自家発電設備の設置に係る工事が完了すると、設置場所や保有距離が基準どおりかを確認する外観試験が行われます。
この外観試験は目視で確認する項目ですが、結果は試験結果報告書に記載され、消防検査でも設計図書と照合される対象になります。
不燃専用室とキュービクル式では設置できる場所の条件が大きく変わり、保有距離も機器の種類ごとに数値が細かく分かれています。
今回は自家発電設備の設置場所・保有距離・ガス燃料を使う場合の始動条件を解説します。
自家発電設備はどこにでも置いてよいわけではないんですね。
はい、不燃専用室かキュービクル式かで置ける場所が変わります。
保有距離やガス燃料のときの決まりも気になります。
はい、試験基準の外観試験に沿って順番に見ていきましょう。
まずは置ける場所の2通りからです。
- 自家発電設備は不燃専用室に置くか、キュービクル式にして機械室等・屋外・屋上に置くかの2通りから選びます
- 屋外・屋上に置く場合は隣接する建築物等から3m以上の距離、又はそれに代わる防火措置が必要です
- 保有距離はキュービクル式か否か、操作面か点検面かで数値が細かく分かれます
- 燃料タンクと原動機の間隔は0.6m以上、予熱する方式の原動機は2.0m以上必要です
- ガス事業者供給ガスを燃料にする場合は始動用の燃料容器が必要で、これらも消防検査での照合対象になります
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目次
自家発電設備はどこに設置できるのか|不燃専用室とキュービクル式の2通り

自家発電設備は非常電源の中でも設置場所の条件が細かく決められている設備です。
消防庁の試験基準は、外観試験の設置場所等としてこの条件を整理しています。
自家発電設備の置き場所は、不燃専用室に入れるか、キュービクル式にするかの2通りが基本です。
不燃専用室は、不燃材料の壁・柱・床・天井で区画し、窓や出入口に防火戸を設けた専用の部屋のことで、非常電源専用受電設備の高圧受電版と同じ考え方の部屋です。
一方、告示基準に適合するキュービクル式は鋼板製の外箱そのものが専用室の代わりになるため、変電設備室や発電設備室、機械室、ポンプ室のような「機械室等」や、屋外・建築物の屋上にもそのまま設置できます。
どちらの形式を選ぶかで、この先の保有距離の数値も変わってきます。
キュービクル式なら専用の部屋を作らなくてもいいんですね。
はい、外箱が専用室の代わりになります。
屋外や屋上に置く場合の距離も見てみましょう。
屋外や屋上に置く場合はなぜ3メートルという距離が出てくるのか

不燃専用室にもキュービクル式にもせず、屋外や建築物の屋上にそのまま置く場合は、隣の建物との距離が問題になります。
試験基準は、この距離を目視で確認する項目として定めています。
屋外・屋上設置の原則は、隣の建築物等から3m以上の距離を空けることです。
ただし3m未満しか離せない場合でも、その範囲の隣接建築物側を不燃材料で造り、開口部に防火戸等を設ければ設置が認められます。
つまり距離そのものが絶対条件なのではなく、距離か防火措置かのどちらかを満たせばよいという考え方です。
敷地に余裕がない現場では、この防火措置による代替がよく使われます。
距離が取れなくても防火措置で対応できるんですね。
はい、距離か防火措置のどちらかです。
次は保有距離の数値表を見てみましょう。
保有距離はなぜ機器の種類ごとに数値が細かく分かれるのか

設置場所が決まったら、次は機器の周りにどれだけの空地を確保するかという保有距離の確認です。
この数値は機器の種類とキュービクル式か否かで細かく分かれています。
保有距離はキュービクル式か否か、操作面か点検面かで数値がすべて別々に決まっています。
キュービクル式のものは操作面1.0m・点検面0.6m・換気面0.2mという比較的小さい数値ですが、これは鋼板製の外箱自体が保護の役割を担っているためです。
キュービクル式以外の自家発電装置は周囲0.6m、制御装置は操作面1.0mを確保する必要があり、建築物等との距離は3.0mとキュービクル式より広めに設定されています。
数値だけを覚えるより、「外箱で守られているか、むき出しか」という視点で見ると整理しやすくなります。
外箱があるかどうかで数値の考え方が変わるんですね。
はい、外箱の有無がポイントです。
次は燃料タンクと原動機の間隔を見てみましょう。
燃料タンクと原動機の間隔はなぜ予熱式だけ2メートルになるのか

キュービクル式以外の自家発電設備では、燃料タンクと原動機の間隔にも数値の決まりがあります。
ここは原動機の始動方式によって数値が変わる珍しい項目です。
燃料タンクと原動機の間隔は、原動機の始動方式によって0.6mか2.0mかに分かれます。
通常の方式なら0.6m以上で足りますが、始動前に燃料を温める予熱する方式の原動機は熱源に近い分リスクが高いため、2.0m以上とより広い間隔が求められます。
ただし、タンクと原動機の間に不燃材料製の防火上有効な遮へい物を設ければ、この数値によらず設置できる例外規定もあります。
現場で間隔が取れない場合は、距離を伸ばすか遮へい物を入れるかの二択になります。
予熱式のほうが距離が長くなるのは意外でした。
はい、予熱=熱源が近いためです。
最後にガス燃料を使う場合の始動条件を見てみましょう。
ガス事業者供給ガスを燃料にする場合はなぜ始動用の燃料容器が必要なのか

液体燃料のタンクとは別に、ガス事業者が供給するガスを燃料にする自家発電設備には独自の基準があります。
ガスの供給が止まった瞬間に発電機まで止まらないようにするための工夫です。
ガス事業者供給ガスを燃料にする自家発電設備は、地震後もガスの供給が安定していることが前提です。
そのうえで、ガスを圧縮して原動機に送るタイプは、ガス圧縮器が安定して圧縮ガスを供給できるようになるまでの間、連続運転に必要な量の燃料を別の燃料容器に確保しておかなければなりません。
つまりガスへの切り替えが完了するまでの「つなぎ」の燃料を、始動用の燃料容器という形であらかじめ備えておく仕組みです。
導管が外壁を貫通する場合の緊急ガス遮断装置とあわせて、これらはすべて外観試験の設置場所等の項目として消防検査でも確認され、試験結果報告書は設置届出書の設計図書と照合される対象になります。
ガス燃料でも燃料容器がいらないわけではないんですね。
はい、つなぎの燃料として必要です。
最後によくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
設置場所と保有距離の考え方がよく分かりました!
自社の設備がどちらに当たるか確認してみます。
外箱の有無で数値が変わる、と覚えておけば十分です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第12条第1項第4号ロ(非常電源専用受電設備・自家発電設備等の設置基準)
- 消防用設備等の試験基準に係る運用について(平成14年9月30日消防予第283号)別表 非常電源(自家発電設備)試験基準 外観試験
- 自家発電設備の基準(昭和48年消防庁告示第1号)第二 一(十三)ロ
- 消防法施行規則第31条の3第2項(消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。設置場所や保有距離の適合可否は建物・設備の個別条件によって異なります。個別の判断は所轄消防署または設備の製造者にご確認ください。





