危険物施設の消火設備の図面に、「二酸化炭素消火設備」と書かれていませんか。
平成23年12月21日、消防庁は消防危第295号で、ハロン代替ガスを使った消火設備を製造所等で使えるようにする改正を通知しました。
あわせて、二酸化炭素を使う設備と不活性ガス(イナートガス)を使う設備が、不活性ガス消火設備に統合されました。
この記事では、改正の目的と対象、告示と運用指針の中身、実務の確認点を、消防庁の通知と現行の条文をもとに解説します。
二酸化炭素の消火設備と書いてあるのですが、名称は今も同じでしょうか。
設備が変わったのか気になります。
名称は不活性ガス消火設備に統合されています。
まず通知の内容から順に確かめましょう。
名称が変わったのは、いつのことですか。
名称の統合は平成24年3月1日からです。
今はすでに施行されています。
- 消防庁は平成23年12月21日の消防危第295号で、製造所等でハロン代替ガスを用いた消火設備を使えるようにする改正を通知しました。
- ハロン代替消火剤のうち不活性ガスを用いる設備は、二酸化炭素消火設備と統合され、不活性ガス消火設備として位置付けられました。
- 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、泡消火設備の細目は、平成23年総務省告示第557号から第559号までに定められました。
- 消防危第90号は、告示に細目が定められたことから運用指針を改め、平成24年4月1日から施行しました。
- 名称の統合は平成24年3月1日からで、許可書や図面の名称は、現行の条文と照らして確認します。
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目次
危険物施設のガス系消火設備の見直しは、なぜ行われたのか

製造所等でハロン代替ガスを使えるようにすることが、主な内容の一つです。
今回の改正及び制定は、(略)製造所等においてハロン代替ガスを用いた消火設備の使用を可能とすること、(略)製造所等の不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備及び泡消火設備の技術上の基準の細目を定めること等を主な内容とするものです。
製造所、貯蔵所及び取扱所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、政令でこれを定める。
通知は、なぜ使えるようにするのかという理由までは書いていません。
書かれているのは、ハロン代替消火剤のうち不活性ガスを用いる設備を、二酸化炭素消火設備と統合するという整理です。
あわせて、不活性ガス、ハロゲン化物、泡の各消火設備の細目を定める告示が、平成23年総務省告示第557号から第559号までとして制定されました。
だから危険物施設の図面や許可書は、現在の名称と照らして読むことになります。
| 項目 | 通知の内容 |
|---|---|
| 通知 | 消防危第295号(平成23年12月21日、消防庁次長) |
| 主な内容の一つ | 製造所等でハロン代替ガスを用いた消火設備を使えるようにすること |
| 統合されたもの | 不活性ガス(イナートガス)を用いる設備と二酸化炭素消火設備 |
| 新しい名称 | 不活性ガス消火設備 |
| 細目を定めた告示 | 平成23年総務省告示第557号(不活性ガス)、第558号(ハロゲン化物)、第559号(泡) |
事故があって出された通知ではないのですね。
はい。
示されているのは、ハロン代替ガスの使用を可能にする整理です。
どの消火設備が、どの対象物と施設に関わるのか

政令の別表第五で、消火に適する対象物が決まっています。
第5 消火設備に関する事項
ハロン代替消火剤のうち不活性ガス(イナートガス)を用いるガス系の消火設備は、二酸化炭素消火設備と統合され、新たに「不活性ガス消火設備」に位置付けられたこと(令別表第5並びに規則第32条の7から第32条の9まで及び第33条第2項第1号の表関係)。
第三種の消火設備として、不活性ガス消火設備とハロゲン化物消火設備が掲げられ、電気設備、第二類の引火性固体、第四類の危険物に適応するものとされている。
別表第五は、不活性ガス消火設備とハロゲン化物消火設備に、同じ対象物への適応を認めています。
建築物その他の工作物の欄には、不活性ガス消火設備の○は付いていません。
地中タンクに係る屋外タンク貯蔵所では、規則第33条第2項第1号の表が、固定式の泡消火設備と、移動式以外の不活性ガス消火設備または移動式以外のハロゲン化物消火設備を掲げています。
だから、どの施設にどの設備が要るかは、規則第33条の表で施設ごとに確かめます。
| 根拠 | 内容 |
|---|---|
| 政令別表第五 | 不活性ガス消火設備は電気設備、第2類の引火性固体、第4類の危険物に適応 |
| 規則第32条の7 | 第三種の不活性ガス消火設備の設置の基準 |
| 規則第33条第2項第1号の表 | 地中タンクは固定式の泡消火設備と、移動式以外の不活性ガス消火設備またはハロゲン化物消火設備 |
消火剤の種類より、対象物との組み合わせが大事なのですね。
はい。
別表第五で、適応する対象物を確かめてください。
告示と運用指針は、何を求めているのか

