連結散水設備は、地下の火災で煙と熱が充満したとき、消防隊が外から水を送って散水ヘッドから消火する設備です。
昔は、選択弁の構造、燃焼している場所の確かめ方、防火戸の閉鎖の仕方、ドライエリアのある地階の扱いなど、細かな疑問が消防庁へ次々に寄せられました。
この記事では、そのうち五つの質疑応答を選び、現行の消防法施行令第28条の2 や消防法施行規則第30条の3 などと照らして読みます。
選択弁、燃焼部分の確認、防火戸、ドライエリア、閉鎖型スプリンクラーヘッドを、順に確かめます。
連結散水設備って、消防隊が使う設備でしたよね。
細かい決まりまで、当時は質問されていたんですか。
はい。
五つの質疑応答で、何が答えられ、今の条文とどうつながるかを見ていきます。
今の条文とは、どうつながるんでしょうか。
一つずつ確かめます。
現行の条文に当てはめて読みます。
- 選択弁の構造は特に定められておらず、送水区域を自由に選べて、容易かつ確実に操作でき、流水による障害を生じないものとされました。現行の規則は送水口の付近に設けることを定めています
- 送水区域が大きくなっても、出火場所や燃焼部分の確認は、自動火災報知設備の受信機等で行うよう答えられました
- 自動閉鎖の防火戸の閉鎖機構は、連結散水設備が火災がかなり進んだ時点で使われることから、必ずしも煙式感知器と連動させる必要はないと解されました
- ドライエリアに面する地階の部分は、令第32条を適用して連結散水設備を省略してよいとされましたが、それは個別の判断でした
- 閉鎖型スプリンクラーヘッドを連結散水設備の代わりに設けるよう指導され、現行の規則第30条の3は、そのヘッドの間隔と個数まで定めています
▼

目次
連結散水設備の選択弁は、どんな構造でなければならないのか

その切り替えを担うのが選択弁です。構造をどう考えればよいかが問われました。
(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号 消防庁予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
答えは、送水区域を選べること、容易で確実に操作できること、流水による障害を生じないこと、の三つを求めています。
現行の規則第30条の3第1項第2号は、選択弁を設ける場合には、送水口の付近に設けることと定めています。また、令第28条の2第2項第2号は、送水口を、消防ポンプ自動車が容易に接近できる位置に設けることと定めています。
選択弁は、消防隊が送水口で水を送るときに、その場で操作するものです。送水口の付近に置く決まりは、そのためと考えられます。
構造ではなくて、働きで決めていたんですね。
はい。
送水口の付近に置くことは、今の規則が定めています。
送水区域が大きくなったとき、燃えている場所はどう確かめるのか

どこが燃えているのかを、連結散水設備の側で知る仕組みは要らないのか、と問われました。
(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号 消防庁予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
現行の規則第30条の3第1項は、連結散水設備の細目として、散水ヘッド、選択弁、配管、送水口の四つを定め、第5号で規則第12条第1項第8号(総合操作盤)を準用しています。燃焼している場所を知るための装置は、この細目の中に見当たりません。
出火場所を知る役割は、火災を感知して知らせる設備が担います。連結散水設備は、消防隊が水を送る設備、と役割が分かれています。
この質疑は、その分担を確かめたものでした。
燃えている場所は、報知設備で分かるんですね。
はい。
受信機で場所を確かめて、送水区域を選ぶ流れです。
自動閉鎖の防火戸は、煙感知器と連動させなければならないのか

耐火構造で区画され、防火戸が自動で閉まる部分などは、ヘッドを付けなくてよいとされています。その閉鎖の仕組みが問われました。
(昭和53年9月9日 消防予第179号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
現行の規則第30条の2は、散水ヘッドを設ける部分から除く部分を定めています。第1号は、耐火構造の壁若しくは床又は自動閉鎖の防火戸で区画された床面積50平方メートル以下の部分、第3号は、自動閉鎖の特定防火設備である防火戸で区画された機械室や通信機器室などです。
答えの理由は、連結散水設備が火災がかなり進んでから使われる、という点でした。煙を早く感知して閉まる必要までは求めない、という考え方です。
防火戸そのものの性能や閉鎖方式は、今は建築基準法令の側にも定めがあります。個別の扉は、現行の規則と建築基準法令の両方で確かめます。
扉が閉まる仕組みまで、質問があったんですね。
はい。
区画の扉は、ヘッドを省く条件に直結するからです。
ドライエリアに面する地階は、連結散水設備を省略できるのか

