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非常用の照明装置の蓄電池設備で何が起きたのか|切り換え試験中の機能障害と消防庁の周知を解説

扉を開けた灰色の蓄電池盤と壁の配電盤が並ぶ建物の電気室を写した写真

非常用の照明装置の蓄電池設備で、試験中に照明が消えたと聞くと不安になりませんか。
消防庁予防課は、平成23年5月18日の事務連絡で、蓄電池設備設置時の試験で発生した機能障害を、各都道府県と消防本部へ知らせました。
事務連絡は、製造事業者が原因を究明し、すでに設置された同様の製品を順次改修していると述べています。
この記事では、事故の概要、原因、関係する条文、明日から確かめることを解説します。

非常用の照明が試験中に消えたと聞いて、蓄電池設備が心配になりました。
消防庁は何を知らせたのでしょうか。

事務連絡が、機能障害の内容と原因を述べています。
まず、その中身から確かめましょう。

うちの建物にも、影響があるのでしょうか。

事務連絡は、改修工事が全国で進んでいると述べています。
順に見ていきます。

この記事の結論
  • 消防庁予防課は、平成23年5月18日の事務連絡で、非常用の照明装置に係る蓄電池設備の機能障害を、都道府県と消防本部へ知らせました。
  • 障害は平成22年12月31日に神奈川県で、直流から交流への切り換え試験の最中に起き、負傷者はありませんでした。
  • 原因は電磁接触器の不良で、定格電流に対して電流が少ない領域では遮断時間が長くなり、直流と交流の電流が同時に流れて短絡したと、別添は述べています。
  • 製造事業者が原因を究明し、すでに設置された同様の製品は、順次改修されていると、事務連絡は述べています。
  • 建築基準法施行令第126条の5は、非常用の照明装置に予備電源を設けることを求めています。この事務連絡は消防機関への情報提供で、施設に新たな義務を課す文言はありません。

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蓄電池設備の試験で直流から交流への切り換え時に電磁接触器の端子で放電が起き、遮断器が遮断して非常照明が消灯した流れと、製造事業者による改修を示す図解

消防庁はなぜ蓄電池設備の機能障害を各消防機関へ知らせたのか

3階建ての明るいオフィスビルと赤い印の付いた書類と封筒が並ぶイラスト
事務連絡は、消防庁予防課が平成23年5月18日に出したものです。
まず、その本文の要点を引いて確かめます。
事務連絡「蓄電池設備設置時の試験において発生した機能障害について」(平成23年5月18日、消防庁予防課)は、次のように述べています。
消防機関が収集した消防用設備等及び消防関係製品に関する不具合・事故等に係る情報については、平成22年3月31日付け消防予第156号・消防危第50号に基づき、当庁へご報告をいただいているところです。
このたび別添のとおり、非常用の照明装置に係る蓄電池設備の設置試験を実施中、当該装置に機能障害が発生したとの報告があり、当庁では直ちに消費者庁へ通知するとともに、ホームページ上でも公表する等の対応を行いました。
その後、製造事業者により原因究明等がなされ、既に設置されている同様の製品について順次改修工事が全国的に行われておりますので、その旨情報提供いたします。
事務連絡は、消防庁が受けた不具合の報告を、全国の消防機関へ情報提供するものです。
宛先は、各都道府県消防防災主管課と、東京消防庁・指定都市消防本部です。
不具合や事故の情報は、平成22年の消防予第156号・消防危第50号に基づいて、消防機関から消防庁へ報告されています。
消防庁は、報告を受けて直ちに消費者庁へ通知し、ホームページ上でも公表したと述べています。
事務連絡は、その後の原因究明と改修の進み具合を伝えるものです。

