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差動式分布型の空気管式感知器は点検で空気をどれだけ入れるのか|ダイヤフラム損傷を避ける作動試験の手順を解説

差動式分布型の空気管式感知器は点検で空気をどれだけ入れるのか|ダイヤフラム損傷を避ける作動試験の手順を解説

自動火災報知設備の感知器のうち、差動式分布型の空気管式は、点検のとき空気を注入して作動を確かめます。
ただし、空気は多く入れるほどよいわけではなく、量を誤ると感知器を傷めます。
どれだけ入れて、何を測り、結果がおかしいときにどこを疑うのかは、点検の基準と要領に書かれています。
この記事では、空気管式の作動試験の手順と判定を順に確認します。

空気管式の感知器は、点検のとき空気を入れて確かめるそうですね。

はい、テストポンプで空気を注入して作動を確かめます。
入れる量には決まりがあります。

多めに入れておけば確実に作動しそうですが、違うのですか。

所定量以上を入れるとダイヤフラムが損傷するとされています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 空気管式の点検では、火災作動試験と作動継続試験で、作動と復旧までの時間を確かめます。
  • 注入する空気量は、検出部に表示されている量です。
  • 所定量以上を入れるとダイヤフラムが損傷するので、感度種別や空気管長で量が違う点に注意します。
  • 不作動や時間の範囲外は、空気管とコックスタンドの接合部の締付けを確かめてから、流通試験と接点水高試験へ進みます。
  • 熱電対式や感知線型は空気を入れず、回路合成抵抗値が表示値以下かを確かめます。

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空気管式の作動試験を、表示の空気量を入れる、作動時間を測る、範囲外なら配管を疑うの3つで整理した図解

空気管式の感知器は点検で何を確かめるのか

天井の縁に沿う細い銅管と壁の灰色の箱、空気を入れる小さなポンプが置かれたイラスト
点検の基準では、感知器は機器点検で確かめる項目に入っています。
空気管式の判定は、作動、作動継続、警戒区域の表示の三つです。
消防用設備等の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号) 別表第11 1 機器点検
(3) 感知器 ウ 熱感知器 (イ) 分布型 a 空気管式
作動及び作動継続の機能が正常であり、かつ、警戒区域の表示が適正であること。
空気管式で確かめるのは、作動、作動継続、警戒区域の表示の三つです。
火災作動試験では、空気を注入してから作動するまでの時間を測ります。
作動継続試験では、作動したときから復旧するまでの時間を測ります。
どちらも、検出部に貼付されている諸元表の範囲内かで判定します。
確認灯付きの感知器なら、確認灯が正常に点灯または点滅するかも見ます。 試験に使う道具の校正については、試験器の校正周期の記事で解説しています。

作動と作動継続は、どう違うのですか。

作動は、空気を入れてから感知器が働くまでの時間です。
作動継続は、働いてから復旧するまでの時間です。

空気はどれだけ入れてよいのか

注射器のような小さなポンプと、膜がふくらんで割れ目の入った丸い容器が並んだイラスト
空気量は、点検する人が勘で決めるものではありません。
火災作動試験の手順が、入れる量の拠り所を示しています。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第11 自動火災報知設備 2 機器点検 空気管式 (1) 火災作動試験(空気注入試験)
次により感知器の作動空気圧(空気膨張圧力)に相当する空気量を、空気注入試験器(5cc用、以下「テストポンプ」という。)によって注入し、確認する。
① 検出部の試験孔にテストポンプを接続し、試験コック等を作動試験位置に合わせる。
② 検出部に表示されている空気量を空気管に注入する。
③ 空気を注入してから作動するまでの時間を測定する。
入れる量は、検出部に表示されている空気量です。
空気量は感度種別や空気管長で異なるので、ほかの感知器の量を流用しないようにします。
要領の注意書きは、所定量以上を入れるとダイヤフラムが損傷するとしています。
表示が読み取れないときは、自己判断で入れず、機器の資料やメーカーで確かめておきたいところです。
この手順は、令和6年消防予第412号で一部改正された現行の点検要領の記載です。

同じ建物なら、どの検出部にも同じ量を入れてよいですか。

要領は、量が感度種別や空気管長で異なるとしています。
検出部ごとに表示を確かめます。

リーク孔を空気が通らない構造の感知器は試験のあとどうするのか

壁の灰色の箱が二つ並び、左はレバーが横向き、右は真上を向いたイラスト
要領の注意書きには、構造によって手順が変わる点が書かれています。
リーク孔を空気が通らない構造のものが、その対象です。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第11 自動火災報知設備 2 機器点検 空気管式
※(イ) 注入した空気がリーク孔を通過しない構造のものにあっては、所定の空気量を注入した直後すみやかに試験コック等を定位置に復帰させること。
リーク孔を通らない構造のものは、注入した直後にすみやかに試験コックを定位置へ戻します。
要領の図には、空気管、リーク孔、接点、ダイヤフラム、コックスタンド、空気注入試験器、試験孔、コックハンドルが描かれています。
戻す理由までは、要領に書かれていません。
ただ、試験コックは作動試験位置に合わせて使うものなので、戻し忘れは定位置ではない状態を残します。
点検の終わりに、試験コックが定位置にあるかを一台ずつ見て回る習慣をつけておきたいところです。

