耐火構造や防火設備は、建築基準法の中で「国土交通大臣の認定を受けたもの」という形で出てきます。
認定と聞くと、書類を出せば通る手続きのように思われがちですが、条文は審査の進め方まで定めています。
その根拠になっているのが、第68条の25の構造方法等の認定です。
今回は建築基準法第68条の25を中心に、申請から審査、性能評価機関の役割、外国で事業を行う者の扱い、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
防火設備は「大臣認定」を受けたものだと聞きます。
認定の手続きは、決まっているのでしょうか。
決まっています。
建築基準法第68条の25に、申請と審査の流れが書かれています。
認定を受けた製品を買えば、それで済むのではないですか。
手続きまで知る必要はあるのでしょうか。
中身を知っておくと、改修や交換のときに確かめやすくなります。
順番に条文を見ていきましょう。
- 第68条の25第1項は、構造方法等の認定を受けたい人が、申請書を国土交通大臣に提出して行わなければならないと定めています。
- 認定の対象は、構造方法、建築材料又はプログラムの三つです。
- 審査は、その性能に関する評価に基づいて行うものとされています(第2項)。
- 国土交通大臣が指定した指定性能評価機関が評価を行う場合、申請者は性能評価書を申請書に添えます(第3項から第5項まで)。
- 外国で事業を行う者は、承認を受けた者が作成した性能評価書を添えて申請できます(第6項・第7項)。
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目次
耐火構造や防火設備の定義にはなぜ国土交通大臣の認定を受けたものという言葉が入っているのか

まず、法第2条の該当部分を確認しましょう。
(建築基準法第二条第九号の二ロ)その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。
耐火構造は、耐火性能に関して政令で定める技術的基準に適合する構造で、大臣が定めた構造方法を用いるもの又は大臣の認定を受けたものをいいます。
防火設備は、遮炎性能に関する政令の技術的基準に適合するもので、同じく告示の構造方法か大臣の認定を受けたものに限られます。
遮炎性能の政令の基準は施行令第109条の2で、加熱開始後20分間、加熱面以外の面に火炎を出さないことと書かれています。
大臣が定めた構造方法を使う道と、認定を受ける道の二本立てになっている点に注意しましょう。
耐火構造や防火設備の定義に「認定」と出てくるのですね。
認定は誰が行うのですか。
国土交通大臣が行います。
次の見出しで、その入口の構造方法等の認定を確認します。
構造方法等の認定とは何を指し誰がどのように申請するものなのか

まず、条文を確認しましょう。
認定の対象は、構造方法、建築材料又はプログラムの三つです。
条文は、前三章の規定又はこれに基づく命令の規定を根拠にすると書いています。
この条は第三章の二にあるので、前の三つの章は第一章から第三章までのことです。
申請する人は、国土交通省令で定める事項を書いた申請書を国土交通大臣に提出します。
認定の対象は、防火設備だけではないのですか。
ほかにも対象があるのでしょうか。
条文は、構造方法、建築材料、プログラムの三つを挙げています。
次は、審査の進め方を確認します。
認定の審査はなぜ性能に関する評価に基づき指定性能評価機関の評価書を添えて行われるのか

まず、第2項から第4項までを確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の二十五第三項)国土交通大臣は、第七十七条の五十六の規定の定めるところにより指定する者に、構造方法等の認定のための審査に必要な評価の全部又は一部を行わせることができる。
(建築基準法第六十八条の二十五第四項)国土交通大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者が行う評価を行わないものとする。
第2項は、審査に当たって性能の評価に基づくと定めています。
第3項は、指定した者に、審査に必要な評価の全部又は一部を行わせることができると定めています。
第4項は、指定をしたときは、指定を受けた者が行う評価を大臣自身は行わないものとしています。 続く第5項は、申請する人が用意する書類を定めています。
性能評価を行う指定を受けた者は、第77条の56で指定性能評価機関と呼ばれています。
指定は、性能評価を行おうとする者の申請により行うと、第77条の56第1項に書かれています。
ただし、外国にある事務所により行おうとする者は、この指定の対象から除かれています。
審査は、大臣が一人で行うのではないのですね。
評価という言葉も気になります。
審査は性能の評価に基づきます。
評価を行う機関の道は、外国の事業者にも別に用意されています。
外国で事業を行う者の申請や特殊構造方法等認定は通常の構造方法等の認定とどこが違うのか

第6項と第7項を確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の二十五第七項)外国において事業を行う者は、前項の承認を受けた者が作成した性能評価書を第一項の申請書に添えて構造方法等の認定を申請することができる。この場合において、国土交通大臣は、当該性能評価書に基づき構造方法等の認定のための審査を行うものとする。
第6項は、大臣が、承認した者に、外国の事業者の申請に基づく評価を行わせることができると定めています。
第7項は、その承認を受けた者の性能評価書を添えて申請できること、大臣がその評価書に基づいて審査することを定めています。
承認については、第77条の57が、外国にある事務所により性能評価を行おうとする者の申請により行うと定めています。
第38条の特殊の構造方法又は建築材料の認定です。
(建築基準法第六十八条の二十六第一項)特殊構造方法等認定(第三十八条(第六十六条及び第六十七条の二において準用する場合を含む。)の規定による認定をいう。以下同じ。)の申請をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出して、これをしなければならない。
第38条は、大臣が同等以上の効力があると認める場合に、この章の規定を適用しないと定めています。
第68条の26は、この認定の申請書を国土交通大臣に提出することを定めています。
通常の構造方法等の認定とは、根拠の条文が違います。
外国の会社にも、道が用意されているのですね。
特殊構造方法等認定は、別の制度ですか。
別の制度で、根拠は第38条です。
次の見出しで、全体を整理します。
構造方法等の認定の手続を防火管理の現場ではどのように確かめればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 認定の申請 | 申請書を国土交通大臣に提出して行う(第68条の25第1項) | 様式は国土交通省令が定めます |
| 審査の基礎 | 性能に関する評価に基づいて審査する(第2項) | 審査は性能評価が土台です |
| 国内の評価 | 指定を受けた者が評価を行い、性能評価書を添える(第3項から第5項まで、第77条の56) | 指定性能評価機関の評価書です |
| 外国事業者の評価 | 承認を受けた者の性能評価書を添えて申請できる(第6項・第7項、第77条の57) | 承認を受けた者の評価書です |
| 特殊構造方法等認定 | 第38条の認定の申請は第68条の26が定める | 根拠が違う別の認定です |
認定の手続は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、建物の防火設備などが、認定を受けた仕様かどうかを知っておくと、改修や交換の相談が進めやすくなります。
建築基準法の認定を受けた設備でも、消防法令の設置や維持の基準は別に確かめる必要があります。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の防火設備や耐火構造が、大臣が定めた構造方法か、大臣の認定を受けたものかを、施工業者に尋ねて控えておく。
- 認定を受けたものであれば、認定に関する書類を保管しているかを確かめる。
- 防火設備などを取り替えるときは、認定を受けた仕様のままかを施工業者に確認する。
- 第38条の特殊構造方法等の認定が使われている場合は、通常の認定と区別して記録する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
手続きの流れは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
認定に関する書類を、施工業者や製造者に確認しておきましょう。
消防の基準は、別に確かめます。
よくある質問
まとめ
認定の仕組みがよく分かりました。
設備を替えるときは、認定の書類を確認します!
建築の認定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第二条・第三十八条・第六十八条の二十五・第六十八条の二十六・第七十七条の五十六・第七十七条の五十七、建築基準法施行令第百九条の二(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。区域の計画と条例の制限の内容は地区計画と条例ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





