誘導灯は、火災のときに避難口と避難の方向を示す、緑色の灯火です。
昔は、点滅器を付けてよいか、夜は暗くしてよいか、表示面の絵柄を変えてよいか、といった疑問が消防庁へ次々に寄せられました。
この記事では、そのうち五つの質疑応答を選び、現行の消防法施行令第26条 や消防法施行規則第28条の3 などと照らして読みます。
点滅器、タイマー、シンボル、プール、蓄光式誘導標識の色を、順に確かめます。
誘導灯は、つけっぱなしにするものだと思っていました。
昔は、切ったり暗くしたりしてもよかったんですか。
条件つきで認められたものと、認められなかったものがありました。
五つの質疑応答で、その分かれ目を見ていきます。
今の条文とは、どうつながるんでしょうか。
一つずつ確かめます。
現行の条文に当てはめて読みます。
- 蓄電池設備を内蔵した誘導灯に点滅器を付けてよいのは、切替試験のためで、火災のときにだけ点灯する方式は適当でないと答えられました
- 夜間に減光するタイマー切替式の誘導灯は、スーパーマーケットの事例で令第32条を適用し、七つの条件を満たす場合に限って認められました
- 出口へ向かう人の図柄を入れた誘導灯の表示面は、令第32条を適用して認めてさしつかえないと答えられました
- プール部分の通路誘導灯は、廊下や通路などの避難上の設備がある場所には必要であるとされ、免除は認められませんでした
- 蓄光式誘導標識の発光色は緑色とされ、黄緑色や青緑色等も概ね緑色として差し支えないと答えられました
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目次
誘導灯の電気回路に、点滅器を付けてよいのはどんなときなのか

スイッチを付けると、切ったまま忘れるおそれがあります。それでも、付けてよい場合があるのかが問われました。
なお、蓄電池設備を内蔵した誘導灯で、自動火災報知設備の受信機との連動によって、万一点滅器を切っていても、感知器の作動又は発信機の操作によって点灯する場合に限り、点滅器を設けてもよいこととして運用してよいか。
3線式配線は、体育館、貸しホール等の常時使用されない防火対象物に限定されるものであり、誘導灯は火災時以外の緊急事態にも必要であるので、火災時(自動火災報知設備作動時)にのみ点灯する方式とすることは適当でない。
(昭和50年6月16日 消防安第65号 消防庁安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
切替試験は、常用電源から非常電源の蓄電池設備へ切り替わる動作を確かめる試験です。試験のあとに元へ戻し忘れないよう、手を離すと元に戻る自動復帰形であることが前提でした。
現行の規則第28条の3第4項第2号は、避難口誘導灯と通路誘導灯(階段又は傾斜路に設けるものを除く。)を、常時、決められた明るさで点灯していることと定めています。ただし書で、無人の場合や、外光で識別できる場所、暗さが必要な場所、関係者だけが使う場所などは、感知器の作動と連動して点灯するなどの措置をとれば、この限りでないとしています。
火災のときだけ点灯する方式が退けられたのは、誘導灯が火災以外の緊急事態にも必要だからでした。今も、常時点灯が原則です。
点滅器は、試験のために付いているんですね。
はい。
火災のときだけ点灯する方式は認められませんでした。
夜間だけ暗くするタイマー切替式の誘導灯は、認められたのか

そこで、時刻を決めて誘導灯を暗くする器具を設けたい、という申請が出されました。
1 防火対象物 鉄筋コンクリート造7階建、延べ面積9,456平方メートルのスーパーマーケット(自動火災報知設備、放送設備、非常用照明設備を設置)
2 開店時間 10時0分から20時0分
3 物品搬入時間 8時0分から17時0分
4 清掃時間 8時0分から10時0分
5 巡回時間 3時間ごと
6 深夜の在館者 20時0分から翌8時0分の間は、警備員3名が巡回するだけ
7 条件 ⑴21時0分から翌7時0分の間のみ減光する ⑵巡回員以外の者が入店するときは減光しない ⑶減光時は赤色灯を器具内に点灯する ⑷自動火災報知設備が作動したときは全点灯する
⑴ 誘導灯は、連動式減光形として認定を受けたもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること。
⑵ タイマーは、21時0分から翌7時0分の間のみ減光するよう設定すること。
⑶ 巡回員以外の者が入店するときは、減光しないものであること。
⑷ 自動火災報知設備が作動したときは、即時自動的に光源を正常点灯に復帰する方式のものであること。
⑸ 結線は、図の例によること。
⑹ 誘導灯に用いるタイマーは、モータタイマに定められたもののうち、セット誤差が±1%のもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること。
⑺ タイマー及び信号装置は、守衛室等に設置すること。
(昭和52年10月27日 消防予第205号 消防庁予防救急課長から兵庫県生活部長あて回答、昭和52年11月22日 消防予第222号)
前提の事案は、深夜に警備員が巡回するだけの店舗でした。それでも、巡回員以外の人が入るときは減光せず、火災報知設備が働いたらすぐに全灯へ戻すことが求められています。
現行の規則に、タイマーで減光してよいと書いた条文はありません。常時点灯が原則で、その例外は第28条の3第4項第2号のただし書に定められています。ただし書は、感知器の作動と連動して点灯し、かつ、場所の利用形態に応じて点灯するように措置されていることを求めています。
回答の条件のうち、火災報知設備の作動で点灯に戻す部分は、この考え方と重なります。昭和の事例がそのまま今の一般ルールになるわけではないので、個別の適用は所轄の消防機関に確かめます。
夜に暗くしていた店があったんですね。
はい。
火災のときは全灯に戻すことが条件でした。
誘導灯の表示面に、出口へ向かう人の図柄を入れてよいのか