戻し忘れがないか、どう確かめればよいでしょうか。

点検の最後に、検出部のコックが定位置にあるかを見て回ります。
これは当記事の実務上の提案です。

作動しないときや時間がおかしいときはどこを疑うのか

灰色の箱につながる銅管の継手にスパナが当てられ、隣にU字のガラス管が立つイラスト
判定は、作動時間と作動継続時間が諸元表の範囲内かどうかで決まります。
範囲を外れたときの次の一手も、要領が示しています。
消防用設備等の点検要領(平成14年消防予第172号)第11 自動火災報知設備 2 機器点検 空気管式
イ 作動時間及び作動継続時間は、検出部に貼付されている諸元表による範囲内の値であること。
※(ウ) 不作動又は測定した時間が所定の範囲外の場合若しくは前回の点検時の測定値と大幅に異なる場合は、空気管とコックスタンドの接合部の締付けが確実かどうかを確認のうえ、流通試験及び接点水高試験を行い確認すること。
不作動や範囲外のときは、まず空気管とコックスタンドの接合部の締付けを確かめます。
そのうえで、流通試験と接点水高試験に進みます。
範囲内でも、前回の測定値と大幅に違うときは同じ扱いです。
だから、前回の測定値を手元に置いて点検しておく必要があります。
作動時間の判定については、平成10年消防予第67号の執務資料も参照するよう要領に書かれています。

前回より少し違うだけでも、調べたほうがよいのですか。

要領が挙げているのは、大幅に異なる場合です。
どこからが大幅かは、書かれていません。

熱電対式や感知線型の点検は空気管式と何が違うのか

メーターリレー試験器と端子盤が電線でつながれ、隣に長いセンサーケーブルの束と回路計が置かれたイラスト
分布型には、空気管式のほかに熱電対式と熱半導体式があります。
点検の基準では、これらと感知線型に回路合成抵抗値の確認が加わります。
消防用設備等の点検の基準(昭和50年消防庁告示第14号) 別表第11 1 機器点検 (3) 感知器 ウ 熱感知器
(イ) 分布型 b 熱電対式及び熱半導体式
作動、警戒区域の表示及び回路合成抵抗値が適正であること。
(ウ) 感知線型
作動、警戒区域の表示及び回路合成抵抗値が適正であること。
空気は入れず、作動電圧と回路合成抵抗値を確かめます。
熱電対式と熱半導体式は、メーターリレー試験器で検出部に電圧を加え、作動電圧が表示の範囲内かを見ます。
感知線型は、受信機の外線をはずして末端を短絡し、終端抵抗等も短絡して回路計で合成抵抗値を測ります。
判定は、感知器に明示されている値以下であることです。
なお熱半導体式は、感熱部の取付け面の高さが8m未満なら、差動式スポット型の加熱試験に準じて試験できます。

空気管式と同じ試験器でやれるのですか。

試験器が違います。
空気管式はテストポンプ、熱電対式はメーターリレー試験器を使います。

よくある質問

Q空気管式の感知器は、点検で何を判定しますか?
A作動と作動継続の機能、警戒区域の表示が適正であることを判定します。作動時間と作動継続時間が、検出部に貼付された諸元表の範囲内であることも確かめます。
Q点検の前に、ほかの設備との関係で必要なことはありますか?
A点検に先立って、消火設備、放送設備、防排煙設備などとの連動回路を遮断し、点検が終わったら復元します。
Q蓄積機能のある回線でも、作動試験はできますか?
A蓄積機能を有する回線に接続された感知器は、蓄積機能を解除して行ってもよいとされています。点検が終わったら蓄積機能を復元します。
Q作動時間が範囲外だったら、すぐ交換になりますか?
A要領が示しているのは、接合部の締付けの確認と、流通試験及び接点水高試験です。交換を先に求める書き方ではありません。

まとめ

✔空気管式は、作動と作動継続と警戒区域の表示を確かめる
✔火災作動試験では、テストポンプで検出部に表示されている空気量を注入する
✔空気量は感度種別や空気管長で違い、所定量以上を入れるとダイヤフラムが損傷する
✔リーク孔を通らない構造は、注入直後に試験コックを定位置へ戻す
✔不作動・範囲外・前回と大幅に違うときは、接合部の締付け、流通試験、接点水高試験の順に確かめる
✔熱電対式や感知線型は、空気を入れず回路合成抵抗値を確かめる
✔根拠は昭和50年消防庁告示第14号と消防用設備等の点検要領で、要領は改正されることがある

感知器の点検では、検出部の表示を確かめてから空気を入れることにします!

その一手が、ダイヤフラムを守ります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第11
  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年消防予第172号)及び消防用設備等の点検要領の一部改正について(令和6年消防予第412号) 第11 自動火災報知設備

※本記事は公表されている告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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