消防危第90号は、この運用指針を告示に合わせて改めた通知です。
今般、製造所等に設置される不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備及び泡消火設備に係る技術上の基準の細目が、それぞれ「製造所等の不活性ガス消火設備の技術上の基準の細目を定める告示」(平成23年総務省告示第557号)、「製造所等のハロゲン化物消火設備の技術上の基準の細目を定める告示」(平成23年総務省告示第558号)及び「製造所等の泡消火設備の技術上の基準の細目を定める告示」(平成23年総務省告示第559号)に規定されたことから、運用指針を下記のとおり改めることとしました。
三 移動式の不活性ガス消火設備のホース接続口は、すべての防護対象物について、当該防護対象物の各部分から一のホース接続口までの水平距離が十五メートル以下となるように設けること。
五 全域放出方式又は局所放出方式の不活性ガス消火設備には、予備動力源を附置すること。
規則第32条の7は、全域放出方式、局所放出方式、移動式の三つの方式と、消火剤の量、予備動力源を定めています。
消防危第90号は、運用指針の第7から第9までを削り、粉末消火設備の節を第7に繰り上げました。
あわせて、規則第32条の7第1号の区画された部分を「防護区画」と呼ぶこと、自動閉鎖装置の意味を、運用指針の粉末消火設備の項に書き加えています。
改正後の運用指針は、平成24年4月1日から施行されています。
| 方式など | 規則第32条の7の基準の要点 |
|---|---|
| 全域放出方式 | 不燃材料の壁や床などで区画され、開口部に自動閉鎖装置がある部分に、標準放射量で消火できるよう噴射ヘッドを設ける(追加放出できる設備は自動閉鎖装置を省ける) |
| 局所放出方式 | 防護対象物に直接放射し、標準放射量で消火できるよう噴射ヘッドを設ける |
| 移動式 | ホース接続口を、各部分から水平距離15メートル以下となるよう設ける |
| 消火剤の量 | 防護対象物の火災を有効に消火できる量以上 |
| 予備動力源 | 全域放出方式と局所放出方式には附置する |
| 消火剤の種別 | 表面積1平方メートル当たりの消火剤の量 |
|---|---|
| 第1種粉末 | 8.8kg |
| 第2種粉末または第3種粉末 | 5.2kg |
| 第4種粉末 | 3.6kg |
| 第5種粉末 | 特定の危険物に適応すると認められる消火剤に応じて定められた量 |
告示の中身まで、通知に書いてあるのですか。
いいえ。
細目は告示三本を、原文で確かめてください。
実務で見落としやすいのはどこか

通知と条文に沿って確かめましょう。
施行期日は原則として、平成24年7月1日とされたこと。ただし、次に掲げる事項はそれぞれ定める日から施行されるものであること(略)。
(3)不活性ガス消火設備への名称変更に関する事項(第5関係)(略)平成24年3月1日
(4)浮き蓋付特定屋外タンク貯蔵所に関する事項(第2関係)、製造所等の不活性ガス消火設備の技術上の基準の細目を定める告示、製造所等のハロゲン化物消火設備の技術上の基準の細目を定める告示及び製造所等の泡消火設備の技術上の基準の細目を定める告示(略)平成24年4月1日
第十三条に規定するもののほか、不活性ガス消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
名称の統合は平成24年3月1日で、告示三本の施行は4月1日と、日付が異なります。
通知の経過措置の項には、名称の統合に関するものは載っていません。
消防法施行令第16条の不活性ガス消火設備は、防火対象物に設ける消防用設備等の基準で、危険物施設に適用される政令とは別の法体系です。
消火器は、政令別表第五の欄が今も「二酸化炭素を放射する消火器」で、設備の名称変更とは別に扱われています。
なお、この記事は通知の内容と条文の確認までで、告示の本文は取り上げていません。
| 見落としやすい点 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 名称の統合は平成24年3月1日、告示三本と運用指針の改正は平成24年4月1日 |
| 根拠の体系 | 危険物施設は危険物の規制に関する政令と規則、防火対象物は消防法施行令第16条 |
| 消火器の名称 | 政令別表第五では「二酸化炭素を放射する消火器」のまま |
うちの設備は、消防法施行令の話ではないのですか。
危険物施設の設備は、危険物の規制に関する政令と規則で確認します。
防火対象物に設ける設備とは、別の法体系です。
明日からなにを確認すればよいのか

そこで、通知と条文を踏まえた確認を、次の5点に整理します。
貴職におかれましては、このことに留意され、引き続き適切な運用をお願いするとともに、貴管内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)に対してもこの旨周知されるようお願いします。
前項に掲げるもののほか、消火設備の技術上の基準については、総務省令で定める。
次の手順は通知に書かれた義務ではなく、通知と条文を踏まえた実務上のおすすめです。
判断が分かれる点は、所轄の消防本部や市町村の危険物担当に確認してください。
- 許可書や図面に書かれた消火設備の名称が、不活性ガス消火設備など現在の名称と合っているかを見る
- 使っている消火剤が、二酸化炭素か、ハロン代替の不活性ガスか、ハロゲン化物かを、銘板や仕様書で確かめる
- 全域放出方式なら、防護区画の開口部に自動閉鎖装置があるかを確かめる
- 移動式ならホース接続口までの水平距離が15メートル以下か、全域放出方式と局所放出方式に予備動力源があるかを確かめる
- 点検表や届出書の名称の書き方を、告示と規則の用語に合わせてよいか、所轄消防署で確認する
まず許可書と図面の名称を見てみます。
そうですね。
消火剤の種類も、一緒に確かめてください。
よくある質問
まとめ
名称と消火剤の確認から、始めます!
危険物施設の消火設備の相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令等の公布について(通知)」(平成23年12月21日 消防危第295号 消防庁次長通知)
- 「「消火設備及び警報設備に係る危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令の運用について(通知)」の一部改正について」(平成24年3月30日 消防危第90号 消防庁危険物保安室長通知)
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第20条・別表第五 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第32条の7・第33条 e-Gov法令検索
- 消防法(昭和23年法律第186号)第10条第4項、消防法施行令(昭和36年政令第37号)第16条 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