外へ向いた開口が多い地階に、連結散水設備は本当に要るのか、という照会が出されました。
⑴ 主要構造部を耐火構造とした防火対象物で、外周(外壁)の2面以上及び周上の2分の1以上がドライエリアその他の外気(ドライエリア等)に開放されており、かつ、次の条件のすべてを満足するもの。
ア ドライエリア等に面して消火活動上有効な開口部(直径1メートル以上の円が内接できる開口部、又はその幅及び高さがそれぞれ0.75メートル以上及び1.2メートル以上の開口部)を2以上有し、かつ、当該開口部が、当時の規則の定める要件(第2号を除く。)に該当するものであること。
イ 開口部が面するドライエリア等の幅は、開口部がある壁から2.5メートル以上であること。ただし、消火活動上支障のないものはこの限りでない。
ウ ドライエリア等には、地上からその底部に降りるための傾斜路、階段等が設けられていること。
エ ドライエリア等に面する部分の外壁の長さが30メートルを超えるものは、2以上の傾斜路等を有すること。
⑵、⑶は、耐火構造で不燃仕上げのプラットホーム、コンコース等で連結送水管を設置してあるもの、及び規則第13条第2項の一部の号に掲げる部分。
(昭和50年6月16日 消防安第65号 消防庁安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
令第28条の2第1項は、地階の床面積の合計が700平方メートル以上の防火対象物に、連結散水設備の設置を求めています。令第32条は、消防長又は消防署長が、火災の発生や延焼のおそれが著しく少なく、被害を最少限度に止められると認めるときは、基準を適用しないと定めています。
答えは、開口部の大きさと数、面するドライエリアの幅、地上へ降りる傾斜路や階段、外壁が長い場合の傾斜路の数を挙げ、消防隊が外から入って消火できる状態を条件にしています。
これは、令第32条による個別の判断でした。質疑に出てくる規則の条番号は当時のもので、現行の規則の条と一致しない箇所があります。現行の令第28条の2第4項と規則第30条の2の2は、連結送水管を設けたときなどに、排煙設備を設けた部分などを省略できる道を別に用意しています。
外気に開いていれば、省略できたんですね。
はい。
ただし条件がそろったときの個別の判断でした。
連結散水設備の代わりに、閉鎖型スプリンクラーヘッドを設けてよいのか

その場合に、連結散水設備の代わりに閉鎖型のスプリンクラーヘッドを付けてよいか、と問われました。
(昭和53年2月21日 消防予第32号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
現行の規則第30条の3第1項第1号は、連結散水設備の散水ヘッドを定めています。ロは、閉鎖型スプリンクラーヘッドの場合、天井又は天井裏の各部分から一の散水ヘッドまでの水平距離を、令第12条第2項第2号の規定の例により設けることと定めています。ハは、一の送水区域に接続する散水ヘッドの数を、閉鎖型スプリンクラーヘッドでは20以下と定めています。ホは、一の送水区域に接続する散水ヘッドを、いずれか一つの種類のものとすることを求めています。
昭和53年の答えが示した「準じて支障ない」という扱いを、今の規則は、間隔と個数まで書き込んでいます。実際に設けるときは、現行の規則第30条の3で確かめます。
代わりのヘッドも、条文に入っているんですね。
はい。
水平距離と個数の決まりがあります。
よくある質問
まとめ
質疑応答が、条文とつながりました。
うちの地下の設備も、今の基準で確かめてみます!
質疑応答も、今の条文の意味を理解するために読めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第28条の2・第32条
- 消防法施行規則第30条の2・第30条の2の2・第30条の3
- 連結散水設備に関する質疑についての回答(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号 消防庁予防課長・安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 連結散水設備についての回答(昭和53年9月9日 消防予第179号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 連結散水設備の省略についての回答(昭和50年6月16日 消防安第65号 消防庁安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 連結散水設備の代替としての閉鎖型スプリンクラーヘッドについての回答(昭和53年2月21日 消防予第32号 消防庁予防救急課長から各都道府県消防主管部長あて回答)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