方向をもっとはっきり示したいという声を受けて、絵柄を変えた表示面が問われました。
別添 シンボルを反映した表示面 ⑴避難口誘導灯の例 ⑵通路誘導灯(廊下、室内)の例
(昭和57年7月3日 消防予第144号 消防庁予防救急課長から東京消防庁予防部長あて回答、昭和57年7月5日 消防予第145号)
令第26条第2項は、避難口誘導灯を避難口である旨を表示した緑色の灯火とし、通路誘導灯を避難の方向を明示した緑色の灯火とすると定めています。
現行の規則第28条の3第6項は、誘導灯及び誘導標識が、消防庁長官が定める基準に適合するものでなければならないと定めています。表示面の図柄のような細かい点は、この基準で決まります。
昭和57年の回答は、当時の告示に載っていない表示面を、個別に認めたものでした。今の図柄は、現行の基準で確かめます。
図柄を変える特例もあったんですね。
はい。
緑色の灯火であることは、令に書かれた前提です。
プールの通路誘導灯は、令第32条で免除できるのか

壁が少なく、通路誘導灯を付ける場所が見つからない、という悩みが出されました。
(昭和59年5月25日 消防予第92号 消防庁予防救急課長から長野県生活環境部長あて回答、昭和59年10月17日 消防予第146号)
令第26条第2項第2号は、通路誘導灯を、防火対象物又はその部分の廊下、階段、通路その他避難上の設備がある場所に、避難上有効なものとなるように設けると定めています。回答は、この文言どおりに答えています。
一方、現行の規則第28条の2第2項第1号は、居室の各部分から主要な避難口又はこれに設ける避難口誘導灯を容易に見とおし、かつ、識別することができる階で、そこまでの歩行距離が避難階は40メートル以下、避難階以外の階は30メートル以下であるものを、通路誘導灯の設置を要しない部分としています。
見とおしを理由にした免除は、令第32条の特例ではなく、条件が規則に書かれた免除として整理されています。条件を満たすかどうかは、階ごとに確かめます。
見とおしがよくても、当時は免除できなかったんですね。
はい。
歩行距離の条件は、今の規則が定めています。
蓄光式誘導標識の色は、何色まで緑色として認められるのか

光ったときの色が問われました。
この場合において、黄緑色や青緑色等も概ね緑色と考えて差し支えないか。
(平成25年3月18日 事務連絡 消防庁予防課から各都道府県消防防災主管課、東京消防庁・各指定都市消防本部あて)
令第26条第2項第5号は、誘導標識を、避難口である旨又は避難の方向を明示した緑色の標識と定めています。
蓄光式誘導標識は、規則第28条の2第1項第3号ハで、燐光等により光を発する誘導標識と定義されています。誘導灯及び誘導標識は、規則第28条の3第6項により、消防庁長官が定める基準に適合しなければなりません。
この質疑は、発光したときの色みに幅を持たせたものです。実際の蓄光式誘導標識の性能は、現行の基準で確かめます。
黄緑や青緑でも、緑色として扱えるんですね。
はい。
発光したときの色についての答えでした。
よくある質問
まとめ
質疑応答が、条文とつながりました。
うちの誘導灯も、今の基準で確かめてみます!
質疑応答も、今の条文の意味を理解するために読めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第26条・第32条
- 消防法施行規則第28条の2・第28条の3
- 誘導灯の電気回路についての回答(昭和50年6月16日 消防安第65号 消防庁安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- タイマー切替式誘導灯の設置についての回答(昭和52年10月27日 消防予第205号 消防庁予防救急課長から兵庫県生活部長あて回答、昭和52年11月22日 消防予第222号)
- 誘導灯表示面(シンボル)の取扱いについての回答(昭和57年7月3日 消防予第144号 消防庁予防救急課長から東京消防庁予防部長あて回答、昭和57年7月5日 消防予第145号)
- 疑義事項の照会についての回答(昭和59年5月25日 消防予第92号 消防庁予防救急課長から長野県生活環境部長あて回答、昭和59年10月17日 消防予第146号)
- 消防用設備等に係る執務資料の送付について(平成25年3月18日 事務連絡 消防庁予防課から各都道府県消防防災主管課、東京消防庁・各指定都市消防本部あて)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





