二酸化炭素消火設備の防護区画の隣にある部屋には、排出措置・表示灯・音響警報装置という保安措置が原則として必要です。
ですが条文には「流入するおそれがない場合又は保安上の危険性がない場合」はこの措置が不要になるというただし書きがあり、長らく判断基準があいまいなままでした。
令和4年11月24日、消防庁はこのただし書きに当たる場合を初めて具体的な条件で示しました。
どんな条件なら保安措置を免除されるのか、ガイドラインの中身から確かめます。
二酸化炭素消火設備の隣の部屋、いつも保安措置が要るんですよね。
実は免除される条件が通知で示されています。
順番に確認していきましょう。
免除なんてあるんですね、知らなかったです。
体積と窪地の両方が鍵になります。
そこから見ていきましょう。
- 防護区画に隣接する部分は、ただし書きにより保安措置を免除されることがあります。
- 令和4年11月24日消防予第573号のガイドラインが、免除される場合を3つの条件で具体的に示しました。
- 条件は、外気に開放されていること、体積が防護区画の3倍以上であること、二酸化炭素が滞留するおそれがないことです。
- 条件を満たしていても、地下室やピットなどの窪地があれば対象外になります。
- 自分の建物がどの条件に当たるかは、図面と現地の両方で確認する必要があります。
▼
目次
二酸化炭素消火設備のガイドラインはなぜ隣接区画まで触れたのか

ところが、どんな場合に当てはまるのかは長らく明確ではありませんでした。
このガイドラインは防護区画内の避難経路や起動装置だけでなく、隣接する部分の安全対策にも第5としてまとめて触れています。
隣接する部分の保安措置をいつ省略してよいかという判断基準が、ここで初めて具体的な形になりました。
自分の建物がガイドラインの対象かどうかは、まず防護区画の有無から確認できます。
死亡事故がきっかけだったんですね。
はい、安全対策の充実が目的のガイドラインです。
次に対象を確認しましょう。
どの部屋が防護区画に隣接する部分に当たるのか

壁や床の状態によって決まります。
開口部とは、消火剤が通り抜けられる隙間のことで、常時開いた出入口だけでなく隙間のある構造も含まれます。
開口部がまったくなければ、この措置自体の対象外になります。
自分の建物のどの壁に開口部があるかは、設計図書と現地の両方で確認する必要があります。
うちの休憩室は防護区画と壁一枚で隣り合っています。
その壁に開口部があるかを確かめましょう。
次に免除の条件を見ていきます。
ガイドラインが示す3つの条件とは何か

条文の「流入するおそれがない場合又は保安上の危険性がない場合」には、具体的な当てはめ方があります。
1つ目は、隣接する部分が直接外気に開放されているか、外部の気流が流通することです。
2つ目は、隣接する部分の体積が防護区画の体積の3倍以上であることです。ただし、規模や構造から高濃度の二酸化炭素を吸入するおそれがあると判断される場合は除かれます。
3つ目は、漏えいした二酸化炭素が滞留し人命に危険を及ぼすおそれがないことです。
自分の建物の隣接区画がどの条件に当てはまりそうかは、図面上の体積計算から取りかかれます。
うちの休憩室、防護区画よりかなり広いです。
それなら体積比を計算してみましょう。
ただ、もう1つ見落としやすい点があります。
実務で見落としやすいのはどこか

特に体積の条件を満たしている場合に注意が必要です。
窪地には二酸化炭素が滞留しやすく、体積全体が広くても窪地の部分だけ高濃度になるおそれがあるためです。
図面上の床面積や体積が条件を満たしていても、現地で床の高低差まで確認しないと窪地を見落とします。
点検の際は、図面だけで判断せず隣接する部分の床を実際に歩いて確認することをおすすめします。
床に段差があるのは知ってましたが、窪地とは思ってなかったです。
窪地の有無は現地で確かめましょう。
最後に確認の順番を整理します。
明日からなにを確認すればよいのか

確認する順番を整理しておくと迷いません。 確認は4つの手順に整理できます。
まず、防護区画と隣接する部分を区画する壁等に開口部があるかどうかです。
次に、隣接する部分が外気に開放されているか、外部の気流が流通するかを確かめます。
さらに、隣接する部分の体積を図面から算出し、防護区画の3倍以上あるかを計算します。
最後に、体積の条件を満たしていても、地下室やピットなどの窪地が無いかを現地で確認します。
いずれの条件にも当てはまらなければ、排出措置・表示灯・音響警報装置が設計通り設置されているかを点検します。
図面と現地の両方を見ないといけないんですね。
はい、開口部・体積・窪地の順に見ていきましょう。
点検計画に反映すると安心です。
よくある質問
まとめ
免除の条件がよく分かりました!
体積の計算や窪地の確認はまとめてお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 二酸化炭素消火設備の設置に係るガイドラインの策定について(令和4年11月24日 消防予第573号)別紙1第5
- 消防法施行規則第19条第5項第19号の2(防護区画に隣接する部分の保安措置)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





