防火設備や非常用の照明装置のように、同じ仕様の部品は、たくさんの建物に取り付けられます。
その部品を工場で作る製造者そのものを、国があらかじめ認めておく仕組みが、建築基準法にはあります。
それが、第68条の11の型式部材等製造者の認証です。
認証を受けた製造者が作る部品は、建築確認や検査の場で、その認証に係る型式に適合するものとみなされます。
今回は建築基準法第68条の20が定める認証型式部材等に関する確認及び検査の特例について、認証の仕組みと、確認や検査での扱い、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
製造者が認証を受けていると、建物の確認や検査は何か変わるのですか。
部品の審査が、省かれるのでしょうか。
省かれるのは、型式に適合しているかの確認の部分です。
まず、認証の条文から見ていきましょう。
それは、建築基準法のどの条文に書かれているのですか。
認定の制度とは別のものですか。
特例は建築基準法第68条の20に、認証は第68条の11に書かれています。
認定とは別の制度です。
- 第68条の20は、認証型式部材等製造者が製造をする認証に係る型式部材等は、確認や検査の場で、その認証に係る型式に適合するものとみなすと定めています。
- 認証を受けるのは、部品そのものではなく、その部品の製造者です。
- 認証は、国土交通大臣が、申請により行い、型式適合認定を受けた型式であることなどが基準になります。
- 検査では、表示を付けた部材や、建築士の工事監理者が確認した建築物が、型式に適合するとみなされます。
- みなされるのは認証に係る型式への適合であって、消防法令の基準が緩むわけではありません。
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目次
型式部材等製造者の認証はなぜ部品ではなく製造者を国土交通大臣が申請により認める仕組みなのか

まず、条文の第1項を確認しましょう。
条文は、この認証の対象になる建築材料や建築物の部分や建築物を、「型式部材等」と呼んでいます。
対象になる範囲は、国土交通省令が定めるものに限られます。
認証を行うのは国土交通大臣で、申請があったときに行います。
認証を受けるのは、型式部材等の製造者であって、部品そのものではありません。
製造には、建築物の新築も含まれると、かっこ書きで書かれています。 続く第2項と第3項には、手続の規定があります。
(建築基準法第六十八条の十一第三項)国土交通大臣は、第一項の規定による認証をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
認証をしたときは、国土交通大臣が、その旨を公示します。
認証を受けるのは、部品の製造者なのですね。
認証されるための条件はありますか。
第68条の13に、基準があります。
次の見出しで、認証の基準を見ていきます。
認証の基準はなぜ型式適合認定を受けた型式と技術的な生産条件の二つで定められているのか

まず、条文を確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の十三第一号)一申請に係る型式部材等の型式で型式部材等の種類ごとに国土交通省令で定めるものが型式適合認定を受けたものであること。
(建築基準法第六十八条の十三第二号)二申請に係る型式部材等の製造設備、検査設備、検査方法、品質管理方法その他品質保持に必要な技術的生産条件が国土交通省令で定める技術的基準に適合していると認められること。
第1号は、型式が型式適合認定を受けたものであることを求めています。
第2号は、製造設備、検査設備、検査方法、品質管理方法などの技術的生産条件を求めています。
第2号の基準は、国土交通省令で定める技術的基準です。
基準に適合していると認めるときは、国土交通大臣は認証を「しなければならない」と書かれています。 認証を受けられない人については、第68条の12に欠格条項があります。
その書き出しを確認しておきます。
第2号は、認証を取り消されてから二年を経過しない場合、第3号は、役員にそのような人がいる法人です。
これらに当たる場合は、認証を受けることができません。
認証には、型式の認定と、工場の条件が必要なのですね。
認証を受けたあとは、どうなりますか。
製造者には義務が課されます。
次の見出しで、型式適合義務と表示を見ていきます。
認証を受けた製造者はなぜ型式への適合と検査記録の保存と表示の扱いを条文で縛られるのか