最初の報告のあとで、続報が出たのですね。

はい、事務連絡は、原因究明と改修が進んだことを伝えています。
次に、何が起きたのかを見ましょう。

平成22年12月31日に蓄電池設備の試験で何が起きたのか

灰色の蓄電池の盤と天井の非常灯と遮断器の箱が並ぶイラスト
事務連絡には、別添として「事故概要」が付いています。
まず、その概要の欄を引いて確かめます。
別添「事故概要」は、次のように記しています。
発生日 平成22年12月31日(金) 場所 神奈川県 負傷者 なし
事故概要 蓄電池設備において、直流三線式の非常照明回路の直流-交流切り換え試験を実施したところ、直流から交流に切り換える際に、切り換え用の電磁接触器の端子部に発生したアーク放電により、交流と直流間に短絡電流が流れ、非常照明入力の配線用遮断器が遮断して非常照明が消灯した。
障害が起きたのは、設置後の切り換え試験の最中です。
事務連絡は「設置試験を実施中」と述べ、火災の最中に起きたとは述べていません。
別添の要点を、表にまとめます。
項目別添の内容
発生日平成22年12月31日(金)
場所神奈川県
負傷者なし
試験直流三線式の非常照明回路の直流-交流切り換え試験
起きたこと直流から交流に切り換える際、切り換え用の電磁接触器の端子部にアーク放電が発生し、交流と直流の間に短絡電流が流れた
結果非常照明入力の配線用遮断器が遮断し、非常照明が消灯した
別添に、製品名や製造事業者名は書かれていません。
非常照明が消えたのは、配線用遮断器が遮断したためだと、別添は述べています。
負傷者はなしと書かれています。

試験のときに起きたので、けが人は出なかったのですね。

別添は、負傷者をなしと記しています。
次に、原因を見ましょう。

電磁接触器の不良はなぜ短絡につながったのか

電磁接触器の端子に小さな橙色の火花が出て青い配線と赤い配線がつながるイラスト
別添には、「事故原因」の欄もあります。
まず、その欄を引いて確かめます。
別添「事故原因」は、次のように記しています。
電磁接触器の不良であり、定格電流では問題なく切り換わるが、定格電流に対して電流が少ない領域では遮断時間が長くなり、直流電源からの電流と、交流電源からの電流が同時に回路に流れ、短絡することが確認された。
原因は、切り換え用の電磁接触器の不良と、別添は述べています。
電流の大きさで、切り換わり方が変わる点が特徴です。
別添の書き方を、表にまとめます。
電流の領域別添が述べる切り換わり方
定格電流問題なく切り換わる
定格電流に対して電流が少ない領域遮断時間が長くなり、直流電源からの電流と交流電源からの電流が同時に回路に流れ、短絡する
別添は、電流が少ない領域で遮断時間が長くなる理由までは書いていません。
この記事は、定格電流の条件だけで試すと、この不良は表に出にくかったと読みます。
別添の記述は、電磁接触器の不良までで、それ以上の構造には触れていません。

定格の電流では、問題なく切り換わっていたのですね。

はい、電流が少ない領域で遮断時間が長くなったと、別添は述べています。
次に、条文での位置づけを見ましょう。

非常用の照明装置の予備電源は法令でどう位置づけられているのか

閉じた本と非常灯の付いたビルと灰色の蓄電池盤が並ぶイラスト
非常用の照明装置は、建築基準法施行令に定めがあります。
まず、設置を求める第126条の4を引いて確かめます。
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十六条の四第一項
法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物の居室、(略)延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室及びこれらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路(略)並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置の設置を通常要する部分には、非常用の照明装置を設けなければならない。ただし、(略)この限りでない。
非常用の照明装置は、政令が定める建築物の居室と通路に設ける設備です。
次に、その構造を定める第126条の5を引いて確かめます。
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十六条の五(抜粋)
前条第一項の非常用の照明装置は、次の各号のいずれかに定める構造としなければならない。
一 次に定める構造とすること。
イ 照明は、直接照明とし、床面において一ルクス以上の照度を確保することができるものとすること。
ハ 予備電源を設けること。
ニ イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
政令は、非常用の照明装置に予備電源を設けることを求めています。
事務連絡が扱う蓄電池設備は、この予備電源にあたる設備の話です。
第1号ニは、必要な構造方法を国土交通大臣が定めるとしており、細目は政令だけでは分かりません。
事務連絡は、これらの条文の解説ではなく、不具合の情報提供です。
消防用設備等の非常電源は、消防法令の側の基準です。

