の最終的な結末を示しています。
命令や取り消しは消防法第12条の2が市町村長等に与えた権限で、正当な理由なく従わなければ施設そのものを使えなくなります。
改修計画書を出した段階であれば、まだ話し合いの余地があるうちに対応できているということです。

許可取り消しなんて、うちの施設だと死活問題です。

だからこそ改修計画書を早めに提出する段階で動くことが大切です。

明日から自分の施設は何を確認すればよいのか

地下タンクの点検状況を確認するチェックリストと虫眼鏡のイラスト
ここまでの内容を踏まえ、明日から確認できることを整理します。
むずかしい判断はここまでの内容で足ります。
同通知によれば、内面の腐食を防止するためのコーティングが施工された地下貯蔵タンクの開放点検及び撤去工事について覚知した場合は、「内面の腐食を防止するためのコーティングを施工した地下貯蔵タンクの開放点検等に係る情報提供等について」(令和5年12月13日付け消防危第346号)により、情報提供をお願いしますとされています。
  • 自分の地下タンクの設置年数・塗覆装の種類・設計板厚を設置図面や工事記録で確認する
  • 内面コーティングを施工済みのタンクは、開放点検や撤去工事の予定があれば所轄消防署への情報提供を準備する
  • 対象区分が分からないときは、改修計画書を提出する前の段階で早めに所轄消防署へ相談する
  • 未措置のまま放置せず、警告書や命令書が届く前に自主的な改修計画を立てる
確認すべきことは、記録の有無と措置の有無の2点に整理できます。
設置年数と塗覆装の記録が残っていれば、自分のタンクがどちらの区分に当たるかはすぐに分かります。
記録が無い場合や判断に迷う場合は、所轄消防署に相談するのが最も確実です。
内面コーティング済みのタンクを開放点検・撤去する予定があるなら、事前に情報提供の準備をしておきましょう。
未措置のまま数字だけを眺めていても状況は変わらず、行動に移すところまでが今回の通知が求めていることです。

まずはうちのタンクの図面を探すところからですね。

図面や工事記録が見つかったら、そのまま所轄消防署にご相談ください。

よくある質問

Q地下タンクの腐食対策はすべての施設で義務付けられていますか?
Aいいえ。対象になるのは腐食のおそれが高いまたは特に高いと判定された地下タンクで、設置年数・塗覆装の種類・設計板厚から判定されます。腐食のおそれが著しく少ない材料で造られたタンクは対象外です。
Q第19回調査で未措置の割合はどれくらいでしたか?
A腐食のおそれが特に高い地下タンクで4%(787基)、腐食のおそれが高い地下タンクで7%(2,099基)が未措置でした(令和6年3月31日現在)。
Q未措置のまま放置するとどうなりますか?
A改修計画書の受理から始まり、警告書交付、基準適合命令書交付、使用停止命令書交付へと段階的に強まります。今回の集計では実際に許可の取り消しを受けた施設も1件ありました。
Q内面コーティングを撤去する予定があるときは何をすればよいですか?
A「内面の腐食を防止するためのコーティングを施工した地下貯蔵タンクの開放点検等に係る情報提供等について」(令和5年12月13日付け消防危第346号)に基づき、所轄消防署への情報提供を準備してください。

まとめ

✔消防庁は腐食のおそれがある地下タンクの措置状況を毎年集計し、第19回フォローアップ調査の結果を公表した
✔対象になるのは設置年数・塗覆装の種類・設計板厚から判定される腐食のおそれが高い、または特に高い地下タンク
✔腐食のおそれが特に高い地下タンクは22,241基のうち未措置が787基(4%)だった
✔腐食のおそれが高い地下タンクは31,081基のうち未措置が2,099基(7%)だった
✔措置が進まない施設には改修計画書受理から警告書・基準適合命令書・使用停止命令書交付、許可取り消しまで段階的な指導が行われる
✔今回の集計では実際に消防法第12条の2による許可の取り消しを受けた施設が1施設あった
✔明日からの確認は、設置年数・塗覆装記録の確認と、内面コーティング済みタンクの開放点検・撤去時の情報提供の準備という2点に整理できる

うちのタンクも早速設置年数と塗覆装の記録を確認します!

記録の確認から改修計画まで、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 既設の地下に埋設されたタンクに関するフォローアップ調査(第19回)の集計結果及び適切な指導について(通知)(令和6年12月20日 消防危第361号 消防庁危険物保安室長)
  • 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第23条の2
  • 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第12条の2
  • 内面の腐食を防止するためのコーティングを施工した地下貯蔵タンクの開放点検等に係る情報提供等について(令和5年12月13日付け消防危第346号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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