放送設備の点検には、自動火災報知設備との連動を確かめる項目があるのをご存じでしょうか。
感知器が作動すると、まず感知器発報放送が流れ、そのあと火災放送へ移る作りの設備があります。
この切り替わりは、図面の上だけでなく、実際に自動火災報知設備を作動させて確かめます。
この記事では、点検要領の判定文をもとに、連動の点検で何を見るのかを整理します。
放送設備の点検って、スピーカーから音が出るかを聞くだけではないのですか。
音が出るかのほかに、自動火災報知設備との連動を確かめる項目が別にあります。
まず全体像から見ていきましょう。
連動の項目というのは、どの放送設備でも見るのですか。
対象は連動する放送設備に限られます。
順番に見ていきましょう。
- 放送設備の連動の点検は、自動火災報知設備を作動させて確かめます。
- 音声警報音を発する放送設備は、火災信号を受けて感知器発報放送を行い、そのあと自動的に火災放送へ移ることが判定の条件です。
- 火災放送へ移る信号は、発信機か非常電話、第1報以外の感知器、非常起動スイッチか火災放送スイッチ、設定された時間の経過の四つです。
- 出火階表示灯は点灯し、火災信号が復旧するまで点灯していることが求められます。
- 連動停止スイッチがある設備は、連動停止にしておき、音声警報音や火災音信号の鳴動で起動信号を確認します。
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目次
放送設備の連動は点検で何を確かめるのか

点検要領には、次のように書かれています。
(点検方法)自動火災報知設備を作動させて確認する。
(判定方法)ア 音声警報音を発しないものは、火災信号を受信した場合、自動的に放送設備が起動し、火災音信号又は音響装置が鳴動すること。 イ 音声警報音を発するものは、火災信号を受信した場合、自動的に放送設備が起動し、感知器発報放送を行い、感知器発報放送後、次のいずれかの信号を受信した場合、自動的に火災放送を行うこと。 …
判定は、音声警報音を発しない設備と、発する設備の二つに分かれます。
発しない設備は、火災信号を受けて火災音信号又は音響装置が鳴動すれば合格の形です。
発する設備は、感知器発報放送を行ったあとに自動で火災放送へ移ることまで見ます。
だから点検の当日は、自分の建物の放送設備がどちらの形かを先に押さえておくと、確認の段取りが立てやすくなります。
自動火災報知設備と連動していない放送設備は、この項目を見ないのですか。
点検要領は、この項目を連動する放送設備に限ると書いています。
連動しているかどうかは、設計図書や取扱説明書で確かめましょう。
感知器発報放送のあと火災放送へ移るのはどんな信号のときか

移るきっかけとなる信号も、点検要領が具体的に並べています。
(判定方法)イ …感知器発報放送後、次のいずれかの信号を受信した場合、自動的に火災放送を行うこと。
(ア)発信機又は非常電話からの信号
(イ)火災信号を感知器ごとに区分できる自動火災報知設備にあっては、第1報の感知器以外の感知器が作動した旨の信号
(ウ)非常起動スイッチ又は火災放送スイッチの起動した旨の信号
(エ)放送設備で設定された時間が経過した旨の信号
| 火災放送へ移る信号 | ひと言でいうと |
| 発信機又は非常電話 | 人が操作する機器からの信号 |
| 第1報以外の感知器 | 感知器ごとに区分できる設備に限る |
| 非常起動スイッチ又は火災放送スイッチ | 操作部にあるスイッチからの信号 |
| 設定された時間の経過 | 時間の長さは点検要領に示されていない |
点検要領の文言は「次のいずれかの信号を受信した場合」なので、四つがそろう必要はありません。
第1報以外の感知器の信号は、火災信号を感知器ごとに区分できる自動火災報知設備の場合だけが対象です。
設定された時間の長さは点検要領に書かれていないため、設備ごとの設定値を仕様書で確かめることになります。
感知器発報放送を先に流す理由は感知器発報放送の記事で整理しています。
第1報以外の感知器の信号とは、どういう意味ですか。
最初に作動した感知器とは別の感知器が作動した、という信号のことです。
感知器ごとに区分できる設備でなければ、この信号は使えません。
出火階表示灯はいつまで点灯していればよいのか