非常用の照明の電源は、建築基準法の側に決まりがあるのですね。

はい、政令は予備電源を設けるよう求めています。
次に、明日からの確認を見ましょう。

明日から建物の管理者は蓄電池設備のなにを確認すればよいのか

クリップボードとテスターと机上の電話が並ぶイラスト
事務連絡が求めたのは、都道府県と消防本部への周知で、施設に新たな義務を課す文言はありません。
まず、建築設備の検査の根拠の建築基準法第12条第3項を引いて確かめます。
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第十二条第三項(抜粋)
特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。(略))で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(略)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(略)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、(略)検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
定期検査の対象になる建築設備は、政令で定めるもののほか、特定行政庁が指定するものです。
非常用の照明装置が対象かどうかは、建物がある地域の特定行政庁に確かめます。
次の5つは、事務連絡を踏まえた実務上のおすすめです。
  • 非常用の照明装置に蓄電池設備があるかを、設備の台帳や図面で確かめる
  • その蓄電池設備が、改修の対象になった製品かを、設置した業者や製造事業者に問い合わせる
  • 改修工事が済んでいるかを、工事の記録や報告書で確かめる
  • 直流から交流への切り換え試験のとき、照明が消えたり遮断器が遮断したりしなかったかを、点検の記録で確かめる
  • 建築基準法の定期検査の対象かどうかを、特定行政庁に確かめる

明日から、まず何をすればよいですか。

まず、蓄電池設備が改修の対象かを、設置した業者に問い合わせましょう。
そのうえで、点検の記録を確かめます。

よくある質問

Q事務連絡は、建物の所有者に改修を義務づけたのですか?
A事務連絡は、都道府県と消防本部への情報提供で、施設に義務を課す文言はありません。改修工事は製造事業者が進めていると述べています。
Qこの事故で、火災は起きたのですか?
A別添は、試験中に非常照明が消灯したと述べ、負傷者をなしと記しています。火災については、触れていません。
Qこの蓄電池設備は、消防法の非常電源の蓄電池設備と同じですか?
A事務連絡は「非常用の照明装置に係る蓄電池設備」と述べ、消防用設備等の非常電源とは述べていません。非常用の照明装置の予備電源は建築基準法令、消防用設備等の非常電源は消防法令の側にあり、どちらの話かを分けて確かめます。
Q事務連絡に、製品名や製造事業者名は書かれていますか?
A書かれていません。同様の製品が改修の対象かどうかは、設置した業者や製造事業者に確かめます。

まとめ

✔消防庁予防課は、平成23年5月18日の事務連絡で、蓄電池設備の機能障害を各消防機関へ知らせた
✔障害は平成22年12月31日に神奈川県で、直流から交流への切り換え試験の最中に起き、負傷者はなかった
✔アーク放電で短絡電流が流れ、配線用遮断器が遮断して非常照明が消灯した
✔原因は電磁接触器の不良で、定格電流より電流が少ない領域では遮断時間が長くなると、別添は述べている
✔製造事業者が原因を究明し、すでに設置された同様の製品の改修工事が全国で順次行われている
✔建築基準法施行令第126条の5は、非常用の照明装置に予備電源を設けることを求めている
✔まず、蓄電池設備が改修の対象かを、設置した業者や製造事業者に確かめる

蓄電池設備が改修の対象かを、設置した業者に確かめます!

非常用の照明装置の点検は、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 事務連絡「蓄電池設備設置時の試験において発生した機能障害について」(平成23年5月18日 消防庁予防課)
  • 建築基準法(昭和25年法律第201号)第12条 e-Gov法令検索
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第126条の4、第126条の5 e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁の事務連絡に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署や特定行政庁にご確認ください。

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