屋内給油取扱所に圧縮天然ガス等充塡設備を設置する計画を立てるとき、通常の屋内給油取扱所と同じ発想で上部利用まで考えると許可の壁にぶつかることがあります。
圧縮天然ガス等を扱う屋内給油取扱所には、消防法令上「圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所」として専用の特例基準が定められているためです。
基準を知らないまま設計を進めると、上部の利用計画そのものが白紙に戻りかねません。
この記事では、圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所に求められる特例基準と、通常の屋内給油取扱所では認められる上部利用がなぜ一切できないのかを解説します。
うちのガソリンスタンド、屋内に圧縮天然ガスの充塡設備を設置する計画があるんですが、上に事務所を増築しても大丈夫ですか。
圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所には、通常の屋内給油取扱所とは異なる専用の基準が適用されます。
知りませんでした。
普通の屋内給油取扱所と何が違うんでしょうか。
窓や出入口の防火設備と、上部利用の可否の2つが柱です。
順番に見ていきましょう。
- 圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所は、通常の屋内給油取扱所の基準に加えて危険物の規制に関する規則第二十七条の四の特例基準を満たす必要があります
- 建築物の窓及び出入口には、原則として防火設備を設けなければなりません
- 給油・詰替え・充塡や点検整備・洗浄の作業場など自動車が出入りする開口部は、防火設備の対象から除外されます
- 通常の屋内給油取扱所は上部に上階を設けられますが、圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所は上階を持つこと自体が認められません
- 屋内の特例は屋外の特例(規則第二十七条の三)を土台に、屋内固有の基準を上乗せする作りになっています
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目次
圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所とは何を指すのか

この特例は、屋外に設ける場合とは別の条文で規定されています。
条文がいう「前条」とは、屋外給油取扱所を定めた規則第二十七条の三のことです。
用途制限や床面積の合計上限といった基準は、屋外の特例で定められたものがそのまま準用されます。
この記事では、屋内給油取扱所に固有の第三項・第四項を中心に確認します。
屋外の基準がベースになっているとは知りませんでした。
はい、まず前提として屋外の特例(規則第二十七条の三)を押さえておくと理解しやすくなります。
通常の屋内給油取扱所とどこが違うのか

まずどの規定が外れるのかを確認します。
外れる令第十七条第一項第十六号は、給油取扱所に設けられる建築物の用途を制限する規定です。
これは規則第二十七条の三第三項が定める圧縮天然ガス等専用の用途制限に置き換わるためで、規制が緩むわけではありません。
第二十二号(洗浄設備等の規定)も同様に、専用の基準へ置き換わる形で適用が除外されます。
適用されないと聞くと、基準が緩くなる印象を受けます。
置き換わるだけで、実際には規則第二十七条の三の専用基準がそのまま効いています。
窓と出入口にはどんな防火設備が必要なのか

ただし圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所には、車両の出入りに配慮した除外があります。
除外されるのは、給油・灯油や軽油の詰替え・圧縮天然ガス等の充塡のための作業場(第一号)、自動車等の点検・整備を行う作業場(第三号)、自動車等の洗浄を行う作業場(第四号)の出入口です。
これらは自動車が頻繁に出入りする開口部で、防火設備を設けると実際の運用に支障が出ることへの配慮と考えられます。
事務所など人が使う開口部にはこの除外は及ばないため、用途ごとに確認が必要です。
作業場の出入口は全部除外されるものだと思っていました。
除外されるのは第一号・第三号・第四号の三種類だけで、事務所などその他の用途には防火設備が必要です。
なぜ上部に上階を持つことが一切認められないのか

圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所では、この選択肢自体が閉じられています。
通常の屋内給油取扱所は、政令第十七条第二項第五号・第十一号により、上部に上階があっても耐火構造や延焼防止措置を講じれば設置できます。
圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所では、この上階の可否を選ぶ余地がなく、条件を満たしても上階そのものを設けられません。
事務所や貸室を上層階に計画している場合、圧縮天然ガス等の充塡設備を導入する時点で計画を見直す必要があります。
屋内給油取扱所は上に事務所を乗せられると聞いていたので、前提が崩れます。
それは圧縮天然ガス等の充塡設備が無い、通常の屋内給油取扱所の話です。
充塡設備を導入するなら上階の計画は外す必要があります。
明日からなにを確認すればよいのか

最後に、明日からできる確認をまとめます。
まず、圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所の用に供する部分の上部に、増築で上階が生じていないかを確認します。
次に、給油・詰替え・充塡や点検整備・洗浄の各作業場の出入口と、それ以外の窓・出入口とで防火設備の有無を区別できているか点検します。
最後に、建物の使用実態が申請時の用途区分と食い違っていないかを定期的に見直しておくと安心です。
わかりました。
まずは上部に増築が無いか確認してみます。
それが一番確実な第一歩です。
気になる点があれば、いつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
圧縮天然ガス等充塡設備設置屋内給油取扱所の上階禁止、盲点でした!
増築計画の前に見落としやすい制約です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十一条第一項・第五項
- 危険物の規制に関する政令第十七条第二項・第三項
- 危険物の規制に関する規則第二十七条の三第三項
- 危険物の規制に関する規則第二十七条の四第一項・第二項・第三項・第四項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