点検要領の判定文は、その点灯の仕方まで書いています。
(判定方法)ウ 出火階表示灯が点灯すること。 エ 出火階表示灯は、火災信号が復旧するまで点灯していること。 オ 相互に機能障害がないこと。
操作部及び遠隔操作器は、起動装置又は自動火災報知設備の作動と連動して、当該起動装置又は自動火災報知設備の作動した階又は区域を表示できるものであること。
規則は、操作部が作動した階又は区域を表示できることを設置の基準として定めています。
点検要領は、その表示を出火階表示灯として確かめ、点灯の継続まで判定に含めています。
「相互に機能障害がないこと」の具体的な中身まで、判定文には書かれていません。
だから点検では、連動の試験中に他の機能が止まっていないかも、あわせて目を配っておきましょう。
火災信号が復旧したあとの表示灯は、どうなればよいのですか。
復旧後の表示までは、この項目の判定文に書かれていません。
確かめるのは、復旧するまで点灯し続けることです。
連動停止スイッチがあるときは点検をどう進めるのか

一般的留意事項と、音声警報音の項目に、次のように書かれています。
(2)連動停止スイッチが設けられているものにあっては、連動停止にしておき、音声警報音又は火災音信号が鳴動することによって起動信号を確認すること。
(判定方法)感知器発報放送、火災報放送及び非火災報放送の音声警報音に著しい歪み及び音圧低下がないこと。
※音響装置を付加したものにあっては、「連動停止」の状態で行うこと。
音声警報音の項目でも、音響装置を付加したものは「連動停止」の状態で行うと書かれています。
音声の歪みと音圧の低下がないかは、この状態で聞き分けることになります。
連動停止にする理由までは点検要領に書かれていませんが、点検のたびに連動停止の状態を作ることが手順の前提です。
点検が終われば通常の状態へ戻す必要があるので、戻し忘れがないかも忘れずに確認しましょう。
連動停止にしたまま、戻し忘れることはありませんか。
点検要領に戻す手順は書かれていませんが、戻し忘れを防ぐ確認は現場の基本です。
点検の最後に、スイッチの位置を見直しましょう。
点検の前に放送設備のどこを確かめておくのか

点検要領は、一般的留意事項に、点検前に押さえておく点を並べています。
(3)音声警報音にあっては、防火対象物の用途、規模、防火管理体制を勘案して、感知器発報放送を省略して、直接、火災放送を行うものがあること。
(4)地区音響装置を省略している自動火災報知設備と連動しているものにあっては、当該自動火災報知設備の鳴動方式によること。
点検の当日にあわてないよう、次の三つを図面や取扱説明書で見ておくと安心です。
- 連動停止スイッチが設けられているか
- 感知器発報放送を省略して直接火災放送を行う設定か
- 地区音響装置を省略した自動火災報知設備と連動していないか
地区音響装置を省略した自動火災報知設備と連動している場合は、その自動火災報知設備の鳴動方式によると点検要領に書かれています。
鳴動方式の見方は非常ベルの区分鳴動の点検の記事で、電源の見方は非常ベルや非常放送の総合点検の記事で扱っています。
自分の建物の放送設備がどの作りか、どこで分かりますか。
設計図書や取扱説明書、または設置した業者に確かめるのが確実です。
点検の前に済ませておくと、当日の確認が進みます。
よくある質問
まとめ
まず自分の建物の放送設備が連動しているかを確かめて、点検の段取りを決めます!
連動の点検は、信号の種類と表示灯まで見て初めて確かめたといえます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等の点検及び報告)、第25条の2(非常警報設備に関する基準の細目)
- 消防法施行規則の規定に基づき、消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類及び点検内容に応じて行う点検の期間、点検の方法並びに点検の結果についての報告書の様式を定める件(平成16年消防庁告示第9号)
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第14 非常警報器具及び設備
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