第68条の18の第1項と第2項を確認しましょう。
(建築基準法第六十八条の十八第二項)認証型式部材等製造者は、国土交通省令で定めるところにより、製造をする当該認証に係る型式部材等について検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。
第1項の本文は、認証に係る型式部材等の製造をするときは、その認証に係る型式に適合するようにしなければならないと定めています。
輸出のための製造や試験的な製造などは、ただし書で除外されています。
第2項は、国土交通省令で定めるところにより、製造する型式部材等について検査を行い、その検査記録を作成して保存することを求めています。 表示については、第68条の19が定めています。
(建築基準法第六十八条の十九第二項)何人も、前項の規定による場合を除くほか、建築材料、建築物の部分又は建築物に、同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
第1項の表示は、認証型式部材等製造者が製造をした型式部材等であることを示すもので、方式は国土交通省令で定められています。
表示を付けるかどうかは、条文の言い方では「付することができる」であって、義務ではありません。
第2項は、第1項の場合を除いて、何人も、この表示や紛らわしい表示を、建築材料、建築物の部分、建築物に付してはならないと定めています。
製造者には、型式に合わせる義務があるのですね。
表示は、あとの検査に関わりますか。
関わります。
次の見出しで、第68条の20を見ていきます。
認証型式部材等は確認と検査の場でなぜ認証に係る型式に適合するものとみなされるのか

まず、第1項を確認しましょう。
「認証型式部材等」とは、認証型式部材等製造者が製造をする、その認証に係る型式部材等のことです。
審査は、第6条第4項の審査、第6条の2第1項の確認のための審査、第18条第3項又は第4項の審査が挙がっています。
第6条の2は、指定を受けた者による確認の規定です。
みなされるのは、その認証に係る型式に適合するかという点です。 続く第2項は、工事のあとの検査での扱いを定めています。
前半は、建築物以外の認証型式部材等で、第68条の19第1項の表示を付けたものです。
後半は、建築物である認証型式部材等で、新築の工事が省令で定めるところにより、建築士である工事監理者によって設計図書のとおり実施されたことが確認されたものです。
検査は、第7条第4項、第7条の2第1項、第7条の3第4項、第7条の4第1項、第18条の一部の項が挙がっています。
表示が付いていない部材は、この条の前半の対象になりません。
確認や検査で、型式に適合するとみなされるのですね。
全体を、整理したいです。
一覧の表で、比べてみましょう。
あわせて防火管理者の確認事項も見ておきます。
型式部材等製造者の認証の制度はなぜ建築の手続と消防の手続を分けて考える必要があるのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 認証を行う者 | 国土交通大臣が、申請により、型式部材等の製造者を認証する(第68条の11第1項) | 認証されるのは製造者です |
| 認証の基準 | 型式適合認定を受けた型式であることと、技術的な生産条件が省令の基準に適合していること(第68条の13) | 型式の認定と生産条件の二つです |
| 製造者の義務 | 型式への適合、検査、検査記録の作成と保存(第68条の18) | 製造のたびに記録を残します |
| 確認の特例 | 審査において、認証に係る型式に適合するものとみなす(第68条の20第1項) | みなされるのは型式への適合です |
| 検査の特例 | 表示を付けたもの、又は建築士の工事監理者が確認した建築物(第68条の20第2項) | 表示や工事監理者の確認が条件です |
認証の制度は、建築基準法の規定への適合を確かめる場面の特例で、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、建物に付いている防火設備などが、認証を受けた製造者のものかを知っておくと、改修や交換の相談が進めやすくなります。
似た名前の制度に、第68条の10の型式適合認定があります。
こちらは型式を認定する制度で、認証とは別の制度です。 これらは建築基準法の確認や検査に関する話で、消防法令の基準を決めるものではありません。
判断に迷うときは、建築の窓口と消防署への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
- 建物の防火設備などに、認証型式部材等製造者の表示が付いているかを、現物や仕様書で確かめて控えておく。
- 防火設備などを取り替えるときは、認証を受けた製造者のものかを施工業者に尋ねる。
- 製造者の認証と、部品の型式適合認定が別の制度であることを区別して記録する。
- 増築などで規模や用途が変わることで、消防用設備等の基準が変わる場合があるため、所轄消防署へ事前に相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。
設備の表示の有無を、まず確認します。
交換の話が出たら、業者や両方の窓口に相談します。
製造者の認証の状況が分かれば、あとの相談も早くなります。
相談は、建築の窓口と消防の両方の窓口にしておくと安心です。
よくある質問
まとめ
防火設備の表示の有無を、確認しておく必要があるんですね。
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設備の認証の状況が分かれば、改修や交換の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十八条の十一・第六十八条の十二・第六十八条の十三・第六十八条の十八・第六十八条の十九・第六十八条の二十(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。区域の計画と条例の制限の内容は地区計画と条例ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





